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乳腺外科医が乳がんの最新情報をブログで紹介しています
by aiharatomohiko
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乳癌学会近畿地方会


昨日乳癌学会の近畿地方会が、大阪大学の野口先生が会長をされ

行われました。当日化学療法のセッションでの座長とスポンサードシンポ

ジウムでのスピーカーとしての役回りがありました。


座長をしたセッションでは、目にした事がないような症例報告などがあり、

かなり勉強になりました。


スポンサードシンポジウムでは、アロマターゼ阻害薬の術後療法での

位置づけについて発表しました。


私が言いたかったことは、”アロマターゼ阻害薬はタモキシフェンよりも

有効性が高いことは確かで、第一選択薬である。ただし、再発リスクの低い

人に対しては両者の差はきわめて小さくなるため、患者の併存症

(特に骨粗鬆症の有無)によって使い分けることが重要である。”

また、”非乳がん死亡がアロマターゼ阻害薬で高くなる恐れがあるため、

今後データを注視しなければならない”ということでした。


他の先生のやり取りを聞くと、あまり骨塩量を測ることもなく、アロマターゼ

阻害薬を処方することが多いようだったので、やや残念でした。


”アロマターゼ阻害薬で骨折が多いという実感が無い”という意見もあった

ようでしたが、そりゃそうでしょう。わずか3%ほどの差を実感できるはずが

ありません。


それなのに、アロマターゼ阻害薬とタモキシフェンの3%に満たないDFS

の差が実感できるのであれば、それは製薬会社の刷り込みでしょう。

(ため息)
# by aiharatomohiko | 2007-12-02 21:22 | 日常

HER2とタキソールの有用性との関係-考察-

HER2とタキソールの有用性との関係-考察-_f0123083_215619.jpg

N Engl J Med 2007;357:1496-506.より引用。


このデータを詳しく見るために、Figure2における6年無再発生存率に

焦点を当ててみました。


これでわかることは、ER陰性ならHER2の状況に関わらず、

またER陽性でもHER2陽性なら、6年無再発生存率がACのみで約50%、

タキソール追加で約70%とほとんど変わらないということです。

ER陽性HER2陰性の場合だけは例外で、タキソールありでもなしでも

約70%と、タキソールの追加効果がみられなかったわけです。


言い換えると、ER/HER2の状況に関わらず、術後にAC-タキソールを投与

することで6年無再発生存率が約70%になる。ER陽性HER2陰性の症例

だけはACだけでも約70%と良いが、それ以外はACだけでは約50%である、

ということになります。


AC-PTX治療後の全サブセットの6年生存率がほぼ同じくらいだったのは、

たまたまかもしれません。


しかし、これが真実だとすると、HER2陽性乳癌の場合には、ハーセプチンを

追加することで、ハザード比で40から50%のさらなる再発抑制効果を得る

ことが出来ます。


ER/PR陰性HER2陰性のいわゆるトリプルネガティブは、さらに予後を改善

する手法が今の所見当たりませんが、タキソールの追加効果がはっきりあり

ますので、化学療法は有用なのでしょう。分子標的薬を含めた何らかの化学

療法剤の追加が、さらなる予後の改善に有用である可能性があります。


その一方で、ER陽性HER2陰性でタキソールの追加効果がみられないという

のは、ひょっとしたらタキソールだけでなく化学療法自体が効きにくいということ

かもしれません。今後化学療法が進歩していく過程で、意外に予後が改善され

にくいサブセットとして残るということになるかもしれません、うーん。。。


少し混乱してきました。


各サブセットで患者背景が揃っていない恐れもある中で結果をあまり細かく

見ても意味が無いのかもしれませんが、ERとHER2でサブセットを分けた

解析が今後いくつもの臨床試験でなされてくると思います。


そうすると、この問題も少しずつ真実が見えてくるのだと思います。

それまではしばらく、うーん、とうなっているしかなさそうです。
# by aiharatomohiko | 2007-12-02 21:01 | 論文

HER2とタキソールの有用性との関係-その2-


感心したのは、この論文がNEJMに掲載されて2週間も経たないうちに、

ASCOからこの論文を解説するメールが来たことです。


その内容は、“非常に興味深い研究結果であるが、臨床応用するには

時期尚早である。”という、まあ当たり前の事なのですが、その内容にでは

なく、論文発表からメールが来るまでの早さに感心しました。

さすが、プロフェッショナルな学会だなあと思いましたね。

日本乳癌学会でも、このような重要な研究結果が出たら、すぐにその内容を

検討して会員に情報を流すような態勢がとれるといいんですけどね。


渡辺理事、どうですか?


