関西労災での最後の手術 |
関西労災病院を12月末で退職しました。3月末までは、外来と手術をお手伝いに行きますので、それまでは全くやめてしまうわけではありませんが。辞めた後もいろいろと連携して行くことになるでしょう。 左上は、高塚副院長と最後の手術の写真です。 今までも自分なりに誠実にやってはきましたが、全てが良い結果に終わったわけではありません。がんの治療に限ったことではありませんが、医療行為というのはいくら最善を尽くしたとしても、時には思わぬ結末になり、大変苦い思いをさせられることもあります。それでも、自分がベストの治療を行うことができると信じられる間は、努力してやっていきたいと思います。 お世話になった皆様、有り難うございました。 |
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by aiharatomohiko
| 2006-12-31 00:25
| 日常
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2006年サンアントニオ乳癌シンポジウム EFECT試験 |
非可逆的選択的アロマターゼ阻害薬がPDになった進行再発乳癌に対して、エキセメスタンとフルベストラントを比較した第Ⅲ相試験。 TTPはほとんど同一で、差がありませんでした。 フルベストラントはERをダウンレギュレートするという効果が画期的ですが、第Ⅲ相試験では勝ったり負けたりでいま一つな印象です。 治療の選択肢が増えると言う点では、歓迎すべきことではあります。 進行再発乳癌では、なかなか差がでにくいところがあるので、adjuvantで期待、というところでしょうか。 ちなみにフルベストラントは日本ではまだ治験中で使えません。 |
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by aiharatomohiko
| 2006-12-27 19:22
| 医療
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2006年サンアントニオ乳癌シンポジウム NSABP B-33 |
タモキシフェン5年終了後のエキセメスタン5年間の追加効果をみる試験。 MA17の結果で、プラセボ群がオープンになったために早期終了を迫られてしまった、かわいそうな試験だったが、どっこいデータを出してくるあたりが転んでもただで起きない感じです。 そういえば、当時学会で招聘されていたNSABPの偉い人(Dr.ウォルマーク?)が、「続けるのは倫理的に問題があるとされたが、個人的には続けたかった。」みたいな事を言っていたように記憶しています。スペインでは同じ様な試験が継続されていて、倫理観は国によって異なっていて当然だとも言っていたように思います。 脱線しましたが、途中でオープンになった結果、1598/3000のaccruelで終わったこの試験、エキセメスタン群の72%ほど、プラセボ群が44%実薬の服用を希望したとのことです。 エキセメスタン群の28%の人はどうしたんだ、ととても鋭い質問がフロアから上がりました。 Dr. マモウナスはわからない、と言っていましたが、レトロゾールに代えたのではないかとの意見がありました。これも鋭いスペキュレーションです。 こういった条件下でも、メディアン30ヶ月で再発を32%減らしているというのだから、結構なものです。ホルモン治療の期間はどんどん延びていく感じですね。 ということは、長期のコンプライアンスが問題になるので、多少効果が落ちても、副作用が少ない薬が勝つという風になっていくのではないでしょうか。 |
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by aiharatomohiko
| 2006-12-26 18:55
| 医療
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2006年サンアントニオ乳癌シンポジウム BCIRG006 |
BCIRG006は、HER2 陽性の早期乳癌患者3,222 例を対象とした術後療法のランダム化比較試験で、AC-T(DTX)を標準治療とし、 TCH と AC-TH を試験アームとしています。 昨年は第一回の中間解析の発表が行われ、AC-T < TCH < AC-TH といった感じの結果でした。 今年はプロトコールに規定された第2 回中間解析結果の報告がありました。結果は、AC-T < TCH = AC-TH といった感じで、一番期待されているTCHのデータが昨年よりも良くなっていましたね。HR:0.67と0.61。 大体どの試験でもハーセプチンの追加でHRは0.6くらいになりますね。 副作用では、TCHは今のところ心毒性が低い印象です。 もう少しデータが成熟してきたら、副作用の違いが明確になり、どのアームが良いかはっきりしてくることが期待できます。 TOPOIIの増幅との関係では、TOPOIIの増幅がある症例では、3群間のDFSに明確な差を認めず、TOPOIIの増幅がない症例では、AC-T < TCH = AC-TH という傾向がより明確になっています。まあ、こちらもデータの成熟待ちという感じです。 |
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by aiharatomohiko
| 2006-12-25 18:49
| 医療
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2006年サンアントニオ乳癌シンポジウム その4 |
放射線治療に関する発表もありました。 EORTCの温存療法後のブースト照射の意義についての発表について記載します。 ①ブーストにより、局所再発が41%減ること。 ②この効果は全ての年代において観察されたこと。特に40才未満の若年乳癌は局所再発のベースラインリスクが高いために有用性が高くなること。 ③その代償として、線維化がひどくなり、重度のものが1.6%から4.4%に増加したこと。 ④全生存率は変わらないこと。 という結果でした。 最近マスコミでは副作用が少ない体に優しい治療法として取り上げられがちな放射線治療ですが、まったくの間違いです。 皮膚に当てれば、皮膚は炎症を起こして硬くなったり、黒ずんだりします。長年たってから潰瘍をおこす事もあります。 舌に当てれば、味覚がなくなる事もあります。 お腹に当てれば、何年か経ってから放射線性腸炎をおこして、穴が開いて腹膜炎になったりすることがあります。場合によっては命に係わることもあります。 副作用がない治療法なんて、医療の世界にはありません。 |
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by aiharatomohiko
| 2006-12-24 14:47
| 医療
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