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by aiharatomohiko
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SABCS2011 Gepartrioその2


なぜこの試験のデザインがいい加減というか目茶苦茶と思うかという

ことですが、その理由の一つとして規模の相当大きい試験にもかかわらず、

Primary endopointが、Pathologic response (responder)と

Sonographic response (non-responder)であり、Secondary が

5-year DFS and OSであるということがまず挙げられます。


次に、というかこれこそが野心的というか

DFSとOSの試験アームが、responderでTACx8とnon-responder

でNXを行う群をresponse guide armとして合わせて解析していることです。

つまり、研究仮説として、responseしてTACを追加する効果とresponse

しなくてNXに変更する効果が同様であるとしているということです。

ちょっとこれって仮説として有り得ないのではないか、というのが

率直な印象です。
# by aiharatomohiko | 2012-02-12 23:00 | 学会

SABCS2011 pCRは忘れて良い clinical responseこそが重要

デザインはいい加減だけど結果はとんでもなく素晴しいGepartrio

に移りましょう。


この試験は、術前化学療法としてまずTAC 2サイクルを行い、

PR/CRの場合には、TACx6とTACx8を比較する。

NCの場合には、TACx6とNX(ナベルビン+カペシタビン)を比較する

という試験です。2072名の登録がありました。


結果をかいつまんで言うと、病理学的奏効についてはresponder(n=1344)

でTACx6 21.0% vs TACx8 23.5% p=0.27、non-responder(n=604)

で、TACx6 5.3% vs TAC-NX 6.0% p=0.73と差を認めなかった(既報)

にもかかわらず、DFSでTACx8とTAC-NXの試験治療がどちらもTACx6

に勝ちました。


これだけ見ても、pCRという指標には臨床的有用性が乏しく、臨床的奏効

が重要であることがわかります。臨床的有用性が乏しいという意味は、

pCRになったら予後が良いというのは分かる、でもこれがその後の

治療方針の決定に何かの役に立つの?という意味です。

現状は”pCRになったから(ならなかったよりも)治る可能性が高いです。

よかったですね。”と患者さんに説明する以外に有用性が見出せない

わけですから。

今もあまた行われている、再発抑制効果が明確でない薬剤が使用

されているpCRをエンドポイントとしたPII試験は倫理的に大きな

問題をはらんでいる様な気がしてなりません。


さて、この結果を翻訳すると、”臨床的奏効が得られたときには突っ込

んで治療せよ。効果が無かったときには薬を変更せよ”というものです。

この研究から生じる新たな疑問は、”効果があったときに突っ込んで

治療するのと、薬を変更するのはどちらが良いのか”という事ですが、

彼らのことですから、既にこのデザインの試験は行われているのでは

ないかと思います。


個人的にはこの発表が今回のサンアントニオで最高の発表であり、

術前化学療法の臨床試験のなかでも最高傑作といえるのではないかと

考えています。もちろん、結果がconfirmされたら、という前提は

付きますが。


もうちょっとこの試験の考察は続きます。
# by aiharatomohiko | 2012-01-28 22:36 | 学会

NEJMの論文があまりにつまらなかったので、つられました


術前化学療法でpCR率を比較したって、真のエンドポイントである

全生存率にどれくらい反映するか全くわからないので無意味だという

ことが既にNSABPの試験などからわかっているにもかかわらず、

アバスチンを追加するとpCRが上がるっていうだけのつまらない

以下の二つの論文がNEJMに載っていました。


Neoadjuvant Chemotherapy and Bevacizumab for HER2-Negative Breast Cancer
G. von Minckwitz and Others | N Engl J Med 2012;366:299-309

Bevacizumab Added to Neoadjuvant Chemotherapy for Breast Cancer
H.D. Bear and Others | N Engl J Med 2012;366:310-320


