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乳腺外科医が乳がんの最新情報をブログで紹介しています
by aiharatomohiko
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SABCS2013 術前化学療法


S1-01NeoALTTO

原発性HER2陽性乳がんに対する術前化学療法の研究(N=448)。
以下の三群の比較。HER2 dual blockadeによりpCR率が上がることは既報で、pCR率は、
Lap/Pw(PTX weekly) ≒25%
Tras(H)/Pw ≒30%
L+H/Pw ≒50%

3.77年フォロー時点での生存期間の発表。
心毒性 約1.5%(いずれの単剤群も) vs 約5% (L+H群)と副作用はdual blockadeで上昇した。今回は生存期間の解析であるが、症例数が少ないためにHR0.78を検出するパワーが20%しかない。
EFS・OSともにHR陰性でL+H群の生存率が良い傾向に見えるが、有意差はなかった。
pCR とnon PCRの比較では、ホルモン受容体陰性でEFS・OSともに差が開いていたが、これは目新しい所見ではない。
いずれにせよ、コンビネーション群により生存期間が改善するかどうかを見るには、ALTTO試験の結果を待たなければならないというのが結論らしい。そりゃそうだ。

短評:であれば、検出力が著しく不足していることを研究者自らが強く認識していたにもかかわらず、何故群間ごとのEFS・OSの解析・発表を行ったのかがよく理解できなかった。
こんなデータでも、日本のプレスは“HER2陽性乳癌にトラスツズマブとラパチニブの併用は3年EFSが単剤に比べて良い傾向を示す【SABCS2013】”て書いてますね。どれどれ、やはりグラクソ・スミスクライン株式会社が協賛してるサイトだな。アーメン。


S1-02 TRIO US B07(N=128)

DTX+Carboに以下の抗HER2治療を追加してpCRの違いを見た試験。
pCR 率は以下の通り。()内は治療完遂率。
Tras(H) ≒47% (100%)
Lap ≒25%(72%)
H/Lap ≒52%(73%)
一次評価項目pCR
心毒性は変わらない。下痢はLapが入ると増えるというのは当然。全例でFISH/CISHでHER2増幅を見ているが、HER2mRNAの発現が低いケースはpCR率が低い。これは目新しい知見かもしれない

短評:いまだに代用エンドポイントとしては怪しいpCRを一次評価項目とした研究結果の発表が相次ぐ。まあ、始めた時期が古いためだろうけども、FDAのaccelerated approvalをお墨付きのように振り回すのはこちらの研究者も同じだな。どの程度pCRを改善すればDFSの改善に結びつくのかも分からないのに、こんな研究ばかりしていても患者さんのベネフィットに結びつかないのではないか。そもそもGeparTrioではpCRが改善しなくても治療戦略により予後改善が示唆されているので、今後はこの方向での研究をするべきか。
by aiharatomohiko | 2013-12-15 13:27 | 学会

pCRと予後:定義とサブタイプ


von Minckwitzらのアンスラサイクリン-タキサンベースのPSTを行った

臨床試験6,377名のデータを集めて抗腫瘍効果と予後の関連を検討した

貴重な論文を読んでみました。

Definition and Impact of Pathologic Complete Response on Prognosis

After Neoadjuvant Chemotherapy in Various Intrinsic Breast Cancer

Subtypes  J Clin Oncol. 2012;30(15):1796-804


pCRの定義において、腫瘍残量が最も少ない定義の予後予測力が最も強い。

これは当たり前とはいえます。Table2

f0123083_21431750.jpg



OSのイベント数が少ないために決定的なことは言えないものの、

OSのハザード比がDFSと同じかそれよりも高い傾向があるようにも

見えます。Table2。

pCRになったケースは、化学療法感受性が高く、再発後の化学療法にも

反応する可能性が高いためでしょうか?


