excitemusic

乳がんの最新情報を紹介しています
by aiharatomohiko
ICELANDia
S M T W T F S
1 2
3 4 5 6 7 8 9
10 11 12 13 14 15 16
17 18 19 20 21 22 23
24 25 26 27 28 29 30
カテゴリ
以前の記事
検索
タグ
その他のジャンル
ファン
記事ランキング
ブログジャンル
画像一覧


タグ:アロマターゼ阻害薬 ( 17 ) タグの人気記事

サンアントニオ2008 BIG1-98試験up date


タモキシフェンとレトロゾールの比較を行ったBIG1-98試験の

76ヶ月のup dateのデータも発表されました。この試験でも

タモキシフェン群の25%が途中でレトロゾールに切り換えられた

ため、ITTと切り換え時に打ち切りという二つの解析が行われました。


ITT でのハザード比は0.88、打ち切りにすると0.84、真実の

値はこの間くらいに存在すると考えてよいので、ATACとほぼ

同じくらいか。

全生存率では、ITT でのハザード比は0.87、打ち切りにすると

0.81で、統計学的にも有意差が出そうなくらいです。

ここがいつまで待ってもタモキシフェンとアナストロゾールで

全生存率に差が出そうにないATACと大きく違うところです。

ただ、アナストロゾールとレトロゾールのどちらが真に優れている

のかを結論付けるためには、直接比較のデータを待つ必要があります。


これに続いて、レトロゾール対タモキシフェン→レトロゾールと、

レトロゾール対レトロゾール→タモキシフェンという2種類の

切り換え方法との比較という興味深い結果が発表されました。

71ヶ月時点のデータで、プロトコールによる最終解析との事でした。

とても期待した発表でしたが、カプランマイヤーがベタベタにくっつい

ていることや、多重比較検定による第一種過誤率の増大を避ける

ために信頼区間を99%に取っているためか、イベント数が足りず

群間差が出ないという残念な結果に終わりました。

5年無病生存率は、レトロゾール単独の87.9%に対してレトロゾール

→タモキシフェンで87.6%、タモキシフェン→レトロゾールで86.2%でした。

フォレストプロットをみるとタモキシフェン→レトロゾール<

レトロゾール単独=レトロゾール→タモキシフェンと言いたくなりそうです。

厳密に言うとレトロゾールが2年入っていればどれも大差ないといわざる

を得ないのですが、やはり累積イベント発生率曲線を見ると、

タモキシフェン→レトロゾール<レトロゾール単独=レトロゾール→

タモキシフェンという印象が強くなります。


TEAM試験の最終結果が出てメタ解析をすることで、

タモキシフェン→アロマターゼ阻害薬対アロマターゼ阻害薬の優劣に

ついては、決着がつくかもしれません。

しかしながら、アロマターゼ阻害薬→タモキシフェン対アロマターゼ阻害薬

の優劣は、迷宮入りになりそうです。
by aiharatomohiko | 2009-01-19 23:18 | 学会

サンアントニオ2008 アロマターゼ阻害薬:いまだ残る疑問


タモキシフェン vs アロマターゼ阻害薬のメタ解析の発表がありました。

この発表にはTEAMとN-SAS BC03の結果は含まれていません。

タモキシフェン5年対アロマターゼ阻害薬5年の解析では、無病生存率

はアロマターゼ阻害薬で改善される。

改善効果は0-1年が最も大きいが、5年を超えても持続する。

全生存率の改善は見られず、乳がん死亡も非乳がん死亡もほぼ同等、

という結果でした。


タモキシフェン5年対タモキシフェンからアロマターゼ阻害薬切り換え5年

の解析では、無病生存率はアロマターゼ阻害薬切り換えで改善される。

改善効果は0-2年が最も大きく、5年を超えると効果はあまり見られない。

全生存率は20%ほど改善される。乳がん死亡は20%ほど、非乳がん

死亡も改善される、という結果でした。


どちらかというと、切り換えの方が良さそうに見えますが、本当でしょうか?


