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乳腺外科医が乳がんの最新情報をブログで紹介しています
by aiharatomohiko
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カテゴリ:論文( 57 )

ゾレドロン酸(ゾメタ)は再発を予防する


閉経前早期乳がん1800例を対象として、LHRHアゴニスト+タモキシフェン

vs LHRHアゴニスト+アナストロゾール ±ゾメタの投与の効果をみる試験

の結果が、ASCOで発表されました。


アナストロゾールの効果がタモキシフェンを上回らなかったことに驚き

ましたが、ゾメタの投与でイベントが36%減少しており、骨転移だけでなく

局所再発、骨以外の他臓器転移、対側乳がんも減少していたのにも

驚きました。


半年毎に一本ゾメタを使用するだけでハーセプチンに近い再発抑制

効果が得られるというのは、とても費用対効果が高いですね。

副作用はほとんどないでしょうし。

この結果を追試する結果がしばらくうちにいくつか発表されることに

なりそうです。投与間隔・投与期間などにも注意が必要です。


早晩NEJMにでも論文が発表されるのではないかと思いますので、

詳細は改めて。
by aiharatomohiko | 2008-06-03 16:00 | 論文

E1199の論文が発表されました


E1199の論文が発表されました。N Engl J Med 2008;358:1663-71.

術後薬物療法におけるAC後のタキソール vs タキソテールと

3週投与 vs 1週投与を比較するECOG1199試験のデータが、

New England Journal of Medicineに発表されました。

内容は大方ASCOの発表通りで、以前このBLOGに書いた通りです。

そして、データの発表自体も、もともとの研究仮説であるタキソール vs

タキソテール、毎週投与 vs 3週毎投与の比較ではなく、

AC-タキソール(3週毎)を標準治療とし、AC-タキソール(毎週)、

AC-タキソテール(3週毎)、AC-タキソテール(毎週)の各群を比較したデータの

検討がメインとなっています。

この場合の統計学的な解析は、多重比較により有意水準が甘くなるため、

ボンフェローニの方法に基づいて、有意水準がp=0.017に下げられています。

(p=0.05/3 = 0.017)。これにより、タイプIエラーは0.05に保たれています。

最終結果だけを記すと、無病生存期間に関しては、AC-タキソール(3週毎)と

比較して、AC-タキソール(毎週)のオッズ比は1.27、 AC-タキソテール(3週毎)

のオッズ比は1.23とともに有意水準。AC-タキソテール(毎週)

はほぼ同等でした。

全生存期間に関しては、AC-タキソール(毎週)のオッズ比のみ有意に

良好で、1.32でした。

全体的に見るとAC-タキソール(毎週)が最も良いデータとなっています。

AC-タキソテール(3週毎)が無病生存期間で良好な結果でしたが、

全生存期間が改善されなかった理由はわかりません。

また、AC-タキソール(毎週)がAC-タキソテール(3週毎)と比べて

良いかどうかはわかりません。

しかしながら、当院としては、投与量の関係から、AC-タキソール(毎週)

