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乳腺外科医が乳がんの最新情報をブログで紹介しています
by aiharatomohiko
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これは標準治療でしょうか

標準治療という言葉、一般の方はあまりご存じないかもしれません。

確立された治療法で、現時点で最高の治療法のことです。

私が自分で乳腺科を始める時に、”きちんとした治療法を行います!”

と宣言するつもりで”「標準治療」をお約束します”とHPに書きました。

一般の方ならば、専門医であれば誰でも標準治療ができるんじゃないの?

と考えるかもしれません。

が、世の中本当にそうなっているのでしょうか?

きちんとした教育が出来ない教師がいたり、まともな政治ができない

政治家がいるような状況を考えると、専門医でも標準治療が出来ない人

がいるんじゃないの?と考える方が健全なような気がします。

まあ、そういった医師と違いますよ、という意味で”「標準治療」

をお約束します”と書いた訳ですが、たまたまあるクリニックのHPを

みて愕然としました。そこは手術件数は多いものの標準とはかけ離れた

治療をするのではないかと目されている所でしたが、

”ガイドラインに則った治療をしています”と明記してあったのです。

言ったもん勝ちかいな。。。

これにめげずに頑張ります。


さて、ここから本題。以下は標準治療でしょうか。

①手術待ちが長く、その間何もしないのは気兼ねするので、とりあえず

タモキシフェンなどを処方する

②副作用が出ると気の毒なので、抗がん剤は少量(微量)使う

③手術が終わって退院までに時間があるので、抗がん剤を少量点滴して

から帰ってもらう

④腫瘍径1cm少しの患者さんに、命が危ないから術前化学療法をしないと

大変な事になると恫喝する


恫喝は治療じゃないですね。また、珍しい治療を目にしたら、アップするかも

しれません。
# by aiharatomohiko | 2011-07-15 23:04 | 日常

エキセメスタンの乳がん予防効果


ゲイルモデルにより五年間の乳癌発症リスクが1.66%以上の女性4560名

を対象として、エキセメスタン5年内服の乳癌発症予防効果をプラセボと

比較したランダム化比較試験の結果が発表されました。

結果は、エキセメスタンの5年内服はプラセボと比較して、浸潤がんを

65%減少させるという、一見SERMよりもよさそうなデータで、ASCO

での発表と同時にNEJMに掲載されました。


しかしながら、その研究の内容はいまひとつ感心できないものでした。

イベント数が少ないために95%信頼区間が広いこと、SERMとの直接

比較ではないために、効果・副作用ともに優劣がわからないことが

その理由です。

具体的には、追跡期間が35ヶ月と短いこともあり、イベント数がエキ

セメスタンとプラセボ群あわせてわずか43、エキセメスタンの浸潤がんの

ハザード比が0.35といっても、95%信頼区間は 0.18 - 0.70とかなり

広くなっています。

浸潤がんと非浸潤がんをあわせたハザード比は 0.47、95%信頼区間は

0.27 - 0.79とこちらも広いものでした。


これらのデータをNSABPのP1試験と比べてみましょう。

P1試験では、13000名以上の被験者を登録。浸潤がんのイベント数が

両群合わせて264で、タモキシフェンのプラセボとのハザード比が

0.51(95%信頼区間が 0.39-0.66)。非浸潤がんもハザード比が0.5

ですから、浸潤がんと非浸潤がんをあわせたハザード比はエキセメスタン

と変わらなくなります。


次に行われたSTAR試験では19000名以上の被験者を登録。浸潤がんの

イベント数がタモキシフェンとラロキシフェン両群合わせて330と、

十分なパワーを持っているといえるでしょう。


本試験は通常であればラロキシフェンとの比較試験となるべきだと考えます。

優越性を検証するとなると膨大な症例数が必要だとか、SERMの試験結果

