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乳腺外科医が乳がんの最新情報をブログで紹介しています
by aiharatomohiko
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タグ:iniparib ( 2 ) タグの人気記事

Iniparibの試験結果その2 ASCO2011

現時点で正解と言える解釈は無いでしょう。

ただ、この試験がおそらくFDAの認可をとるために行われた試験であろう

ことを考えると、薬剤の認可という観点からは、事前に設定した仮説を

証明できなかった=ハードルを越えることができなかったことから、

規制当局としてはネガティブであったとしか言い様がないと考えます。

つまりは、この試験単体では、乳がん治療薬として認可を受けることは

難しいのでしょう。認可という観点から言えば、事前のp値の割り振りが

0.01と0.04でなくて0.04と0.01だったら無増悪期間ではポジティブ

じゃないかなどといってみた所で始まらない話なのです。

iniparibはアバスチンと違って重篤な副作用がないようなので、

全生存期間の改善がなくても承認された可能性はあるので、製薬会社から

すれば残念だとは思いますが。


ただ、それとこの薬が乳がんに効果がないということとは同じ意味では

ありません。どのようにすればiniparibの効果が証明できるでしょうか。

この試験結果から無増悪期間が改善される可能性がありそうなので、

もう一本か二本試験を行ってみるという方法はあるでしょう。

それらの試験で有意差を持って有用という結果が出るとかメタ解析を

して有用性を確認するとかすれば良いはずです。

この試験はリクルートが簡単であったような記載がウェブにあったので、

これは困難ではないはずです。

しかしながら、製薬会社はバイオマーカーの探索でお茶を濁そうとして

います。その理由は何故なのかわかりません。


それにしても、結果が素晴らしすぎた第II相試験の結果がNEJMに

掲載され、その効果が第III相で確認できなかったわけです。

複数のがんで数多く行われたアバスチンの試験結果の論文発表で見られた

ように、結果が良すぎて眉唾なものだけがNEJMに掲載されることが

再現されたようで、やな感じですね。

ただ、そういう風にナナメに見ておかなければ、”良いデータ”に足を

すくわれるのかもしれません。


より問題なのは、この試験では標準治療群にiniparibのクロスオーバー

投与を許容しているので、iniparibが真の目的である全生存期間の改善に

貢献するかどうかが全く分からないデザインになっている点です。

クロスオーバー投与をしないと倫理的に問題があるとかないとかいう

議論はあるものの、そもそも真に効果があるかどうか、またその効果は

どれほどのものなのかが分からなくては使うべきかどうかがわかりません。

今後こういった試験デザインを取るべきかどうかを真剣に議論すべき

ではないでしょうか。
by aiharatomohiko | 2011-09-06 00:14 | 学会

Iniparibのミステリー-ASCO2011-


ランダム化第II相試験で全生存期間の改善が報告されたため、ラッシュ

で第III相試験が行われたIniparibでしたが、販売元のサノフィから

今年1月27日付で主要エンドポイントが達成できなかったとのプレス

リリースがありました。

詳細な結果がASCOで発表されたのですが、本論に入る前に驚いたこと

を一つ。そもそもiniparibはPARP1阻害薬として開発されていたはず

ですが、この発表のイントロで“Iniparib は、TNBC細胞株の細胞周期

におけるG2/M停止を誘導する。二本鎖DNA損傷のγ–H2AX

(ヒストンの一種)フォーカスを誘導する(二本鎖切断を誘導するという

事か?)ものの、生理的な濃度ではPARP 1/2の阻害をしない

(よほど高濃度にしないと阻害作用が無いという意味か)。

Iniparibおよびその代謝物の生理的な標的分子は研究中

(ということは、現時点で不明))


このスライドを見た瞬間にひっくり返りそうになった人は少なくない

のでは。IniparibにPARP1阻害効果がなく、作用機序が不明という

のです。

これじゃあ、標的治療でもなんでもないし、そもそもTNBCに的を

絞ったことの意味が薄くなります。抗腫瘍効果はあるようなので、

BRCA遺伝子の変異や蛋白の発現などと関係なく使えるのかも

しれませんが。。。

さらには、わざわざ標準治療で無いゲムシタビンとカルボプラチン

というレジメに併用した意味も不明になります。


この臨床試験がネガティブとかポジティブとかの前に、この薬剤を

使う前提があっさり否定されていたので、個人的にはとても驚き

ました。現地での反応はどうだったのでしょうか?


日経メディカルを含めいくつかのHPでは、いまだにPARP阻害薬と

書いてあるので、私が読み間違っているのでしょうか?

ご存知の方はコメントを頂ければ幸いです。


ちなみに発表のスライドには以下のように記載されています。

BSI-201(iniparib) 

A novel, investigational, anti-cancer agent in TNBC cell lines1–4

induces cell cycle arrest in the G2/M phase

induces double strand DNA damage γ–H2AX foci but

does not inhibit PARP 1 and 2 at physiologic drug concentrations


potentiates cell-cycle arrest induced by DNA damaging

agents, including platinum and gemcitabine

physiologic targets of iniparib and its metabolites are

under investigation

by aiharatomohiko | 2011-08-14 11:07 | 学会