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乳がんの最新情報を紹介しています
by aiharatomohiko
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SABCS2011 センチネルのマイクロメタに腋窩郭清は必要?


IBCSG23-01試験は、センチネルリンパ節のマイクロメタに対して

腋窩郭清なしvsありのRCT。 


対象はSn転移径2㎜以下(腫瘍径5㎝以下多発可)。

SNは50-200nmの厚さで切片作成。


一次評価項目はDFSで、当初n=1960のターゲット。

558イベントで、NoAD(郭清なし) vs ADのハザード比が

1.25で非劣性という研究仮説。


実際の集積はn=934 (10年間)

中央値57か月で98イベント 予定の五分の一

温存が90%、RTが90%、ホルモン治療が60%。 


結果:NoAD vs ADのイベント数が46 vs 52とNoAD群で少なく、

HR 0.87で95%CIの上限が1.12だったため、非劣性が証明されたと

結論された。こんな感じで比劣性というような結果が多いですね。


イベント数が少なく、絶対的な結論が得られるわけではないが、

非郭清でもあまり問題はないとは言えそう。
# by aiharatomohiko | 2011-12-30 15:31 | 学会

ビスフォスフォネートの星取表


術後再発予防の星取表一覧

ABCSG12 (n 1800) ゾレドロン酸 閉経前内分泌感受性 ○
ZOFAST  (n 1000) ゾレドロン酸 閉経後内分泌感受性 ○
AZURE   (n 3300) ゾレドロン酸 閉経前・後 ×
NASBP B34 (n 3300) クロドロン酸 閉経後が2/3 ×
GAIN試験 (n 3000)  イバンドロン酸 閉経前後 ×

こうしてみると、効果がある対象を絞ったうえでランダム化

比較試験を行って、そこでポジティブな結果を出さないと、

やっぱり厳しいかも。
# by aiharatomohiko | 2011-12-23 16:52 | 医療

SABCS2011 イバンドロネートもダメ


イバンドロネートの効果を検討したGAIN試験の結果も発表されました。

ddETC vs EC-PTX/X±イバンドロネートを比較した2x2の試験です。

n=3023 中央値39ヶ月の一回目の中間解析の結果です。

ibandronate vs none は 2:1に不均等にランダム化されています。

ibandronate群の90%が実際に服薬を開始、そのうちの18%ほどが

途中で中止したとのことです。ただし、6%はイベントが起こった

のがその理由とのこと。

対象の77%がホルモン感受性で、年齢中央値は49才です。


想定イベント数の50%が起こったときに、Bayesianのfutility

解析を施行することが設定されており、今回の結果はそれにあたる

とのことです。

その結果、これ以上検討しても仮説が証明される見込みはない

=futilityは化学療法間の比較では証明されなかったものの、

イバンドロネートでは証明されてしまいました。


3 year DFS

ibandronate 87.6%

observation: 87.2%

Cox regression:HR: 0.945, 95% CI (0.768, 1.16); p=0.59

という結果でした。


OSも違いがなかったです。

サブグループ解析で60才以上で良い傾向とは、苦し紛れですかね。
# by aiharatomohiko | 2011-12-20 22:23 | 学会

SABCS2011 NSABP B34 クロドロン酸はネガティブ


術後薬物療法としての、プラセボvsクロドロン酸のランダム化比較試験

1600㎎を3年 (3年で60%のコンプライアンス)

