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乳腺外科医が乳がんの最新情報をブログで紹介しています
by aiharatomohiko
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GEICAM9906:FEC vs FEC-wPTX


本日はお世話になっていた方からリクエストがありましたので、GEICAM

9906について考察します。

この試験は、リンパ節転移陽性乳がんを対象として、FEC90x6と

FEC90x4-wPTX100x8(FEC-P)を比較した試験です。

微妙に両アームの治療期間がずれているのと、FECとwPTXの

治療期間が異なっているのが、なんだか美しくないデザインです。

PACS01の方が対象的になっていて、美しいですね。


解析対象は登録されたうちの1246名の患者さんで、5年無病生存率は、

FEC-P 78.5% に対して、FEC 72.1% (絶対差 6.4%, 95%信頼区間

1.6% - 11.2%; P = .006)と、相対比で23%の再発リスク低下を

得ています(95%信頼区間 0.62 - 0.95; P = .022)。

全生存率も相対比で22%の改善を得ています。(95%信頼区間 0.57

- 1.06; P = .110).

どのような症例に対して、wPTXが有用かという事に関して研究がなされ

ましたが、HER2やホルモン受容体との関係は見出されませんでした。


最近発表されたタキサンを使用した術後療法のメタ解析の結果で示され

たのと同程度の再発リスク低減効果が、本試験でも示されました。

この試験にはいろいろなポイントが有ると思いますが、

個人的にPACS01で示された、アンスラサイクリンの6サイクルよりも、

タキサンを追加して同期間治療を行った方が良いということが確認

されたことを重要視したいと思います。

これらの結果を演繹すると、ACx3-wPTX9の方がACx6よりも良いと

言え、であれば当然ACx4よりも良いと考えられるわけです。

そうすれば、ACx4-wPTX12をしなくても良くなるので、臨床的には

楽になるのですが、頭の中で作ったレジメが現実の世界でワークする

とは限らないため、ACx3-wPTX9を使うわけにはいかないのが辛い

ところです。FECx3-wPTXx9で試験をしてくれていたら、もっと応用

が利く解釈が出来たかもしれないですが。。。

wPTXの量ですが、E1199ではwPTX80でDTX100と同等の効果が

得られているので、wPTX100までは必要ないかもしれません。

ただ、wPTX80でデータがあるのは12サイクルです。

余談ですが、DTXはTACの試験では75が使用されていたので、

100まで必要ないかもしれません。
by aiharatomohiko | 2008-07-04 21:47 | 論文
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