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乳腺外科医が乳がんの最新情報をブログで紹介しています
by aiharatomohiko
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-ATAC 100months-その2


気を取り直して、ATAC 100monthsの報告から良かったところを

拾い上げてみましょう。


まずは、骨折率が5年以降ではTAM群とANA群で変わらなかった

、です。


ビスフォスフォネートの使用の有無は、影響していないのでしょうか?

発表者は学会発表の時につっ込まれて、即答できなかったのですが、

論文には、ビスフォスフォネートの使用率がアナストロゾール群で10%

タモキシフェン群で7%と記載があります。

ほとんどの人は使用していないようなので、アロマターゼ阻害薬にとって

いいデータです。


また、time to recurrenceのデータではありますが、5年を越えた後でも

タモキシフェンよりも再発率の改善が続いており、carryover効果

が認められそうだ
ということも良いデータです。


そして、今回の論文では死亡のデータを正直に詳しく出しているのが

評価できます。このデータから、全死亡は、タモキシフェンもアナストロゾール

も同じであること、再発後死亡はアナストロゾールのほうが1%少ないが

乳癌に関連しない死亡は反対にアナストロゾールのほうが1%多い

ということです。論文では、乳癌に関連しない死亡がアナストロゾールで

多い理由を"probably due to chance"と楽観的に言っていますが、

レトロゾールでも同じ傾向があるので、まだデータを追いかける必要が

あるでしょう。


主な懸念は、タモキシフェンと比較してアナストロゾールによる再発率の

改善がほとんど見込めない様な再発リスクの低い患者さんにアナストロ

ゾールを使用した場合には、タモキシフェンを使用する場合と比べて

乳癌に関連しない死亡率が1%増える分、アナストロゾールのほうが

生存率が悪くなる可能性があるということです。


ということは、DCISにアナストロゾールを使用するのは、どうなんで

しょうか。また、NSABPで行っていたアロマターゼ阻害薬を使用した

乳癌の化学予防の試験が中止されたのも、このような毒性が懸念された

ためかもしれません。


最後に、2次癌の発生率は両者とも同じなのに、発生する癌の種類が

異なり、さらにアナストロゾールで2次癌による死亡率が高くなっている

ことも気になります。
by aiharatomohiko | 2007-12-19 22:30 | 論文

30thサンアントニオ乳癌シンポジウム-ATAC 100months-


ATACの100ヶ月のデータが発表されました。

何千人にもなるデータを10年近くにわたって継続して収集し続

けるのは非常に大変なことで、頭が下がります。


学会ではITT解析は発表されず、ホルモン受容体陽性症例だけ

でしたが、再発リスクの低減がハザード比で0.76と以前と比べて

良くなっていました。


ところが、同時にLANCET ONCOLOGYに発表された論文を見て

驚きました。

というのは、無再発生存率のハザード比がITTで0.90(0.82-0.99)、

ホルモン受容体陽性では0.85(0.76-0.94)と、学会発表よりも低かっ

たからです。


よくよくデータを見てみると、学会で発表されていたのは、私の記憶が

正しければ、プライマリーエンドポイントである無再発生存率ではなく

セカンダリーエンドポイントのtime to recurrenceだったようなのですね。

イベントの取り方が違うので、そのハザード比が0.76と無再発生存率と

比較してかなり良いのです。

そのため、違和感があったと思われます。


もしそうであれば、学会発表には数字を良く見せるための情報操作

が入っており、論文ではそんなことが出来ないので正直なデータ

になっているということになります。


AZ社のプレスリリースを見てみると、”Overall, women in the ATAC

trial taking anastrozole were 24% less likely to have their

cancer come back, compared with those taking tamoxifen”

とあります。


あー、やっぱりね、といった感じです。。。

もちろんうそではありませんが、プライマリーエンドポイントよりも、

数字の良かったセカンダリーエンドポイントを強調するのは

ちょっとやりすぎでは?と思います。

この後のプロモーションもこの数字を使ってするのでしょうかねえ?


センシティブな問題なので、後で裏をとってから文章を変更する

ことになるかもしれませんが、うーん。

フォローアップに関して、せっかく感心した後なんですが、、、
by aiharatomohiko | 2007-12-16 20:44 | 医療