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乳腺外科医が乳がんの最新情報をブログで紹介しています
by aiharatomohiko
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SABCS2014カルボプラチンへの期待と現実

トリプルネガティブでの有効性がささやき続けられてきたプラチナですが、他の抗がん剤との第III相を待たずに標準アームとしてバンバン使われてきました。この試験では、ドセタキセルとの比較が行われ、BRCA変異のあるケースでは優れているものの、ないものでは効果は同等であることが報告されています。

・対象はトリプルネガティブの転移乳がん
・比較はDTX100x6 vs Carbo6AUCx6
・n=376
・一次評価項目は奏効率で、対立仮説はカルボによる奏効率の15%改善。両側α5%、β10%。
結果は、
・クロスオーバー可でいずれのアームも1/4ほどで行われた。
・RDIはほぼ同じ。
・11か月の中央値フォローアップ
・全体では、奏効率は カルボ 31.4% vs ドセタキセル35.6% NS
・PFSとOSもNS。
・ただし、BRCA変異が認められていたケースに限れば、奏効率68% vs 33.3%とカルボが有意に高かった。BRCA変異なしまたは不明の場合は、奏効率28.1% vs 36.6%でNSであるがドセタキセル優位。BRCA変異と薬剤の交互作用は有意。
・Myriad HRD (homologous recombination deficiency)スコア(以下参照)により高低2分しても、両者の奏効率はいずれでもほぼ同等であった。Myriad HRDスコアと薬剤の交互作用なし。Neo adjuvantではスコアとpCRが相関していたようですが。。。。
*Myriad's proprietary HRD test detects when a tumor has lost the ability to repair double-stranded DNA breaks resulting in increased susceptibility to DNA-damaging drugs.
・PAM50によるBasal(n=174)は、奏効率に変化ないが、non basal(n=36)では16.7%vs73.7%とDTXに負けていた。Basalかどうかと薬剤の交互作用は有意。
・免疫染色によるcore Basalでも類似の結果。

結局、
・カルボのドセに対する抗腫瘍効果における優越性は、BRCA変異を認めたものに限られる。
・BRCA変異のないものでは、ドセの方が効果が高い傾向。
・Basalサブタイプで奏効率は同等も、non basalでは効果が低い。
・全体でみればクロスオーバーが入ることもあるのか、OSは変わらない。
・タキサンとの比較という観点では、DTXq3w=weekly PTXとすればwPTXの方がカルボよりも明らかに毒性が低いので、カルボをフロントラインで使うというよりは、タキサンの後でという位置づけか。
by aiharatomohiko | 2014-12-17 14:29 | 学会

SABCS2014 乳がんでも抗PD1抗体は有望KEYNOTE012試験

メラノーマ、非小細胞性肺がん、腎臓がんなどで目覚ましい効果が報告されている抗PD-1抗体と抗PD-L1抗体ですが、サンアントニオではトリプルネガティブのPDL1陽性の転移乳がんを対象としたP1b試験で抗PD1抗体の臨床効果が報告されています。
・スクリーニングされた58%がPDL1陽性。
・pembrolizumab10mg/kg q2w
・n=27が評価可能。
・全体で18.5%の奏効率。SD25.9%でCBRは44.4%。
・SD以上は一次治療1/4例、二次治療で2/4例、六次治療以降でも4/6例と前治療に依存しないのが特筆される。
・毒性は、関節痛、筋肉痛、嘔気、疲労感などで重篤なものはなさそう。
・目覚ましいという程ではないかもしれないが、明らかな臨床効果を認めている。
・腫瘍でのPDL1発現で選択しているが、この研究からは効果予測因子となるのかどうかは不明。
・ER陽性やHER2陽性でのPDL1の発現や抗腫瘍効果の検討が期待される。
by aiharatomohiko | 2014-12-15 00:37 | 学会

SABCS2014 TILとハーセプチンの効果

今年のサンアントニオは暖かかったです。
行きのロスからサンアントニオの飛行機で眠らない様にしたら、時差ボケも軽かったのはラッキーでした。
今年は臨床検体を使った研究の発表が増えていましたが、手法の理解は難しいうえに結果が確定的なものでないので、消化不良な感じが否めませんでした。
基礎のセッションになると人がぞろぞろ居なくなるのもわかります。