データは、pCR rate 14.9% with epirubicin and cyclophosphamide

followed by docetaxel and 18.4% with epirubicin and

cyclophosphamide followed by docetaxel plus bevacizumab

(odds ratio with addition of bevacizumab, 1.29; 95% CI, 1.02 to 1.65; P=0.04)

と、

pCR rate 28.2% without bevacizumab vs. 34.5% with bevacizumab, P=0.02

です。


あまりにつまらなさそうだったのでabstractしか読んでいないのですが、

内容がとんでもなく素晴しいものだったり、私が勘違いしているよう

でしたらご教授下さい。フルで読んでみます。

個人的には何じゃこれでNEJMか、という感じですが、

そもそも雑誌のレベルが落ちている可能性も否めません。
# by aiharatomohiko | 2012-01-26 22:38 | 論文

SABCS2011 4アウトでも、アバスチン祭りは開催中らしい


AVEREL試験

HER2陽性転移乳癌を対象として、ドセタキセル+ハーセプチン±

アバスチン15㎎ q3wの試験。

n=424  中央値26か月フォローのデータが発表されました。

PFS 13.7月vs16.5月 HR0.82 (95%信頼区間 0.65-1.02)

とPFSは改善傾向だったが、

全生存期間は HR1.01(95%信頼区間0.74-1.38)とまるっきり

改善傾向が見られず、HER2陰性での試験を再現しただけでした。

血中VEGFが予測因子となる可能性が指摘されたのが、唯一の収穫か。


HER2陰性の3試験で全生存期間の改善がみられず、HER2陽性でも

ネガティブ、4アウトを献上というのが普通の読み方なんだろうけど、

提灯記事ならば、”アバスチンがHER2陽性乳癌でも無増悪期間を

改善の傾向”という見出しですね、きっと。


そうそう、アバスチン祭りが各地で開催中らしく、処方は

西高東低らしい(未確認)。


これに限らず、”企業スポンサードの研究会”もしくは

”企業スポンサードの学会でのランチョン”で、”名前が知られ

ている先生の講演”が組まれていたら、それは企業による”洗脳”

であると考えてまず間違いないです。

節操の無い講演をする人もいるようなので、話半分に聞くのが

無難です。


企業は売るのが仕事(ノルマの無い会社は無い)。

われわれは患者さんのリスク・(コスト)ベネフィットを考えて

使うか使わないか判断するのが仕事。
# by aiharatomohiko | 2012-01-13 22:35 | 学会

SABCS2011 BOLERO2


レトロゾールかアナストロゾールで病勢が進行した閉経後ホルモン

感受性転移乳がんを対象として、エキセメスタン±エベロリムスの

比較試験が行われました。学会中発行のNEJMに掲載されました。

n=724で試験治療2:標準治療1のランダム化がなされました。

背景として、タモキシフェンが約半数、化学療法が約1/4、

フェスロデックスが約15%に使用されていた。


予定された中間解析の結果でO’Brien-Fleming boundary

を超えて優越性が証明されたので、結果が発表されました。


PFS ハザード比0.44(0.36-0.53)7.4 vs 3.2か月と有意な

改善が見られました。

イベント数も457と十分です。

しかしながら、中央判定ではHR = 0.36 (95% CI: 0.28-0.45)、

イベント数282とまあまあな違いが見られます。サブグループ解析では

背景因子の違いを超えて効果の一貫性が証明されています。

なお、学会発表はアップデートされたデータなので、論文とはごくわずか

数字が違います。


OSはイベント数が少ないため、最終解析は来年末以降になる予定ですが、

2011/7/8時点で137イベントが観察され、エベロリムス群では17.2%、

プラセボ群では22.7%と、最終解析で改善される可能性が高いのでないか

と思います。


副作用は併用群で頻度が高く、特に口内炎・発疹・食欲不振・肺炎などが

気になります。QOLに差はなく、骨代謝は併用群で悪い傾向にあった

とのことです。


OSでの差が確認されれば、認可されたら使用することになるのではないか

と思いますが、恐ろしく高額らしいのと副作用が気になります。
# by aiharatomohiko | 2012-01-09 16:33 | 学会

SABCS2011 センチネルのマイクロメタに腋窩郭清は必要?