n=3323 2/3が閉経後 ホルモン陽性が多い

副作用 ONJは1/1600例。

DFS ハザード比0.91 NS イベント312 vs 286

サブセットでは50才以上で有意に遠隔転移が少なかった。

対側乳がん、IBTR、二次がんが両群でかわらないため効果が

薄まったのではないかという考察あり。

OS ハザード比0.842 (0.672-1.054)と良い傾向にあった。


全体的にはネガティブな結果だったが、閉経後でよい傾向

という結果。またしてもはっきりしない結果になった。

ビスフォスフォネートは、何らかの予測因子があれば、有効な

サブセットが見つかりそうではある。
# by aiharatomohiko | 2011-12-14 22:16 | 学会

サンアントニオ2011 ABCSG12試験アップデート


閉経前ホルモン受容体陽性乳がん術後療法におけるゾレドロン酸

の有効性を検討したABCSG12試験のアップデートの結果です。

フォローアップの中央値は84か月。

DFS(無病生存期間) HR0.72(0.56-0.94)230イベント

OS(全生存期間) HR0.63(0.40-0.99)82イベント

DFSのイベント数は200を超えて、一定の信頼性はありそうです。


サブセット解析はTAM/AIや腋窩リンパ節転移の有無でゾレドロン

酸の有効性は変わらないのですが、40歳未満では有効性が確認でき

なかったとのことです。

理由はよく考えても不明。

40歳未満では卵巣機能の抑制が不十分ではないかといった議論が

あるようですが、そうであれば40歳未満でのアナストロゾール群

の予後がかなり悪くなっているはず。

そのあたりはどうなっているのでしょうか。


さて、この試験とZO-FASTの結果だけ見れば、閉経後における

ゾレドロン酸の再発抑制効果はポジティブですが、AZURE試験

との相違が気になります。AZUREをおさらいすると、全体では

ゾレドロン酸の効果はみられなかったものの、閉経後のサブセット

解析では再発を抑制している傾向がうかがえたというものです。

もう一度AZUREのサブセット解析の結果を見てみましょう。


Invasive disease free survivalのゾレドロン酸群とコント

ロールでのイベント数は404と403ほぼ同数でした。

閉経前では、288と256とゾレドロン酸群の方が30イベント

ほど多く、一方閉経後では116と147イベントと30イベント

ほどゾレドロン酸の方が多かったという結果でした。閉経前

と閉経後のイベント数は差し引きゼロで、ただ単にばらついて

いるだけのようにも見えます。


もし低エストロゲン状態がゾレドロン酸の有効性の前提条件と

すると、AZUREの閉経前でも化学療法が95%に行われており、

化学閉経になっているケースもそれなりにあるので、ゾレド

ロン酸群で再発が多いというのは結果に再現性がないという

ように思えます(80%がホルモン受容体陽性)。

つまり、懐疑的に見ればAZUREの閉経前でゾレドロン酸投与

群の再発がむしろ多かったこととABCSG12の結果との違い

を明確に説明できるようなものはなく、結果が一定していない

という印象があります。ポジティブなサブセットだけをつまみ

食いして、“AZUREでは閉経後はエストロゲンの低い

サブセット、ABCSG12はLHRHIによりエストロゲン

が低いからゾレドロン酸が効く”というのは、私にはすっきり

しないですね。

ABCSG12ではほとんどのケースで化学療法が行われていない

ので、これが違いになっているのでしょうか。

しかし、その理由付けも難しいような。

色々と考えてみても、ゾレドロン酸に再発抑制効果があるか

どうかについては、個人的には迷宮入りです。
# by aiharatomohiko | 2011-12-13 22:49 | お知らせ

サンアントニオ2011 ZO-FAST試験


5年フォローの結果が発表されました。

ホルモン受容体陽性閉経後乳がんでレトロゾールを投与した

症例が対象。n=1,065。

術後すぐにゾレドロン酸を投与するupfront群と骨塩量が低下

してから投与するdelayed群との比較です。

なお、delayed群では27%がゾレドロン酸の投与を受けている。

イベント数
upfront/delayed
DFS    42/62     HR0.66    p=0.0375
OS     26/36     HR0.69    p>0.05

とDFSでは改善が見られていますが、イベント数が少なく確定的と

までは言えないのではないでしょうか。

(p値だけでなくイベント数にも注目して下さい。)

