Guarantee-Time Biasおそるべし! |
Guarantee-Time Bias(GTB)っていうのがどういったバイアスであるのか、この論文を読むまで有ることすら知りませんでした。あまりに難しそうな内容に思えたので手に取ってみたものの、読む気にならずゴミ箱行きになっていたのですが、原先生のFBをみてゴミ箱から拾い上げることが出来ました。感謝です。読んでみると結構乳がんの臨床研究でも問題になっているバイアスである事が理解できたので、興味のある方は一読をお勧めします。(JCO 2013年 8/10号) このバイアスは、ランダム化していない2グループ間の生存時間の比較をするときにおこり得ます。この論文では、臓器移植をしたグループと臓器移植をしなかったグループを比較すると、臓器移植をしたグループではそもそもドナーが見つかって移植をするまで生存する必要があるので、その時間の分臓器移植を受けなかったグループよりも生存時間に下駄をはくことになり、仮に臓器移植による生存期間延長効果がなかったとしても、臓器移植によって生存時間が長くなったように見えるということが例として挙げられていました。説明が下手なので、引用した図を見て下さい。 この論文では、乳がんの臨床試験もいくつか引用しています。 一つは、抗がん剤治療によって化学閉経したグループの方がしなかったグループよりも生存期間が長いという知見についての考察です。当初NASBP B30試験では、ER陽性・陰性に関わらず化学閉経したケースの生存率が良かったと報告されていたものの、研究者はその後このバイアスがあることに気づいたため再度解析を行い、予後改善効果はER陽性だけに限定されていたと報告しなおしたとのことです。IBCSG13-93で同様にGTBを考慮した解析を行ったところ、同様の結果になったとのことです。この場合には、閉経になったケースはランダム化から閉経が確認されるまでの期間は無再発でいることが保証されるために、その分生存時間に下駄をはいていたからGTBを考慮しない解析を行ったために、当初はER陰性でも閉経したケースの予後が良かったようにみえたという事らしいです。たぶん。 化学閉経になったケースの予後が良いからといって、化学閉経しなかったケースにLH-RHを使うことが予後を改善するかどうかわからないのですが、さてどうしましょうか? おそらく、続く。。。 |
by aiharatomohiko
| 2013-10-06 22:04
| 論文
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