BOLERO2から振り返るフリカケ薬の話 その2 |
BOLERO2はアナストロゾールもしくはレトロゾールを服用中に再発したもしくは増悪した局所進行もしくは転移乳がんを対象とした、盲検プラセボ対照ランダム化比較試験で、プラセボ+エキセメスタンとエベロリムス+エキセメスタンが比較されています。 結果は、無増悪生存期間が、プラセボ+エキセメスタンで2.8月、エベロリムス+エキセメスタンで6.9月と4か月の延長で、ハザード比は0.43と有意な結果でした。 PFSが2倍以上に延びています。奏効率も1.7%vs12.6%と大幅に改善されています。有害事象はエベロリムス群で口内炎と肺炎が多い。ただ、真のエンドポイントであるOSに有意な改善は見られなかった。QOLはエベロリムス群で有意に良好であった、というものです。 抗腫瘍効果はアバスチンと似たような傾向ですが、患者さん目線で重要なのは、エベロリムスでは副作用が多く出るにもかかわらず、HRQOLが改善されているという点だと感じます。FDAがアバスチンの認可を取り消したのに、エベロリムスの認可を取り消さなかったのは、その辺りにあるのかなあ、と漠然と考えていました。 ということで、エベロリムスによるQOLの改善効果を報告した2013年のCancerの論文を読んでみました。 この論文では、EORTCQLQC30のglobal health statusのscoreのベースラインから5%の低下をイベントとして、カプランマイヤー曲線で両群を比較したものです。この論文では、確かに”The median TDD in HRQOL was 8.3 months with EVE+EXE versus 5.8 months with PBO+EXE (hazard ratio, 0.74; P<.0084).“という結果が報告されています。(写真上) しかしながら、以前にQOLが変わらなかったという発表を見た記憶があったので、調べてみました。 2011年のECCOです。この報告では、median TDDは4.5月と4.4月で変わりはなく、ハザード比が0.91(95%CI 0.68-1.20 p=0.217)と有意な結果ではありませんでした。(写真下) イベント数は367vs324と学会発表の方が少ないので、これは中間解析に当たるはずですが、論文としては発表されていないようです。しかも、有意な差があったと報告された2013年のCancerの論文では、中間解析の事は触れられておらず、両側α5%で検定しているのです。中間解析が行われるとαが消費されるので、本解析で両側5%というのは通常あり得ないことになります。さらには、イベント数が10%ほど増えただけで、こんなに中央が変わりかつ結果が激しく有意になるのはちょっと奇異に感じましたので、ノバルティス社に問い合わせてみました。 その結果、なんと驚愕の事実が。。 |
by aiharatomohiko
| 2018-07-11 23:16
| 医療
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