切り換え試験で無病生存率の改善効果が大きく見えるのは、試験の対象

が無治療の人とタモキシフェンを2~3年服用した人というように異なるから、

ということで説明できます。

ただ、なぜ切り換えで全生存率の改善がみられるのに、当初からアロマターゼ

阻害薬を投与することでは改善されないのか、ということの合理的な説明が

私にはできません。

ATACでは9年になってもアロマターゼ阻害薬の生存曲線が改善される

兆しが見えません。非乳がん死亡が多いのでアロマターゼ阻害薬の乳がん

死亡改善効果がマスクされているという議論があります。

しかし、この理屈ではアロマターゼ阻害薬の投与方法による全生存率の

違いを説明できません。なぜならば、試験に参加された方の年齢はどの試験

も60-64才くらいで揃っているからです。ATACやBIG1-98で高齢者が多い

のであれば納得できますが、対象が異なるというわけではなさそうです。


しかも、後述しますがBIG1-98の切り換えと当初からのアロマターゼ阻害薬

の投与の比較のデータが今回発表され、直接比較ではどちらかというと当初

からアロマターゼ阻害薬を投与する方が良さそうです。


早期の再発を抑制するという観点から考えると、当初からアロマターゼ阻害薬

を投与する方が優れているとする方が合理的に思えます。しかしながら、

この方法ではタモキシフェンと比較して全生存率の改善が見られず、

切り換えでは全生存率の改善が見られる。うーん。。。


何か見落としがあるのでしょうか?
by aiharatomohiko | 2009-01-18 17:04 | 学会

ゾレドロン酸(ゾメタ)は再発を予防する その2


閉経前乳がんに対して、化学閉経薬に加えて、タモキシフェン vs

アナストロゾールとゾメタありなしを比較する、ABCSG12試験の

続報です。

本試験は、術前化学療法以外の化学療法が入っていない、

治療期間が3年である、といった弱い点はあるものの、

1999-2006年まで7年掛けて1800名あまりの参加者を得て

やり遂げられた素晴らしい試験であることは間違いありません。

そういえば、ARNO/ABCSGの結果が発表された時のことです。

Jakeszに化学療法の割合は?と聞いたときに”None”と言われた

ことを思い出しました。えーっと思いましたが、オーストリアでは

化学療法をあまりしないのでしょうかね?