から少ない症例数でプラセボに勝ちそうというのは研究者側や製薬会社の

論理で、現状これで良いとは個人的には思えません。


デザインもいま一つだし、パワーも十分といえないような研究結果が

NEJMに載るというのは、某先生の意見では製薬企業の力ではないかと

いうことですが、私には筆頭著者がハーバードの教授だからだとしか

思えませんでした。なんだかね。
# by aiharatomohiko | 2011-07-11 00:39 | 論文

ザンクトガレン2011

長らくご無沙汰してしまいましたが、先日論文化されたSt Gallenの会議に

参加してきました。会の構成は例年と同じで、三日間今まで得られた知見が

発表された後にコンセンサス会議が行われるというもの。


一日目は、既に発表された臨床試験結果の紹介のオンパレードで、目新しい

ものは特にありませんでした。MA27のデータはサンアントニオと全く同じ

でした。会の趣旨上は仕方ないのでしょうが、やや食い足りない感じです。


二日目は、午前中に疫学的な発表がありました。糖尿病でメトフォルミンを

服用している人ががんにかかりにくいというデータから、メトフォルミン

850mgx5yを服用することで再発が抑制されるかという試験が検討されている

ようです。

しかしながら、糖尿病にかかるとがんになるリスクが高くなるというデータ

があるので、糖尿病治療により元に戻るだけではないのでしょうか。

また、850mgというと実際の治療で使うくらいの結構な量ですが、

健常人に使用して低血糖などの問題はでないのでしょうか。

その後は、ついていくのが困難な突っ込み過ぎ気味な基礎データの発表が

続きました。中では、腫瘍に浸潤している制御性T細胞がRANKLを放出し、

パラクライン的に乳がん細胞に作用して転移を引き起こす(特に肺)という

話題は興味深かったので、論文を読んでみることにします。

デノスマブで肺転移が減るといいのですが。

当日最後のDr Paikの発表はさすがでした。遺伝子発現プロファイルを

用いてER陽性の再発低リスク群を見分ける場合に増殖に関わる遺伝子群が

重みを持っていること、臨床病理学的因子やKi67に比べると低リスク群

つまり化学療法を省略できる人に分類できる人の割合が高いこと

(ただしKi67の低い人でRSが高い人はほとんどいない)、

そして検査として再現性が高いことが説明されていました。


三日目は、手術・RT・薬物療法の話題が盛りだくさんで、これは結構興味

深く聞けました。



最終日のパネルコンセンサスは、議論が停滞する場面はありましたが、

以前のようにグダグダになることもなく、今回は意外にすんなりとまとまり

ました。特に目新しい内容はありませんでしたが、サブタイプ別に治療方針

を立てていくという方向性がよりはっきりしたのではないかと感じました。


ところで、今回は参加予定者が前回の4800人から4200人程度に減少して

いるというアナウンスがありました。スイスフランが高いからじゃないか

とかいう話もありましたが、本会では臨床的には目新しいデータがプレゼン

されるわけではない一方で唐突な基礎研究発表風のプレゼンがされたり、

最後のコンセンサス会議がまとまらない(今回はまとまったけど)しかつ

論文の内容と必ずしも一致しないという様な点が、参加者の期待するところと

ずれてきているからではないかと思います。

というか個人的にはズレを感じた今回のザンクトガレンでした。
# by aiharatomohiko | 2011-07-03 23:38 | 学会

SABCS2010 ゾレドロン酸の再発抑制効果 その2


AZURE試験ですが、3,360例のstage II/IIIの乳がん患者さんが登録

された試験で、標準薬物療法±ゾレドロン酸(5年)の比較になって

います。

この試験では、ゾレドロン酸が6 doses (q 3-4 wk)、8 doses (q 3 mo)、

5 doses (q 6 mo)とかなりインテンシブになっていることが特徴です。

