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乳腺外科医が乳がんの最新情報をブログで紹介しています
by aiharatomohiko
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サンアントニオ GS1-02 NSABPB47 素晴らしいが、negative


なかなか結果が発表されなかったので芳しい結果ではなかったのかな、と心配していたら、残念ながらその通りだったようです。

ハーセプチンの術後療法での有効性が報告されたNSABPB31でのエントリー基準は参加施設で検査したHER2FISH>2.0もしくはIHC3+でしたが、セントラルで調べると174/1795 9.7%はHER2陰性でした。そのHER2陰性のサブセットでも、再発の相対比は0.5以下とハーセプチンの効果をHER2陽性と同等に認めた。またN9831でも同様な傾向を認めたため、ハーセプチンはHER2陰性でも効くんじゃないか、という仮説が提示されました。それを検証するために行われたのがこの試験です。



対象:HER2 1+もしくは、2+かつHER2 FISH陰性(ratio<2かつ<4)のhigh risk node negativen+

腫瘍評価項目:IDFS

統計学的仮説:ハーセプチン追加による33%のリスク低減を90%のパワーで検出する。片側α2.5%の有意水準。264イベントで解析。

3270名をランダム化、中央値46か月のフォローアップ。

5IDFS89.2%vs89.6%、イベント数は264で、ハザード比は0.98(0.77-1.26)であった。フォレストプロットでもinteractionはなし。IHC1+2+で違いはなし。心毒性は高く、OSはむしろ悪い傾向(HR1.33(0.91-1.94))。

二つの試験の後ろ向きの解析で同様な結果が出たにもかかわらず、前向きに試験をするとnegativeとは。。。結果がnegativeな試験を覚えるのは難しいが、この試験は個人的に特別なものとして忘れがたいですね。中央で集中して行った検査より、各施設で行った検査の方が試験の結果を反映している=正確であることを示唆したともいえるのではないでしょうか。


by aiharatomohiko | 2017-12-21 22:54 | 学会

Pertuzumabはいい薬。CLEOPATRA OSデータから

えー、これだけ間が空くとまたお会いした際に何してたんだといわれるのは

間違いないのですが、何をしていたのかというと、えー、乳癌学会の

ガイドラインの仕事が忙しかったということで、ご理解よろしくお願いします。

今はまた患者さん向けのガイドラインの仕事が始まりましたのと、山口での

講演準備・浜松での乳癌学会がらみ・臨床腫瘍学会でのお仕事などで今後も

滞ると懸念されます(汗)。


さて、HER2陽性転移乳がんの一次治療として、ドセタキセル+トラスツズマブ

±ペルツズマブを検討したRCT(n=800)の全生存期間(OS)の結果が

発表されました。

Lancet Oncol(http://dx.doi.org/10.1016/S1470-2045(13)70130-X)。


f0123083_0213629.jpg




イベント数267、追跡期間の中央値約30か月で、プラセボ群のOS中央値

37.6か月、ペルツズマブ群のOS中央値(未達)、ハザード比

(0.66, 95% CI 0.52−0.84; p=0.0008)と、ペルツズマブの圧勝ながら、

もっと長く追いかけたデータを見てみたい感じです。


しかしながら、ペルツズマブで副作用が増えるわけではないことを考えると、

ペルツズマブが上市されたら基本的に使用する方向になりそうです。


f0123083_0213721.jpg




ただ、フォレストプロットでは、臓器転移がない場合にはペルツズマブの

明らかなメリットが認められていないので、リンパ節転移や骨転移だけの場合

には、積極的に使用しないだろうと考えています。


本文中でもこの点にはホンの一行ですがきっちりと触れられていて、研究者の

良心を感じさせます

(引用:The analysis of overall survival in predefined subgroups

accorded with the analysis in the whole intention-to-treat 

population, indicating a consistent eff ect on survival with 

pertuzumab, trastuzumab, and docetaxel compared with placebo,

trastuzumab, and docetaxel for all patients except those with non-visceral

disease)。


通常フォレストプロットは参考程度にしか見ないのですが、このデータは

日常臨床で使用する際に注目してよいと考えます。

治療効果が大きく副作用が少ない薬剤は、試験結果の解釈や使用方針が

ややこしくなくてよいですね。
by aiharatomohiko | 2013-05-05 13:41 | 論文

HER2とタキソールの有用性との関係-考察-

f0123083_215619.jpg

N Engl J Med 2007;357:1496-506.より引用。


このデータを詳しく見るために、Figure2における6年無再発生存率に

焦点を当ててみました。


これでわかることは、ER陰性ならHER2の状況に関わらず、

またER陽性でもHER2陽性なら、6年無再発生存率がACのみで約50%、

タキソール追加で約70%とほとんど変わらないということです。

ER陽性HER2陰性の場合だけは例外で、タキソールありでもなしでも

約70%と、タキソールの追加効果がみられなかったわけです。


言い換えると、ER/HER2の状況に関わらず、術後にAC-タキソールを投与

することで6年無再発生存率が約70%になる。ER陽性HER2陰性の症例

だけはACだけでも約70%と良いが、それ以外はACだけでは約50%である、

ということになります。


AC-PTX治療後の全サブセットの6年生存率がほぼ同じくらいだったのは、

たまたまかもしれません。


しかし、これが真実だとすると、HER2陽性乳癌の場合には、ハーセプチンを

追加することで、ハザード比で40から50%のさらなる再発抑制効果を得る

ことが出来ます。


ER/PR陰性HER2陰性のいわゆるトリプルネガティブは、さらに予後を改善

する手法が今の所見当たりませんが、タキソールの追加効果がはっきりあり

ますので、化学療法は有用なのでしょう。分子標的薬を含めた何らかの化学

療法剤の追加が、さらなる予後の改善に有用である可能性があります。


その一方で、ER陽性HER2陰性でタキソールの追加効果がみられないという

のは、ひょっとしたらタキソールだけでなく化学療法自体が効きにくいということ

かもしれません。今後化学療法が進歩していく過程で、意外に予後が改善され

にくいサブセットとして残るということになるかもしれません、うーん。。。


少し混乱してきました。


各サブセットで患者背景が揃っていない恐れもある中で結果をあまり細かく

見ても意味が無いのかもしれませんが、ERとHER2でサブセットを分けた

解析が今後いくつもの臨床試験でなされてくると思います。


そうすると、この問題も少しずつ真実が見えてくるのだと思います。

それまではしばらく、うーん、とうなっているしかなさそうです。
by aiharatomohiko | 2007-12-02 21:01 | 論文