を現在標準として使用しています。

付け加えるデータとしては、タキソール(毎週)の効果は、ホルモン受容体

とHER2の発現状況に影響されないということです。

余談ですが、ブリストルのMRの方がお出でになられた際に、

“サブセット解析ですから”と言われていましたが、サブセット解析とは

違います。4アームの試験としてとらえるのが、正解だと思います。
by aiharatomohiko | 2008-04-27 10:41 | 論文

アバスチン続き、AVADO study速報


転移再発乳がんの一次治療でアバスチンとタキソテールを併用する

AVADO studyの結果が発表され、無増悪生存期間で併用群が

優れていたとジェネンテックから発表がありました。

正式には学会発表(EBCCかASCO?)を見ないとわかりませんが、

全生存期間のデータは発表されていないようです。

FDAでは転移性乳がんにアバスチンは認可されていないのですが、

このニュースから考えると状況に変化はなさそうです。
by aiharatomohiko | 2008-02-14 07:40 | 論文

アバスチン、結果はpositiveだが…その2


試験の結果からベバシツマブが転移性乳癌で保険適応を取ることが

出来るのか。また、もし適応が取れたとして、実際に使うのかというところが

大きなポイントになります。

個人的には全生存率が改善していないため、保険適応が取れたとしても

使用する気にはなりません。患者さんにとって、単に抗がん剤を使用している

期間が延びるだけだからです。

しかも、通常の化学療法の費用に加えて1回約20~30万円、

月にすると約40~60万円という相当高い医療費が追加されますし。


イギリスでは転移性大腸癌ですら高価すぎるため保険適応を取れなかった

と言うこの薬。全生存率が改善されないのでは、高い薬剤費に見合う効果が

あるとはいえないと思います。

アバスチンの使用が生存に寄与するサブセットを見つけ出すことが出来れば

別ですが、いくらなんでも今の状況で厚生省の認可が下りてバカスカ

使用されるという事態にはならないでしょう。

ところで、製薬メーカーは厚生省に保険適応の申請を出すのでしょうか。

出すのでしょうね。

個人的には、術後療法での結果に期待といったところです。
by aiharatomohiko | 2008-02-11 00:31 | 論文

アバスチン、結果はpositiveだが… その1


九州がんセンターのY先生、お待たせしました。アップします。

たまには感想送って下さい。

オホン。さて、722名の転移性乳がんを対象として、パクリタキセルと

パクリタキセル+ベバシツマブ(商品名:アバスチン)をファーストラインで

比較した第Ⅲ相試験の結果がNEJMに発表されました

(N Engl J Med 2007;357:2666-76.)。

プライマリーエンドポイントである無増悪生存期間は、中央値で11.8ヶ月 vs.

5.9ヶ月 (ハザード比 0.60; P<0.001)と併用群で有意にかつ相当程度に改善

していました。カプランマイヤーもきれいなデータですね。

全生存期間は、併用群で良い傾向が見られたものの、残念ながら両群で

有意な差はありませんでした(中央値 26.7 vs. 25.2ヶ月; ハザード比, 0.88;

P=0.16)。2005年のASCOで発表された中間解析では、全生存期間でも

併用群が勝ちそうな感じでした。

カプランマイヤーも何となく勝ちそうに見えますが、最終的には有意では

なかったということで、残念な結果でした。

重篤な(グレード3/4)副作用は、高血圧 (14.8% vs. 0.0%, P<0.001)と

感染(9.3% vs. 2.9%, P<0.001) が、併用群で多く見られました。


カペシタビンとの併用では、無増悪生存期間も全生存期間も勝てなかった

ベバシツマブでしたが(奏効率のみ勝った)、パクリタキセルとの併用では

プライマリーエンドポイントである無増悪生存期間できれいに勝ちました。

併用する薬剤が違ったから、結果が違ったのでしょうか?

論文のdisucussionにも書かれているように、カペシタビンとの併用試験では、

試験の対象がアンスラサイクリンとタキサンを既に使用した人だったため、

勝てなかったのだと推察します。

ファーストラインで試験を行えば、カペシタビンとベバシツマブの併用でも、

今回のパクリタキセルの併用と同様な結果が得られた可能性は十分ある

でしょう。

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N Engl J Med 2007;357:2666-76より引用。
by aiharatomohiko | 2008-02-11 00:06 | 論文