主要評価項目はDFSです。


患者背景は、98%が腋窩リンパ節転移陽性で、95%に化学療法が行われ

ており、98%にアンスラサイクリンが、24%にタキサンが使用されて

いました。ER陽性が78%、閉経前が45%でした。観察期間の中央値が

5年でのデータが今回発表されました。


DFSは752イベントと解析には十分なパワーを持っています。

結果はHR = 0.98(95% CI [0.85-1.13])とほぼ同等という結果で、

カプランマイヤーもほぼ重なっていました。今までの二つの試験の結果

と異なり、この試験ではゾレドロン酸を追加することによるDFSの改善

が見られないという、かなり予想外の結果に終わってしまいました。

2008年に演題取り下げがあったときには治療効果が他の試験と比べて

低いのではないかと懸念していましたが、まさかここまでとは思って

いませんでした。なお、この傾向は今後イベント数が増えても変わること

は考えにくいとのコメントがありました。まあ、それはそうでしょう。。。


主要評価項目がネガティブな場合には、もれなく面妖なサブセット解析

の結果が出てくることになります。この試験の場合でも出てきました。

閉経前と閉経後 < 5 年および 閉経状況が不明な <60才をまとめた群

ではむしろゾレドロン酸群で予後が悪く、閉経後5年経過および60才

以上の群ではゾレドロン酸群で予後が良くなっており、治療効果に

heterogeneityがあると言う解析がそれです。

閉経状況によりE2レベルなどが変わることが、骨芽細胞や破骨細胞の

機能に影響するというデータがあり、これが閉経状況によってゾレドロン

酸の効果が違うという結果をサポートするというのですが、

ホントでしょうか。

そもそも95%の患者さんに化学療法が行われているので、例え閉経前

でもこれにより閉経する人が相当の割合で出てくるはずです。

それなのにこんなに差が出るのはおかしいと思いますね。

偶然の偏りだと考えますが、大胆すぎるでしょうか。

発表では化学閉経に関しては触れられていないようでしたが、一流の

ジャーナルに投稿することになるとかならず突っ込まれることでしょう

から、その時にはもう少し詳しいことがわかるかもしれません。


一方注目したいデータとして、OSがあります。イベント数が519あり、

ハザード比が0.85(95% CI [0.72-1.01])とゾレドロン酸による

改善傾向が見られています。再発が改善しないのに、OSが伸びると

いうのは、乳がんに関係ないゾレドロン酸の効果?なんて、

よくわからないですね。閉経状況との関係はOSもDFSと似た傾向でした。


副作用に関しては、ONJの疑いも含めてゾレドロン酸群で1.5%

(コントロール群 0%)と、ゾレドロン酸に不利な状況です。

ONJはQOLを著しく下げる合併症である事を考えると、結構厳しい

データです。


今後に結果が出ると思われるゾレドロン酸の追加効果が検討されている

試験は、654例のNa Tan試験だけのようです。症例数から考えると、

この試験の結果で決着がつくようには思えません。

SUCCESS試験はゾレドロン酸3年と5年の比較。

NSABP B-34はクロドロン酸ありなしの比較。


ゾレドロン酸が再発を抑制するという期待は、このままでは残念ながら

つぼみのまま開花することはなさそうな状況になってしまいました。
# by aiharatomohiko | 2011-03-09 22:34 | 学会

SABCS2010 ゾレドロン酸の再発抑制効果 その1



乳がんは骨への転移がしばしばみられるため、ビスフォスフォネートが

再発を予防するのではないかという観点で研究が行われています。


経口のビスフォスフォネートの第III相試験では、再発を減らすという

結果と、反対に再発を増やすという結果が報告されています。

ゾレドロン酸では、再発を減らすという結果と再発を減らすことを示唆

する結果があります。( “ゾレドロン酸(ゾメタ)は再発を予防する”

“サンアントニオ2008 ZO-FAST”参照して下さい。)

