タモキシフェン服用中の子宮体がんのスクリーニング |
タモキシフェンを服用している方から、“子宮体がんの検査はしなくてよい のですか?”と聞かれることが多くなってきました。そういえば、 ホームページには術後のフォローアップに関することを記載していない ので、今後充実させていく必要がありますね。しばしお待ちを。 取り急ぎガイドライン的にはどうなっているのかを以下に記します。 American Cancer Society(ACS)のガイドラインによると、 通常リスク:子宮体がんのスクリーニングは、推奨できない。 ランダム化試験のデータが無いためであるが、試験がなされないのは 不正出血で早期にみつかることが多いからとされています。 中等度(増大)リスク:子宮体がんのスクリーニングは、推奨できない。 タモキシフェン服用をふくむ子宮体がんのリスクが増大している人に とっても、通常リスクの人と同様に、不正出血で早期にみつかることが多い ため、通常リスクと同様の推奨となっています。 高リスク:HNPCCという遺伝性大腸がんの遺伝子に異常のある人だけが 当てはまります。35才までに毎年の子宮内膜生検による健診をはじめるよう 勧められています。 出典:American Cancer Society guidelines on testing for early endometrial cancer detection-update 2001. In: American Cancer Society guidelines for the early detection of cancer. American Cancer Society - Disease Specific Society. 2001. 6 pages. NGC:001975 ASCOの2006年の乳がん術後フォローアップに関するガイドライン では、“Regular gynecologic follow-up is recommended for all women. Patients who receive tamoxifen therapy are at increased risk for developing endometrial cancer and should be advised to report any vaginal bleeding to their physicians.”とあります。 Regular gynecologic follow-upが具体的に何を意味しているのか 分かりませんでしたが、後に続く文章の意味を考えると、ACSと同様に 不正出血に気をつけなさい、そして不正出血があれば検査を受けなさい という意味だと思います。 日本産科婦人科学会では、以前に子宮体がん検診を勧めるガイドラインを 出していたようですが、現在のものは確認できませんでした。 以上のガイドラインに則って、現在はタモキシフェンを服用している方に対する 定期的な子宮体がん検診はお勧めしていません。 結構痛い検査のようですし。 もちろん、医学的なメリットが明らかでないことを理解されたうえで、ご本人の 希望で子宮体がん検診をお受けになられることは、全く問題がありません。 今後タモキシフェンを服用する期間が5年を超えてくるようになると、少々話し が変わってくるかもしれませんが、これは今後の課題とさせて下さい。 |
by aiharatomohiko
| 2008-03-30 10:36
| 医療
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