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by aiharatomohiko
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OncotypeDXの有用性

TAILORx試験でスクリーニングされた10,253名の原発乳がんの患者さんのうち、オンコタイプDxのリカレンススコア(RS)が10以下の1,626 名 (全体の15.9%)の患者さんの前向きコホート研究の追跡期間中央値69か月時点での結果が、NEJMに報告されています(データは、N Engl J Med. 2015 Sep 27. [Epub ahead of print]PMID: 26412349より引用)。

結果は、the rate of invasive disease–free survival was 93.8% (95% confidence interval [CI], 92.4 to 94.9), the rate of freedom from recurrence of breast cancer at a distant site was 99.3% (95% CI, 98.7 to 99.6), the rate of freedom from recurrence of breast cancer at a distant or local–regional site was 98.7% (95% CI, 97.9 to 99.2), and the rate of overall survival was 98.0% (95% CI, 97.1 to 98.6).でした。遠隔転移がほぼゼロ(0.7%)なので、RS10以下はホルモン治療だけで十分であろうことが前向きの研究でも確認されました。(通常のオンコタイプではRS17以下が低リスクなのに注意。)
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それなのに、一次評価項目のIDFSが93.8%とはどういうことかと本文をみてみました。具体的なイベントは以下の通りです。In the cohort of patients with a recurrence score of 0 to 10, there were 88 events of either invasive cancer or death and 30 deaths reported within 5 years after study entry. The first event in the analysis of survival free from invasive disease was local or regional recurrence (or both) in 8 patients, distant recurrence in 10, invasive cancer of the opposite breast in 15, other invasive new primary cancer in 43, and death without another event in 12.
イベント数は88でしたが、そのうち二次がんが43で乳がん以外の死因が12(計55)と乳がんと関係のないイベントが半数以上でしたので、結果から考えるとこの研究のエンドポイントとしてIDFSがあまり適当ではなかったことがわかります。比較試験ではないので、二次評価項目であるfreedom from recurrence of breast cancer at a distant siteで研究結果を評価するのが妥当であるように感じました。

重要なのはこの結果が患者背景によって大きな影響を受けていないかという点です。RS11-25の人と比べると多少予後が良い背景を持っているようですが、顕著な差はないように思えました。
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さて、この結果を臨床に応用する際の悩ましい点は、RSが10以下の患者さんは16%しかいないということです。通常のオンコタイプではRS17以下が低リスクと判定されるのですが、TAILORx試験ではRSが11-17の人は化学療法有りと無しにランダム化されています。うーむ。TAILORx試験の結果が出ればモデルにより化学療法が無い時のRSと再発率の関係がRS25までは分かるはずですし、中間リスクでの化学療法の効果が今あるデータよりも良い精度で推測できるようになるでしょうが、もうしばらく待つ必要がありそうです。
by aiharatomohiko | 2015-10-04 23:09 | 論文

琉球乳腺倶楽部での遺伝子発現プロファイルの話 その2


もう一つの話題は、マンマプリントやオンコタイプDXに代表される

予後予測因子としての遺伝子発現プロファイルです。

これに関して私は当初懐疑的な見方をしていました。その理由の

一つは、検査の再現性に疑問があったからです。特にオンコタイプは

パラフィン切片からRT-PCRを行うので、基礎の先生の評判が悪いこと

もあって、この結果って大丈夫かいなという気持ちがぬぐい難かったの

です。しかしながら、いろいろと論文も出てきた中で、相当昔の症例

でもアッセイが高い確率で成功していることが報告されてきたので、

この考え方は改めました。

オンコタイプについていえば、開発の過程でHER2陽性の症例が含まれ

ているのがやや残念なところです。ER陽性HER2陰性だけを対象として

系を開発すれば、うまくいけばオンコタイプよりも正確に予後予測や

化学療法の予測ができるかもしれません。


さて講演では、病理学的因子により遺伝子発現プロファイルの有用性

が左右されること、すなわち、NG3では低リスクと判定されても

再発リスクは高い。むしろNG1・2の高リスクの拾い上げに有用

であること。

オンコタイプでも、核異型度や腫瘍径といった病理学的因子が異なると

リカレンス・スコアが同じでも再発率が異なることをお話してきました。


オンコタイプなどでは細胞増殖因子関連遺伝子の発現が重要ではないか

と考えられていますが、Ki67との比較はどうでしょうか。

2010年のサンアントニオでは、Ki67が低い症例でオンコタイプが

高リスクになるケースはほとんどありませんでしたが、Ki67が高い症例

の約40%がオンコタイプで低リスクになることが発表されていました。

すなわち、Ki67だけではリスクを高く見積もる事になりそうです。

その理由は、Ki67はG1-M期で広く発現を認めるが、細胞周期に入った

細胞全てが分裂するわけではないからなのでしょう。

繰り返しになりますが、Ki67が低い症例はオンコタイプでは約6割が

低リスク、約4割が中リスクになることは、化学療法の適応を考える

上で有用な情報ではないかと思います。


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by aiharatomohiko | 2011-11-24 23:02 | 日常

マンマプリントその2


それでは、マンマプリントはどういう人にどのような目的で使うと良い

のでしょうか。


基本的なデータを確認すると、Stage IIまでの術後補助療法を受けていない

方の場合、ローリスク群の10年後無転移率は90%でした。

この場合でも、ホルモン感受性乳がんの場合にはホルモン治療を行うことに

より再発を絶対値で4~5%減らすことが出来ますので、無治療という選択肢

は取りづらいものと思われます。副作用が忍容出来ない場合を除いて、

ホルモン治療は勧める事になりそうです。ただ、化学療法は回避しても批難

されないレベルだと、個人的には思います。


ホルモン感受性陰性の場合は、どうでしょうか。

例えばACで再発を25%減らすことができるとなると、絶対値では2.5%

のメリットがあるということ。

化学療法は回避できるでしょうか。微妙ですね。


結論的には、オンコタイプと同様に、Stage IIまでのホルモン感受性乳がん

に対して検査を行い、ローリスクとなった場合にホルモン療法は行うが

化学療法は回避する、といった具合に使われるのだと思います。


それでは、どちらを使うのか、といった問題ですが、マンマプリント

の方が技術的に優れているのだとしても、サンプルを予め取っておかないと

いけない点が、実際的には結構な障害となります。

術前にするかしないかわからない、しかも保険が効かない超高額な検査の

IC取るのは結構大変ですもんね。この点、技術的には劣るかもしれない

けれどもオンコタイプの方が使い勝手の良さでは格段に上です。


ここで、マンマプリントの問題点を指摘しておきます。

会社の資料では、全体の40%がローリスクになるということを書いて

いますが、今まで行われた研究でも対象によってはローリスクが20%ほど

しかない場合があります。日本人を対象とした研究でもその程度でした

(大阪府立成人病センターの発表による。)。

病理学的な検討と比較すると、メリットを受ける人は10%以下となり、

あまりに少なくは無いでしょうか。


もう一つ問題点を挙げておきます。

それは、会社のパンフレット表紙の文言です。

英語版では、“This is how to predict the risk of breast cancer

recurrence more accurately.”とあります。病理学的検討やコンピュータ

ソフトよりも正確だよ、というニュアンスです。

が、日本語版では“乳癌再発リスクを正確に予測するために”とあります。

両者のニュアンスの違いは明らかで、正確に予測できるとする日本語約

はあまりに営業中心でミスリーディングに思えます。

90%の正答率じゃそんなに正確でもないで~、と大阪弁でつっ込みの一つ

も入れたくなります。
by aiharatomohiko | 2009-07-26 21:11 | 学会