IBCSG23-01試験は、センチネルリンパ節のマイクロメタに対して

腋窩郭清なしvsありのRCT。 


対象はSn転移径2㎜以下(腫瘍径5㎝以下多発可)。

SNは50-200nmの厚さで切片作成。


一次評価項目はDFSで、当初n=1960のターゲット。

558イベントで、NoAD(郭清なし) vs ADのハザード比が

1.25で非劣性という研究仮説。


実際の集積はn=934 (10年間)

中央値57か月で98イベント 予定の五分の一

温存が90%、RTが90%、ホルモン治療が60%。 


結果:NoAD vs ADのイベント数が46 vs 52とNoAD群で少なく、

HR 0.87で95%CIの上限が1.12だったため、非劣性が証明されたと

結論された。こんな感じで比劣性というような結果が多いですね。


イベント数が少なく、絶対的な結論が得られるわけではないが、

非郭清でもあまり問題はないとは言えそう。
# by aiharatomohiko | 2011-12-30 15:31 | 学会

ビスフォスフォネートの星取表


術後再発予防の星取表一覧

ABCSG12 (n 1800) ゾレドロン酸 閉経前内分泌感受性 ○
ZOFAST  (n 1000) ゾレドロン酸 閉経後内分泌感受性 ○
AZURE   (n 3300) ゾレドロン酸 閉経前・後 ×
NASBP B34 (n 3300) クロドロン酸 閉経後が2/3 ×
GAIN試験 (n 3000)  イバンドロン酸 閉経前後 ×

こうしてみると、効果がある対象を絞ったうえでランダム化

比較試験を行って、そこでポジティブな結果を出さないと、

やっぱり厳しいかも。
# by aiharatomohiko | 2011-12-23 16:52 | 医療

SABCS2011 イバンドロネートもダメ


イバンドロネートの効果を検討したGAIN試験の結果も発表されました。

ddETC vs EC-PTX/X±イバンドロネートを比較した2x2の試験です。

n=3023 中央値39ヶ月の一回目の中間解析の結果です。

ibandronate vs none は 2:1に不均等にランダム化されています。

ibandronate群の90%が実際に服薬を開始、そのうちの18%ほどが

途中で中止したとのことです。ただし、6%はイベントが起こった

のがその理由とのこと。

対象の77%がホルモン感受性で、年齢中央値は49才です。


想定イベント数の50%が起こったときに、Bayesianのfutility

解析を施行することが設定されており、今回の結果はそれにあたる

とのことです。

その結果、これ以上検討しても仮説が証明される見込みはない

=futilityは化学療法間の比較では証明されなかったものの、

イバンドロネートでは証明されてしまいました。


3 year DFS

ibandronate 87.6%

observation: 87.2%

Cox regression:HR: 0.945, 95% CI (0.768, 1.16); p=0.59

という結果でした。


OSも違いがなかったです。

サブグループ解析で60才以上で良い傾向とは、苦し紛れですかね。
# by aiharatomohiko | 2011-12-20 22:23 | 学会

SABCS2011 NSABP B34 クロドロン酸はネガティブ


術後薬物療法としての、プラセボvsクロドロン酸のランダム化比較試験

1600㎎を3年 (3年で60%のコンプライアンス)