ともあれ、この試験ではゾレドロン酸の再発抑制効果が、

継続して観察されています。
# by aiharatomohiko | 2011-12-12 22:33 | 学会

サンアントニオ2011 アリミデックスとフェスロデックスの併用


閉経後内分泌感受性転移乳がんの一次療法(n=707)として、

アナストロゾール(アリミデックス) vs アナストロゾール+

フルベストラント(フェスロデックス)(500㎎→250㎎)のランダム化

比較試験の結果が報告されました。


対象は術後療法としてタモキシフェンが投与された症例、もしくは

アナストロゾール終了後1年以上経過した症例(n=12のみ)、

もしくはstageIVの症例です。


アナストロゾール群はPD時にフェスロデックスへのクロスオーバーが

強く勧められたとのことです。

無増悪期間(PFS)は、13.5月vs1 5.0月でp=0.007。

全生存期間(OS)は、41.3月vs 47.7月 HR0.81(95%CI 0.65-1.00)

とフェスロデックスの併用が優れている傾向が見られました。

サブセットでは、タモキシフェンの術後療法を行った症例では有効性が低く、

そうでない症例は有効性が高いという結果でした。


この試験の結果は併用が有意に良好でしたが、以前のRCTの結果

(Berg SABCS2009)は全くのネガティブでした。

今回の試験とどうして結果が異なったのかは不明確のため、現状では

併用は積極的には勧められないのではないかと思います。

提灯記事ならば、“フェスロデックスとアリミデックスの併用で、

予後が改善”と書くのでしょうか。
# by aiharatomohiko | 2011-12-11 15:11 | 学会

サンアントニオ2011概況


今年もサンアントニオに来ています。今年は寒いです。

相変わらず会場は人で一杯です。

大きなRCTの結果がいくつも発表され、特にBOLEROIIやCLEOPATRA

といった分子標的治療の臨床試験結果がNew Englandに併せて掲載される

など、充実した内容となっています。

また、術前化学療法の早期治療効果を元に薬剤や投与サイクルを

変えることにより予後改善が得られるという画期的な試験結果や、アバスチン

の4アウト目(byW先生)の試験結果、NSASBC02の結果も報告されました。

盛り沢山な今年のサンアントニオの概況でした。
# by aiharatomohiko | 2011-12-10 06:38 | 学会

アバスチンの乳がんへの適応にみる日米の差


アメリカでは2010年夏に独立委員会の評決により12-1でアバスチンの

転移乳がんへの適応取り下げが勧告され、これを受けて本年6月末にFDAが

2日間に渡る公聴会を開きました。その際に独立委員会の再評決も行われ、

6-0で取り下げを支持するという結果でした。

最終的に11/18に適応承認の取り消しが行われ、その結果が同日にHP

にアップされています。取り消しの理由は、消化管穿孔などの重篤な

副作用がみられる一方で、全生存期間の改善が見られなかったため、

リスクベネフィットを考えて承認すべきでないということのようです。

新しいデータが出たおりには再承認もあり得ると読めました。

首尾一貫した態度であると感じます。

Q&Aには薬価が高いことは考慮しなかった旨も書かれていました。

http://www.fda.gov/NewsEvents/Newsroom/ucm279485.htm


さて、これに先立つ本年8月1日に日本ではアメリカと逆方向である

アバスチンの乳がんへの適応拡大に向けた審議が行われたようです。

その際の議事録が11/14(アメリカに比べると遅いですね。)