30thサンアントニオ乳癌シンポジウム-Oncotype Dx-


Oncotype Dxという検査があります。


リンパ節転移陰性のホルモン感受性乳がんで、タモキシフェンを服用する

患者さんが対象です。検査により再発リスクがスコア化され、リスクが低い

人に化学療法を省くために使用されます。アメリカではFDAの認可をうけて

おり、ガイドラインでも推奨されています。日常臨床でも使用されるように

なっているようです。


今回のサンアントニオでは、Dr.Albainによりリンパ節転移陽性ホルモン

感受性乳がんを対象にしたOncotype Dxの有用性を検討した結果が発表

されました。その結果は、再発高リスクと中リスクでは、タモキシフェンに

対する化学療法の追加効果が見られたものの、再発低リスクではタモキシ

フェン単独とタモキシフェン+化学療法の無再発生存率が同じであった

という結果でした。


しかしながら、母集団としたINT0100の約40%しか検討されていないこと、

症例数が低いため信頼区間が広く、低リスクでの化学療法の追加効果が

見逃されている可能性に注意が必要です。この結果を実臨床に適用すると

するならば、再発スコアが低い人には化学療法が無駄なので省くことになる

のですが、低リスクでも10年DFSは60%なので、実際に化学療法を省くこと

ができるのか、難しいですね。

現時点では興味深い結果ですが、データの精度が低く、再現性を確かめる

必要があります。
f0123083_21361064.gif


この発表よりも面白かったのが、Oncotype Dxを開発したGenomic

Healthという会社のランチョンというか、プロモーションです。

まず色々な症例が提示されて、治療方針を会場の参加者に聞き、

その後にOncotype Dxの再発スコアが提示されて、改めて治療方針を

聞き直すというものです。一般に再発リスクとして用いられている指標と

Oncotype Dxの再発リスクが一致しない症例では、Oncotype Dxの

結果で治療方針を変更する人が多いこと、またアメリカ人のphysician

でもできれば化学療法を避けたいと思っている人も多いということを知り

ました。確かに、1cmの腫瘍でも再発危険率が50%と言われれば、

化学療法をしようと思いますね。Oncotype Dxの日本人でのデータもある

はずなので、また調べてみたいと思います。

ただ、この検査は保険が効かず45万円もします。


乳がんの手術料の1.5倍以上ですね。

日本の場合技術料がアメリカと比較して安すぎるというのはありますけど、

ちょっとね。
by aiharatomohiko | 2008-01-03 17:53 | 論文

30thサンアントニオ乳癌シンポジウム-症状緩和-


Plenary lectureで、MayoのDr.Loprinziが症状緩和について

の話をしていました。


タモキシフェンなどのホルモン剤によるほてりはしばしば問題になります

が、なかなか良い解決策がありません。

パキシル(パロキセチン)という選択的セロトニン取り込み阻害薬が有用

であるとの報告がありますが、この薬剤はタモキシフェンと同時に服用する

と活性化物質であるエンドキシフェンの血中濃度を下げるために、タモキシ

フェンの効果を低下させる危険性が指摘されています。

それに対して、セロトニン・ノルアドレナリン再取り込み阻害薬である、

Vanlafaxineはそういった副作用が無く、ほてりの発現率を下げることが

示されていましたが、現在日本で発売されていません。

ガバペンチンという抗てんかん薬を服用することで、ほてりを半分に改善

できるという話がありました。これも適応外使用になりますが、2005年の

Lancetにも服用4週間時点でプラセボで21%、ガバペンチン1日900 mgで

49%のほてりのスコア改善が見られたという報告があります。


他に問題となるがん関連の疲労感については、運動が最も良く、

薬物ではアメリカジンセン1~2g服用で25%、プラセボで10%に疲労感の

改善が見られたとの報告があります。


タキソールなどでおこる末梢神経障害に対しては、ガバペンチンは効果が

無く、ビタミンE 内服により改善が得られることの報告がありました。

論文を調べてみると、アセチルLカルニチンも効果があるようで、日本では

サプリメントとして売っているようです。
by aiharatomohiko | 2007-12-24 21:25 | 論文

-ATAC 100months-その2


気を取り直して、ATAC 100monthsの報告から良かったところを

拾い上げてみましょう。


まずは、骨折率が5年以降ではTAM群とANA群で変わらなかった

、です。


ビスフォスフォネートの使用の有無は、影響していないのでしょうか?

発表者は学会発表の時につっ込まれて、即答できなかったのですが、

論文には、ビスフォスフォネートの使用率がアナストロゾール群で10%

タモキシフェン群で7%と記載があります。

ほとんどの人は使用していないようなので、アロマターゼ阻害薬にとって

いいデータです。


また、time to recurrenceのデータではありますが、5年を越えた後でも

タモキシフェンよりも再発率の改善が続いており、carryover効果

が認められそうだ
ということも良いデータです。


そして、今回の論文では死亡のデータを正直に詳しく出しているのが

評価できます。このデータから、全死亡は、タモキシフェンもアナストロゾール

も同じであること、再発後死亡はアナストロゾールのほうが1%少ないが

乳癌に関連しない死亡は反対にアナストロゾールのほうが1%多い

ということです。論文では、乳癌に関連しない死亡がアナストロゾールで

多い理由を"probably due to chance"と楽観的に言っていますが、

レトロゾールでも同じ傾向があるので、まだデータを追いかける必要が

あるでしょう。


主な懸念は、タモキシフェンと比較してアナストロゾールによる再発率の

改善がほとんど見込めない様な再発リスクの低い患者さんにアナストロ

ゾールを使用した場合には、タモキシフェンを使用する場合と比べて

乳癌に関連しない死亡率が1%増える分、アナストロゾールのほうが

生存率が悪くなる可能性があるということです。


ということは、DCISにアナストロゾールを使用するのは、どうなんで

しょうか。また、NSABPで行っていたアロマターゼ阻害薬を使用した

乳癌の化学予防の試験が中止されたのも、このような毒性が懸念された

ためかもしれません。


最後に、2次癌の発生率は両者とも同じなのに、発生する癌の種類が

異なり、さらにアナストロゾールで2次癌による死亡率が高くなっている

ことも気になります。
by aiharatomohiko | 2007-12-19 22:30 | 論文

HER2とタキソールの有用性との関係-考察-

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N Engl J Med 2007;357:1496-506.より引用。


