しぼむアテゾリズマブへの期待 IMPASSION130と131 |
良くない情報は目立たないように報告されるものですね。Positiveなら学会発表と同時にNEJMに報告されるのに。
昨年のESMOでアテゾリズマブの有用性を検証するIMPASSION130試験のOSの最終解析結果がひっそりと報告されていました。
以下がその結果です。真の評価項目である全生存期間は統計学的には有意に改善はされなかった、ということが骨子です。中間解析結果を見るとOSでも何とか有意になりそうだったのですが、ダメでした。
Final OS analysis A + nP (n = 451) P + nP (n =451) ITT population Events, n (%) 322 (71) 344 (76) Median OS (95% CI), mo 21.0 (19.0, 23.4) 18.7 (16.9, 20.8) Stratified OS HRa (95%CI); log-rank P 0.87 (0.75, 1.02);0.0770b 3-year OS (95% CI), % 28 (24, 32) 25 (21, 29) PD-L1+ population c (n = 185) (n= 184) Events, n (%) 120 (65) 139 (76) Median OS (95% CI), mo 25.4 (19.6, 30.7) 17.9 (13.6, 20.3) Stratified OS HR (95% CI) 0.67 (0.53, 0.86)d 3-year OS (95% CI), % 36 (29, 43) 22 (16, 28)
ITTで有意でなければ、PDL1陽性では検定が出来ない(ITTでαを消費してしまったため)デザインでしたので、いくらPDL1陽性でデータが良いように見えても、それはまぼろしかもしれません。
ESMOの発表では、苦し紛れに“clinicallymeaningful OS benefit was observed in PD-L1+ pts”って書いていますけど、これは発表者バイアスなので、われわれ臨床家はまともに受け取ってはいけません。
パクリタキセルを使用したIMPASSION131試験では、アテゾリズマブはPFSを改善しなかったばかりか、OSでは悪い傾向にあるということで、、、
まとめると、nabPTXとの併用でアテゾリズマブはPFSを改善するが、OSの改善は見られなかった。PTXとの併用では、アテゾリズマブはPFSを改善しなかったばかりか、OSでは悪い傾向にある。なんじゃこりゃ。中間解析での期待は幻だったのか。。。
副作用のプロファイルを考えると、真のエンドポイントを改善しないのならば、ただただ使いにくくて患者さんに対するベネフィットは??という印象です。
P3の結果はまだ論文化されていないものの、現時点でのデータをみると、今後はSacituzumab Govitecanなどの抗TROP2抗体がtriple negativeの治療の中心になるでしょう。心から早く上市して欲しいと思います。
追記:ほかのPD1/PDL1抗体に関しては、OSの結果はまだなので、この系統の薬剤全てが今一と決まったわけではありません。 |
by aiharatomohiko
| 2021-03-06 22:18
| 論文
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