に公開されています。

http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/2r9852000001uiuh.html

内容を読むと、機構が適応拡大に賛成、しかしながらその理由が”本剤

の有効性を再現するような試験をデザインするのは、現状では難しい

のではないか(使用したい人が多いため)”であるのには驚きました。

有効性を再確認するような試験ができないから承認ですか。

この理由であれば、たまたま良い結果が出たような薬剤はその効果が

疑問視されたとしても、追試が難しいという理由で全部承認するしかない

ということになりますね。正気でしょうか。

部会長もこの意見にややなびいているようです。

委員の先生方はとても全うな意見を出されていて、まともな議論が

行われていたことは伺い知れます。

委員の先生方はどちらかというと即時の適応拡大に難色を示されて

いたように読めるのですが、結局は8月25日に継続審議となり、

そこで承認されたようです。

ただ、8月25日の審議結果が未だに公開されていません。これでは、

われわれにはどういった理由で承認されたのか、承認に条件が付いた

のか否かといったことは今もってわかりません。

適応拡大の是非はともかくとして、FDAの即日公開とは比べようもなく

遅く、怠慢といわれても仕方がないのではないでしょうか。

残念ですね。


私の個人的な考えを述べると、アバスチンが有効な対象があるよう

には思えるものの、それがどういった患者さんであるかをわかる術

が現状ないために、FDAの決定の方を支持します。
# by aiharatomohiko | 2011-11-26 23:42 | 医療

琉球乳腺倶楽部での遺伝子発現プロファイルの話 その2


もう一つの話題は、マンマプリントやオンコタイプDXに代表される

予後予測因子としての遺伝子発現プロファイルです。

これに関して私は当初懐疑的な見方をしていました。その理由の

一つは、検査の再現性に疑問があったからです。特にオンコタイプは

パラフィン切片からRT-PCRを行うので、基礎の先生の評判が悪いこと

もあって、この結果って大丈夫かいなという気持ちがぬぐい難かったの

です。しかしながら、いろいろと論文も出てきた中で、相当昔の症例

でもアッセイが高い確率で成功していることが報告されてきたので、

この考え方は改めました。

オンコタイプについていえば、開発の過程でHER2陽性の症例が含まれ

ているのがやや残念なところです。ER陽性HER2陰性だけを対象として

系を開発すれば、うまくいけばオンコタイプよりも正確に予後予測や

化学療法の予測ができるかもしれません。


さて講演では、病理学的因子により遺伝子発現プロファイルの有用性

が左右されること、すなわち、NG3では低リスクと判定されても

再発リスクは高い。むしろNG1・2の高リスクの拾い上げに有用

であること。

オンコタイプでも、核異型度や腫瘍径といった病理学的因子が異なると

リカレンス・スコアが同じでも再発率が異なることをお話してきました。


オンコタイプなどでは細胞増殖因子関連遺伝子の発現が重要ではないか

と考えられていますが、Ki67との比較はどうでしょうか。

2010年のサンアントニオでは、Ki67が低い症例でオンコタイプが

高リスクになるケースはほとんどありませんでしたが、Ki67が高い症例

の約40%がオンコタイプで低リスクになることが発表されていました。

すなわち、Ki67だけではリスクを高く見積もる事になりそうです。

その理由は、Ki67はG1-M期で広く発現を認めるが、細胞周期に入った

細胞全てが分裂するわけではないからなのでしょう。

繰り返しになりますが、Ki67が低い症例はオンコタイプでは約6割が

低リスク、約4割が中リスクになることは、化学療法の適応を考える

上で有用な情報ではないかと思います。


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# by aiharatomohiko | 2011-11-24 23:02 | 日常

琉球乳腺倶楽部での遺伝子発現プロファイルの話

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第41回琉球乳腺倶楽部で遺伝子発現プロファイルによるサブタイプ分類と

