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乳腺外科医が乳がんの最新情報をブログで紹介しています
by aiharatomohiko
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PDL1抗体の有用性

転移もしくは手術不能なトリプルネガティブ乳がんに対して、抗PDL1抗体であるアテゾリズマブの有用性を検討した試験の結果がNEJMに発表されました(N Engl J Med. DOI:10.1056/NEJMoa1809615)。902名の乳がん患者さんを対象として、nab-パクリタキセルにアテゾリズマブもしくはプラセボを1:1で割り付けています。

結果は、PFS7.2 monthswith atezolizumab plus nab-paclitaxel vs 5.5 months with placebo plusnab-paclitaxel (hazard ratio, 0.80; 95% confidence interval [CI], 0.69 to 0.92;P=0.002)とポジティブ、PD-L1–positive でもPFS 7.5 months vs 5.0 months (hazard ratio, 0.62;95% CI, 0.49 to 0.78; P<0.001)とポジティブ。予定されたOSの中間解析は、 ITT 21.3months with atezolizumab plus nab-paclitaxel vs 17.6 months with placebo plusnab-paclitaxel (hazard ratio for death, 0.84; 95% CI, 0.69 to 1.02;P=0.08)でネガティブ、PD-L1–positiveのサブグループはhierarchical testになっていたので検定はされず25.0 months vs 15.5 months (hazard ratio, 0.62; 95% CI, 0.45 to0.86)という結果だけ記載されています。

副作用については、新たな重篤なものはありませんでした。

f0123083_00093859.jpg

サブグループ解析でheterogeneityがありそうなのは、ITTPDL1の発現、骨転移の有無、リンパ節再発単独か否かで、PDL1陽性のサブグループ解析とは若干様子が異なっているのですが、ここでは割愛します。

この試験は統計解析の設定がかなり複雑で理解するのに時間がかかりました(というか理解が正しいか自信がありませんので、確認をお願いします)。

f0123083_00101415.jpg

・全体のアルファは両側0.05に設定、これがPFS0.01OS0.04スプリットされる。

PFSは中間解析の設定はなく、今回なされた主解析のみの一発検定。PFS0.01は、ITTTILPDL1陽性のサブグループに0.005ずつスプリットされ、かつ帰無仮説が棄却された場合に、hierarchical testのかたちで、それぞれ奏効率の検定に0.001ずつ割り当てられ、それぞれの残りの0.004OSの検定に還元される。奏効率が有意であればその分のアルファ(最大で0.002)がOSの検定に還元される。

→注:PFSの帰無仮説は両方とも棄却されたものの、奏効率では両方とも棄却されなかったので、0.008OSに割り戻された。

OSは中間解析がPFSの解析時(今回)ともう一回の都合二回設定されている。OS解析に使えるアルファは、上記より0.04+0.008PFSからの還元)=0.048となります。中間解析の有意水準は論文でもappendixにも見つけられなかったのですが、プロトコールには以下のごとく書いていました。1回目(今回)の中間解析時のITTP値が0.0039に、2回目は0.0210、それでもだめなら主解析のP0.0408で有意ということだそうです(361/362ページに記載)。プロトコールからは、今のハザード比が保たれるならば、最終的に有意になりそうです(HR £ 0.853を想定)。

いつかの時点の解析でOSがポジティブに出ることが期待されますが、問題なのは万一ITTOSが有意にならなかった場合、大きな差が期待されるPDL1陽性サブグループでOSの検定が出来なくなることです。迷宮入りになったらえらいことです。。。

さて、現時点では、アテゾリズマブをnabパクリに加えることで、ITTPFS1.7ヶ月という誤差の範囲程度に改善し、PDL1陽性では2.5ヶ月と改善の度合いがより大きくなることまでは検証され、OSITT3.7ヶ月、全体の4割ほどを占めるPDL1陽性で9.5ヶ月と大きく改善される可能性がある、というところまで言えます。他のがん腫のように、10-20%ほどの長期間にわたり効果が見込めるポピュレーションがあることを期待したいですね。OSのカプランマイヤーを見ると、15か月以上のat riskがまだ少ないですが、期待できそうに見えます。

現状で保険が通ったなら、OSの主解析結果を待たなくても、PDL1陽性のケースに使用したいです。











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乳がんの最新情報を考察して、備忘録的に記録しています。
言うまでもないですが、あくまで個人の見解です。
相原病院ブレストセンター(乳腺外科)
相原智彦
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by aiharatomohiko | 2018-11-07 00:13 | 論文