n=3323 2/3が閉経後 ホルモン陽性が多い

副作用 ONJは1/1600例。

DFS ハザード比0.91 NS イベント312 vs 286

サブセットでは50才以上で有意に遠隔転移が少なかった。

対側乳がん、IBTR、二次がんが両群でかわらないため効果が

薄まったのではないかという考察あり。

OS ハザード比0.842 (0.672-1.054)と良い傾向にあった。


全体的にはネガティブな結果だったが、閉経後でよい傾向

という結果。またしてもはっきりしない結果になった。

ビスフォスフォネートは、何らかの予測因子があれば、有効な

サブセットが見つかりそうではある。
# by aiharatomohiko | 2011-12-14 22:16 | 学会

サンアントニオ2011 ABCSG12試験アップデート


閉経前ホルモン受容体陽性乳がん術後療法におけるゾレドロン酸

の有効性を検討したABCSG12試験のアップデートの結果です。

フォローアップの中央値は84か月。

DFS(無病生存期間) HR0.72(0.56-0.94)230イベント

OS(全生存期間) HR0.63(0.40-0.99)82イベント

DFSのイベント数は200を超えて、一定の信頼性はありそうです。


サブセット解析はTAM/AIや腋窩リンパ節転移の有無でゾレドロン

酸の有効性は変わらないのですが、40歳未満では有効性が確認でき

なかったとのことです。

理由はよく考えても不明。

40歳未満では卵巣機能の抑制が不十分ではないかといった議論が

あるようですが、そうであれば40歳未満でのアナストロゾール群

の予後がかなり悪くなっているはず。

そのあたりはどうなっているのでしょうか。


さて、この試験とZO-FASTの結果だけ見れば、閉経後における

ゾレドロン酸の再発抑制効果はポジティブですが、AZURE試験

との相違が気になります。AZUREをおさらいすると、全体では

ゾレドロン酸の効果はみられなかったものの、閉経後のサブセット

解析では再発を抑制している傾向がうかがえたというものです。

もう一度AZUREのサブセット解析の結果を見てみましょう。


Invasive disease free survivalのゾレドロン酸群とコント

ロールでのイベント数は404と403ほぼ同数でした。

閉経前では、288と256とゾレドロン酸群の方が30イベント

ほど多く、一方閉経後では116と147イベントと30イベント

ほどゾレドロン酸の方が多かったという結果でした。閉経前

と閉経後のイベント数は差し引きゼロで、ただ単にばらついて

いるだけのようにも見えます。


もし低エストロゲン状態がゾレドロン酸の有効性の前提条件と

すると、AZUREの閉経前でも化学療法が95%に行われており、

化学閉経になっているケースもそれなりにあるので、ゾレド

ロン酸群で再発が多いというのは結果に再現性がないという

ように思えます(80%がホルモン受容体陽性)。

つまり、懐疑的に見ればAZUREの閉経前でゾレドロン酸投与

群の再発がむしろ多かったこととABCSG12の結果との違い

を明確に説明できるようなものはなく、結果が一定していない

という印象があります。ポジティブなサブセットだけをつまみ

食いして、“AZUREでは閉経後はエストロゲンの低い

サブセット、ABCSG12はLHRHIによりエストロゲン

が低いからゾレドロン酸が効く”というのは、私にはすっきり

しないですね。

ABCSG12ではほとんどのケースで化学療法が行われていない

ので、これが違いになっているのでしょうか。

しかし、その理由付けも難しいような。

色々と考えてみても、ゾレドロン酸に再発抑制効果があるか

どうかについては、個人的には迷宮入りです。
# by aiharatomohiko | 2011-12-13 22:49 | お知らせ

サンアントニオ2011 ZO-FAST試験


5年フォローの結果が発表されました。

ホルモン受容体陽性閉経後乳がんでレトロゾールを投与した

症例が対象。n=1,065。

術後すぐにゾレドロン酸を投与するupfront群と骨塩量が低下

してから投与するdelayed群との比較です。

なお、delayed群では27%がゾレドロン酸の投与を受けている。

イベント数
upfront/delayed
DFS    42/62     HR0.66    p=0.0375
OS     26/36     HR0.69    p>0.05

とDFSでは改善が見られていますが、イベント数が少なく確定的と

までは言えないのではないでしょうか。

(p値だけでなくイベント数にも注目して下さい。)