今回のサンアントニオでは、ABCSG12試験とZO-FAST試験のアップデート、

さらには2008年で出る出るといっていたのに、演題取り下げですっぽん

かまされたAZURE試験の結果が発表されました。


ABCSG12は閉経前ホルモン感受性乳がんを対象とした1800例規模の試験

です。Z+TAM vs Z+ANAとゾレドロン酸(6ヵ月毎3年)ありなしの

2x2デザインで、NEJMに48ヶ月フォローの結果が発表され、今回は

62ヶ月フォローの結果が発表されました。

ゾレドロン酸ありなしについては、48ヶ月時点ではイベント数が137で

ハザード比が0.64(95%CI 0.46-0.91)が、62ヶ月時点ではイベント

数が186でハザード比が0.68(95%CI 0.51-0.91)とほぼ同様な傾向

が保たれていました。

OSでも同様な傾向がみられましたが、イベント数が少なく有意では

ありませんでした。


前回興味を引いたANA群で死亡が多かった件については、今回は

ゾレドロン酸ありなしがテーマの発表だったため検定はありませんでした

が、テーブルから数字をひいてみると、死亡数はTAM群 89/1800例、

ANA群97/1803例でした。ANA群で一割くらい多そうです。


ZO-FASTは閉経後ホルモン感受性乳がんを対象とした1000例規模の

試験です。レトロゾール開始時にゾレドロン酸(6ヵ月毎5年)を

開始する群と骨関連事象が発症してからゾレドロン酸を追加する群の、

12ケ月目の骨塩量を主要評価項目とした試験で、再発は二次評価

項目に入っています。


DFSは104イベントが発生した5年時点での解析で、当初からゾレドロン

酸を開始する群で再発のハザード比が0.66(95%CI 0.44-0.97)と、

ゾレドロン酸の再発抑制効果を示唆するものでした。
# by aiharatomohiko | 2011-03-07 22:13 | 学会

香川県乳腺研究会で気付いたこと


3/2に先週に続いて香川県乳腺研究会で講演をしてきました。

その会で症例検討がありました。脳転移のあった患者さんで

ラパチニブ+カペシタビンが奏効したが増悪し、RTを行ったが再び

増悪したため、ラパチニブ+ドセタキセルを投与したところ奏効した

というケースが報告されていました。

保険的には微妙なものの、こういった投与法で効果が得られる

場合があるのかと、とても勉強になりました。

その時にフロアから質問があったのですが、”血液脳関門(BBB)が

転移によって破綻しているのであれば、ハーセプチンも効くのでは

ないか”といったような質問があがりました。


ラパチニブは分子量が小さいため、BBBを通過するといわれる

ことがあります。でも、分子量がどれくらいか知らなかったため、

その時に気になって調べてみました。

その分子量は 943.48。

抗体(ハーセプチン)はこの100倍超になりますので、BBBが破綻

したとしても通過は少し難しいのかもしれません。


抗癌剤の分子量も気になったので調べてみると、ドセタキセルの

分子量は807.879。

パクリタキセルの分子量は853.92。

エピルビシン塩酸塩の分子量は、579.98。

ビノレルビンの分子量は778。

分子量だけが問題ならば、これらの抗がん剤も通過するはず。

つまり単剤でも効果を発揮しても良さそうなものです。

ただ、BBBの通過は分子量だけの問題でもないということですし、

転移によりBBBが破壊されるという考えもありますし。。。


不勉強なので良く知らなかったのですが、この問題について

勉強してみたいと思います。

良くご存知の方はsuggestion頂けると幸いです。


当日研究会の時に、色々な先生方とディスカッション出来て

大変勉強になりました。

また、そのあとでご縁のあった先生にお世話になりました。

とても楽しい時間を有難うございました。
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# by aiharatomohiko | 2011-03-06 22:39 | お知らせ

三重乳がん治療学術講演会での講演

2/25に、三重乳がん治療学術講演会で、”乳がん薬物療法のUp to Date

~サンアントニオ2010の知見から~”という題で、講演をして来ました。

三重県には、三重大学の水野先生率いる腫瘍内科医が多数おられました。

大阪にも腫瘍内科医の先生、来て欲しいですね。

症例検討では興味深いケースの提示がされ、レベルが高い討議が活発に

なされていました。レベルが高くとても勉強になりました。

私の話の内容は、おいおいアップしていきます。

来週は香川乳腺で講演があり、その次はザンクトガレンに参加するので、

忙しい月になっています。


ところで、小川先生の東京マラソンの結果はどうだったのでしょうか。

大阪マラソンも頑張って下さいね。


三重乳がん治療学術講演会での講演_f0123083_22352434.jpg

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# by aiharatomohiko | 2011-02-28 22:37 | お知らせ

