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乳腺外科医が乳がんの最新情報をブログで紹介しています
by aiharatomohiko
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カテゴリ:論文( 57 )

大豆イソフラボンで乳がん再発・死亡が減少


大豆イソフラボンと乳がんの関係がいろいろと取りざたされてきましたが、

今回発表された論文(JAMA. 2009;302(22):2437-2443)では、

大豆イソフラボンを摂取する事で、乳がんの再発・死亡および全ての

死亡率を3割ほど減少させることが、報告されました。


しかしながら、ER陽性とER陰性でもイソフラボンの効果がほとんど

変わらないのは、???という感じがしなくもありません。

いずれにせよ、少なくても大豆やイソフラボンは乳がんに悪くはなさそうだ

という事は言えそうです。
by aiharatomohiko | 2009-12-16 20:36 | 論文

PARP1阻害薬-新たなターゲット-

ER/PR/HER2が陰性の乳がん、いわゆるトリプルネガティブ乳がんが

BRCAに異常のある遺伝性乳がんの表現型に近いことが知られています。

BRCA遺伝子そのものに異常はないものの、BRCA遺伝子のプロモーター

領域がメチル化により不活化をうけるなどしてBRCAタンパクの発現が

低下するため、DNAの二本鎖切断に対する遺伝子修復機構が阻害されて

いると考えられます。

このような細胞では、一本鎖切断に起因する遺伝子異常を修復する

PARPという遺伝子が過剰発現しており、この遺伝子産物の働きを

抑えることで細胞死をより誘導しやすくなると考えられています。


このPARPというタンパクを阻害する薬がトリプルネガティブ乳がんに

対して有効であることが先日のASCOで発表されました。

進行再発乳がん123名を対象としたランダム化第II相試験試験で、

ゲムシタビン/カルボプラチン±PARP1阻害薬という試験です。

結果は、PARP1阻害薬を使用した群で無進行生存期間の中央値が

3.3カ月から6.9カ月に伸び(ハザード比0.342)、

全生存期間の中央値もPARP1阻害薬を使用した群で5.7カ月から9.2カ月

にのびでいます(ハザード比0.348)。


アバスチンなどどうでもいいと思えるくらい、おそろしく良い結果

であり、もっと大規模な第III相試験が早くも行われるということです。


日本でパテントを持っている会社も頑張って治験を行わないと、

乳がん患者さんから激しく叩かれることになるのではないでしょうか。


(本日行われたたちてんウェブカンの話題からでした。)


追伸:あー、嫌な記事を目にしてしまいました。

サノフィ・アベンティス社のポリADPリボースポリメラーゼ(PARP)

阻害剤・BSI-201が世界的に注目されていますが、

現時点ではBSI-201の特許はあと数年で失効します。
by aiharatomohiko | 2009-06-17 22:48 | 論文

ゼローダ vs AC/CMF:その2


2.4年の期間の観察において、再発と死亡ともにゼローダが標準化学療法

の約二倍に上っており、ホルモン受容体陰性と腫瘍径が大きな場合には

さらに悪くなることが示され、試験は600例あまり登録された時点で中止

されました。

ハザード比が2倍と言うことは、ゼローダは無治療よりも悪いのではないか

というくらいの勢いです。なぜ、こんなに悪いのでしょうか?