ともあれ、この試験ではゾレドロン酸の再発抑制効果が、

継続して観察されています。
# by aiharatomohiko | 2011-12-12 22:33 | 学会

サンアントニオ2011 アリミデックスとフェスロデックスの併用


閉経後内分泌感受性転移乳がんの一次療法(n=707)として、

アナストロゾール(アリミデックス) vs アナストロゾール+

フルベストラント(フェスロデックス)(500㎎→250㎎)のランダム化

比較試験の結果が報告されました。


対象は術後療法としてタモキシフェンが投与された症例、もしくは

アナストロゾール終了後1年以上経過した症例(n=12のみ)、

もしくはstageIVの症例です。


アナストロゾール群はPD時にフェスロデックスへのクロスオーバーが

強く勧められたとのことです。

無増悪期間(PFS)は、13.5月vs1 5.0月でp=0.007。

全生存期間(OS)は、41.3月vs 47.7月 HR0.81(95%CI 0.65-1.00)

とフェスロデックスの併用が優れている傾向が見られました。

サブセットでは、タモキシフェンの術後療法を行った症例では有効性が低く、

そうでない症例は有効性が高いという結果でした。


この試験の結果は併用が有意に良好でしたが、以前のRCTの結果

(Berg SABCS2009)は全くのネガティブでした。

今回の試験とどうして結果が異なったのかは不明確のため、現状では

併用は積極的には勧められないのではないかと思います。

提灯記事ならば、“フェスロデックスとアリミデックスの併用で、

予後が改善”と書くのでしょうか。
# by aiharatomohiko | 2011-12-11 15:11 | 学会

サンアントニオ2011概況


今年もサンアントニオに来ています。今年は寒いです。

相変わらず会場は人で一杯です。

大きなRCTの結果がいくつも発表され、特にBOLEROIIやCLEOPATRA

といった分子標的治療の臨床試験結果がNew Englandに併せて掲載される

など、充実した内容となっています。

また、術前化学療法の早期治療効果を元に薬剤や投与サイクルを

変えることにより予後改善が得られるという画期的な試験結果や、アバスチン

の4アウト目(byW先生)の試験結果、NSASBC02の結果も報告されました。

盛り沢山な今年のサンアントニオの概況でした。
# by aiharatomohiko | 2011-12-10 06:38 | 学会

アバスチンの乳がんへの適応にみる日米の差


アメリカでは2010年夏に独立委員会の評決により12-1でアバスチンの

転移乳がんへの適応取り下げが勧告され、これを受けて本年6月末にFDAが

2日間に渡る公聴会を開きました。その際に独立委員会の再評決も行われ、

6-0で取り下げを支持するという結果でした。

最終的に11/18に適応承認の取り消しが行われ、その結果が同日にHP

にアップされています。取り消しの理由は、消化管穿孔などの重篤な

副作用がみられる一方で、全生存期間の改善が見られなかったため、

リスクベネフィットを考えて承認すべきでないということのようです。

新しいデータが出たおりには再承認もあり得ると読めました。

首尾一貫した態度であると感じます。

Q&Aには薬価が高いことは考慮しなかった旨も書かれていました。

http://www.fda.gov/NewsEvents/Newsroom/ucm279485.htm


さて、これに先立つ本年8月1日に日本ではアメリカと逆方向である

アバスチンの乳がんへの適応拡大に向けた審議が行われたようです。

その際の議事録が11/14(アメリカに比べると遅いですね。)