SABCS2010 CYP2D6の多型とタモキシフェン


タモキシフェンは、CYP2D6という酵素でエンドキシフェンに代謝されて、

効果を発揮するという考えがあります。考えといったのは、このことが明確に

証明されていないからです。


もし、この考えが正しいのであれば、CYP2D6の働きが弱い遺伝子多型を

もった人は、エンドキシフェンの血中濃度が低くなり、ひいては術後内分泌

療法としてタモキシフェンを使用した場合に、再発が多くなるはずです。

実際にそういった論文も発表されていますが、その一方で遺伝子多型と

再発は関係しないという論文も見られます。

また、タモキシフェンを服用している方が、CYP2D6を阻害する薬剤である

パロキセチン(SSRI)を服用すると再発が多くなるという論文がある一方、

パロキセチンの服用と予後は関係ないという論文も発表されています。


そういったわけで、この問題はまだ混沌としていますが、サンアントニオ

でATACとBIG1-98という二つのprospective studyにおいてCYP2D6の

多型とタモキシフェンの効果を検討した研究が発表され、どちらも関連無し

という結果だったので、インパクトは大きく感じました。

これらの発表を受けて、関連有り派のDr Goetzがdiscussionを行って

いました。その中のスライドを一枚挙げます。

SABCS2010 CYP2D6の多型とタモキシフェン_f0123083_22304323.jpg


Dr Goetzが行った二つの研究は関連有りという結果で、今回の結果は

関連無しだったので、心なしか顔色が悪いように見えましたが、

うがち過ぎでしょうね。


現在前向きの研究が行われていると紹介がありましたが、これは転移再発

のようです。術後内分泌療法での検討も必要になるでしょう。

とはいえ、関連性が明確になるまでは、タモキシフェンとパロキセチンの

同時服用は避けておいた方が無難とはいえます。
# by aiharatomohiko | 2011-02-26 22:31 | 学会

SABCS2010 (DD)6サイクルは4サイクルに劣る


Adjuvantケモの6サイクルvs4サイクルとACvsPTXを比較した

CALGB 40101試験から、6サイクルvs4サイクルの比較に関する

最初の解析が、発表されました。解析対象は3173例のn0-3症例です。

その結果は、再発も全生存も6サイクルの方が劣るという結果で、

イベント数が増えても4サイクルを上回ることは無い様です。この傾向はER

やHER2、AC かPTXかに関わらないとの事です。


イベント数は少ないものの、死亡が4サイクルで65例(乳がんによるもの

41例)、6サイクルで85例(乳がんによるもの50例)だったことからも、

6サイクルには期待が持てません。


とりわけ、AML/MDSが11-27ヶ月投与終了後の間6例に発症し、

内訳はAC x 6で5例、AC x 4 で1例だったという結果は、ACx6は

むしろ危険なレジメと考えても良いでしょう。6名のうち5名の方が

この副作用で亡くなっています。PTXではこの副作用は見られなかった

ようです。


この試験は、使用レジメが途中で変わっているために、解釈が難しい

です。多くはDose denseの症例ですので、我々が一般的に使用する

三週毎のレジメにこの結果を当てはめることが出来るのでしょうか。

2002-2003 n=570
AC q 3 wks x 4 or 6 cycles
T wkly for 12 or 18 wks

2003-2008 (DD)  n=2603
AC q 2 wks x 4 or 6 cycles
T q 2 wks x 4 or 6 cycles


結論が三週毎か二週毎かによって異なる可能性や、薬剤の用量で

変わる可能性もあり、一般化するのは難しいと感じます。

TACは6サイクルの方が良さそうですし。さらなるデータの成熟が

待たれますが、この時点でデータが公表されたのは、発表でそこまでは

コメントしていないものの、とにかくDD ACx6は使用すべきでないと

いうことを伝えるためのように感じました。
# by aiharatomohiko | 2011-02-19 22:18 | 学会

アバスチン:似たような結果と異なった解釈 余談


余談ですが、Referenceを見ていると、数あるアバスチンの試験のうちで、

たまたま良い結果が出た論文がNEJMに掲載され、真の値に近そうなものは

JCOかそれ以下という、何ともなえるような気持ちになる事柄にも気づきま

した。まあ、そんなものだよといわれれば、それまでの話ですが。


以下の論文はまだ読んでいないのですが、関連したものとしてお勧めでき

そうです。
When are "positive" clinical trials in oncology truly positive?
Ocana A, Tannock IF. J Natl Cancer Inst. 2011 Jan 5;103(1):16-20.

また、この著者らは、アロマターゼ阻害薬はタモキシフェンにOSで勝って

いない上に、QOLでも勝っていない。なおかつ副作用でも優れているとは

言えないので、標準治療薬とは言えない。というコメントも出しています。

ATACの論文などでアロマターゼ阻害薬の有用性を刷り込まれている

先生方が読むと、目からうろこが落ちるか、内容が理解できないかの

どちらかでしょう。

Up-front use of aromatase inhibitors as adjuvant therapy for breast
cancer: the emperor has no clothes. Seruga B, Tannock IF. 
J Clin Oncol. 2009 Feb 20;27(6):840-2. 

私はTannockの意見には相当程度同意できます。某先生から良く

“コンサバ“といわれるのですが、アロマターゼ阻害薬の試験結果、

CYP2D6の多型とタモキシフェン効果の関係に関する研究、アバスチンの

試験結果などをじっと見ると、あせって新しい治療に飛び乗るよりも、

それらを横にらみしながらも確立された治療法を行うことが、結局は

患者さんの利益になるという想いを強くした次第です。

まあ、もっと言いたいことはありますが、この辺でやめときます。
# by aiharatomohiko | 2011-02-09 00:18 | 論文