もちろん、この研究結果(仮説)が確かなものであると証明するためには

前向きに検討する必要があります。ただ、例えば同様の試験デザインが

とられたNSABP B28でもこの結果が再現できるのであれば、HER2陰性

ER陽性リンパ節転移陽性乳がんでACの後のPTXの追加効果が無い

(もしくは低い)という蓋然性が高くなるでしょう。

さらには、その他のアンスラサイクリン vs アンスラサイクリン+タキサン

の試験でも同様な結果が得られれば、後ろ向きの研究結果とはいえ、

さらに蓋然性が高くなると思います。


しかしながら、この仮説に反する試験結果もあります。

タキソテールを使用したBCIRG001(TAC vs FAC) とPACS01

(FEC vs FEC-DTX)の統合解析において、タキソテールはERの状況で

再発抑制効果が変わらないという結果がASCO2007で発表されています。

HER2でのサブセットはどうかというと、BCIRG001の論文では、HER2陽性

の方が効果が高い(HR 0.76 vs 0.60)。

PACS01は、HER2ではサブセットを分けていませんでした。


タキソールとタキソテールでは違う傾向があるのか。

同時併用と逐次併用という投与スケジュールによって異なるのか、

この点も気になります。

臨床的に非常に興味深い=重要な問題なので、今後常にデータを

フォローする必要がありますね。


さて、当院治療中の方でこのブログを読まれた方は、タキソールどうしよう

かなと思われる方がおられるかもしれません。当院では、ASCOの

レターに書かれているように、新たなデータが出るまでは、HER2陰性

ER陽性の方もリンパ節転移が陽性であれば、タキソールをお勧めするのを

今までどおりスタンダードとします。
# by aiharatomohiko | 2007-11-07 23:55 | 論文

HER2とタキソールの有用性との関係-その1-


リンパ節転移陽性乳癌の術後化学療法において、タキソールは標準治療薬

となっています。初めてタキソールの追加効果をAC vs AC-タキソールの

比較により検証したのは、CALGB9344というエポックメイキングな試験です。


この試験の中間解析の結果が発表された時から、ER陽性とER陰性では

タキソールの追加効果の大きさが異なるのではないか、と言われていました。

ただ、その後に発表されたアンスラサイクリン vs アンスラサイクリン+

タキサンを比較した試験では、ERの状況と無再発生存率の改善効果に

ついてバラツキがあったため、現時点では日常臨床においてERの状況で

タキサンを使用するかどうかを決めることは推奨されていません。

また、HER2の状況とタキソールの効果については、進行再発ではいくつかの

試験で検討されていますが、術後療法での検証はなされていません。


こういった背景から、HER2ならびにERの状況がタキソールの追加効果に

影響を与えるかどうかの解析が、CALGB9344の全3121例から無作為に

選ばれた1500例のうち組織が利用できた1322例を利用して行われ、

その結果が先月のNEJMに掲載されました。


CALGB9344試験では、アドリアシンの増量効果とタキソールの追加効果

という二つの命題を検証する2x2のファクトリアルデザインがとられていた

ため、以下の結果が得られました。


①HER2陽性乳癌に対してアドリアシンの量を60mgから90mgに上げても、

無再発生存率は改善しない。

②HER陽性乳癌とHER2陰性・ER陰性乳癌に対しては、タキソールの追加で

無再発生存率が改善するが、HER2陰性・ER陽性乳癌に対してタキソールを

追加しても、無再発生存率は改善しない。


全症例の過半数を占めるHER2陰性・ER陽性乳癌に対してタキソールを

追加する効果が無い
、ということが真実だとすると、臨床的に非常に

大きなインパクトがあります。
# by aiharatomohiko | 2007-11-04 23:39 | 論文

SPIKES BC


浜松オンコロジーセンターの渡辺亨先生の主催するSPIKES BCの研究会が

11/3に行われたので、参加してきました。

SPIKESについては、こちら

医師、看護師、薬剤師とたくさんの聴衆がおられ、熱気にあふれていました。

患者さんと家族役の人の前で、乳がん専門医による白熱の病状説明の

ロールプレイが行われました。

夫役の市立秋田総合病院の橋爪先生がかなりねちっこい役を演じておられ、

かなり大勢の聴衆の前で医師役の先生大変だなあとニヤニヤしながら

