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by aiharatomohiko
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SABCS2012 概要

今年のサンアントニオは、例年になく暖かく最高温度は25℃を超える日

もありましたが、朝夕は涼しく、会場の冷房は効き過ぎるくらいでした。

時差ボケは例年のごとくで、特に午後昼食をとってからひどくなります。

今回もPIIIの試験結果がいくつも発表されています。また、N-SAS BC03

の長期フォローアップのデータを愛知県がんの岩田先生と杏林大学の

井本先生にご発表頂き、意義深い学会となりました。
by aiharatomohiko | 2012-12-08 07:11 | 学会

SABCS2011 Gepartrioその2


なぜこの試験のデザインがいい加減というか目茶苦茶と思うかという

ことですが、その理由の一つとして規模の相当大きい試験にもかかわらず、

Primary endopointが、Pathologic response (responder)と

Sonographic response (non-responder)であり、Secondary が

5-year DFS and OSであるということがまず挙げられます。


次に、というかこれこそが野心的というか

DFSとOSの試験アームが、responderでTACx8とnon-responder

でNXを行う群をresponse guide armとして合わせて解析していることです。

つまり、研究仮説として、responseしてTACを追加する効果とresponse

しなくてNXに変更する効果が同様であるとしているということです。

ちょっとこれって仮説として有り得ないのではないか、というのが

率直な印象です。
by aiharatomohiko | 2012-02-12 23:00 | 学会

SABCS2011 pCRは忘れて良い clinical responseこそが重要

デザインはいい加減だけど結果はとんでもなく素晴しいGepartrio

に移りましょう。


この試験は、術前化学療法としてまずTAC 2サイクルを行い、

PR/CRの場合には、TACx6とTACx8を比較する。

NCの場合には、TACx6とNX(ナベルビン+カペシタビン)を比較する

という試験です。2072名の登録がありました。


結果をかいつまんで言うと、病理学的奏効についてはresponder(n=1344)

でTACx6 21.0% vs TACx8 23.5% p=0.27、non-responder(n=604)

で、TACx6 5.3% vs TAC-NX 6.0% p=0.73と差を認めなかった(既報)

にもかかわらず、DFSでTACx8とTAC-NXの試験治療がどちらもTACx6

に勝ちました。


これだけ見ても、pCRという指標には臨床的有用性が乏しく、臨床的奏効

が重要であることがわかります。臨床的有用性が乏しいという意味は、

pCRになったら予後が良いというのは分かる、でもこれがその後の

治療方針の決定に何かの役に立つの?という意味です。

現状は”pCRになったから(ならなかったよりも)治る可能性が高いです。

よかったですね。”と患者さんに説明する以外に有用性が見出せない

わけですから。

今もあまた行われている、再発抑制効果が明確でない薬剤が使用

されているpCRをエンドポイントとしたPII試験は倫理的に大きな

問題をはらんでいる様な気がしてなりません。


さて、この結果を翻訳すると、”臨床的奏効が得られたときには突っ込

んで治療せよ。効果が無かったときには薬を変更せよ”というものです。

この研究から生じる新たな疑問は、”効果があったときに突っ込んで

治療するのと、薬を変更するのはどちらが良いのか”という事ですが、

彼らのことですから、既にこのデザインの試験は行われているのでは

ないかと思います。


個人的にはこの発表が今回のサンアントニオで最高の発表であり、

術前化学療法の臨床試験のなかでも最高傑作といえるのではないかと

考えています。もちろん、結果がconfirmされたら、という前提は

付きますが。


もうちょっとこの試験の考察は続きます。
by aiharatomohiko | 2012-01-28 22:36 | 学会

SABCS2011 4アウトでも、アバスチン祭りは開催中らしい


AVEREL試験

HER2陽性転移乳癌を対象として、ドセタキセル+ハーセプチン±

アバスチン15㎎ q3wの試験。

n=424  中央値26か月フォローのデータが発表されました。

PFS 13.7月vs16.5月 HR0.82 (95%信頼区間 0.65-1.02)

とPFSは改善傾向だったが、

全生存期間は HR1.01(95%信頼区間0.74-1.38)とまるっきり

改善傾向が見られず、HER2陰性での試験を再現しただけでした。

血中VEGFが予測因子となる可能性が指摘されたのが、唯一の収穫か。


HER2陰性の3試験で全生存期間の改善がみられず、HER2陽性でも

ネガティブ、4アウトを献上というのが普通の読み方なんだろうけど、

提灯記事ならば、”アバスチンがHER2陽性乳癌でも無増悪期間を

改善の傾向”という見出しですね、きっと。


そうそう、アバスチン祭りが各地で開催中らしく、処方は

西高東低らしい(未確認)。


これに限らず、”企業スポンサードの研究会”もしくは

”企業スポンサードの学会でのランチョン”で、”名前が知られ

ている先生の講演”が組まれていたら、それは企業による”洗脳”

