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乳腺外科医が乳がんの最新情報をブログで紹介しています
by aiharatomohiko
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サンアントニオ2008 BCIRG005 決定的な結果


3298名のHER2陰性、リンパ節転移陽性乳がんを対象とした、術後化学療法

のランダム化比較試験です。

AC60/600 4サイクル-DTX100 4サイクルとTAC75/50/500といった

東西の横綱レジメが直接比較されており、症例数も十分なので日常臨床に

有用な結果が得られることが期待されていました。

65ヶ月時点でのデータで、イベント数が708と十分に観察されています。


その結果は、無病生存率と全生存率の生存曲線が2つの治療群で全く

といっていいほど同じであり、効果は同等と結論付けられると考えます。

副作用に関しては、発熱性好中球減少症がTAC群で多かったものの、

爪毒性、筋肉痛、末梢神経障害はAC-DTX群の方が多かったという

結果でした。


以前発表された臨床試験の結果からは、アンスラサイクリンレジメと比較して、

無病生存率がAC-PTX175で約20%、TACで約30%改善されていたため、

TACの方がAC-PTXよりも効果が高いのではないかと予想されていました。

次に行われたE1199では、AC-PTX175<AC-DTX100(=AC-wPTX80)

という結果が得られています。

そのため、AC-DTX100=TACは納得のいく結果でした。

登録数が多い試験の結果だと、間接比較でもかなり精度の高い比較が可能

になるかもしれません。もちろん、注意は必要ですが。


最終的には、再発リスクの高い人でタキサンを使用したい場合には、

AC-wPTXかAC-DTXかTACがほぼ同等の有効性を持つので、どれか

を選択すればよいということになります。

本試験の結果により、術後化学療法の際にどのレジメを選択すべきか

ということについて、かなり結論的な事が言えるようになりました。


FECx3-DTXx3サイクルは、FECx6がACx4よりも有効性が高いと考えた

場合には、ほぼこれら3つのレジメと同じ位置づけになるのではないで

しょうか。

FECx6がACx4と同程度と考えた場合には、出番はあまりなくなるでしょう。

まあ、現時点でどちらかに結論付けるのは無理です。


TCですか。。。本当にTCでACより33%も無再発生存率が改善されるの

ならば、AC-DTXもAC-wPTXもTACも不要になりますね。

TACからAを抜いて6サイクルを4サイクルに減らしたようなレジメが

TACと同じような効果っていうこと、常識的に考えてありえますかね?

今行われている(計画中?)TCx6とTACx6の結果が出てDFSが同じ

であれば、私も考え直しますけど。

個人的には、少なくともTCはACに劣ることはないというくらいの位置づけです。
by aiharatomohiko | 2009-03-03 23:34 | 学会
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