さて、TILとハーセプチンの効果をみた研究が発表されました。
背景や方法など
・FinHER試験(n=209)の検討では、間質の腫瘍浸潤リンパ球(TIL)の程度が高ければ、ハーセプチンの効果が高いと報告されている。
・そのため、N9831の945人を対象として、予後因子ならびに予測因子になっているかを検討した。
・AC-TvsAC-T同時併用ハーセプチンの比較試験の症例が対象。中央値6.9年フォロー。RFSがエンドポイントで、カプランマイヤーは元のポピュレーションのものを良く反映している。TILはガイドラインに則って測定し分類。
結果
・TILが高いのは94例で全体の10%くらい。ER陰性の傾向だった。
・TIL陽性(n=94)ではハーセプチンの効果が明らかでなかったが、TIL陰性(n=851)では認められた(HR 0.49(0.35-0.60))。
・また、多変量解析では、化学療法単独群ではHR0.19(0.06-0.61)とTIL陽性症例で良かったが、ハーセプチン群ではHR1.01(NS)であった。
・治療群とTILの交互作用を認めたp=0.042。
考察
・TIL陽性群でハーセプチンの効果が明らかでなかったのは、症例数が少なかったこととベースライン(化学療法群)の予後が良かった(5yRFS 90%)ことで検出できなかった可能性があります。ただ、少なくともTIL陽性の方がハーセプチンの効果が高くなるという事はなさそうな印象でした。
・FINHERはさらに症例数が少なかったわけで結果もfragileなため、そちらは一旦忘れてもよいのかもと思いました。
by aiharatomohiko | 2014-12-14 12:39 | 学会

TANIA trial


HER2陰性進行・転移乳がんの一次治療としてベバシズマブ+化学療法を行ったケースを対象として、二次治療以降で化学療法単独と化学療法+ベバシズマブ併用を比較したランダム化比較試験(n=494)。
一次評価項目はPFS。384イベントで層別化HR0.75を両側α0.05、β0.2の条件で検出できるデザイン。

結果は、HR 0.75, p=0.0068; (95% CI;0.61–0.93) median PFSが4.2 → 6.3 monthsに延長した。化学療法はカペシタビンが約60%。

二次治療以降でもベバシズマブ併用によりPFSが伸びるという、セカンドラインでの臨床試験をなぞった結果。特に目新しい知見ではない。
OSにαは割り当てられていないようだが、もし勝つ様ならば営業的には棺桶から復活するのか、ベバシズマブ。
by aiharatomohiko | 2014-12-04 23:04 | 学会

S4-07 ビスフォスフォネート術後療法のメタ解析 解釈は微妙



EBCTCGによる、36試験 22,982名の個人レベルのメタ解析@10年。

65%はゾレドロン酸のデータ。次いでイバンドロン酸の24

主なエンドポイントは、Time to recurrence(distant, local, 2nd primary ipsi or contra)Time to first distant recurrenceBreast cancer mortality

 

全症例

26.5% vs 25.4% 再発 2P=0.08

22.3% vs 20.9% 遠隔 2P=0.03

8.4% vs 6.9% 骨 

閉経後(55才以上もしくは強制的に閉経)

21.9% vs 18.4% 遠隔

8.8% vs 5.9%

 

骨 閉経前HR 0.93 vs閉経後HR 0.66  ヘテロジェナイティーあり 

骨以外は閉経前と後ともにHR1.0前後でヘテロジェナイティーなし

 

乳がん死亡:閉経後HR0.83 18.3% vs 15.2%  Bisなしvs あり

非乳がん死亡:変わりはない

全死亡:閉経後23.8% vs 21.5%  Bisなしvsあり

効果はERの状況、化学療法の有無にかかわらない

 

短評: メタ解析で行われるいくつもの検定をどうとらえるべきなのか(有意水準を何%と考えるべきかなど)、気になっていたのであちこちで聞いて回ったところ、検定は便宜的に行われるものであって、2P<0.05にこだわる必要はないとのこと。やっぱりなー。
この研究結果の場合には、基本的には結果を仮説提示的ととらえて、閉経後乳がんで検証試験の結果を待つのが妥当に思える。しかし、検証試験はなされているのだろうか。ところで、この治療効果が確かだとして、すべての閉経後乳がんの術後に
Bisを勧められるかというと、全死亡約2%の改善に対して払うコストの顎骨壊死約0.5-1%を許容できるかは微妙。
再発リスクの高いケースは現時点でも検討の対象になるかもしれない。




by aiharatomohiko | 2014-02-02 23:01 | 学会

SABCS2013 LET±Dasatinib


S3-07  LET±Dasatinib(oral multi- BCR/Abl and Src family tyrosine kinase inhibitor) (open label)
ランダム化PII試験

対象:MBC n=120
adj AIは<1%とほとんどない。
Primary endpoint CBR
95% binominal CI > CBR 39%

結果:CBRは71% vs 66%と有意差はなかった。exploratory にPFSを比較したところ、HR 0.69(20.1月vs 9.9月)とdasatinib併用で延長が示唆された。

短評:この研究は症例数が少ないこと、これまでの研究でフルベストラントやエキセメスタンとdasatinibの併用でPFSの延長は観察されていなかったことを考えると、exploratory にPFSが延長したのは偶然と考えるのが無難。
by aiharatomohiko | 2013-12-26 22:01 | 学会