であると考えてまず間違いないです。

節操の無い講演をする人もいるようなので、話半分に聞くのが

無難です。


企業は売るのが仕事(ノルマの無い会社は無い)。

われわれは患者さんのリスク・(コスト)ベネフィットを考えて

使うか使わないか判断するのが仕事。
by aiharatomohiko | 2012-01-13 22:35 | 学会

SABCS2011 BOLERO2


レトロゾールかアナストロゾールで病勢が進行した閉経後ホルモン

感受性転移乳がんを対象として、エキセメスタン±エベロリムスの

比較試験が行われました。学会中発行のNEJMに掲載されました。

n=724で試験治療2:標準治療1のランダム化がなされました。

背景として、タモキシフェンが約半数、化学療法が約1/4、

フェスロデックスが約15%に使用されていた。


予定された中間解析の結果でO’Brien-Fleming boundary

を超えて優越性が証明されたので、結果が発表されました。


PFS ハザード比0.44(0.36-0.53)7.4 vs 3.2か月と有意な

改善が見られました。

イベント数も457と十分です。

しかしながら、中央判定ではHR = 0.36 (95% CI: 0.28-0.45)、

イベント数282とまあまあな違いが見られます。サブグループ解析では

背景因子の違いを超えて効果の一貫性が証明されています。

なお、学会発表はアップデートされたデータなので、論文とはごくわずか

数字が違います。


OSはイベント数が少ないため、最終解析は来年末以降になる予定ですが、

2011/7/8時点で137イベントが観察され、エベロリムス群では17.2%、

プラセボ群では22.7%と、最終解析で改善される可能性が高いのでないか

と思います。


副作用は併用群で頻度が高く、特に口内炎・発疹・食欲不振・肺炎などが

気になります。QOLに差はなく、骨代謝は併用群で悪い傾向にあった

とのことです。


OSでの差が確認されれば、認可されたら使用することになるのではないか

と思いますが、恐ろしく高額らしいのと副作用が気になります。
by aiharatomohiko | 2012-01-09 16:33 | 学会

SABCS2011 センチネルのマイクロメタに腋窩郭清は必要?


IBCSG23-01試験は、センチネルリンパ節のマイクロメタに対して

腋窩郭清なしvsありのRCT。 


対象はSn転移径2㎜以下(腫瘍径5㎝以下多発可)。

SNは50-200nmの厚さで切片作成。


一次評価項目はDFSで、当初n=1960のターゲット。

558イベントで、NoAD(郭清なし) vs ADのハザード比が

1.25で非劣性という研究仮説。


実際の集積はn=934 (10年間)

中央値57か月で98イベント 予定の五分の一

温存が90%、RTが90%、ホルモン治療が60%。 


結果:NoAD vs ADのイベント数が46 vs 52とNoAD群で少なく、

HR 0.87で95%CIの上限が1.12だったため、非劣性が証明されたと

結論された。こんな感じで比劣性というような結果が多いですね。


イベント数が少なく、絶対的な結論が得られるわけではないが、

非郭清でもあまり問題はないとは言えそう。
by aiharatomohiko | 2011-12-30 15:31 | 学会

SABCS2011 イバンドロネートもダメ


イバンドロネートの効果を検討したGAIN試験の結果も発表されました。

ddETC vs EC-PTX/X±イバンドロネートを比較した2x2の試験です。

n=3023 中央値39ヶ月の一回目の中間解析の結果です。

ibandronate vs none は 2:1に不均等にランダム化されています。

ibandronate群の90%が実際に服薬を開始、そのうちの18%ほどが

途中で中止したとのことです。ただし、6%はイベントが起こった

のがその理由とのこと。

対象の77%がホルモン感受性で、年齢中央値は49才です。


想定イベント数の50%が起こったときに、Bayesianのfutility

解析を施行することが設定されており、今回の結果はそれにあたる

とのことです。

その結果、これ以上検討しても仮説が証明される見込みはない

=futilityは化学療法間の比較では証明されなかったものの、

イバンドロネートでは証明されてしまいました。


3 year DFS

ibandronate 87.6%

observation: 87.2%

Cox regression:HR: 0.945, 95% CI (0.768, 1.16); p=0.59

という結果でした。


OSも違いがなかったです。

サブグループ解析で60才以上で良い傾向とは、苦し紛れですかね。
by aiharatomohiko | 2011-12-20 22:23 | 学会

SABCS2011 NSABP B34 クロドロン酸はネガティブ


術後薬物療法としての、プラセボvsクロドロン酸のランダム化比較試験

1600㎎を3年 (3年で60%のコンプライアンス)

