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乳腺外科医が乳がんの最新情報をブログで紹介しています
by aiharatomohiko
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カテゴリ:医療( 52 )

アロマターゼ阻害薬(AI)とタモキシフェン その2 AIの弱点


アロマターゼ阻害薬の問題点とは、主には骨と関節の問題です。

タモキシフェンと比較した臨床試験では、どの試験でもアロマターゼ阻害薬を

使用した群で全骨折率が40%強増えています。絶対値の差は患者背景に

よって異なりますが、1%~3%ほどです。一方、アロマターゼ阻害薬のメリット

である無再発生存率の改善は、アリミデックスとフェマーラの臨床試験では

2.5%ほどで、骨折率の増加で相殺されてしまいます。

”再発したら命が危なくなるが、骨折は手術すれば治るだろう”というスタンス

には問題があります。大腿骨頸部骨折を経験した人は、QOLが低下する

ばかりでなく、その後の生存率がかなり落ちるからです。

椎骨骨折でもQOLは低下します。

ビスフォスフォネートを服用すればよいだろう、というのも安易な意見です。

というのは、ビスフォスフォネートは服用方法がやっかいなため長期の服薬

持続率はかなり低く、食道潰瘍などの重大な副作用もあるからです。

注射剤が使用できるようになれば、この問題は解決します。

しかし、ビスフォスフォネートは正常な骨の代謝を妨げることにより、骨塩量を

増やすので、ごく長期の安全性がわからないのは、いささか不安です。

最適な投与期間もわかっていません。

また、“アロマターゼ阻害薬は、通常の人と比べて骨折を増やすのではない。

タモキシフェンに骨折予防効果があるので、これと比較すると骨折が多いよう

に見えるのだ”という意見がありますが、こんなことを論じてみても、

意味がありません。なぜなら、対象となる人には無治療という選択肢は無い

からです。タモキシフェンと比較するのが当然です。

関節のこわばりも厄介な副作用です。

時間の経過で改善する場合がありますが、かなりな不快感となる場合も

あります。消炎鎮痛剤で改善が期待できますが、仮に消炎鎮痛剤を数年間

処方しなければならないとなると、消化性潰瘍や心臓への影響も無視できなく

なります。
by aiharatomohiko | 2007-09-06 21:18 | 医療

アロマターゼ阻害薬とタモキシフェン その1


アロマターゼ阻害薬(フェマーラ・アロマシン・アリミデックス)が導入されて、

5年以上が経ちます。

現在閉経後ホルモン感受性乳がんの標準治療薬となったこれらの薬剤

ですが、最適な使用法をめぐってはいろいろと議論が尽きない面があります。

日本に導入されたころの経緯を振り返りながら、現時点(07年8月)での私の

考え方やこれら薬剤の使い分けについて記してみたいと思います。

99年頃と記憶していますが、私が初めて参加したサンアントニオ乳がん

シンポジウムで、英国のDr.バウムが大規模臨床試験をやってますよ、

という発表をしていたのを思い出します。

アリミデックスとタモキシフェンを比較した有名なATAC試験です。

その時は、具体的なデータが出ていなかったため、“ふーん、対象者が

すごい数の臨床試験だなあ”という感想しかありませんでした。

それから2年くらい経った頃でしょうか、そのATAC試験の中間解析の結果

が報告されました。

その時の私的な感想は、“アリミデックスはタモキシフェンよりも良さそう

だけど、あまり大きな違いは無い。中間解析であるので、データは確定して

いないし、なにより長期の安全性は確立していない。”というものでした。

しかし、ここからの製薬メーカーのプロモーションがすごかった。

各地で研究会(という名目のプロモーション)をバンバン行なって、

アリミデックスの優位性を強調したプレゼンを行い、ボーティングすれば、

少なくとも大阪ではほとんどの医師がタモキシフェンでなくアリミデックスを

処方するという結果でした。

このことには、大いに違和感を覚えたものでした。

(”えーっ、ほんまかいな”という感じ)

悪いことには、この時には全くデータのなかったタモキシフェンから

アリミデックスへの切換えを何の疑問もなく行っていた医師がおり、

さらに悪いことには閉経前の乳がん患者に処方する医師もいたようです。

幸いなことにその後は順調にアロマターゼ阻害薬に良いデータが蓄積して

きて、標準治療薬としての地位を確立しました。

結果論ではありますが、幸いな事にタモキシフェンからの切り換えも

標準治療となりました。

しかし、同時にアロマターゼ阻害薬の問題点も明らかになってきています。
by aiharatomohiko | 2007-08-26 23:35 | 医療

同意書なしの臨床試験:このニュースの解説


記事を読んだだけでは、どんなレジメかさっぱりわかりませんでしたが、

乳癌学会の発表を見ると、タキソテール75→FEC75で、意外と(失礼)