予後予測について話をしてきました。


概要を紹介します。

サブタイプ分類に用いることのできる遺伝子発現プロファイルは複数

あります。以前ブログに書いたようにある特定の個人が分類される

サブタイプは用いる方法によってかなり異なる(ある方法では

ルミナルAに分類される人が別の方法ではルミナルBやHER2などに

分類される)こと、そしてこれは近々ブログにアップしますが、

特定の方法を用いたとしても検査を行う人によってある特定の個人が

ルミナルAに分類されたりルミナルBやHER2タイプに分類されたり

するということが頻繁に起こります。一番の関心事である、ある特定

の個人をルミナルAかBかにきちんと分類することは、残念ながら

出来ません。


もしサブタイプ分類が”intrinsic”(本来備わっている,固有の,

本質的な,本源的な )なら、複数あるどの遺伝子発現プロファイル

を使っても、ある特定個人のサブタイプは一致するはずですが、実際

はそうではありません。つまり、遺伝子発現プロファイルによるサブ

タイプ分類は主観的な方法であるため、分類されたサブタイプはとても

intrinsicとはいえないのです。



乳がんをサブタイプに分類するのであれば、遺伝子発現プロファイルを

使った分類よりも、現状ならばERやHER2といった治療標的を免疫染色

することによる分類の方が実用的ではないでしょうか。

ただ免疫染色による分類でも、いわゆるルミナルAとBをきれいに分ける

ことは困難です。なぜならば、例えばKi67をマーカーとしてカットオフ値

を設けることにより分類するとしても、そもそも連続したものを恣意的に

分けることになるため、検査方法が標準化すらされていない現状で誰もが

納得するカットオフポイントを設けることはできません。

ルミナルAとBで治療方針を変えるという考えは、概念的には理解できても

個別化医療に応用することは出来なさそうです。

“この患者はルミナルBっぽいですね”というような内容のうすい議論が

これからも続くことになるのはいかがなものでしょうか。

建設的に考えるのであれば、Ki67が相当程度に低い症例と高い症例に

絞って予後や抗がん剤の感受性などを検討することは有用なのかもしれ

ませんが。
# by aiharatomohiko | 2011-11-19 22:00 | 日常

先進医療というファンタジー


世の中には先進医療というカテゴリーがあります。

名前は、”先進“ですから、とんでもなく効果の高い先進的な治療法

が出てきたかのように思えます。患者さんも新しい治療法はないか、

ということは常に気にかけておられるので、診察時にどのようなものか

と聞かれることがあります。


しかしこれは名前倒れなんですね。


このカテゴリーに入る治療法や検査法は、新しく開発されたひよっこ

の段階で、リストを見てみても標準的な治療法や検査法と比べて良いか

悪いか見当が付かないものがほとんどです

(http://www.mhlw.go.jp/topics/bukyoku/isei/sensiniryo/kikan02.html)。

つまり将来的に標準治療となるような優れた治療法が含まれている

可能性があるものの、しばらくすると消えているような治療法も多く

含まれていると考えるのが理性的です。


しかしながら、“先進医療”という名前からそういった事を専門家

でない人間が伺い知るのは難しいでしょう。内容を正確に表すと、

”新規実験医療“という名前になりますが、それではカッコが悪い

ということなのでしょうか。


個人的には、こういった名前をつけてよく恥ずかしくないものだと

思います。四文字熟語では、羊頭狗肉。こういった素人を騙すような

ネーミングは止めて頂きたいのですが、効果が確立されていなくても

新しければ”先進“という“ノイエス病”に取り付かれているかのようです。


患者さんには医療の詳しい内容は分かりにくいので、大きな病院で

先進医療が行われていると聞けば、それを頼りにしてしまうのは

仕方がないことです。


ただ、これに振り回されて貴重な時間を浪費させられては、

堪ったものではありません。良いものではなく良く見えるものが売れる

という法則がありますが、標準治療が現時点での最善の治療法である

ということをよく理解して、あやしい先進医療に惑わされない様にしたい

ものです。
# by aiharatomohiko | 2011-10-26 22:29 | 日常

フェソロデックスのポジショニング


もうすぐフェソロデックス(旧姓ファスロデックス)という内分泌治療剤が

発売されるので、論文を読んでみました。(JCO 28:4594-4600;2010)

