BOLERO2から振り返るフリカケ薬の話 その4 |
さて、それでは最近売り出されたホルモン治療のフリカケ薬である、CDK4/6阻害薬はどうでしょうか。効果については、複数ある薬剤のいずれもほぼ同じです。進行・再発乳がんの一次治療でのPFSはハザード比が0.6から0.7程度の改善を示しています。副作用は、骨髄抑制が中心ですが薬剤によっては消化器症状が強いようです。
アロマターゼ阻害薬抵抗性の二次内分泌療法としてのフルベストラントとCDK4/6阻害薬の併用療法のPIIIは2件あります。結果は似たようなものです。PFSのハザード比が0.6から0.7程度の改善があります。すなわち、CDK4/6阻害薬は治療のラインや併用するホルモン剤によらず、PFSのハザード比を0.6から0.7程度改善することがわかります。 なお、OSの改善効果はまだ報告されていません。これだけ研究がなされていると、いずれかの試験ではOSの改善効果が報告されるのではないでしょうか。仮に単一の試験でOS改善効果の証明が無理ならば、おそらく無理くりにでもメタ解析がなされるであろうことは請け負います。
進行・再発乳がんでは、ホルモン治療とCDK4/6阻害薬の併用は、2018年版の乳癌診療ガイドラインで強く推奨されています。ただ、現状ではOSの改善効果が明らかではないため、誰でも彼でも使用するという事にはならないと思います。新薬大好きな米国でも確か50%前後の使用率だったように記憶しています。
これらを反映してか、一次治療では、アロマターゼ阻害薬単独とフェソロデックス単独も、アロマターゼ阻害薬とCDK4/6阻害薬の併用と同様に強く推奨されています。何れを選択すべきか、なぜいずれも同様の推奨なのかについては、ガイドラインでは示されていません。患者の希望という言葉でその辺りはぼかしているようにも見えますが、ガイドライン作成の難しさが伺えます。 |
by aiharatomohiko
| 2018-09-29 21:06
| 医療
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