n0高リスクに対する術後ハーセプチン投与期間短縮その2 |
結論から言えば、n0 高リスクのHER2陽性乳がんの術後治療で、trastuzumabの1年間の投与は必須ではないと思われる。なぜならば、投与期間を6月に短縮することで高くなることが懸念される、再発リスクの絶対値は1%未満と推定され、臨床的に無視できるほど小さいうえに、抗HER2療法に伴う心血管系の毒性ならびに通院を含めた医療コストが半分以下に減少することがその理由である。
たしかに、標準治療とされているtrastuzumabの1年投与に対して、試験治療である短縮期間投与が臨床的に劣らないかを検討したランダム化比較試験(すなわち非劣性試験)は今までに5件報告されているものの、非劣性が検証されたのはわずかに1件だけである。他の試験では非劣性が検証されていないためこの試験ではαエラーによりたまたま非劣性が検証されたのではないか、この試験で設定された1.29というハザード比の非劣性マージンの大きさが妥当かどうか(すなわち大きすぎるのではないか)、といったような批判は当然ありえるだろう。
しかしながら、全ての試験のデータを総合的に検討することで、そういった批判が当たっておらず、大部分の患者さんでは1年投与より短縮期間投与、具体的には6月投与が臨床的に妥当であることがわかる。まずは短縮された投与期間ごとに臨床試験の結果を見ていきたい。 |
by aiharatomohiko
| 2020-05-23 21:09
| 医療
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