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by aiharatomohiko
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ASCO2015:DCISでANAはTAMより良いものの。 

乳房温存術後の薬物療法としてTAM5yとANA5yをダブルブラインド・ダブルダミーで比較したNSABP B-35(n=3000、観察期間中央値9年)の結果が報告された。

DCISは遠隔転移がほとんどないので、局所再発と対側乳がんの発症を抑えることが薬物療法の主な目的になると思われる。この試験では、エンドポイントが局所再発・領域再発・遠隔再発・対側乳がん発症を合算した複合エンドポイント(breast cancer free intervalと称す)が採用されている。

カプランマイヤーをみると、96か月くらいまでは両者変わらないのだが、120か月でガクッと開き、絶対値で93.5%vs89.2%ハザードは0.73(p=0.03)であった。ちなみに120か月でのアトリスクは18%と少ない中での結果である。観察期間中央値が108か月ということだから、もう1-2年くらい辛抱すればもっと精度が高く治療効果が推定できるのではないかと思うけれども、時間も大事ということでしょう。

イベント数はTAM 114 vs ANA 84であった。エンドポイントごとのイベント数は全ては明記されていないが、同側乳房再発は TAM 53 vs ANA 43(HR0.80)、対側乳房再発は TAM 55 vs ANA 37(HR0.67)であった。これらを合算するとTAM 108 vs ANA 80なので、遠隔再発と領域再発はTAM 6 vs ANA 4ということになります。

重篤な副作用は、子宮内膜がんのイベント数がTAM 17 vs ANA 8、骨折がTAM 50 vs ANA 69、血栓症がTAM 41 vs ANA 13であった。

ちなみにOSはTAM 92.1% vs ANA 92.5%とNSであったので、害の部分を含めても真のエンドポイントにおいて両者あまり差が無いとは言える。

60才で分けた時に、年齢と治療効果に質的交互作用があったことが示唆されている(p=0.04)。60才で乳がんやホストに生物学的な変化が起こるのでないだろうから、これを説明する仮説とそれを裏付けるデータが取れているのかが気になる。そうでなければ偶然か。

さて、無治療と比較するとどうなるだろうか。
同側乳房再発の危険性と対側乳房再発の危険性をいずれも年率0.5%と仮定した場合には10年で、
無治療 5% 5%
TAM 3.5% 2.5%(無治療と4%の差 NNT25)
ANA 2.8% 1.7% (無治療と5.5%の差 NNT18)
実際に観察された差よりもかなり小さくなるが、そもそもアトリスクが少なくなる120か月付近で差が大きく開いている事を考えると、この推定もあながち的外れでもないように思える。

実臨床ではどうすべきか。血栓症が気になる欧米人にはANA、骨粗鬆症が気になる日本人にはTAMということになるかもしれないが、治療効果と害のバランスを考えるとDCIS温存術後には無治療という選択肢が、個人的には変わらず一番のお勧めではあります。
by aiharatomohiko | 2015-06-28 10:32 | 学会