サブタイプ別でみると、luminal A(この論文の定義では、ER/PR陽性

でNG1か2)の場合には、pCRとnonPCRでDFS,OSは差がありません

でした。ER/PR陽性でHER2陽性の場合にも、同様な結果でした。

注意すべき点は、ハーセプチンを使用した場合には、DFSは変わらない

もののOSでpCR になったケースの方が良い傾向にあったことでしょう。

ただ、イベント数が11のため、未成熟なデータではあります。Table3

f0123083_21441234.jpg



ER/PR陽性/NG3の場合、ER陰性/PR陰性/HER2陽性もしくは

HER2陰性の場合には、DFSでハザード比が4から8程度、OSで5から14

程度と著明な改善を得ています。


この論文からわかったことは、pCRがよい予後因子となるのは主にER陰性

のケースであることです。ただ、このことはER陽性で化学療法の効果が

ないということを意味しない
(EBCTCG 2012, Lancet)

ことに留意する必要があります。念のため。

f0123083_21484769.jpg



余談ですが、この論文のcommentaryで、ミシガンのD.Hayesらは

化学療法が必要になるケースのほとんどで術後化学療法が標準である

と述べていました。NACは標準治療ではないということですが、

個人的には全く同感です。


さて、本論文に関して、ルミナルAの予後が悪すぎるのではないか

(5年DFSが80%強)、というご指摘を頂きました。

その時には即答できませんでしたが、論文を振り返ってみると、対象

となっているのがcN0とcN1以上が半々で、neo-adjuvantが必要な

ケースであることを考慮すると、悪すぎるとまでは言えないのではないか

とも思えました。いかがでしょうか。
by aiharatomohiko | 2012-08-01 00:00 | 論文

第12回西東京乳癌フォーラムでの講演


忙しさにかまけてブログをアップしていないと、学会で最近ブログ

どうしたのと聞かれることが多くなります。

いかんいかん、で梅雨も明けそうというのに2月の話題に戻ります。

すみません。

2月に、第12回西東京乳癌フォーラムで“なぜエビデンスは我々を

騙そうとするのか”という、ちょっとキャッチーな演題名で講演を

させて頂きました。

内容をかいつまんで紹介すると、エビデンスは一つしかなくても、

解釈はその立場(研究者・製薬企業・プレス・臨床医など)によって

異なること、われわれは臨床医としてエビデンスをどのように解釈する

のが患者さんにとって最善であるのかといった観点でお話をさせて

頂きました。


特に代用エンドポイントの問題点をATAC、ベバシズマブ、NSABP 

B28試験(術前化学療法のpCRの解釈)を例にとってお話させて頂きました。

この講演の内容が乳癌学会でのサテライトシンポへと続いていく訳ですが、

そのお話は後ほど。

加えて、中間解析結果をどのように解釈すればいいのか、というお話し

もさせて頂きました。

会場にはI理事長もお運び頂いたたうえにコメントまで頂戴しまして

光栄でした。

懇親会でもディスカッションが弾み、大変勉強になりました。
by aiharatomohiko | 2012-07-14 22:54 | 講演

乳がん学会のトピックその3-胃がんと乳がんは同じですか。。。


最後になります。術前化学療法の演題を見ていました。

Dという薬が3週ごとに40mg/m2、Tという薬が80mg/m2で

2週間というレジメで、pCRが○○%だったので、標準治療と同じ

くらいの効果ですという演題でした。

この研究自体がすばらしいとかくだらないとかいう事はさておきます。

問題はDの量です。「Dの3週ごと40mg/m2という量は、再発抑制効果

が証明されているのですか?」と質問したところ、「胃がんで効果が証明

されている量なので、これを使いました。」という返事でした。


あ然としてそれ以上質問をする気が失せたのですが、ここで問題(疑問)です。

①そもそも術前術後の化学療法の目的はなんでしょうか。

②胃がんで効果が証明されたというその効果の指標はなんでしょうか。

③その効果が乳がんの再発を防ぐという効果に翻訳できるのでしょうか。

④pCRをエンドポイントとして臨床試験をするのは、適切なのでしょうか。



万一発表された方がこのブログを見る機会があったら、患者さんのためにも

以上のことを良くお考えになって下さい。
by aiharatomohiko | 2011-09-25 23:14 | 学会

pCRを目的として術前化学療法を行うことは適切か?その3


もう一つ根本的な問題点として、pCR率をどの程度改善すれば、

どれくらい生存率が改善されるのかがわかっていない事も、

pCRをエンドポイントとして臨床試験をする上での大きな障害

なのだと思います。

つまり、“この新規レジメはpCR率が50%なので、優れています。”

といっても、この新規レジメが例えばACよりも生存率のハザード比が

何%良いのか、皆目見当がつかないわけです。

(誰か知っている人がいれば、メール下さい。)

