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乳腺外科医が乳がんの最新情報をブログで紹介しています
by aiharatomohiko
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FALCON試験 名前は強そうだけど、

術前後も含めてホルモン治療が以前になされていない、閉経後局所進行または転移乳がんの一次ホルモン治療(化学療法は一レジメンまで許容)において、アナストロゾール1mgとフルべストラント500mgを比較した、ダブルブラインド・ダブルダミーのランダム化比較試験であるFALCON試験の結果です。

462例の患者さんが登録され、PFSが主要評価項目でした。PFS中央値はフルベストラント群において16.6カ月、アナストロゾール群では13.8カ月と、でフルベストラントの方が2.8カ月長かったことが示されました(ハザード比:0.797;95% 信頼区間:0.637-0.999; p=0.0486)。

副作用には、大きな差はありませんでした。


OS
については、おそらくゲートキーピング法でαが残った状態で検定が今後なされると思いますが、薬剤のクロスオーバーは許容されているはずですので、ほぼ同等ではないかと予想します。


以上を所与の条件とし、その結果と臨床での使用を考察してみました。


フルベストラント
500mgは、ホルモン治療がなされていない閉経後局所進行または転移乳がんの一次ホルモン治療における標準治療の一つとなったわけですが、全例に一次治療として使用するかどうかが問題です。三か月のPFSの延長がメリットですが、筋肉注射の侵襲と煩雑さというデメリットを考えると、どうでしょうか。

PDになればいずれにせよフルベストラントは使用するわけですし、OSが変わらない(仮定)のであれば、非侵襲的な治療から始める方が患者さんにとっても医療者にとっても良いという考え方もあるでしょう。フルベストラントを二次治療以降に使用すると一次治療に使用する場合と比べると治療期間が短くなるため、侵襲的な治療が行われる期間が短くなります。費用の問題も馬鹿にはなりません。


さて、この試験の対象が
de novoに限られたため、術後にAITAMの治療をして再発した人には本試験の結果が適用できません。当たりまえですが。単純のために術後AIを使用中に再発した場合で考えると、使用する薬剤の候補は、フルベストラント、TAM、術後使用していた薬剤がANA/LETであればEXEになるかと思われますが、こういった対象での比較試験は行われていない様ですから、何れが優れているかは不明です。なので、この場合も何れを使用しても問題ないでしょう。以下のデータもありますし。


補足:フルベストラント
250mgとタモキシフェンの比較はありますが、やはりホルモン治療がなされていない閉経後局所進行または転移乳がんの一次ホルモン治療というセッティングです。しかも、その結果は、TTP; median TTP, 6.8 monthsand 8.3 months, respectively; hazard ratio, 1.18; 95% CI, 0.98 to 1.44; P =.088と、フルベストラントは250mgとはいえあわやタモキシフェンに負けそうなデータでした。J Clin Oncol. 2004 May 1;22(9):1605-13.


by aiharatomohiko | 2017-08-06 22:14 | 論文
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