n=3323 2/3が閉経後 ホルモン陽性が多い

副作用 ONJは1/1600例。

DFS ハザード比0.91 NS イベント312 vs 286

サブセットでは50才以上で有意に遠隔転移が少なかった。

対側乳がん、IBTR、二次がんが両群でかわらないため効果が

薄まったのではないかという考察あり。

OS ハザード比0.842 (0.672-1.054)と良い傾向にあった。


全体的にはネガティブな結果だったが、閉経後でよい傾向

という結果。またしてもはっきりしない結果になった。

ビスフォスフォネートは、何らかの予測因子があれば、有効な

サブセットが見つかりそうではある。
by aiharatomohiko | 2011-12-14 22:16 | 学会

サンアントニオ2011 ABCSG12試験アップデート


閉経前ホルモン受容体陽性乳がん術後療法におけるゾレドロン酸

の有効性を検討したABCSG12試験のアップデートの結果です。

フォローアップの中央値は84か月。

DFS(無病生存期間) HR0.72(0.56-0.94)230イベント

OS(全生存期間) HR0.63(0.40-0.99)82イベント

DFSのイベント数は200を超えて、一定の信頼性はありそうです。


サブセット解析はTAM/AIや腋窩リンパ節転移の有無でゾレドロン

酸の有効性は変わらないのですが、40歳未満では有効性が確認でき

なかったとのことです。

理由はよく考えても不明。

40歳未満では卵巣機能の抑制が不十分ではないかといった議論が

あるようですが、そうであれば40歳未満でのアナストロゾール群

の予後がかなり悪くなっているはず。

そのあたりはどうなっているのでしょうか。


さて、この試験とZO-FASTの結果だけ見れば、閉経後における

ゾレドロン酸の再発抑制効果はポジティブですが、AZURE試験

との相違が気になります。AZUREをおさらいすると、全体では

ゾレドロン酸の効果はみられなかったものの、閉経後のサブセット

解析では再発を抑制している傾向がうかがえたというものです。

もう一度AZUREのサブセット解析の結果を見てみましょう。


Invasive disease free survivalのゾレドロン酸群とコント

ロールでのイベント数は404と403ほぼ同数でした。

閉経前では、288と256とゾレドロン酸群の方が30イベント

ほど多く、一方閉経後では116と147イベントと30イベント

ほどゾレドロン酸の方が多かったという結果でした。閉経前

と閉経後のイベント数は差し引きゼロで、ただ単にばらついて

いるだけのようにも見えます。


もし低エストロゲン状態がゾレドロン酸の有効性の前提条件と

すると、AZUREの閉経前でも化学療法が95%に行われており、

化学閉経になっているケースもそれなりにあるので、ゾレド

ロン酸群で再発が多いというのは結果に再現性がないという

ように思えます(80%がホルモン受容体陽性)。

つまり、懐疑的に見ればAZUREの閉経前でゾレドロン酸投与

群の再発がむしろ多かったこととABCSG12の結果との違い

を明確に説明できるようなものはなく、結果が一定していない

という印象があります。ポジティブなサブセットだけをつまみ

食いして、“AZUREでは閉経後はエストロゲンの低い

サブセット、ABCSG12はLHRHIによりエストロゲン

が低いからゾレドロン酸が効く”というのは、私にはすっきり

しないですね。

ABCSG12ではほとんどのケースで化学療法が行われていない

ので、これが違いになっているのでしょうか。

しかし、その理由付けも難しいような。

色々と考えてみても、ゾレドロン酸に再発抑制効果があるか

どうかについては、個人的には迷宮入りです。
by aiharatomohiko | 2011-12-13 22:49 | お知らせ

サンアントニオ2011 ZO-FAST試験


5年フォローの結果が発表されました。

ホルモン受容体陽性閉経後乳がんでレトロゾールを投与した

症例が対象。n=1,065。

術後すぐにゾレドロン酸を投与するupfront群と骨塩量が低下

してから投与するdelayed群との比較です。

なお、delayed群では27%がゾレドロン酸の投与を受けている。

イベント数
upfront/delayed
DFS    42/62     HR0.66    p=0.0375
OS     26/36     HR0.69    p>0.05

とDFSでは改善が見られていますが、イベント数が少なく確定的と

までは言えないのではないでしょうか。

(p値だけでなくイベント数にも注目して下さい。)

ともあれ、この試験ではゾレドロン酸の再発抑制効果が、

継続して観察されています。
by aiharatomohiko | 2011-12-12 22:33 | 学会