対象症例をみて感じたのは、T1が75%とかなり予後が良い

人たちが対象となっていること、術前化学療法が約5%と少ないことです。

n0は約2/3でした。

TAM vs ANAのカプランマイヤーを見て、驚きました。(続く)
by aiharatomohiko | 2008-06-26 00:15 | 論文

アロマターゼ阻害薬とビスフォスフォネート


タモキシフェンと比較して、アロマターゼ阻害薬を服用することにより

骨塩量が減少し、骨折が増えることが良く知られています。

ビスフォスフォネートは、破骨細胞を傷害することにより、骨吸収を妨げます。

その結果骨塩量が増加し、閉経後女性における骨粗鬆症による骨折を減少

させることが分かっています。そのため、アロマターゼ阻害薬を処方する

場合に骨粗鬆症があればビスフォスフォネートを同時に処方することは、

ガイドラインにもあるように正しいことだと思います。


一方で、ビスフォスフォネートには、服用方法が面倒である、食道潰瘍など

の副作用がある、といった問題点があります。また、非常にまれですが、

抜歯などをした場合に下顎骨の壊死を引き起こすことも知られています。


ビスフォスフォネートの最適な投与期間は決まっていないようですが、

臨床試験では3年や5年の投与期間が設定されているようです。

アレンドロネート5年と10年の比較試験(JAMA Vol. 296 No. 24,

December 27, 2006)では、5年でプラセボに変更した群で骨塩量の

減少が見られるものの、非椎体骨折骨折には差がありませんでした(19%)。

臨床的な椎体骨折はアレンドロネートを継続した群の方が少なかった

(5.3% vs 2.4%)のですが、形態的な椎体骨折はアレンドロネートで

やや少なかったものの有意差はありませんでした(11.3% vs 9.8%)。

骨折が特に心配される場合には、ビスフォスフォネートの治療を5年間を

超えて継続するが、それ以外は5年間で良いということでしょうか。


ただ、長期間のビスフォスフォネート投与により骨の正常な代謝を妨げる

ことが、骨自体に悪い影響が無いかという懸念があります。

実際、最近気になるデータも出てきています。ビスフォスフォネートの長期間

投与により、非典型的な小さな衝撃による大腿骨骨折が引き起こされる

危険性があるというのです(n engl j med 358;12:1304 march 20, 2008)。

前向きの臨床試験で検討されたデータではなく、JAMAのデータから

考えると現時点で心配する程ではないとは思いますが、注意を払う必要は

ありそうです。


最近閉経前女性に対して、術後療法としてLHRHIとアロマターゼ阻害薬を

投与する臨床試験が行われており、その際にビスフォスフォネートを併用

している試験もあります。閉経前の人は乳がん治療終了後の期間がかなり

長くなるので、ビスフォスフォネートが骨に与える長期的な影響がより

重要視されるようになるでしょう。
by aiharatomohiko | 2008-05-04 10:28 | 医療

タモキシフェンとアロマターゼ阻害薬の使い分け


タモキシフェンとアロマターゼ阻害薬の使い分けはどうするのが

良いのでしょうか。

ポイントは、①再発抑制効果は、わずかながらアロマターゼ阻害薬の

方が高い ②副作用の出方が違う。

③関連しますが、タモキシフェンには骨折予防効果がある、

というところだと考えます。

つまり、患者さんの再発リスクと併存症を考えた上で、どちらをお勧めするか

決めるわけですが、実際の薬剤の選択を私は以下のようにしています。

①再発リスクが低く骨密度が低下している人には、基本的にタモキシフェン

を勧める。

②再発リスクが低く骨粗鬆症の心配が無い人には、基本的にどちらでも

良いというスタンスで患者さんと相談の上で決める。

③再発リスクが高い人には、基本的にアロマターゼ阻害薬を勧める。

骨密度が低下している人には、ビスフォスフォネートの使用を考慮する。

再発リスクを考えず、誰でもかれでもアロマターゼ阻害薬を処方する人がいる

としたならば、それは事前に患者さんの骨密度を測定していないからなのでは

ないでしょうか。

私は基本的に薬剤選択前に骨密度をデキサ法で調べていますが、

結構低く出る人がいて、アロマターゼ阻害薬を処方するのに躊躇する場面に

結構な頻度で出くわします。

外科医は高齢の方が骨折するとかなりADLが低下するという事をあまり良く

知らないために、骨の問題を過小評価しているところがあるのかも

しれません。

反対に、私は最近骨折の患者さんに接することが多いため、

骨の問題を過大評価する傾向にあるのかもしれません

(内心そうは思ってはいませんけど)。
by aiharatomohiko | 2007-09-22 22:23 | 医療

アロマターゼ阻害薬(AI)とタモキシフェン その2 AIの弱点


アロマターゼ阻害薬の問題点とは、主には骨と関節の問題です。

タモキシフェンと比較した臨床試験では、どの試験でもアロマターゼ阻害薬を

使用した群で全骨折率が40%強増えています。絶対値の差は患者背景に

よって異なりますが、1%~3%ほどです。一方、アロマターゼ阻害薬のメリット

である無再発生存率の改善は、アリミデックスとフェマーラの臨床試験では

2.5%ほどで、骨折率の増加で相殺されてしまいます。

”再発したら命が危なくなるが、骨折は手術すれば治るだろう”というスタンス

には問題があります。大腿骨頸部骨折を経験した人は、QOLが低下する

ばかりでなく、その後の生存率がかなり落ちるからです。

椎骨骨折でもQOLは低下します。

ビスフォスフォネートを服用すればよいだろう、というのも安易な意見です。

というのは、ビスフォスフォネートは服用方法がやっかいなため長期の服薬

持続率はかなり低く、食道潰瘍などの重大な副作用もあるからです。

注射剤が使用できるようになれば、この問題は解決します。

しかし、ビスフォスフォネートは正常な骨の代謝を妨げることにより、骨塩量を

増やすので、ごく長期の安全性がわからないのは、いささか不安です。

最適な投与期間もわかっていません。

また、“アロマターゼ阻害薬は、通常の人と比べて骨折を増やすのではない。

タモキシフェンに骨折予防効果があるので、これと比較すると骨折が多いよう

に見えるのだ”という意見がありますが、こんなことを論じてみても、

意味がありません。なぜなら、対象となる人には無治療という選択肢は無い

からです。タモキシフェンと比較するのが当然です。

関節のこわばりも厄介な副作用です。

時間の経過で改善する場合がありますが、かなりな不快感となる場合も

あります。消炎鎮痛剤で改善が期待できますが、仮に消炎鎮痛剤を数年間

処方しなければならないとなると、消化性潰瘍や心臓への影響も無視できなく

なります。
by aiharatomohiko | 2007-09-06 21:18 | 医療

アロマターゼ阻害薬とタモキシフェン その1


アロマターゼ阻害薬(フェマーラ・アロマシン・アリミデックス)が導入されて、

5年以上が経ちます。

現在閉経後ホルモン感受性乳がんの標準治療薬となったこれらの薬剤

ですが、最適な使用法をめぐってはいろいろと議論が尽きない面があります。

日本に導入されたころの経緯を振り返りながら、現時点(07年8月)での私の

考え方やこれら薬剤の使い分けについて記してみたいと思います。

99年頃と記憶していますが、私が初めて参加したサンアントニオ乳がん

シンポジウムで、英国のDr.バウムが大規模臨床試験をやってますよ、

という発表をしていたのを思い出します。

アリミデックスとタモキシフェンを比較した有名なATAC試験です。

その時は、具体的なデータが出ていなかったため、“ふーん、対象者が

すごい数の臨床試験だなあ”という感想しかありませんでした。

それから2年くらい経った頃でしょうか、そのATAC試験の中間解析の結果

が報告されました。

その時の私的な感想は、“アリミデックスはタモキシフェンよりも良さそう

だけど、あまり大きな違いは無い。中間解析であるので、データは確定して

いないし、なにより長期の安全性は確立していない。”というものでした。

しかし、ここからの製薬メーカーのプロモーションがすごかった。

各地で研究会(という名目のプロモーション)をバンバン行なって、

アリミデックスの優位性を強調したプレゼンを行い、ボーティングすれば、

少なくとも大阪ではほとんどの医師がタモキシフェンでなくアリミデックスを

処方するという結果でした。

このことには、大いに違和感を覚えたものでした。

(”えーっ、ほんまかいな”という感じ)

悪いことには、この時には全くデータのなかったタモキシフェンから

アリミデックスへの切換えを何の疑問もなく行っていた医師がおり、

さらに悪いことには閉経前の乳がん患者に処方する医師もいたようです。

幸いなことにその後は順調にアロマターゼ阻害薬に良いデータが蓄積して

きて、標準治療薬としての地位を確立しました。

結果論ではありますが、幸いな事にタモキシフェンからの切り換えも

標準治療となりました。

しかし、同時にアロマターゼ阻害薬の問題点も明らかになってきています。
by aiharatomohiko | 2007-08-26 23:35 | 医療