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乳腺外科医が乳がんの最新情報をブログで紹介しています
by aiharatomohiko
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温存術後の放射線治療省略 その1

温存療法とは乳腺部分切除術に加えて放射線治療を行うことが標準ですが、再発リスクの低いケースで放射線治療を省略できないか、という研究がいくつかなされています。大規模なものは今後報告されますが、最近報告された研究を見てみました。

一つめは日本の研究です(Breast Cancer. 2023 Jan;30(1):131-138.)。WORTH 1および2の、2つの連続した前向きコホート研究の統合解析結果です。症例数は321例とそれなりの規模の研究です。

適格基準は、原発性女性乳癌患者かつ以下の通りです。
(1)触診径3cm以下、(2)腋窩郭清またはセンチネルリンパ節生検で病理学的にリンパ節転移陰性でM0、(3)術前治療を受けていない、(4)手術時50歳以上で閉経後、(5)組織学的に断端から5mm以内に腫瘍細胞がない、(6)原発癌周囲のリンパ管侵襲がない、(7)各施設でエストロゲン受容体陽性と判定、(8)確定手術後8週間以内。

結果です。
主要評価項目はIBTR(温存乳房内再発)の割合で、追跡期間中央値は94ヵ月(4-192ヵ月)でした。術後補助化学療法を受けた患者は3例のみで、5年および10年のIBTR無発症率はそれぞれ97.0%および90.5%でした。手術時の年齢とPgRは、それぞれ独立してIBTR率に影響したため、手術時年齢が65歳以上でPR陽性の136症例に絞った場合には、IBTRを認めない割合が、5年および10年でいずれも98.4%だったと報告されています。

10年で10%の再発はやや多い印象ですが、post-hoc解析により対象を絞ることで、臨床病理学的な因子だけでIBTRの低いケースを選択できる可能性が示唆された臨床へのインパクトがある素晴らしい研究だと思います。昔のコホートなので、核異型度やKi67の値が集められていないようなのが残念ではありますが、各異型度1でKi67が低い症例に限れば、もう少しIBTRの割合が低くなることが期待されます。


by aiharatomohiko | 2023-12-22 23:42 | 論文
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