先進医療というファンタジー |
世の中には先進医療というカテゴリーがあります。 名前は、”先進“ですから、とんでもなく効果の高い先進的な治療法 が出てきたかのように思えます。患者さんも新しい治療法はないか、 ということは常に気にかけておられるので、診察時にどのようなものか と聞かれることがあります。 しかしこれは名前倒れなんですね。 このカテゴリーに入る治療法や検査法は、新しく開発されたひよっこ の段階で、リストを見てみても標準的な治療法や検査法と比べて良いか 悪いか見当が付かないものがほとんどです (http://www.mhlw.go.jp/topics/bukyoku/isei/sensiniryo/kikan02.html)。 つまり将来的に標準治療となるような優れた治療法が含まれている 可能性があるものの、しばらくすると消えているような治療法も多く 含まれていると考えるのが理性的です。 しかしながら、“先進医療”という名前からそういった事を専門家 でない人間が伺い知るのは難しいでしょう。内容を正確に表すと、 ”新規実験医療“という名前になりますが、それではカッコが悪い ということなのでしょうか。 個人的には、こういった名前をつけてよく恥ずかしくないものだと 思います。四文字熟語では、羊頭狗肉。こういった素人を騙すような ネーミングは止めて頂きたいのですが、効果が確立されていなくても 新しければ”先進“という“ノイエス病”に取り付かれているかのようです。 患者さんには医療の詳しい内容は分かりにくいので、大きな病院で 先進医療が行われていると聞けば、それを頼りにしてしまうのは 仕方がないことです。 ただ、これに振り回されて貴重な時間を浪費させられては、 堪ったものではありません。良いものではなく良く見えるものが売れる という法則がありますが、標準治療が現時点での最善の治療法である ということをよく理解して、あやしい先進医療に惑わされない様にしたい ものです。 |
by aiharatomohiko
| 2011-10-26 22:29
| 日常
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