見ていたら、いきなり渡辺先生に”感想は?”と聞かれて、他人事ではなく

なったのでした。

あとでSPIKES BCチームの皆さんと歓談している時に、”夫役をやると、

患者さんの家族の気持ちが良くわかるんだよね。”といわれ、なるほどと

膝を打つ思いでした。

”今度は相原先生にやってもらおうか。”と言われましたが、かなり大変そう

でしたので、この場をお借りして再度ご辞退申し上げます。

それにしても、かなり有意義な会でした。

今度はスタッフを連れて参加したいです。
# by aiharatomohiko | 2007-11-04 23:28 | 医療

タモキシフェンとアロマターゼ阻害薬の使い分け


タモキシフェンとアロマターゼ阻害薬の使い分けはどうするのが

良いのでしょうか。

ポイントは、①再発抑制効果は、わずかながらアロマターゼ阻害薬の

方が高い ②副作用の出方が違う。

③関連しますが、タモキシフェンには骨折予防効果がある、

というところだと考えます。

つまり、患者さんの再発リスクと併存症を考えた上で、どちらをお勧めするか

決めるわけですが、実際の薬剤の選択を私は以下のようにしています。

①再発リスクが低く骨密度が低下している人には、基本的にタモキシフェン

を勧める。

②再発リスクが低く骨粗鬆症の心配が無い人には、基本的にどちらでも

良いというスタンスで患者さんと相談の上で決める。

③再発リスクが高い人には、基本的にアロマターゼ阻害薬を勧める。

骨密度が低下している人には、ビスフォスフォネートの使用を考慮する。

再発リスクを考えず、誰でもかれでもアロマターゼ阻害薬を処方する人がいる

としたならば、それは事前に患者さんの骨密度を測定していないからなのでは

ないでしょうか。

私は基本的に薬剤選択前に骨密度をデキサ法で調べていますが、

結構低く出る人がいて、アロマターゼ阻害薬を処方するのに躊躇する場面に

結構な頻度で出くわします。

外科医は高齢の方が骨折するとかなりADLが低下するという事をあまり良く

知らないために、骨の問題を過小評価しているところがあるのかも

しれません。

反対に、私は最近骨折の患者さんに接することが多いため、

骨の問題を過大評価する傾向にあるのかもしれません

(内心そうは思ってはいませんけど)。
# by aiharatomohiko | 2007-09-22 22:23 | 医療

アロマターゼ阻害薬とタモキシフェン(TAM) その3 TAMの弱点


アロマターゼ阻害薬にネガティブな事ばかり書きましたが、

よく知られているようにタモキシフェンに不利な副作用も多いのが現実です。

最も懸念されるのは、子宮体がんの増加でしょう。

しかしながら、頻度がかなり低いため、臨床上あまり大きな問題とはならない

はずです。

もう一つは、深部静脈血栓症が増えるという問題です。

ただ、エビスタという骨粗鬆症の治療薬があり、深部静脈血栓症の頻度は

タモキシフェンと同等ですが、骨粗鬆症の標準薬として使用されていることから、

副作用として忍容される範囲の頻度と考えてよいのではないでしょうか。

以上のことから、どちらの薬も一長一短あることがわかります。

ということは、患者さんの状態によって薬を使い分ける必要があるという当然

の結論に至ります。

こういった事をよく考えたのであれば、以前企業の研究会のボーティングで

見られたように、なんでもかんでもアロマターゼ阻害薬一辺倒といった事

にはならないと思います。

それでは、どう使い分けるのが良いのでしょうか。
# by aiharatomohiko | 2007-09-06 21:29 | 医療

アロマターゼ阻害薬(AI)とタモキシフェン その2 AIの弱点


アロマターゼ阻害薬の問題点とは、主には骨と関節の問題です。

タモキシフェンと比較した臨床試験では、どの試験でもアロマターゼ阻害薬を

使用した群で全骨折率が40%強増えています。絶対値の差は患者背景に

よって異なりますが、1%~3%ほどです。一方、アロマターゼ阻害薬のメリット

である無再発生存率の改善は、アリミデックスとフェマーラの臨床試験では

2.5%ほどで、骨折率の増加で相殺されてしまいます。

”再発したら命が危なくなるが、骨折は手術すれば治るだろう”というスタンス

には問題があります。大腿骨頸部骨折を経験した人は、QOLが低下する

ばかりでなく、その後の生存率がかなり落ちるからです。

椎骨骨折でもQOLは低下します。

ビスフォスフォネートを服用すればよいだろう、というのも安易な意見です。

というのは、ビスフォスフォネートは服用方法がやっかいなため長期の服薬