SABCS2013 ER(ESR1)の遺伝子変異


S3-06 ERの遺伝子変異について

乳がん原発巣におけるER遺伝子の変異は0.4%と2012年のTCGAで報告されている。この研究では、249腫瘍におけるERの遺伝子変異を検討したが、その内ER陽性の37症例の原発巣と転移巣での遺伝子変異の比較を行った。ESR1遺伝子の変異は原発巣ではわずか2%だったが、早期の転移巣では12%に、晩期の転移巣では20%にも上った。TP53、PIK3CA、PTENなど18の遺伝子変異も同時に調べられたが、これらはERの遺伝子変異と異なり原発巣と転移巣の間で遺伝子変異の割合に著明な違いを認めなかった。ERの変異はLBDのhelix12に集積していた。これらのER変異は以下の検討からfunctional mutationと結論付けられた。まず、内因性のER依存性に発現する遺伝子の転写がE2の非存在下でもE2存在下と同程度になされていた。変異ERは、E2の除去、タモキシフェンやフルベストラントに対し比較的耐性であった。また、変異ERはフルベストラントによるERの分解に抵抗性であり、E2非存在下でもE2存在下と同様にco-activatorとの結合が見られ、タモキシフェンを加えても変化がなかった。

短評:ERの遺伝子変異はかなり以前に報告されていたが、その意義は不明であった。2012年のTCGAの報告では原発巣の変異はほぼゼロであったが、2013年にこの発表を含む一連の研究により転移巣の約15~20%で変異が見られることが報告された。以上の事から、ERの遺伝子変異は転移を来たした後内分泌治療を行っている間に獲得される事、これが内分泌治療抵抗性の一因となっていることが示された。ER遺伝子変異が内分泌治療中に発生するのか、そもそも原発巣にごくわずかにあったクローンが選択されるのかは明らかでない。また、変異ER依存性に細胞が増殖しているとも考えられるため、下流のシグナルを抑えることにより抗腫瘍効果が得られることが期待される。
by aiharatomohiko | 2013-12-23 10:11 | 学会

SABCS2013 アロマターゼ阻害薬の副作用


S3-02
アロマターゼ阻害薬使用前の患者報告による症状がAIの受容に影響を与えるのではないか
n=503
EXE or LETを開始後に24か月フォローし、CESD HADSA PSQI BCPTを調べた。
結果:31%が一年以内に毒性で治療を中止していた。ベースラインの症状として、不眠、疲労感、忘れやすさがAIの中止と相関していた(HR1.66-1.91)が、関節痛は相関していなかった。ベースラインで訴えがある症状の数が多いほど途中で中止する危険が高くなっていた。

S3-03
少なくとも6か月AIを服用してAIにより引き起こされた121名のホルモン受容体陽性閉経後乳がん患者の関節痛に対して、通常のケアとエクササイズ(週に2.5時間のモデレートエクササイズ)をランダム化して比較した。
年齢中央値65才
エクササイズ群は、フィジカルアクティビティーが改善し、3%体重が減った。
12か月でBrief pain scoreの改善が得られ、 worst pain scoreの改善も得られた。
by aiharatomohiko | 2013-12-22 23:04 | 学会

SABCS2013 B32の続報


S2-05 B32の長期フォローの結果

AD(腋窩廓清)とSNBでOSは変わらない。
腋窩再発は、ADで0.2% SNBで 0.5%と変わらない。
オカルトメタでは予後が悪い傾向にあった。OSの差は3.1%。
オカルトメタの症例でも、ADとSNBでOSとDFSは変わらなかったため、ADは勧められないしIHCでオカルトを見つけることも勧められない。
by aiharatomohiko | 2013-12-20 14:05 | 学会

SABCS 2013 HER2陽性の術後療法


S1-04 n-に対する術後療法としてのH+PwのPII試験。

HER2+ n0 <3cm n=406が対象。
pT1の5yDFSは、MDACCで77.1% 、NCCNで83.3%
再発リスクが低いと思われるpopulationで毒性の低いレジメの有用性を検討した試験。特にアンスラサイクリンによる心毒性を避けるためか。RCTは難しいので、single arm PII試験としている。
Pw80+H x12→Hq3wk x13
DFSは
Null hypothesis 9.2%
Alternate hypothesis 5%
1600人年のフォローで最終解析の予定だった。

結果:追跡期間中央値3.6年、1435人年時点の三次中間解析の結果で、IDMCが発表を勧告した。
10 DFSイベント
3yDFS 98.7% (95%CI 97.6-99.8%) p<0.0001
心毒性は、CHF 0.5%(symptomatic) 3.2%(asymptomatic)と受容できる範囲。
背景として67%がHR+。

短評:RCTが行いにくいpopulationでのPIIで臨床的な意義がある。しかしながら、追跡期間が短くイベント数が極端に少ない時点での発表となったため、経過を追っていくとイベントがいくつか増えるだけで一気にDFSが下がってしまう可能性があるので、要注意ではある。
by aiharatomohiko | 2013-12-17 13:56 | 学会