エストロゲン受容体に結合して分解するという作用機所から、高い

臨床効果を期待されていました。

そもそも開発されていた250mgでは、転移乳がんでぱっとした結果

が得られなかったのですが(アナストロゾールには引き分けで、タモキシ

フェンには負けに近い引き分け)、用量依存性に効果が高くなることが

示唆されたので、500mgと250mgの比較試験が行われました。

対象は閉経後ER陽性の転移もしくは局所進行乳癌で、術後内分泌療法中

もしくは終了後一年以内に再発したケースです。

それ以外の一次療法としてタモキシフェンかアロマターゼ阻害薬の投与

がなされたケースも対象となります。

736名の患者さんが1:1のランダム化で250mgx2本もしくは

250mg1本+プラセボに割り付けられました。

結果は、無増悪期間でハザード比が0.80(95%CI 0.68-0.94)と

500mgが勝ちましたが、その中央値は6.5ヶ月と5.5ヶ月とわずか1ヶ月

の違いしかありませんでした。

この結果だけでは、なにも500mgを使わなくて250mgでもいいんじゃ

ないの?(針が太くてお尻に二本筋肉注射しなければならないため)と

考えてしまいます。

一方、全生存期間では、25.1ヶ月と22.8ヶ月で、ハザード比は0.84

(95%CI 0.69-1.03)でした。統計学的に有意ではないものの、

有望な数字にみえます。ぱっと読んだだけではイベント数がどれくらい

起こっているのか分かりませんでしたが、75%にイベントが起こった

ときにOSの2回目の解析が予定されており、それは2011年だろうと

論文に書いてありました。その結果に期待です。

サンアントニオか来年のASCOにはデータが出るのでしょう。

なお、QOLでは両者に違いはなかったとのことでした。

さて、500mgでSERMやAIにリチャレンジするのか、フェソロデックス。

当院での出番は、リチャレンジの結果が出るまでは、使いにくい剤型を

考えるとMPAの後になりそうです。
# by aiharatomohiko | 2011-10-16 21:12 | 論文

CYP2D6とTAMの話


タモキシフェンの効果とCYP2D6という遺伝子の多型が関連があるかどうか

が話題になって久しいです。日常診療でも患者さんから検査を依頼される

ことがありますが、現時点では関連性がはっきりしないので、当院では検査を

していません。

欧米人と日本人(アジア人)では遺伝子の型がずいぶん違うのですが、

どちらの人種でも関連があるという研究結果と関連が無いという研究結果が

混在しています。昨年のサンアントニオでATACとBIG1-98のサンプルを使った

研究結果が発表されて、いずれも関連なしという結果だったために、やはり

関連が無いもしくは弱いのかなと考えていたのですが、しっかりとした

デザインで前向きに検討する必要があるというのは衆目の一致する

ところです。


東大医科研と四国の乳がんを専門とする医療機関が中心となって行った研究

では関連ありという結果が出ているために、ここを中心として前向き試験を

行おうという機運が高まっています。しばらくの間現実的なデザインを模索

していましたが、大体固まってきたのと先日奥道後でミーティングが開かれた

ので部外者ながら参加させて頂きました。


そこでは大変熱い議論が繰り広げられ、詳細は明らかに出来ませんが、

前向き試験を行う方向での結論が出ました。結果がどうであれ最終的な

結論を導き出せるような臨床試験が組めそうですので、楽しみです。

皆様お世話になりました。



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当日の参加者は、前佛先生、笹先生、杉本先生、安芸先生、

山川先生、大住先生でした。皆様車で何百キロも飛ばして来られた

熱意は素晴らしいものでした。
# by aiharatomohiko | 2011-10-10 09:46 | 日常

AZURE試験の論文発表


ゾメタの再発抑制効果を検討したAZURE試験の結果が論文発表されました。

(September 25, 2011, at NEJM.org)