持続率はかなり低く、食道潰瘍などの重大な副作用もあるからです。

注射剤が使用できるようになれば、この問題は解決します。

しかし、ビスフォスフォネートは正常な骨の代謝を妨げることにより、骨塩量を

増やすので、ごく長期の安全性がわからないのは、いささか不安です。

最適な投与期間もわかっていません。

また、“アロマターゼ阻害薬は、通常の人と比べて骨折を増やすのではない。

タモキシフェンに骨折予防効果があるので、これと比較すると骨折が多いよう

に見えるのだ”という意見がありますが、こんなことを論じてみても、

意味がありません。なぜなら、対象となる人には無治療という選択肢は無い

からです。タモキシフェンと比較するのが当然です。

関節のこわばりも厄介な副作用です。

時間の経過で改善する場合がありますが、かなりな不快感となる場合も

あります。消炎鎮痛剤で改善が期待できますが、仮に消炎鎮痛剤を数年間

処方しなければならないとなると、消化性潰瘍や心臓への影響も無視できなく

なります。
# by aiharatomohiko | 2007-09-06 21:18 | 医療

アロマターゼ阻害薬とタモキシフェン その1


アロマターゼ阻害薬(フェマーラ・アロマシン・アリミデックス)が導入されて、

5年以上が経ちます。

現在閉経後ホルモン感受性乳がんの標準治療薬となったこれらの薬剤

ですが、最適な使用法をめぐってはいろいろと議論が尽きない面があります。

日本に導入されたころの経緯を振り返りながら、現時点(07年8月)での私の

考え方やこれら薬剤の使い分けについて記してみたいと思います。

99年頃と記憶していますが、私が初めて参加したサンアントニオ乳がん

シンポジウムで、英国のDr.バウムが大規模臨床試験をやってますよ、

という発表をしていたのを思い出します。

アリミデックスとタモキシフェンを比較した有名なATAC試験です。

その時は、具体的なデータが出ていなかったため、“ふーん、対象者が

すごい数の臨床試験だなあ”という感想しかありませんでした。

それから2年くらい経った頃でしょうか、そのATAC試験の中間解析の結果

が報告されました。

その時の私的な感想は、“アリミデックスはタモキシフェンよりも良さそう

だけど、あまり大きな違いは無い。中間解析であるので、データは確定して

いないし、なにより長期の安全性は確立していない。”というものでした。

しかし、ここからの製薬メーカーのプロモーションがすごかった。

各地で研究会(という名目のプロモーション)をバンバン行なって、

アリミデックスの優位性を強調したプレゼンを行い、ボーティングすれば、

少なくとも大阪ではほとんどの医師がタモキシフェンでなくアリミデックスを

処方するという結果でした。

このことには、大いに違和感を覚えたものでした。

(”えーっ、ほんまかいな”という感じ)

悪いことには、この時には全くデータのなかったタモキシフェンから

アリミデックスへの切換えを何の疑問もなく行っていた医師がおり、

さらに悪いことには閉経前の乳がん患者に処方する医師もいたようです。

幸いなことにその後は順調にアロマターゼ阻害薬に良いデータが蓄積して

きて、標準治療薬としての地位を確立しました。

結果論ではありますが、幸いな事にタモキシフェンからの切り換えも

標準治療となりました。

しかし、同時にアロマターゼ阻害薬の問題点も明らかになってきています。
# by aiharatomohiko | 2007-08-26 23:35 | 医療

看護師募集のお知らせ


看護師募集のお知らせです。

当院は30年間行ってきた地域医療を中心に、乳癌治療と人工関節治療

という専門分野を伸ばしている最中です。

現在でも、世界標準とされる質の高い治療を提供しており、将来的には

両分野で全国をリードする病院になることを目標としています。

この度、乳癌手術数が増加してきたことに伴い、乳癌診療に関心が高い

看護師の方を1名に限り募集することにしました。

当院は、全国レベルで認知されている乳腺専門医と乳癌診療に特化した

リエゾン精神看護専門看護師が共同して外来から入院まで診療に当たる

という、専門病院ならではの質の高い診療環境を実現しています。

また、乳房再建手術はブレストサージャリークリニックの岩平先生に来て

頂いて手術を行う等、自分達が最高と考える医療を選択できます。

大病院にありがちな“外来と病棟が分断されて、満足の行く看護が

出来ない”、“無駄な会議や意味の無い研修で休みがつぶされる”、

“せっかく認定をとったのに、看護部の理解が無く専門性が生かせない”