6サイクルつまり18週間という期間が短いのではないかという説。

大腸がんでは8サイクルで十分な効果がありますので、乳がんでももし

効果があるとすると8サイクルを6サイクルにしただけで効果が全く台無し

になるようなことは考えにくいのではないでしょうか。

もちろん、CMFとUFTの2年の効果がほぼ同等であったN-SAS BC01試験

の結果を考えると、治療期間を伸ばす事により効果が改善される可能性が

皆無ではないですが、ER陰性症例のカプランマイヤー曲線を見ると、

試験開始早期からゼローダ群でガンガン再発していることが分かるので、

治療期間を長くしても標準化学療法と同じ効果が出るかどうか疑問に

思います。大腸がんとの比較で考えると、途中で用量を下げることが

しかたが無いにしても、まず2500mgから開始することが重要なのかも

しれません。もしくは、乳がんではFUの役割が大腸がんのように重要では

ないのかもしれません。

ただ、N-SASBC01の結果を考えるとそうは言えなさそうですし、進行

再発症例のデータではそれなりの有用性が示されていますし。。。


ゼローダの術後療法での有用性を結論づけるのには、AC-T vs AC-XT

の試験結果が出るまでは確定的な事はいえませんが、少なくともこの

スケジュールでゼローダを使うのはできません。

70才以上の方が6割ほど含まれているにもかかわらず、AC/CMFが

良好な忍容性と有用な効果を示したことが推測されたのは良かったの

ですが、ゼローダの効果がありえないくらいに悪い説明するよい理由は

思い浮かびません。消化不良でした。
by aiharatomohiko | 2009-05-23 00:13 | 論文

ゼローダ vs AC/CMF:何でこんなにゼローダが悪いのか?


65才以上の高齢者乳がんの術後化学療法として、ゼローダと標準的な

化学療法であるACもしくはCMFを比較した試験の結果が、

NEJMにのりました。

この試験はTACTと同様に標準療法が二種類どちらでも良いことになって

いますが、TACTと異なりこの二種類の試験はどちらも効果において同等

であることが証明されています。


試験の方法は一風変わっていて、統計学的な検証方法が流行りといっては

オーバーかもしれませんが、“adaptive Bayesian”デザインをとっています。

イベント数を途中でモニターすることにより、仮説が検証できるかどうかを

経時的に見ながら、試験を行う方法と理解していますが、正直正しいかどうか

分かりません。

必要症例数を事前に適当に見積もっておくだけでよいのが特徴です。

詳しいことは”Mr. adaptive” 大橋靖男先生の近著をご覧になるのがよろしい

かと。


研究仮説は、ゼローダの標準的化学療法に対する無再発生存期間(RFS)に

ついての非劣性です。RFSはDFSとイベントの取り方が異なっており、

差がある場合に検出しやすいエンドポイントです。


この試験のゼローダの用量は、まず2000mgの二週投与一週休薬を

一サイクル行った後に、2500mg/日に上げて全6サイクルですが、

2500mgでの毒性が強く途中で量が2000mgに固定されました。

当初のデザイン自体も“へえー”という感じですが、2500mgで毒性が

強すぎてプロトコールが改変になったというのは、印象深いです。

大腸がんの術後療法でも2500mgでゼローダの8サイクルが使用され、

ロイコボリン+5FUを上回るくらいの成績を残しているにもかかわらず、

毒性が強く完遂が難しいことが報告されているからです。

大腸がんにおけるFU系の薬剤としては、ゼローダが標準と考えても

よい結果を残しているのですが、乳がんでは違いました。
by aiharatomohiko | 2009-05-20 22:17 | 論文

TACT試験:よくわからない結果


4162例の早期乳がんに対する術後療法試験として、FE60Cx4+DTX100x4

を標準レジメ(FE60Cx8(n=1200)またはE100x4-CMFx4(n=800))