B27の論文のdiscussionには、“Extrapolating from the B-18 survival

curves, doubling of the pCR rate from 13% to 26% could be

predicted to increase the number of surviving patients by

approximately 2%.“という文が根拠の提示なしにのっていますが、

これが本当であれば、5%の改善を示すには、30%くらいのpCR率の

上乗せが必要になりそうです(だいたい)。

もしこれが本当なら、ハーセプチンクラスの薬剤が必要ですね。


つまり、pCRは代用エンドポイントとして不十分であり、

pCRをエンドポイントとして、新しい有効なレジメを見つけるために

臨床試験をするのは臨床的な有用性が低い、

という結論になります。


反対に、たいしてpCR率が改善されないのであれば、そのレジメは

生存率をほとんど改善しないので捨てるべきだ、という風には

使えるかもしれませんが。

ただ、pCR率が標準レジメと同じでも生存率を

改善するような新規レジメがある可能性も否定できません。

そう考えると、ますますpCRをエンドポイントとして臨床試験を

することに意義を見出すのは難しく思えます。


もちろん、迅速に有用な新規レジメを見つけることができるに

越したことはありません。

しかしながら、現時点では、臨床的に意味のあるレジメを開発するためには、

適切な対象を設定して、新規レジメがどの程度無再発生存率や

全生存率を改善するかをランダム化試験で検討するという、

従来からの手法が最善といえるのではないでしょうか。

これに、効果予測因子を探索する系を乗っけることができれば、

なお良いですが。

従来からの方法でも症例数を増やしてパワーを上げる事で、

結果が出るまでの期間を短くすることはできます。

これはこれで倫理的な問題点が全く無いとはいえないのですが、

その点については、また。
by aiharatomohiko | 2008-11-19 23:45 | 医療

pCRを目的として術前化学療法を行うことは適切か?その2


新規レジメを開発する際に、pCR率をエンドポイント(主要評価項目)

としてよく臨床試験が行われます(いました?)。

私もそういった臨床試験に参加していた時期はあります。

しかしながら、pCRをエンドポイントとして臨床試験を行うことは、

本当に意義があることなのでしょうか?

NSABP B27試験の結果から考えてみたいと思います。


この試験は、術前化学療法として、ACとAC-DTXを比較した試験です。

(ややこしいので、もう1アームのAC-手術―DTXについては

ここでは触れません。)