といった悩みのある人には最適かと思います。

反対に、漠然と今の職場が不満なので環境を変えたいという人には、

向いていませんので、お問い合わせは、ご遠慮下さい。

“今の職場でできることはやりつくしたので、新しい環境でより良い看護を

勉強したい”、という意識の高い方だけをお待ちしています。

また、専門病院で勉強したいという意識の高い新卒の方も、

経験者とは別枠で歓迎します。きちんとした指導をお約束します。

当院は開業から30年経ち施設が狭くなっているため勤務環境が良いとは

言えませんが、これを改善すべく努力をしていますので、ご了承下さい。

見学希望の方は、師長の山崎または谷本までご連絡下さい。

電話:072-723-9001 14-16時の間にお願いします。
# by aiharatomohiko | 2007-08-10 21:49 | お知らせ

第一回市民フォーラムを開催しました

8/4に箕面駅前のサンプラザで、第一回の公開市民フォーラムを、あけぼの会

とノバルティスファーマの共催で開催しました。

200名ほどの参加で会場はほぼ満員でしたが、あけぼの会のワット会長に

司会をして頂き、”知ることから始まる乳がん治療”をテーマに和やかな

雰囲気のうちに会は行われました。

第一部では、まず関西労災の高塚先生に日本の乳がんの状況・検診について

お話を頂きました。

私は、乳がん治療を納得して受けるためには、何を知ればよいのか、

また知識はどうやって仕入れればよいのかについてお話をさせて頂きました。

そして、当院の早川専門看護師からは、嫌な知らせを知らなければならない

とき、どうやったら乗り越えられるのか、についての話をさせて頂きました。

第二部では、あらかじめ頂いたご質問と当日会場からのご質問を

お受けしました。現在受けておられる治療とその副作用についての

ご心配が多いのだなと、改めて感じました。

おおむね好評であったとは伺っていますが、頂いた感想をもとに、

次の会につなげたいと思います。

最後になりましたが、当日暑いのにお越しくださった皆様、お疲れ様でした。

また、準備にお世話になったあけぼの会の皆様、ノバルティスの皆様、

有難うございました。


第一回市民フォーラムを開催しました_f0123083_12593052.jpg

# by aiharatomohiko | 2007-08-07 12:50 | お知らせ

同意書なしの臨床試験:このニュースの解説


記事を読んだだけでは、どんなレジメかさっぱりわかりませんでしたが、

乳癌学会の発表を見ると、タキソテール75→FEC75で、意外と(失礼)

まともなものでした。

このレジメならば、日常診療で行っている病院もあるのではないでしょうか。

同じレジメでも、日常診療で行っていれば同意書をとっていなくても何ら

批判を招くことがなく、臨床試験であれば同意書をとっていなければ批判

されるというのは、なんだかおかしな気もしますが、これはこういうルール

なので、仕方がありません。

結局、このニュースのポイントは、”同意書を取らずに臨床試験の形式で

治療をしたのは論外”というところだけです。きちんと同意書さえ取って

おけばここまで叩かれる事もなかったのでしょうけど、これは自業自得。

臨床試験に対する悪い印象を与えてしまいかねないことは、心配です。

さて、治療を受ける側の立場に立つと、このニュースの件よりもっと気を

つけなければならないことがあるので、指摘しておきます。

それは、

①臨床試験の形式をとらないで日常診療で行われている、

とてもいい加減な治療方法

②同意書をとっているが、治療内容が妥当とはいえない臨床試験

素人目には上記①②ときちんとした治療の鑑別が難しいかも

しれませんが、プロが見れば一目瞭然です。

また、乳癌学会発行の患者さん向けのガイドラインを読んでおけば、

おかしな治療方法から身を守ることができるのではないでしょうか。

このBLOGをお読みの患者さんは、標準治療をきっちりと出来る病院を

まず選んで下さい。そして、その病院でよい臨床試験を紹介されれば

参加を検討して下さい。

それにしても、ニュース本文を読んでみても、どんな臨床試験をしていた

のかが、わかりにくい。他社も、同様でした。

記者の方が、内容を深く理解してから、記事を書いてくれるといいのですが。
# by aiharatomohiko | 2007-08-07 00:10 | 医療

同意書なしの臨床試験:どんな臨床試験だったのか?


<患者同意書>48人から得ずに抗がん剤の臨床試験 神戸

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20070727-00000045-mai-soci


神戸市立医療センター中央市民病院(同市中央区)の外科医長ら医師2人

が、乳がん患者48人に対し、同意書を得ずに、通常とは異なる方法で

抗がん剤を使う臨床試験を行っていたことが分かった。重い副作用などの

事故はないというが、厚生労働省の倫理規定に反しており、

市は医師を処分する方針。

 市によると、外科医長と元医長(既に退職)の2人は04年2月、

乳がん患者の手術前に4種類の抗がん剤を投与する「術前化学療法」で、

標準的方法とは順番を変えて投与し効果を見る臨床試験を開始。

05年10月までの間に医長は30人、元医長は19人に実施した。

 厚労省の指針で、臨床試験に際しては患者に危険性などを説明し、

文書で同意を得る必要がある。2人は病院の管理部長会に提出した

実施計画書でも、患者から文書で同意を得ると説明していたが、

元医長が患者1人から同意書を得ていただけだった。

 今年6月に市が関係書類の情報公開請求を受け、同意書がないこと

が発覚。

内部調査に対し、医長は「患者に口頭で説明したが、文書での説明は時間が

かかるので省略した。同意書を取るべきだった」と不備を認めているという。

同病院は今後、他の医師の臨床試験でも同様の事例がないか調べる。

 菊池晴彦院長は「指導監督の不行き届きで手続きが不適切であったこと

について心からおわびします。再発防止を徹底して信頼回復に努力したい」

とのコメントを出した。(毎日新聞)