と比較したTACT試験の結果がLANCETにのりました。


結果は、タキソテールの追加投与による生存期間延長効果が

認められませんでした。


その主な理由は、試験デザインがまずいことが原因だと思います。

E60は術後療法として使用するには、量が足りず効果があまり望めません。

標準レジメがFE60Cx8だけであれば、かなりはっきりとした差が出た可能性

がありますが、E100x4-CMFx4は、FE60Cx4+DTX100x4を効果として

上回る可能性があります。

効果に差があると思われる二つの治療法を標準レジメに含んだことが

この結果につながったのではないでしょうか。


バイオマーカーによりタキサンの効果を予測できるのではないかという

おまけの部分が評価されて、このようなデザインがまずくしかもnegative

な結果の試験でもLANCETにのるというのは、正に今風ですね。

研究者がイギリス人であるというのもかなり効いているようにも思いますが、

うがちすぎでしょうか。
by aiharatomohiko | 2009-05-17 20:10 | 論文

GEICAM 9805 n0高リスクに対するTAC vs FAC


ザンクトガレン1998基準のn0高リスク乳がんに対するTAC

(ドセタキセル,ドキソルビシン,シクロフォスファミド)の有用性を検討する

GEICAM 9805試験(n=1059)の結果が、ASCOで発表されました。

印象的ではありますが、当たり前といえば当たり前の結果で、

5年間無病生存率は、TACが91%、FACが86%(HR:0.66、

95%CI:0.46~0.94、p=0.0202)とTACの勝ちでした。

5年OSはTACが97%、FACが95%(HR:0.72、

95%CI:0.40~1.30、p=0.2677)でした。

これは、腋窩リンパ節転移陽性乳がんを対象としたBCIRG 001

でみられた、TACはFACに比して再発リスクを28%,

死亡リスクを30%有意に改善したというものとほぼ同じでした。


結果が当たり前といったのは、薬物療法の治療効果がリンパ節転

移陽性と陰性で変わる訳ではないからです。

リンパ節転移陰性症例でレジメ間の有効性に差がつきにくいのは、

n0では再発率が低くイベント数が少ないからというだけです。

直接比較のデータは無いですが、AC-wPTXと比してものすごく治療

効果が高いとは思えないこと、peg G-CSFが使用できないことから、

当院では今までどおりAC-wPTXを標準治療とします。

もちろん、リンパ節転移がなくとも再発リスクが高いと見込まれる場合にも

AC-wPTXは使用します。
by aiharatomohiko | 2008-08-08 21:59 | 論文

aTTom試験 もう一つのタモキシフェン10年 vs 5年


先日参加させて頂いた会の中で、ASCOで発表されたタモキシフェン

10年と5年を比較したaTTom試験の中間解析結果のデータを

手に入れることが出来ました。


aTTomはATLASとペアで行われた試験で、今回の解析は8000名

あまりの登録のうち7000名ほどのデータを解析した結果です。


残念ながら再発抑制効果はATLASほどではなく、服薬コンプライアンスが

タモキシフェン10年で80%とかなり良いにもかかわらず、

乳がんの再発が10年投与群で5年終了群と比較して5%ほど

しか減っておらず、有意差もありませんでした。


安全性については、子宮体がんの発症は2倍ほどになっていました。

ただ、他の二次がんが10年投与群で少なくなっており、二次がん全体では、

どちらの群もほぼ同じという、ちょっと理由がわからないような結果

でした。子宮体がん以外の二次がんのデータはATLASでは発表されて

いなかったようですので、理由は不明です。


今まで報告のあった10年 vs 5年の結果をメタ解析した結果の

テーブルも見ることが出来、5年と比較して10年で再発のハザード比が

10%ほどの改善と言う事でしたが、追加で5年服用しようという気が

起こるほどのデータではないように感じました。


タモキシフェン5年終了後で再発リスクが高い人に対しては、閉経後の方

にはやはりアロマターゼ阻害薬をお勧めし、閉経前の人には以上の事を

ご説明した後に、続けるかどうするか検討することになると思います。


ATLASのデータを見たときには、ちょっと元気が出たものでしたが、

このデータではタモキシフェンの10年をお勧めするのはしんどい

感じです。


ただ、どちらも最終解析結果ではないので、もうしばらくデータが成熟

するのを待つ必要はあります。
by aiharatomohiko | 2008-07-07 22:15 | 論文

GEICAM9906:FEC vs FEC-wPTX


本日はお世話になっていた方からリクエストがありましたので、GEICAM

9906について考察します。

この試験は、リンパ節転移陽性乳がんを対象として、FEC90x6と

FEC90x4-wPTX100x8(FEC-P)を比較した試験です。

微妙に両アームの治療期間がずれているのと、FECとwPTXの

治療期間が異なっているのが、なんだか美しくないデザインです。

PACS01の方が対象的になっていて、美しいですね。


解析対象は登録されたうちの1246名の患者さんで、5年無病生存率は、

FEC-P 78.5% に対して、FEC 72.1% (絶対差 6.4%, 95%信頼区間

1.6% - 11.2%; P = .006)と、相対比で23%の再発リスク低下を

得ています(95%信頼区間 0.62 - 0.95; P = .022)。

全生存率も相対比で22%の改善を得ています。(95%信頼区間 0.57

- 1.06; P = .110).