内容は2010年サンアントニオの結果と同じでした。

ただ、今まで行われた臨床試験の結果からは、ゾメタが有効なサブセットが

存在する可能性が否定できないため、もう一つか二つサブセットを絞った

追試験が行われることを期待したいです。

しかしながら、現実には転移乳癌でゾメタはデノスマブに負けたため、

会社が資金を出す可能性はほとんど無いのではないかとは思いますが。
# by aiharatomohiko | 2011-09-27 12:59 | 論文

乳がん学会のトピックその3-胃がんと乳がんは同じですか。。。


最後になります。術前化学療法の演題を見ていました。

Dという薬が3週ごとに40mg/m2、Tという薬が80mg/m2で

2週間というレジメで、pCRが○○%だったので、標準治療と同じ

くらいの効果ですという演題でした。

この研究自体がすばらしいとかくだらないとかいう事はさておきます。

問題はDの量です。「Dの3週ごと40mg/m2という量は、再発抑制効果

が証明されているのですか?」と質問したところ、「胃がんで効果が証明

されている量なので、これを使いました。」という返事でした。


あ然としてそれ以上質問をする気が失せたのですが、ここで問題(疑問)です。

①そもそも術前術後の化学療法の目的はなんでしょうか。

②胃がんで効果が証明されたというその効果の指標はなんでしょうか。

③その効果が乳がんの再発を防ぐという効果に翻訳できるのでしょうか。

④pCRをエンドポイントとして臨床試験をするのは、適切なのでしょうか。



万一発表された方がこのブログを見る機会があったら、患者さんのためにも

以上のことを良くお考えになって下さい。
# by aiharatomohiko | 2011-09-25 23:14 | 学会

乳がん学会のトピックその2-看護セッションから


当院から発表を行った看護セッションの発表を見ました。

局所進行乳がんの創部ケアの演題では、創部の状況に薬物療法や放射線

治療が影響を及ぼすにも関わらず、ケアの経過ばかりで肝心の治療経過

が抜け落ちているようでした。治療経過の提示なくして、看護の経過を

考える意味はあまり無いのでは?と感じました。


他には、比較的経験の浅い看護師を中心にして患者ケアを多職種で展開

することにより、看護師のスキルアップが見られたという報告がありま

したが、どうすればケアの質を上げることができるのかという視点で

研究する方が良かったのではないかと感じました。


また、患者さんの話をよく聞いたのが良かったという発表がありました。

意義がわかりにくかったので、医療者が話を聞くのと家族が話を聞くのと

どう違うのですかと質問したところ、家族には話がしにくいので医療者が

聞くことが意味があったというような返事が帰ってきた様な記憶があります。

本当に家族に話をしていないのか、そうであれば家族に話が出来るような

環境を整えることの方が重要なのではないかという疑問が湧いてきました。


総じてこういったことをしてみましたという発表が多いのだけれど、

それで結局患者さんにどういったメリットがあったのかという視点のものが

増えれば、看護研究の意義がより大きくなるのではないかと感じました。
# by aiharatomohiko | 2011-09-10 17:45 | 学会

乳がん学会のトピックその1-ラジオ波の実力


台風の中、仙台で乳がん学会がおこなわれました。

特に記憶に残った演題を紹介します。


それは、ラジオ波で乳がんを焼くというRFA法の発表です。

平均追跡期間4-5年の時点でのデータですが、乳房内再発率は2cmまで

の腫瘍で5%程度、2-3cmで10%程度、3-4cmで13-15%程度、

4-5cm(おそらく術前化学療法後か)で35%程度と、ひどい結果に

なっています。追跡漏れの患者さんを入れたら、実際の再発率はこれよりも

高くなっている可能性があります。適格基準をきっちりしている病院では、

再発も少ないというデータも紹介されていました。

RFAをきちんと臨床試験としておこなっている病院と、標準治療ではない

のにもかかわらず実地臨床として行ってしまっている病院があるようです。

時間がすべてを運んでくるといいますが、RFAを新しい進んだ治療法と

信じた患者さんは気の毒です。


学会がきちんとしたステートメントを出すべきではないでしょうか。
# by aiharatomohiko | 2011-09-07 15:46 | 学会

Iniparibの試験結果その2 ASCO2011

現時点で正解と言える解釈は無いでしょう。