これだけでは、どんな臨床試験が行われたのか、よくわかりません。

同意書以外に問題点が無かったのか、少し掘り下げてみましょう。
# by aiharatomohiko | 2007-07-27 21:50 | 医療

Leuprorelin (リュープリン) versus Goserelin(ゾラデックス)


閉経前ホルモン感受性乳癌に使用できる卵巣機能抑制療法の薬剤は、

Leuprorelin (リュープリン)とGoserelin(ゾラデックス)があります。

この2剤はどちらが優れているか、どちらを使えばよいのか、

といったことを、患者さんに良く聞かれます。

リュープリン3ヵ月製剤とCMFを比較した臨床試験が論文化されたので、

ここで考察をしたいと思います。

まず、ゾラデックスは臨床試験におけるデータが豊富で、世界的にも標準

として使用されている薬剤です。

医療者にとっては、事前の調整を必要とせずにすぐに使用できるという製剤上

の利点があります。また、注射した後に針が自然と引っ込むよう設計されて

いるので、医療安全において優れています。

しかしながら、針が太いために注射は相当痛く、この点患者さんから

かなり不評です。また、現時点では1ヵ月製剤しかありません。

リュープリンは、臨床試験におけるデータがゾラデックスほど多くは

ありません。ただ、術後療法において、リュープリンの3ヶ月製剤の

無再発生存期間がCMFとほぼ同等(症例数が少ないので、同等と言い切って

良いかは疑問ですが)で、全生存期間ではCMFに勝っていた、

という臨床試験(TABLE study)の結果が最近論文化されました。

無再発生存期間が同等で全生存期間では勝っている理由をどう考察するのか

興味がありましたが、discussionでは、“理由ははっきりせず、探索的な結果

である”旨だけ記載されていました。まあ、これはしかたないですね。

さて、リュープリンは、使用前に混ぜなければならないのが

ゾラデックスと比較して面倒ですが、針が細いために注射時の痛みは軽く、

患者さんには好評です。また、1ヵ月製剤と3ヶ月製剤の両方が使用できます。

3ヶ月製剤は、薬価が2倍で効果が3倍なので1月あたりの

医療費は安くなりますが、局所反応による硬結を認めることがあります。

さて、どちらの製剤を使用すべきでしょうか。

結論から言えば、私はどちらでも良いと考えています。

その理由は、このタイプの薬剤は下垂体からのLHRHの放出をブロックし

月経を停止させ、その結果卵巣からのエストロゲンを抑制することで

抗腫瘍効果を発揮するため、薬剤の違いは効果に大きく影響しないと

考えられるからです。

世界的にはどう考えられているのでしょうか。

ヨーロッパを中心に現在行われている閉経前乳癌の臨床試験では、

リュープリンでもゾラデックスでもなく、トリプトレリンという日本未発売

の薬剤が使用されています。

これは、世界的にも“月経を止めるのが治療の目的だから、薬剤の種類は

何でもよいだろう”と考えられていることの証です。

また、1ヵ月製剤と3ヵ月製剤の違いはどうでしょうか。

臨床試験で1ヵ月製剤と3ヵ月製剤を直接比較するデータはありませんが、

リュープリンは3ヵ月製剤でも1ヶ月製剤と同様にエストロゲンのレベルが

抑えられていること、今回発表された臨床試験のデータから、どちらでも効果

は同じではないかと思います。

日常臨床では、以上のことを患者さんに説明して、薬剤を選択しています。

余談ですが、アストラゼネカ社は、“ゾラデックスは臨床試験のデータが豊富

で、リュープリンはデータが余り無い”というキャンペーンをしているようです。

これは確かにその通りで、誰も異論がないでしょう。

しかしながら、ゾラデックスの3ヵ月製剤が乳癌に適応拡大されたとしたら、

どのようなキャンペーンをするのでしょうか。

臨床試験のデータを重要視するアストラゼネカ社のことですから、

ゾラデックスの3ヵ月製剤を使用した大規模臨床試験がなされている

のでしょうね。

結果を期待して待ちたいと思います。
# by aiharatomohiko | 2007-07-14 20:33 | 論文

E1199試験からの考察


AC-PTXにDFSで勝ったレジメを挙げましょう。

AC-wPTX, AC-DTX, Dose dense AC-PTX, Canadian CEF (or FEC120)