まともなものでした。

このレジメならば、日常診療で行っている病院もあるのではないでしょうか。

同じレジメでも、日常診療で行っていれば同意書をとっていなくても何ら

批判を招くことがなく、臨床試験であれば同意書をとっていなければ批判

されるというのは、なんだかおかしな気もしますが、これはこういうルール

なので、仕方がありません。

結局、このニュースのポイントは、”同意書を取らずに臨床試験の形式で

治療をしたのは論外”というところだけです。きちんと同意書さえ取って

おけばここまで叩かれる事もなかったのでしょうけど、これは自業自得。

臨床試験に対する悪い印象を与えてしまいかねないことは、心配です。

さて、治療を受ける側の立場に立つと、このニュースの件よりもっと気を

つけなければならないことがあるので、指摘しておきます。

それは、

①臨床試験の形式をとらないで日常診療で行われている、

とてもいい加減な治療方法

②同意書をとっているが、治療内容が妥当とはいえない臨床試験

素人目には上記①②ときちんとした治療の鑑別が難しいかも

しれませんが、プロが見れば一目瞭然です。

また、乳癌学会発行の患者さん向けのガイドラインを読んでおけば、

おかしな治療方法から身を守ることができるのではないでしょうか。

このBLOGをお読みの患者さんは、標準治療をきっちりと出来る病院を

まず選んで下さい。そして、その病院でよい臨床試験を紹介されれば

参加を検討して下さい。

それにしても、ニュース本文を読んでみても、どんな臨床試験をしていた

のかが、わかりにくい。他社も、同様でした。

記者の方が、内容を深く理解してから、記事を書いてくれるといいのですが。
by aiharatomohiko | 2007-08-07 00:10 | 医療

同意書なしの臨床試験:どんな臨床試験だったのか?


<患者同意書>48人から得ずに抗がん剤の臨床試験 神戸

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20070727-00000045-mai-soci


神戸市立医療センター中央市民病院(同市中央区)の外科医長ら医師2人

が、乳がん患者48人に対し、同意書を得ずに、通常とは異なる方法で

抗がん剤を使う臨床試験を行っていたことが分かった。重い副作用などの

事故はないというが、厚生労働省の倫理規定に反しており、

市は医師を処分する方針。

 市によると、外科医長と元医長(既に退職)の2人は04年2月、

乳がん患者の手術前に4種類の抗がん剤を投与する「術前化学療法」で、

標準的方法とは順番を変えて投与し効果を見る臨床試験を開始。

05年10月までの間に医長は30人、元医長は19人に実施した。

 厚労省の指針で、臨床試験に際しては患者に危険性などを説明し、

文書で同意を得る必要がある。2人は病院の管理部長会に提出した

実施計画書でも、患者から文書で同意を得ると説明していたが、

元医長が患者1人から同意書を得ていただけだった。

 今年6月に市が関係書類の情報公開請求を受け、同意書がないこと

が発覚。

内部調査に対し、医長は「患者に口頭で説明したが、文書での説明は時間が

かかるので省略した。同意書を取るべきだった」と不備を認めているという。

同病院は今後、他の医師の臨床試験でも同様の事例がないか調べる。

 菊池晴彦院長は「指導監督の不行き届きで手続きが不適切であったこと

について心からおわびします。再発防止を徹底して信頼回復に努力したい」

とのコメントを出した。(毎日新聞)


これだけでは、どんな臨床試験が行われたのか、よくわかりません。

同意書以外に問題点が無かったのか、少し掘り下げてみましょう。
by aiharatomohiko | 2007-07-27 21:50 | 医療

ZENITH MEETING-アロマターゼ阻害薬と骨-


ビスフォスフォネートに関する会議に行ってきました。

プラハの町は20年前と比べると、こちらの気の持ち様が違ったためか、

社会体制が変わったためか、かなり明るく感じました。

観光客も多く、カレル橋もごったがえしていました。

さて、本題の会議ですが、Novartis社がゾメタというビスフォスフォネート

を販売しているために、各地から専門医を集めて行われたものです。

いわばプロモーションですが、スピーカーとして招かれた医師は、

かなりこの問題に関して造詣の深い方ばかりで、ヘタな学会に参加する

よりもよほど有意義なものになりました。

(ヘタな学会?いちいち挙げるのが面倒くさいほどありますね。)

