pCRと予後:定義とサブタイプ |
von Minckwitzらのアンスラサイクリン-タキサンベースのPSTを行った 臨床試験6,377名のデータを集めて抗腫瘍効果と予後の関連を検討した 貴重な論文を読んでみました。 Definition and Impact of Pathologic Complete Response on Prognosis After Neoadjuvant Chemotherapy in Various Intrinsic Breast Cancer Subtypes J Clin Oncol. 2012;30(15):1796-804 pCRの定義において、腫瘍残量が最も少ない定義の予後予測力が最も強い。 これは当たり前とはいえます。Table2 ![]() OSのイベント数が少ないために決定的なことは言えないものの、 OSのハザード比がDFSと同じかそれよりも高い傾向があるようにも 見えます。Table2。 pCRになったケースは、化学療法感受性が高く、再発後の化学療法にも 反応する可能性が高いためでしょうか? サブタイプ別でみると、luminal A(この論文の定義では、ER/PR陽性 でNG1か2)の場合には、pCRとnonPCRでDFS,OSは差がありません でした。ER/PR陽性でHER2陽性の場合にも、同様な結果でした。 注意すべき点は、ハーセプチンを使用した場合には、DFSは変わらない もののOSでpCR になったケースの方が良い傾向にあったことでしょう。 ただ、イベント数が11のため、未成熟なデータではあります。Table3 ![]() ER/PR陽性/NG3の場合、ER陰性/PR陰性/HER2陽性もしくは HER2陰性の場合には、DFSでハザード比が4から8程度、OSで5から14 程度と著明な改善を得ています。 この論文からわかったことは、pCRがよい予後因子となるのは主にER陰性 のケースであることです。ただ、このことはER陽性で化学療法の効果が ないということを意味しない(EBCTCG 2012, Lancet) ことに留意する必要があります。念のため。 ![]() 余談ですが、この論文のcommentaryで、ミシガンのD.Hayesらは 化学療法が必要になるケースのほとんどで術後化学療法が標準である と述べていました。NACは標準治療ではないということですが、 個人的には全く同感です。 さて、本論文に関して、ルミナルAの予後が悪すぎるのではないか (5年DFSが80%強)、というご指摘を頂きました。 その時には即答できませんでしたが、論文を振り返ってみると、対象 となっているのがcN0とcN1以上が半々で、neo-adjuvantが必要な ケースであることを考慮すると、悪すぎるとまでは言えないのではないか とも思えました。いかがでしょうか。 |
by aiharatomohiko
| 2012-08-01 00:00
| 論文
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