これらのなかで、どのレジメを選択するかというのは、人により異なる

とは思いますが、私が日常診療で使用したいと考えるレジメは、

AC-wPTXです。

その理由を以下に挙げます。

・Canadian CEF:最も強力かもしれないが、最も使いづらいレジメでもある。

その理由は、観察期間2.5年で、急性白血病/MDSを0.7%に認めたこと、

抗生剤予防投与でも発熱性好中球の頻度が約1/4、遅発性心毒性の恐れ

などです。観察期間が短いため、最終的にどの程度DFSが改善されるのか

を知ることができるのはまだ先ということもあります。

・Dose dense AC-PTX:G-CSFとエリスロポイエチンを投与しておけば、

早く終わるし副作用も少なく良いのかもしれないが、治療費がバカ高くなるし

日本では現実的でない。効果もAC-wPTXを大きく上回るとは考えがたい。

・AC-DTX:DTXのdoseが100mg/m2であることが使いづらい最大の

理由です。まず、100mg/m2を使用したことがないし、承認用量よりかなり多い。

発熱性好中球の頻度が約1/6、浮腫のコントロールがやっかい、

といったところでしょうか。

ただ、TACレジメではDTXのdoseが75mg/m2であることから、

75mg/m2でも効果があることが推測されます。

wPTXが使用できないときには、75mg/m2でこのレジメを使用します。

次点ですね。

AC-wPTX:末梢神経障害のリスクはやや高くなるものの、他の副作用

は軽いため、正直使い易い上に効果も高い。コストが高くなり来院回数が

多くなるのはデメリットではありますが、バランスの良いレジメと考えます。

アップデートされたE1199の結果をみて、Canadian CEFを使用する

必要がなくなったので、正直ホッとしています。

さて、皆様のチョイスはどうでしょうか?
# by aiharatomohiko | 2007-07-04 22:21 | 論文

Negative or Positive? E1199 trial その3


“それはね、インタラクション(相互作用)があったというのです。”

“薬剤と投与方法の間にインタラクションがあったために、

試験全体のパワーが足らなくなったということです。”

と大橋先生はおっしゃった(ように記憶しています)。

それでは、PTX3週投与を標準アームとした4アームの試験と

考えてよいのでしょうかと尋ねると、“いいんじゃないですか。

ただし、パワーが足りないかもしれませんが。”とおっしゃいました

(ように記憶しています)。

ということで、このE1199試験の結果の正しい解釈法は、

“薬剤と投与方法の間に相互作用があったのがわかった”

ということだそうです。

そして、“PTX3週投与を標準アームとした4アームの試験と考えてよい”

ということです。

そうであれば、AC-PTXに比較して、AC-DTXがDFSで、

AC-wPTXがDFSとOSで勝った“positive study”であったという

ことがわかります。

統計学的に有意差が出ており、p値も十分に低いので、試験としての

パワーも足りていると考えてよいはずです。(医療統計家未確認)