いくつか重要なトピックが有りましたが、なかでもアロマターゼ阻害薬による

骨塩量の減少に関してのプレゼンテーションは、非常に印象的でした。

アロマターゼ阻害薬による骨塩量の減少は、通常の閉経によるものに

比べて非常に速くおこること、経口のビスフォスフォネート・カルシウム・

ビタミンD製剤は、ドイツのデータでは服薬コンプライアンスが悪く、

1年後には半数以上の人が服薬をやめてしまっているというデータは、

自分でも心配していたことでもあり、日本でのコンプライアンスを

調べるようにしたいと思います。

また、日本人と欧米人では乳がんの発症年齢・平均寿命・骨塩量の違い

があるので、日本人でのデータを良く見てみる必要があることを

痛感しました。

f0123083_23271261.jpg
















リクエストがYoshimiさんとNさんからありましたので、写真の解説です。

場所は旧市街の一番にぎやかな広場です。

左の塔はシンボルの時計台ですが、見えにくくなっています。

真正面には有名な教会が見えるのですが、名前は、うーん、知りません。

雰囲気を楽しんで頂ければ幸いです。
by aiharatomohiko | 2007-04-30 15:58 | 医療

ブレストサージャリークリニック・岩平佳子先生


昨日は東京のブレストサージャリークリニックの岩平佳子先生にお出で

頂いて当院1例目と2例目の乳房再建手術をして頂きました。

なぜお忙しい岩平先生にわざわざ大阪にお越し頂いてまで、

当院で乳房再建術をするかというと、せっかく再建術までお受けになられる

ことを決心された方には、最高の乳房を作ってもらいたいからです。

それだけです。

岩平先生のクリニックには2度ほどお邪魔して、私が自分の目で見て、

最高の仕事を適正な価格で提供しておられるのを知っているから

お勧めできるのです。

”ひとりひとりに最良の治療効果を実現する”という当院の理念に

欠かすことができないパートナーと考えています。

当院には、既にブレストサージャリークリニックで研修を済ませた

看護師がおりますが、他の看護師にも研修に行って貰いたいと

思っていました。

こちらから指名する前に、自発的に希望したナースが二人もいたのは、

とても嬉しかったです。

モチベーションを高く持ち、専門に特化することで、

大病院では実現できない、トータルとしてとても質の高い専門病院に

することができるのではないかと思い、ワクワクしています。

今回はインプラント挿入だったので、仕上がりは8ヵ月後になるのですが、

出来上がるのが楽しみです。

手術は入院で行いましたが、術後はやはりかなり痛いようです。

これからも、当院では入院して行おうと思います。

ところで、記念に岩平先生と一緒に写真を撮るはずでしたが、

忘れてしまいました。また次回。。。
by aiharatomohiko | 2007-04-19 23:00 | 医療

ザンクトガレン・コンセンサス会議2007総括


細かい記事を書こうと思っているうちに時間が経ってしまったので、

自分なりに総括しました。

・リスクカテゴリーは不変

今回リスクカテゴリーは変わりそうにありません。

Gene signatureによるluminal A(HR+ HER2-)、 luminal B(HR+ HER2-)、

HER2+ER-、 Basal type(ER- PR- HER2-)といった分類やOncotypeDxが

いくつかのセッションで取り上げられはしましたが、採用されるには至らず。

臨床試験のデータが出るまでは、お預けになる模様です。

・ホルモン療法

閉経後にはアロマターゼ阻害薬が中心となるも、再発リスクや併存疾患に

よっては、タモキシフェン単剤もオプションとして完全に残りました。

実際に、タモキシフェンから使用すると答えたパネルが多数を占めました。

TAM is still aliveですね。

・化学療法
 
タキサンのポジショニングが難しい結果となりました。サンアントニオで

Canadian CEF>AC-PTXの結果発表があったことが影響しているようです。

どのレジメをどういったセッティングで使用するかについては、

まとまった意見がありませんでした。CMFについてもセッティングによっては

30%が使用するという意見あり。ヨーロッパではCMF強しといった

印象でした。

◎ハーセプチンについては、前述の通りです。

・術前化学療法

術前化学療法のメリットは温存率が増えることだけであるという

冷静な意見が目立ちました。予後因子としてpCRが得られるかどうかを調べる

ことを目的とした術前化学療法には否定的でした。

化学療法だけでなく、場合によってはホルモン治療も選択肢の一つに

挙げられていました。

・放射線治療

温存術後のPartial breast irradiationは、未だ臨床試験の対象。

乳房切除後のPMRTは、n>=4以上の症例には当然と言った印象。

n<=3の場合は、臨床試験を進めましょうということでしょうか。

乳房切除後にRTを行うと、再建手術がしにくくなるのが、困りものです。

f0123083_2385989.jpg

コンセンサス会議の時の写真を九州大学の久保先生に頂きました
ので掲載します。有難うございました。
by aiharatomohiko | 2007-04-08 23:44 | 医療

