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乳腺外科医が乳がんの最新情報をブログで紹介しています
by aiharatomohiko
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BOLERO2から振り返るフリカケ薬の話 その5

ホルモン感受性の転移再発乳がん患者さんの二次療法として、フルベストラント+プラセボVSフルベストラント+パルボサイクリブ(PALOMA3)のOSの結果がNew Engl J Medに掲載されました。結果は、median overall survival was 34.9 months (95% CI, 28.8 to 40.0) in the palbociclib–fulvestrant group and 28.0 months (95% CI, 23.6 to 34.6) in the placebo–fulvestrant group. The stratified hazard ratio for death was 0.81 (95% CI, 0.64 to 1.03; P = 0.09)ということで、ハザード比で20%の改善と推定値では6.9か月の改善が見られましたが、統計学的には有意差なしでした。頻度主義原理主義の観点からは、“パルボサイクリブの上乗せによるOSの改善は統計学的に示されませんでした”、以上です()

サブグループを見ると、DFI24月以下、一次ホルモン療法が有効でなかったケースでは、パルボの上乗せ効果がなさそうです。3つの層別化因子での後解析が事前に予定されており、それらは一次ホルモン療法への感受性、内臓転移の有無、閉経状況です。一次ホルモン療法が有効だった410人の解析では、the median overall survival was 39.7 months (95% CI, 34.8 to 45.7) in the palbociclib–fulvestrant group and 29.7 months (95% CI, 23.8 to 37.9) in the placebo–fulvestrant group (hazard ratio, 0.72; 95% CI, 0.55 to 0.94; absolute difference, 10.0 months)という結果でした。αが効いておらずたまたま良かった後解析のくせに論文のアブストラクトの結果欄には大々的に書かれてました。最近こういう手合いが多いような気がします。内臓転移と閉経前では効果は今一ぽいですが、症例数が少ないので、実臨床でこういったデータは考慮しないですね。

 CDK4/6PIIIは複数行われているので、全てのOSの結果が出そろうのが楽しみです。

 個人的にはこのデータによって臨床を変えるつもりはないですが、一次ホルモン療法が効いた人の二次療法として使う時にOSが改善されるかもしれないなあと思って、使うときに少し気が楽になるかもしれません。ベイズ的ですが()


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乳がんの最新情報を考察して、備忘録的に記録しています。
あくまで個人の見解です。
相原病院ブレストセンター(乳腺外科)
相原智彦
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by aiharatomohiko | 2018-10-28 21:43 | 論文

SABCS2016 DATA試験

DATA試験はTAM-ANAへスイッチして5年治療ののちにランダム化して、3年のアナストロゾール(ANA)と6年のANAを比較する試験。ただ、解析はランダム化して3年時点を起点とした3DFSadapted DFSと記載)を検定するというデザインで、これではITTによる検定とはならず、せっかくRCTをしたにもかかわらず、研究の質が観察研究レベルになってしまうとのこと。

α5%、β20%HR0.60の研究仮説で、n=1860がランダム化されたものの、両群ともに同じ治療が行われている3年のうちに、3年群で91のイベント発生と5件のフォローアップロスト、6年群で103のイベント発生と1件のフォローアップロストが生じたため、解析からは除外された。解析は1660例で、2/3n陽性とリスクの高いポピュレーションが対象となっている。

Adaptedフォローアップ4.1年、261イベント発生時でaDFSの解析がなされた。HR0.79(0.62-1.02)p=0.07 OSHR1くらいであり、ネガティブな結果ということになった。しかしながら、カプランマイヤーは3年から開いてきており、イベント数も6年群で少ない。長期の観察をすることでより精度の高い知見が得られるように思えた。いつものことながら、筋骨格系の副作用が問題となる。


by aiharatomohiko | 2016-12-11 12:18 | 学会

ASCO2016 対象症例の設定を誤ったMA17.R試験

 4.5〜6年間のレトロゾールによる術後治療を受けたホルモン受容体陽性閉経後早期乳がん患者1,918例を、LET群もしくはプラセボ群に割り付けたランダム化比較試験の結果が報告された。うち約60%が化学療法を受けていた。T1が55%、N0が45%程度と必ずしもごくごく早期のケースが入っていたという訳ではないようだ。また、70%程度が4.5年以上タモキシフェンの治療をLETの前に受けており、都合15年という長い治療を受けていた。

 結果は、主要評価項目の5年DFSはLET群95%、プラセボ群91%(HR=0.66、p=0.01)であり、LET群で34%の再発リスク低下が認められた。二次評価項目のOSは差が無かった。

さて、再発における34%のリスク低下は治療効果として大きいのだが、全イベント数はLET群67例、プラセボ群98例であったものの、対側乳癌はLET群13例、プラセボ群31例とこれに引っ張られているところが大きく、遠隔転移ではLET群42例、プラセボ群53例と大雑把にいって約20%のリスク低下に留まっている。一群1000例で10例の遠隔転移抑制なので、100例治療して1例(1%)の遠隔転移減少効果というのは、骨折が14%vs9%と5%のロスと比べると、そう大きなものとは言えないだろう。

 もっと治療効果の絶対値が大きくなるような対象、例えばn+症例に限って試験を行っていれば、リスク/ベネフィット比が大きなものになったと思われるが、この試験の結果を持って積極的にAIを10年投与しようという人は多くはないのではないか。個人の再発リスク判定が重要なのは言うまでもないが、病理学的因子が5年のホルモン治療後に予後因子となることがEBCTCGにより発表されているので、遺伝子プロファイルではなく、それを参考にすれば良いと思う。個人的には、Tが大きく腋窩リンパ節転移個数が多い方は10年AIもしくは15年ホルモン治療の対象になると考えるが、ホルモン陽性乳がんの方全員にデノスマブを投与してまでもAIを長期間継続したいとは思わない。
by aiharatomohiko | 2016-06-28 23:03 | 学会

ホルモン治療の影響を周囲が理解することの難しさ


ホルモン治療は、抗がん剤治療と比較すると副作用が軽いとみなされて

います。もちろん、髪が抜けたりとか吐き気が強いといった、誰が

見ても分かるような副作用はあまりありません。

しかしながら、ホルモン治療には副作用が全く無い訳ではないどころか、

人によっては日常生活に大きな影響を与えます。


悪いことには、ホルモン治療の副作用は、周囲からは分かりにくいもの

です。治療期間が5年以上という長期に渡るため、しばらくはケア

してくれていたご家族も時間が経つに連れて、ご家族はそう思い込みたい

こともあってだと思いますが、”もう治ったんじゃないか”という態度で

接することも少なくないようです。

ご本人は副作用でしんどい上に再発の恐れを抱えたままの状態でいる

のにもかかわらず、です。


どうやったらご家族に分かって頂けるのか、しばらく思案していました。


”私はこんなにしんどいのに!”といって頂くのが直接的なのですが、

なかなかそうは言えない方のために、武田薬品のご協力で小冊子を

作りました。

そっと食卓の上に置いて見てください。

きっと、“こんなことくらいわかってるよ。”といった顔で読んで

くれることでしょう。

そして、治療のしんどさを再認識してもらえれば良いですね。


ブログにはpdfはアップできないようですので、ホームページに近日中に

アップする予定です。一度ご覧になって下さい。

お役に立ちそうであれば、冊子を受付の前に置いていますので、

お持ち帰り下さい。

他院に通院されている方は、担当医に取り寄せて頂くよう頼んでみて

頂ければ、国内の方は入手できると思います。
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by aiharatomohiko | 2009-02-01 22:18 | お知らせ