これで、すっきりしましたね。

BMSもこの結果をふまえてadjuvantにwPTXをもっと勧めても

良いと思うのですが、毎週投与はまだ当局に申請中とのことです。

それにしても、もう何年も前に申請を出したような気がするのですが。

さて、タキサンを使用したレジメは数あるのですが、それではどのレジメを

使用するのがよいのでしょうか?
# by aiharatomohiko | 2007-07-04 07:28 | 論文

Negative or Positive? E1199 trial その2


各群別のDFSの比較をみてみましょう。

PTXの3週毎投与を標準アームとすると、PTX毎週投与のハザード比は、

1.27(95% CI 1.07-1.51 p<0.006 低減の方向でみれば、

HR 0.79)と有意に良好でした。

DTX3週毎投与のハザード比は、1.23(95% CI 1.04-1.46 p=0.02

低減の方向でみれば、HR 0.81) とこちらも有意に良好でした。

DTX毎週投与は、PTXの3週毎投与と有意差はありませんでした。

全生存率は、PTX毎週投与のみがPTXの3週毎投与よりも有意に

優れており、そのハザード比は、1.32(95% CI 1.06-1.63 p=0.01 

低減の方向でみれば、HR 0.76)でした。

この結果を見ればわかるように、“PTXは毎週投与が優れており、DTXは

3週毎投与が優れていた”のです。

2x2ファクトリアルデザインの前提が崩れてしまっているのですね。

この傾向は、2005年のサンアントニオでの発表から見られていたので、

その頃から“ファクトリアルデザインの前提が成り立っていないので、

この試験の結果をどう解釈したら良いのだろう”と漠然と考えてはいました。

しかしながら、その時にはイベント数が少なく、各群間の優劣が今回ほど

はっきりしていなかったため、経過観察としていました。

今回のASCOでの上記の結果をみて、“それでは、4アームの試験と考えて

良いのではないか”という気持ちが強くなってきたので、乳癌学会の

ランチョンでプレゼンをしたスローンのメディカルオンコロジストに

“この試験は4アームと考えてよいか?”と質問をしてみたところ、

彼女からは“良いです。”という返事をもらいました。

しかしながら、医療統計家である大橋先生の御著書に“アメリカの臨床医

の方が日本の臨床医よりも統計を学習していない。”という一文が

あったような気がしたので、疑い深い私は

大橋先生ご本人に伺ってみることにしました。
# by aiharatomohiko | 2007-07-01 23:19 | 論文

Negative or Positive? E1199 trial その1


術後薬物療法におけるAC後のタキソール vs タキソテールと

3週投与 vs 1週投与を比較するE1199試験のデータが、

ASCOでアップデートされました。

この試験結果は、“どのタキサンをどのスケジュールで投与すれば

よいのか”という誰もが知りたいリサーチクエスチョンを問うていた

ため、その結果を皆が待ち焦がれていた試験ですが、2005年の

サンアントニオで発表された結果がいま一つパッとしなかったため、

皆に忘れ去られかけていた試験です。

この試験のデザインは、薬剤の比較と投与スケジュールの比較検定を

同時に行う”2x2ファクトリアル・デザイン”です。

このデザインは、2つの仮説を1つの試験で検討できるので、

採用されることも多いのですが、それぞれの治療効果がパラレル

であることが前提です。

例えば、この試験に関していえば、研究仮説が成り立つためには

“どちらの薬剤も同じ投与スケジュールのほうが良いはず”

という前提がなされているのです。

もっと具体的にいうと、”タキソールの1週投与が3週投与より

良ければ、タキソテールでも同様に1週投与が3週投与より良いはず”

という前提がなされているということです。

この試験の主要評価項目は無病生存期間(DFS)で、

タキソール (PTX) vs タキソテール (DTX)、

3 週毎投与vs 毎週投与の比較において、DFS ハザード比の17.5% 減少

を86% の検出力で捉える症例数が設定されています。

結果は、(PTX) vs タキソテール (DTX)、3 週毎投与vs 毎週投与

ともにDFSに有意差がありませんでした。

もともとの研究仮説が証明されない場合には、通常”negative study”という

評価になります。

ASCOの速報にコメントを書いている、国立がんセンター東病院

化学療法科 向井先生も、“本試験はネガティブスタディーであった。”

と結論付けています。

さて、この解釈は正しいのでしょうか?
# by aiharatomohiko | 2007-07-01 23:04 | 論文

第15回日本乳癌学会総会


昨日まで乳癌学会総会に行っていました。

自分の発表はまあ何とか終わりましたが、

今回初めての企画であるRapporteur sessionの発表者に指名頂いたり、

関西労災のときに私が主治医になった方が、体験記コンクールに

応募されて第15回日本乳癌学会 学術総会賞を受賞されたりと

(Mさん、本当におめでとうございます。それにしても、イケメンって。。。)、

今年は個人的にハプニングが多い学会でした。


第15回日本乳癌学会総会_f0123083_2226756.jpgあけぼの会のワット隆子さん(8/4の市民フォーラム

に司会でお出でいただく予定になっています)

にお会いして、“乳がん患者に贈る愛と勇気の玉手箱”

という最新の御著書を頂きました。

早速読ませていただいたのですが、乳がんが診断された

ときに読むと、非常にこころが落ち着く本なのではないかと感銘を受けました。

当院に来院された患者さんには、早速お勧めすることにします。

もちろん、このBLOGをお読みになっているあなたにも、お勧めです。


それ以外には、九州大学のT先生から“子供が寝てから読んでます”

とか(汗)、某メディカルオンコロジストの先生から“最近ブログ

更新してないねえ。”とか言われたので(滝汗)、意外と読んでる人が

多いんだなあと気合を入れ直されたのでした。

ちょっと準備していたものがあるので、がんばって再開します。
# by aiharatomohiko | 2007-07-01 23:01 | 日常

市民フォーラム開催のお知らせ-第一報-


第1回市民フォーラムが、あけぼの会主催で8/4に開催されることに

なりました。

場所は、阪急箕面駅前の箕面文化交流センターです。

会長のワットさんがわざわざお出でくださる予定になっています。

参加応募の連絡先はまだ決定していませんが、決まり次第アップします。

奮ってご参加下さい。


市民フォーラム開催のお知らせ-第一報-_f0123083_12543862.jpg

# by aiharatomohiko | 2007-07-01 21:26 | お知らせ