ザンクトガレン・コンセンサス会議:ハーセプチンの術後療法


日本では進行・再発にしか使用できないハーセプチンですが、

今日欧米では当たり前のように術後再発抑制に使用しています。

コンセンサス会議では、腫瘍径1cm以下、ホルモン陽性、

リンパ節転移陰性といった場合によってはホルモン療法さえ行わない

ような場合にも、ハーセプチンを使用するという意見が3割もあり、

少々というか、かなり驚きました。

これはやりすぎでしょうという印象をもったDRも多かったようです。

化学療法との併用については、同時併用・逐次併用があります。

術後化学療法と併用した方が、再発抑制効果が少し高いような

データがありますが、確定的ではありません。

心毒性から考えると、化学療法後にハーセプチンを開始した方が

良いのですが、悩ましいところです。

気になる日本の状況ですが、中外製薬からのインフォメーションによると、

昨年11月に厚労省に申請済み。迅速審査の対象になっているため、

遅くとも本年11月には認可される見込みとの事でした。

詳細は未確定ですが、認可はHERAタイプで、化学療法後に

3週ごとの使用となる見込みらしいです。
by aiharatomohiko | 2007-04-01 12:08 | 医療

ザンクトガレン・コンセンサス会議その1


ザンクトガレンから帰ってきて一週間近くになりますが、

研究会や出張で忙しくて内容がアップできませんので、さわりだけ。

これは、主にヨーロッパの乳癌専門医が集まって、薬物療法を中心に

どのような治療法が適切かを討議しあう会議です。

近年は、米国の専門医も多数招かれるようになり、2年に一度開かれます。

最初3日間は、いろいろなエビデンスのレビューを行うscientific

programが組まれます。

そして、最後の日の半日+アルファをかけて、エキスパートが

治療のコンセンサスを話し合うコンセンサス会議が開かれます。

この結果が日本ではとても重視されているのですが、

実際にはエキスパートの間でも意見が割れることも多く、

リスクカテゴリー別のコンセンサスとされる治療方針にも

複数の治療法が含まれます。

とても、金科玉条のようなものではない様に思います。

場所はスイスの東の端で、とてもいいところという話ですが、

チューリッヒと会議場の往復だけなので、周りの山や湖には

行った事がないのが、残念です。

ヨーロッパも今年は暖冬らしく、スキー場に雪が少ないようです。

コートも必要ありませんでした。
by aiharatomohiko | 2007-03-25 21:36 | 医療

セカンドオピニオンについて


セカンドオピニオンとは、今かかっている医師の治療方針を

別の医師が評価するという印象があるかもしれません。

本来はそうではなくて、今の患者さんの状態を別の医師が客観的に

判断して、妥当と考える診断や治療方針を示すことです。

きちんとした専門医にかかっている場合、

きちんとした別の専門医にセカンドオピニオンを聞きに行っても、

治療方針はだいたい同じになることが多いのですが、

要はご本人が納得されることが一番です。

当院に来られた方でも治療方針を迷っておられる場合には、

セカンドオピニオンをこちらからお勧めすることがあります。

たまに専門医以外にセカンドオピニオンを希望される方もおられます。

こういう場合、時間の無駄になるか、変な意見を言われて

返ってややこしくなることが懸念されたりします。

しかし、ご本人の希望なので、あまりそういうことには触れずに紹介状を

お渡しすることにしています。

また、当院にセカンドオピニオンに来られる方もいます。

一番困るのは、「今見てもらっている先生に悪いから」ということで、

紹介状も資料もなしに来院される場合です。

この場合には、ご本人がおっしゃっている事だけが頼りになります。

しかしながら、それが本当に正しいのかどうかが判断できません。

なので、基本的にこういう場合セカンドオピニオンはお断りしています。

また、「セカンドオピニオンに行きたいので、資料を下さい」といわれて

機嫌が悪くなるような医師はいくら良く見積もっても2流以下です。

そんなことで機嫌が悪くなるようなら、その時点で担当医を

変えたほうが良いですね。
by aiharatomohiko | 2007-03-13 06:01 | 医療