このデータを詳しく見るために、Figure2における6年無再発生存率に

焦点を当ててみました。


これでわかることは、ER陰性ならHER2の状況に関わらず、

またER陽性でもHER2陽性なら、6年無再発生存率がACのみで約50%、

タキソール追加で約70%とほとんど変わらないということです。

ER陽性HER2陰性の場合だけは例外で、タキソールありでもなしでも

約70%と、タキソールの追加効果がみられなかったわけです。


言い換えると、ER/HER2の状況に関わらず、術後にAC-タキソールを投与

することで6年無再発生存率が約70%になる。ER陽性HER2陰性の症例

だけはACだけでも約70%と良いが、それ以外はACだけでは約50%である、

ということになります。


AC-PTX治療後の全サブセットの6年生存率がほぼ同じくらいだったのは、

たまたまかもしれません。


しかし、これが真実だとすると、HER2陽性乳癌の場合には、ハーセプチンを

追加することで、ハザード比で40から50%のさらなる再発抑制効果を得る

ことが出来ます。


ER/PR陰性HER2陰性のいわゆるトリプルネガティブは、さらに予後を改善

する手法が今の所見当たりませんが、タキソールの追加効果がはっきりあり

ますので、化学療法は有用なのでしょう。分子標的薬を含めた何らかの化学

療法剤の追加が、さらなる予後の改善に有用である可能性があります。


その一方で、ER陽性HER2陰性でタキソールの追加効果がみられないという

のは、ひょっとしたらタキソールだけでなく化学療法自体が効きにくいということ

かもしれません。今後化学療法が進歩していく過程で、意外に予後が改善され

にくいサブセットとして残るということになるかもしれません、うーん。。。


少し混乱してきました。


各サブセットで患者背景が揃っていない恐れもある中で結果をあまり細かく

見ても意味が無いのかもしれませんが、ERとHER2でサブセットを分けた

解析が今後いくつもの臨床試験でなされてくると思います。


そうすると、この問題も少しずつ真実が見えてくるのだと思います。

それまではしばらく、うーん、とうなっているしかなさそうです。
by aiharatomohiko | 2007-12-02 21:01 | 論文

HER2とタキソールの有用性との関係-その2-


感心したのは、この論文がNEJMに掲載されて2週間も経たないうちに、

ASCOからこの論文を解説するメールが来たことです。


その内容は、“非常に興味深い研究結果であるが、臨床応用するには

時期尚早である。”という、まあ当たり前の事なのですが、その内容にでは

なく、論文発表からメールが来るまでの早さに感心しました。

さすが、プロフェッショナルな学会だなあと思いましたね。

日本乳癌学会でも、このような重要な研究結果が出たら、すぐにその内容を

検討して会員に情報を流すような態勢がとれるといいんですけどね。


渡辺理事、どうですか?


もちろん、この研究結果(仮説)が確かなものであると証明するためには

前向きに検討する必要があります。ただ、例えば同様の試験デザインが

とられたNSABP B28でもこの結果が再現できるのであれば、HER2陰性

ER陽性リンパ節転移陽性乳がんでACの後のPTXの追加効果が無い

(もしくは低い)という蓋然性が高くなるでしょう。

さらには、その他のアンスラサイクリン vs アンスラサイクリン+タキサン

の試験でも同様な結果が得られれば、後ろ向きの研究結果とはいえ、

さらに蓋然性が高くなると思います。


しかしながら、この仮説に反する試験結果もあります。

タキソテールを使用したBCIRG001(TAC vs FAC) とPACS01

(FEC vs FEC-DTX)の統合解析において、タキソテールはERの状況で

再発抑制効果が変わらないという結果がASCO2007で発表されています。

HER2でのサブセットはどうかというと、BCIRG001の論文では、HER2陽性

の方が効果が高い(HR 0.76 vs 0.60)。

PACS01は、HER2ではサブセットを分けていませんでした。


タキソールとタキソテールでは違う傾向があるのか。

同時併用と逐次併用という投与スケジュールによって異なるのか、

この点も気になります。

臨床的に非常に興味深い=重要な問題なので、今後常にデータを

フォローする必要がありますね。


さて、当院治療中の方でこのブログを読まれた方は、タキソールどうしよう

かなと思われる方がおられるかもしれません。当院では、ASCOの

レターに書かれているように、新たなデータが出るまでは、HER2陰性

ER陽性の方もリンパ節転移が陽性であれば、タキソールをお勧めするのを

今までどおりスタンダードとします。
by aiharatomohiko | 2007-11-07 23:55 | 論文