に公開されています。

http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/2r9852000001uiuh.html

内容を読むと、機構が適応拡大に賛成、しかしながらその理由が”本剤

の有効性を再現するような試験をデザインするのは、現状では難しい

のではないか(使用したい人が多いため)”であるのには驚きました。

有効性を再確認するような試験ができないから承認ですか。

この理由であれば、たまたま良い結果が出たような薬剤はその効果が

疑問視されたとしても、追試が難しいという理由で全部承認するしかない

ということになりますね。正気でしょうか。

部会長もこの意見にややなびいているようです。

委員の先生方はとても全うな意見を出されていて、まともな議論が

行われていたことは伺い知れます。

委員の先生方はどちらかというと即時の適応拡大に難色を示されて

いたように読めるのですが、結局は8月25日に継続審議となり、

そこで承認されたようです。

ただ、8月25日の審議結果が未だに公開されていません。これでは、

われわれにはどういった理由で承認されたのか、承認に条件が付いた

のか否かといったことは今もってわかりません。

適応拡大の是非はともかくとして、FDAの即日公開とは比べようもなく

遅く、怠慢といわれても仕方がないのではないでしょうか。

残念ですね。


私の個人的な考えを述べると、アバスチンが有効な対象があるよう

には思えるものの、それがどういった患者さんであるかをわかる術

が現状ないために、FDAの決定の方を支持します。
# by aiharatomohiko | 2011-11-26 23:42 | 医療

琉球乳腺倶楽部での遺伝子発現プロファイルの話 その2


もう一つの話題は、マンマプリントやオンコタイプDXに代表される

予後予測因子としての遺伝子発現プロファイルです。

これに関して私は当初懐疑的な見方をしていました。その理由の

一つは、検査の再現性に疑問があったからです。特にオンコタイプは

パラフィン切片からRT-PCRを行うので、基礎の先生の評判が悪いこと

もあって、この結果って大丈夫かいなという気持ちがぬぐい難かったの

です。しかしながら、いろいろと論文も出てきた中で、相当昔の症例

でもアッセイが高い確率で成功していることが報告されてきたので、

この考え方は改めました。

オンコタイプについていえば、開発の過程でHER2陽性の症例が含まれ

ているのがやや残念なところです。ER陽性HER2陰性だけを対象として

系を開発すれば、うまくいけばオンコタイプよりも正確に予後予測や

化学療法の予測ができるかもしれません。


さて講演では、病理学的因子により遺伝子発現プロファイルの有用性

が左右されること、すなわち、NG3では低リスクと判定されても

再発リスクは高い。むしろNG1・2の高リスクの拾い上げに有用

であること。

オンコタイプでも、核異型度や腫瘍径といった病理学的因子が異なると

リカレンス・スコアが同じでも再発率が異なることをお話してきました。


オンコタイプなどでは細胞増殖因子関連遺伝子の発現が重要ではないか

と考えられていますが、Ki67との比較はどうでしょうか。

2010年のサンアントニオでは、Ki67が低い症例でオンコタイプが

高リスクになるケースはほとんどありませんでしたが、Ki67が高い症例

の約40%がオンコタイプで低リスクになることが発表されていました。

すなわち、Ki67だけではリスクを高く見積もる事になりそうです。

その理由は、Ki67はG1-M期で広く発現を認めるが、細胞周期に入った

細胞全てが分裂するわけではないからなのでしょう。

繰り返しになりますが、Ki67が低い症例はオンコタイプでは約6割が

低リスク、約4割が中リスクになることは、化学療法の適応を考える

上で有用な情報ではないかと思います。


f0123083_2322180.jpg

# by aiharatomohiko | 2011-11-24 23:02 | 日常

琉球乳腺倶楽部での遺伝子発現プロファイルの話

f0123083_222131.jpg



第41回琉球乳腺倶楽部で遺伝子発現プロファイルによるサブタイプ分類と

予後予測について話をしてきました。


概要を紹介します。

サブタイプ分類に用いることのできる遺伝子発現プロファイルは複数

あります。以前ブログに書いたようにある特定の個人が分類される

