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乳腺外科医が乳がんの最新情報をブログで紹介しています
by aiharatomohiko
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タグ:化学療法 ( 2 ) タグの人気記事

ゼローダ vs AC/CMF:何でこんなにゼローダが悪いのか?


65才以上の高齢者乳がんの術後化学療法として、ゼローダと標準的な

化学療法であるACもしくはCMFを比較した試験の結果が、

NEJMにのりました。

この試験はTACTと同様に標準療法が二種類どちらでも良いことになって

いますが、TACTと異なりこの二種類の試験はどちらも効果において同等

であることが証明されています。


試験の方法は一風変わっていて、統計学的な検証方法が流行りといっては

オーバーかもしれませんが、“adaptive Bayesian”デザインをとっています。

イベント数を途中でモニターすることにより、仮説が検証できるかどうかを

経時的に見ながら、試験を行う方法と理解していますが、正直正しいかどうか

分かりません。

必要症例数を事前に適当に見積もっておくだけでよいのが特徴です。

詳しいことは”Mr. adaptive” 大橋靖男先生の近著をご覧になるのがよろしい

かと。


研究仮説は、ゼローダの標準的化学療法に対する無再発生存期間(RFS)に

ついての非劣性です。RFSはDFSとイベントの取り方が異なっており、

差がある場合に検出しやすいエンドポイントです。


この試験のゼローダの用量は、まず2000mgの二週投与一週休薬を

一サイクル行った後に、2500mg/日に上げて全6サイクルですが、

2500mgでの毒性が強く途中で量が2000mgに固定されました。

当初のデザイン自体も“へえー”という感じですが、2500mgで毒性が

強すぎてプロトコールが改変になったというのは、印象深いです。

大腸がんの術後療法でも2500mgでゼローダの8サイクルが使用され、

ロイコボリン+5FUを上回るくらいの成績を残しているにもかかわらず、

毒性が強く完遂が難しいことが報告されているからです。

大腸がんにおけるFU系の薬剤としては、ゼローダが標準と考えても

よい結果を残しているのですが、乳がんでは違いました。
by aiharatomohiko | 2009-05-20 22:17 | 論文

HER2とタキソールの有用性との関係-その1-


リンパ節転移陽性乳癌の術後化学療法において、タキソールは標準治療薬

となっています。初めてタキソールの追加効果をAC vs AC-タキソールの

比較により検証したのは、CALGB9344というエポックメイキングな試験です。


この試験の中間解析の結果が発表された時から、ER陽性とER陰性では

タキソールの追加効果の大きさが異なるのではないか、と言われていました。

ただ、その後に発表されたアンスラサイクリン vs アンスラサイクリン+

タキサンを比較した試験では、ERの状況と無再発生存率の改善効果に

ついてバラツキがあったため、現時点では日常臨床においてERの状況で

タキサンを使用するかどうかを決めることは推奨されていません。

また、HER2の状況とタキソールの効果については、進行再発ではいくつかの

試験で検討されていますが、術後療法での検証はなされていません。


こういった背景から、HER2ならびにERの状況がタキソールの追加効果に

影響を与えるかどうかの解析が、CALGB9344の全3121例から無作為に

選ばれた1500例のうち組織が利用できた1322例を利用して行われ、

その結果が先月のNEJMに掲載されました。


CALGB9344試験では、アドリアシンの増量効果とタキソールの追加効果

という二つの命題を検証する2x2のファクトリアルデザインがとられていた

ため、以下の結果が得られました。


①HER2陽性乳癌に対してアドリアシンの量を60mgから90mgに上げても、

無再発生存率は改善しない。

②HER陽性乳癌とHER2陰性・ER陰性乳癌に対しては、タキソールの追加で

無再発生存率が改善するが、HER2陰性・ER陽性乳癌に対してタキソールを

追加しても、無再発生存率は改善しない。


全症例の過半数を占めるHER2陰性・ER陽性乳癌に対してタキソールを

追加する効果が無い
、ということが真実だとすると、臨床的に非常に

大きなインパクトがあります。
by aiharatomohiko | 2007-11-04 23:39 | 論文