サンアントニオ2008 BIG1-98試験up date |
タモキシフェンとレトロゾールの比較を行ったBIG1-98試験の 76ヶ月のup dateのデータも発表されました。この試験でも タモキシフェン群の25%が途中でレトロゾールに切り換えられた ため、ITTと切り換え時に打ち切りという二つの解析が行われました。 ITT でのハザード比は0.88、打ち切りにすると0.84、真実の 値はこの間くらいに存在すると考えてよいので、ATACとほぼ 同じくらいか。 全生存率では、ITT でのハザード比は0.87、打ち切りにすると 0.81で、統計学的にも有意差が出そうなくらいです。 ここがいつまで待ってもタモキシフェンとアナストロゾールで 全生存率に差が出そうにないATACと大きく違うところです。 ただ、アナストロゾールとレトロゾールのどちらが真に優れている のかを結論付けるためには、直接比較のデータを待つ必要があります。 これに続いて、レトロゾール対タモキシフェン→レトロゾールと、 レトロゾール対レトロゾール→タモキシフェンという2種類の 切り換え方法との比較という興味深い結果が発表されました。 71ヶ月時点のデータで、プロトコールによる最終解析との事でした。 とても期待した発表でしたが、カプランマイヤーがベタベタにくっつい ていることや、多重比較検定による第一種過誤率の増大を避ける ために信頼区間を99%に取っているためか、イベント数が足りず 群間差が出ないという残念な結果に終わりました。 5年無病生存率は、レトロゾール単独の87.9%に対してレトロゾール →タモキシフェンで87.6%、タモキシフェン→レトロゾールで86.2%でした。 フォレストプロットをみるとタモキシフェン→レトロゾール< レトロゾール単独=レトロゾール→タモキシフェンと言いたくなりそうです。 厳密に言うとレトロゾールが2年入っていればどれも大差ないといわざる を得ないのですが、やはり累積イベント発生率曲線を見ると、 タモキシフェン→レトロゾール<レトロゾール単独=レトロゾール→ タモキシフェンという印象が強くなります。 TEAM試験の最終結果が出てメタ解析をすることで、 タモキシフェン→アロマターゼ阻害薬対アロマターゼ阻害薬の優劣に ついては、決着がつくかもしれません。 しかしながら、アロマターゼ阻害薬→タモキシフェン対アロマターゼ阻害薬 の優劣は、迷宮入りになりそうです。 |
by aiharatomohiko
| 2009-01-19 23:18
| 学会
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