サブタイプは用いる方法によってかなり異なる(ある方法では

ルミナルAに分類される人が別の方法ではルミナルBやHER2などに

分類される)こと、そしてこれは近々ブログにアップしますが、

特定の方法を用いたとしても検査を行う人によってある特定の個人が

ルミナルAに分類されたりルミナルBやHER2タイプに分類されたり

するということが頻繁に起こります。一番の関心事である、ある特定

の個人をルミナルAかBかにきちんと分類することは、残念ながら

出来ません。


もしサブタイプ分類が”intrinsic”(本来備わっている,固有の,

本質的な,本源的な )なら、複数あるどの遺伝子発現プロファイル

を使っても、ある特定個人のサブタイプは一致するはずですが、実際

はそうではありません。つまり、遺伝子発現プロファイルによるサブ

タイプ分類は主観的な方法であるため、分類されたサブタイプはとても

intrinsicとはいえないのです。



乳がんをサブタイプに分類するのであれば、遺伝子発現プロファイルを

使った分類よりも、現状ならばERやHER2といった治療標的を免疫染色

することによる分類の方が実用的ではないでしょうか。

ただ免疫染色による分類でも、いわゆるルミナルAとBをきれいに分ける

ことは困難です。なぜならば、例えばKi67をマーカーとしてカットオフ値

を設けることにより分類するとしても、そもそも連続したものを恣意的に

分けることになるため、検査方法が標準化すらされていない現状で誰もが

納得するカットオフポイントを設けることはできません。

ルミナルAとBで治療方針を変えるという考えは、概念的には理解できても

個別化医療に応用することは出来なさそうです。

“この患者はルミナルBっぽいですね”というような内容のうすい議論が

これからも続くことになるのはいかがなものでしょうか。

建設的に考えるのであれば、Ki67が相当程度に低い症例と高い症例に

絞って予後や抗がん剤の感受性などを検討することは有用なのかもしれ

ませんが。
# by aiharatomohiko | 2011-11-19 22:00 | 日常

先進医療というファンタジー


世の中には先進医療というカテゴリーがあります。

名前は、”先進“ですから、とんでもなく効果の高い先進的な治療法

が出てきたかのように思えます。患者さんも新しい治療法はないか、

ということは常に気にかけておられるので、診察時にどのようなものか

と聞かれることがあります。


しかしこれは名前倒れなんですね。


このカテゴリーに入る治療法や検査法は、新しく開発されたひよっこ

の段階で、リストを見てみても標準的な治療法や検査法と比べて良いか

悪いか見当が付かないものがほとんどです

(http://www.mhlw.go.jp/topics/bukyoku/isei/sensiniryo/kikan02.html)。

つまり将来的に標準治療となるような優れた治療法が含まれている

可能性があるものの、しばらくすると消えているような治療法も多く

含まれていると考えるのが理性的です。


しかしながら、“先進医療”という名前からそういった事を専門家

でない人間が伺い知るのは難しいでしょう。内容を正確に表すと、

”新規実験医療“という名前になりますが、それではカッコが悪い

ということなのでしょうか。


個人的には、こういった名前をつけてよく恥ずかしくないものだと

思います。四文字熟語では、羊頭狗肉。こういった素人を騙すような

ネーミングは止めて頂きたいのですが、効果が確立されていなくても

新しければ”先進“という“ノイエス病”に取り付かれているかのようです。


患者さんには医療の詳しい内容は分かりにくいので、大きな病院で

先進医療が行われていると聞けば、それを頼りにしてしまうのは

仕方がないことです。


ただ、これに振り回されて貴重な時間を浪費させられては、

堪ったものではありません。良いものではなく良く見えるものが売れる

という法則がありますが、標準治療が現時点での最善の治療法である

ということをよく理解して、あやしい先進医療に惑わされない様にしたい

ものです。
# by aiharatomohiko | 2011-10-26 22:29 | 日常

フェソロデックスのポジショニング


もうすぐフェソロデックス(旧姓ファスロデックス)という内分泌治療剤が

発売されるので、論文を読んでみました。(JCO 28:4594-4600;2010)