ただ、この試験がおそらくFDAの認可をとるために行われた試験であろう

ことを考えると、薬剤の認可という観点からは、事前に設定した仮説を

証明できなかった=ハードルを越えることができなかったことから、

規制当局としてはネガティブであったとしか言い様がないと考えます。

つまりは、この試験単体では、乳がん治療薬として認可を受けることは

難しいのでしょう。認可という観点から言えば、事前のp値の割り振りが

0.01と0.04でなくて0.04と0.01だったら無増悪期間ではポジティブ

じゃないかなどといってみた所で始まらない話なのです。

iniparibはアバスチンと違って重篤な副作用がないようなので、

全生存期間の改善がなくても承認された可能性はあるので、製薬会社から

すれば残念だとは思いますが。


ただ、それとこの薬が乳がんに効果がないということとは同じ意味では

ありません。どのようにすればiniparibの効果が証明できるでしょうか。

この試験結果から無増悪期間が改善される可能性がありそうなので、

もう一本か二本試験を行ってみるという方法はあるでしょう。

それらの試験で有意差を持って有用という結果が出るとかメタ解析を

して有用性を確認するとかすれば良いはずです。

この試験はリクルートが簡単であったような記載がウェブにあったので、

これは困難ではないはずです。

しかしながら、製薬会社はバイオマーカーの探索でお茶を濁そうとして

います。その理由は何故なのかわかりません。


それにしても、結果が素晴らしすぎた第II相試験の結果がNEJMに

掲載され、その効果が第III相で確認できなかったわけです。

複数のがんで数多く行われたアバスチンの試験結果の論文発表で見られた

ように、結果が良すぎて眉唾なものだけがNEJMに掲載されることが

再現されたようで、やな感じですね。

ただ、そういう風にナナメに見ておかなければ、”良いデータ”に足を

すくわれるのかもしれません。


より問題なのは、この試験では標準治療群にiniparibのクロスオーバー

投与を許容しているので、iniparibが真の目的である全生存期間の改善に

貢献するかどうかが全く分からないデザインになっている点です。

クロスオーバー投与をしないと倫理的に問題があるとかないとかいう

議論はあるものの、そもそも真に効果があるかどうか、またその効果は

どれほどのものなのかが分からなくては使うべきかどうかがわかりません。

今後こういった試験デザインを取るべきかどうかを真剣に議論すべき

ではないでしょうか。
# by aiharatomohiko | 2011-09-06 00:14 | 学会

Iniparibの試験結果 ASCO2011


さて、本題に入ります。


本試験は、いわゆるトリプルネガティブの転移乳癌に対して

ゲムシタビン+カルボプラチンとゲムシタビン+カルボプラチン+iniparib

を比較した、一群250例を超える規模のランダム化比較試験です。


プライマリーエンドポイントは、無増悪期間および全生存期間です。

エンドポイントを二つ設定したために、通常5%に設定されるタイプIエラー

を無増悪期間に1%、全生存期間に4%と予め振り分けています。

つまりそれぞれのエンドポイントでp値がそれぞれ1%もしくは

4%を下回った場合に、統計学的に有意であると設定したという事です。


結果は、 無増悪期間の中央値(95% CI)は、 iniparibなしで4.1月(3.1, 4.6)

に対してiniparibありでは5.1月 (4.2, 5.8)、ハザード比 (95% CI)は0.79

(0.65, 0.98)、p-value 0.027でした。

これは予め設定した0.01を下回っていないので、有意とは見なされません。

全生存期間は、iniparibなしで11.1月(9.2, 12.1)、iniparibありでは11.8月

(10.6, 12.9)、ハザード比 0.88 (0.69, 1.12)、p=0.28と、こちらも

有意ではありませんでした。

全生存期間は明らかにネガティブですが、無増悪期間のp=0.027というのは

通常の試験デザインであればポジティブと見なされる値です。

ただ、試験のデザインが上のようだったため、有意でないとされます。


さて、この結果は統計学的な検討どおり、全くのネガティブと受け止めるべき

でしょうか。

それともネガティブでないとしたらどのように捉えれば良いのでしょうか。
# by aiharatomohiko | 2011-08-28 22:08 | 学会