pCR率は、AC単独の13%からACにDTXを追加することにより

26%となりました。相対値で100%、絶対値でも13%という著しい

改善です。

それに対して無再発生存率はわずかに相対値で10%、絶対値では3%

という改善にとどまりました。

さらには、全生存率は相対値で3%、絶対値では0%の改善です。

この試験においては、pCR率が改善するほどには、生存率が改善しなかった

ということが言えます。

pCRにこだわる意味があまり無いことを示した臨床試験の結果だったと

思います。
by aiharatomohiko | 2008-11-16 23:48 | 医療

pCRを目的として術前化学療法を行うことは適切か?その1


術前に化学療法を行うことによる予後の改善はみられなかったのですが、

病理学的完全寛解(pCR)が予後予測因子、また生体内抗がん剤感受性

試験として非常に興味深い現象であることがわかり、臨床面のみならず

研究面でも注目されています。

その様な中で、pCRが患者さんにとってどのような臨床的意義を持つのか、

考えてみました。


まず、pCRになった場合には、ならなかった場合と比較して、どのくらい

予後が良いのかを確認してみました。

B18試験の結果からは、乳房のがんがpCRになった場合、5年無再発

生存率は85.7%でした。10年無再発生存率はもう少し下がることを考えると、

術前化学療法でpCRになった場合でも、患者さんに“pCRになったので、

乳がんが治りますよ。“と言えるほどのインパクトのある数字とはいえない

のがわかります。

えっ?pCRになったので治るって説明されている?うーん。。。。

85%治ります、といわれても高いのか低いのか、何ともいえないでしょうね。


一方、pCRにならなかった場合の5年無再発生存率は76.9%。

差があると言っても絶対値では10%切る位ですので、pCRにならなかった

と言って悲観するほどでもありません。

pCRの予後予測因子としてのパワーは、過大評価されていると

個人的には考えます。

そのため、pCRが得られるかどうかを観察することのみを目的として、

術前化学療法を行う意義は小さく、患者さんにとってメリットは無い

と考えます。


それでは、pCRを目的として臨床試験を行うことは、意義があること

なんでしょうか?
by aiharatomohiko | 2008-10-29 20:53 | 医療

術前化学療法は患者さんの役に立っているのか?番外


今日研究会に行ってきました。思いがけず術前化学療法の話題になって

いましたが、気になったのは、”術前化学療法だから、pCRをねらって

うんぬん”という様な言葉が聞かれたことです。

現状pCRになろうがなるまいが、だからなんなんっていう意味しかないはず

なのですが、今回は次回以降の前フリとします。
by aiharatomohiko | 2008-10-18 22:52 | 医療

術前化学療法は患者さんの役に立っているのか?その4


術前化学療法の問題点として、術前組織診の限られた標本でしか

原発巣の病理学的な検討を行えないこと、もともとのリンパ節転移の

状況が正確には把握できないこと、腫瘍が縮小し非触知となった場合には

乳腺部分切除の際に切除範囲を決定しにくいこと、などが挙げられます。


特に、腋窩リンパ節転移の状況(=転移再発のリスク判断)が分からずに、

レジメを決めなければならないのが、第一の問題と考えます。

一時は術前化学療法といえば、ステージに関わらずアンスラサイクリン

+タキサンを使用したり、標準治療とかけ離れたレジメが使用されることが

ありました。私も当時はそれが妥当と思っていましたので、以前はその様な

臨床試験に参加したことがあります。

しかし、術後に行う化学療法を術前に行っても生存率は同じ、という所から

始まった治療なのに、術後治療として使用しないようなレジメが術前化学療法

に使用されることは本来ありえないはず、と現在では考えるに至りました。

具体的に言えば、腋窩リンパ節転移が無い場合には、タキサンの追加効果

が絶対値で見ると低いため術後療法では頻用しないのに、術前化学療法だと

腋窩リンパ節転移の状況に関係なく使用されるのはなぜか?

過剰治療なのではないか、ということです。


この点をよく理解している施設では、いち早くセンチネルリンパ節生検を行って

から治療方針を決定するようになりました。

腋窩リンパ節転移がある場合には、アンスラサイクリン+タキサンを術前に

行っても良いという判断がこれでできる事になります。

手間を惜しまなければ、大変スマートなやり方だと思います。


もう一つは、乳房切除後の放射線治療の適応についてです。

乳房切除した場合でも、リンパ節転移が4個以上の場合には術後放射線

治療を行うことが標準となっています。

しかし、術前化学療法により手術時に腋窩リンパ節転移の個数が減少する

可能性があるので、もともとの転移個数がわからなくなり、適切に放射線

治療の適応を決定することが困難になるのではないかという懸念も、

問題点の一つであると考えます。
by aiharatomohiko | 2008-10-15 23:20 | 医療

術前化学療法は患者さんの役に立っているのか?その3


結論としては、患者さんに対する術前化学療法の実質的なメリットは、

術前化学療法を行うことにより、乳房温存率が上昇するということ、

これだけなのではないでしょうか。


ということは、当初より乳房温存療法が可能であるような場合には、

術前化学療法が術後化学療法に比べて優れている点はほとんどないの

ではないでしょうか。もちろん、劣っているともいえませんが。

術前化学療法で3cmの腫瘍が2cmになった場合には、より切除範囲が

小さくなり、質の高い温存手術ができるという考え方はあります。

ただ、質の高い温存手術と言うのは、切除範囲もさることながら腫瘍の

できる部位に左右されるところが大きいので、3cm前後の腫瘍に積極的に

術前化学療法を勧めるのが良いかどうかは難しいところです。


また、術前化学療法を行っても、温存手術が可能にならないような場合も、

あまり良い適応では無いと考えます。例えば、乳頭乳輪直下に腫瘍が広く

およぶ場合です。また、石灰化が広範囲に広がっているタイプの乳がんは、

乳管内進展部分が化学療法で消えないことが懸念されます。

余談になりますが、先日乳癌学会でお会いした先生によれば、

HER2陽性乳がんに対してHerceptinとFE75C→Taxaneを併用した

場合には、石灰化のある範囲もがん細胞が消えている場合が結構ある

との事でした。


ただ、この場合も石灰化のある範囲は手術で切除されるというお話で

あったので、やはり広がりがあまりに大きい場合には美容的な事を

考えると難しいのかもしれません。


それでは、術前化学療法の問題点とは何でしょうか。
by aiharatomohiko | 2008-10-14 23:33 | 医療