どのような症例に対して、wPTXが有用かという事に関して研究がなされ

ましたが、HER2やホルモン受容体との関係は見出されませんでした。


最近発表されたタキサンを使用した術後療法のメタ解析の結果で示され

たのと同程度の再発リスク低減効果が、本試験でも示されました。

この試験にはいろいろなポイントが有ると思いますが、

個人的にPACS01で示された、アンスラサイクリンの6サイクルよりも、

タキサンを追加して同期間治療を行った方が良いということが確認

されたことを重要視したいと思います。

これらの結果を演繹すると、ACx3-wPTX9の方がACx6よりも良いと

言え、であれば当然ACx4よりも良いと考えられるわけです。

そうすれば、ACx4-wPTX12をしなくても良くなるので、臨床的には

楽になるのですが、頭の中で作ったレジメが現実の世界でワークする

とは限らないため、ACx3-wPTX9を使うわけにはいかないのが辛い

ところです。FECx3-wPTXx9で試験をしてくれていたら、もっと応用

が利く解釈が出来たかもしれないですが。。。

wPTXの量ですが、E1199ではwPTX80でDTX100と同等の効果が

得られているので、wPTX100までは必要ないかもしれません。

ただ、wPTX80でデータがあるのは12サイクルです。

余談ですが、DTXはTACの試験では75が使用されていたので、

100まで必要ないかもしれません。
by aiharatomohiko | 2008-07-04 21:47 | 論文

閉経前:タモキシフェン vs アナストロゾール


プライマリーエンドポイントである無病生存率は、タモキシフェンと

アナストロゾールのカプランマイヤーカーブがベタベタに引っついて

いて、離れそうにありません。無再発生存率にしても同じことです。

それだけではなく、イベント数では、アナストロゾールの方が多い。

つまり、悪い。(イベント数 TAM:ANA DFS 72:65 RFS 72:64)

これでは、時間が経ってイベント数が増えても、アナストロゾールが

勝つことはなさそうです。


さらに驚いたことには、全生存率では危うく有意差をもってアナストロ

ゾールが負けかけているではありませんか。

イベント数、つまり死亡者数では、アナストロゾールがタモキシフェンの約2倍

に上っているのは、驚きを通り越してちょっと信じられないくらいです。

(イベント数 TAM:ANA 27:15 p=0.065)

死亡については発表で具体的には触れられていないので、詳細は

わかりません。


今ヨーロッパなどで行われている閉経前の人を対象にしたアロマターゼ

阻害薬の臨床試験がこの結果をもって早期に取りやめになると言う事はない

と思いますが、自分の患者さんにはお勧めしたくなくなるようなデータ

ではあります。


かえすがえす惜しいのは、この臨床試験での治療期間が3年であるという

ところですね。もし5年だったなら、かなり確定的なデータになっていた

と思います。


このデータでは製薬メーカーが販促本を作って営業に来ることはないので、

注意しておかないとしばらく経つと目に触れることさえなくなるかも

しれませんね。
by aiharatomohiko | 2008-06-26 22:08 | 論文

ゾレドロン酸(ゾメタ)は再発を予防する その2


閉経前乳がんに対して、化学閉経薬に加えて、タモキシフェン vs

アナストロゾールとゾメタありなしを比較する、ABCSG12試験の

続報です。

本試験は、術前化学療法以外の化学療法が入っていない、

治療期間が3年である、といった弱い点はあるものの、

1999-2006年まで7年掛けて1800名あまりの参加者を得て

やり遂げられた素晴らしい試験であることは間違いありません。

そういえば、ARNO/ABCSGの結果が発表された時のことです。

Jakeszに化学療法の割合は?と聞いたときに”None”と言われた

ことを思い出しました。えーっと思いましたが、オーストリアでは

化学療法をあまりしないのでしょうかね?

対象症例をみて感じたのは、T1が75%とかなり予後が良い

人たちが対象となっていること、術前化学療法が約5%と少ないことです。

n0は約2/3でした。

TAM vs ANAのカプランマイヤーを見て、驚きました。(続く)
by aiharatomohiko | 2008-06-26 00:15 | 論文