エストロゲン受容体に結合して分解するという作用機所から、高い

臨床効果を期待されていました。

そもそも開発されていた250mgでは、転移乳がんでぱっとした結果

が得られなかったのですが(アナストロゾールには引き分けで、タモキシ

フェンには負けに近い引き分け)、用量依存性に効果が高くなることが

示唆されたので、500mgと250mgの比較試験が行われました。

対象は閉経後ER陽性の転移もしくは局所進行乳癌で、術後内分泌療法中

もしくは終了後一年以内に再発したケースです。

それ以外の一次療法としてタモキシフェンかアロマターゼ阻害薬の投与

がなされたケースも対象となります。

736名の患者さんが1:1のランダム化で250mgx2本もしくは

250mg1本+プラセボに割り付けられました。

結果は、無増悪期間でハザード比が0.80(95%CI 0.68-0.94)と

500mgが勝ちましたが、その中央値は6.5ヶ月と5.5ヶ月とわずか1ヶ月

の違いしかありませんでした。

この結果だけでは、なにも500mgを使わなくて250mgでもいいんじゃ

ないの?(針が太くてお尻に二本筋肉注射しなければならないため)と

考えてしまいます。

一方、全生存期間では、25.1ヶ月と22.8ヶ月で、ハザード比は0.84

(95%CI 0.69-1.03)でした。統計学的に有意ではないものの、

有望な数字にみえます。ぱっと読んだだけではイベント数がどれくらい

起こっているのか分かりませんでしたが、75%にイベントが起こった

ときにOSの2回目の解析が予定されており、それは2011年だろうと

論文に書いてありました。その結果に期待です。

サンアントニオか来年のASCOにはデータが出るのでしょう。

なお、QOLでは両者に違いはなかったとのことでした。

さて、500mgでSERMやAIにリチャレンジするのか、フェソロデックス。

当院での出番は、リチャレンジの結果が出るまでは、使いにくい剤型を

考えるとMPAの後になりそうです。
# by aiharatomohiko | 2011-10-16 21:12 | 論文

CYP2D6とTAMの話


タモキシフェンの効果とCYP2D6という遺伝子の多型が関連があるかどうか

が話題になって久しいです。日常診療でも患者さんから検査を依頼される

ことがありますが、現時点では関連性がはっきりしないので、当院では検査を

していません。

欧米人と日本人(アジア人)では遺伝子の型がずいぶん違うのですが、

どちらの人種でも関連があるという研究結果と関連が無いという研究結果が

混在しています。昨年のサンアントニオでATACとBIG1-98のサンプルを使った

研究結果が発表されて、いずれも関連なしという結果だったために、やはり

関連が無いもしくは弱いのかなと考えていたのですが、しっかりとした

デザインで前向きに検討する必要があるというのは衆目の一致する

ところです。


東大医科研と四国の乳がんを専門とする医療機関が中心となって行った研究

では関連ありという結果が出ているために、ここを中心として前向き試験を

行おうという機運が高まっています。しばらくの間現実的なデザインを模索

していましたが、大体固まってきたのと先日奥道後でミーティングが開かれた

ので部外者ながら参加させて頂きました。


そこでは大変熱い議論が繰り広げられ、詳細は明らかに出来ませんが、

前向き試験を行う方向での結論が出ました。結果がどうであれ最終的な

結論を導き出せるような臨床試験が組めそうですので、楽しみです。

皆様お世話になりました。



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当日の参加者は、前佛先生、笹先生、杉本先生、安芸先生、

山川先生、大住先生でした。皆様車で何百キロも飛ばして来られた

熱意は素晴らしいものでした。
# by aiharatomohiko | 2011-10-10 09:46 | 日常

AZURE試験の論文発表


ゾメタの再発抑制効果を検討したAZURE試験の結果が論文発表されました。

(September 25, 2011, at NEJM.org)

内容は2010年サンアントニオの結果と同じでした。

ただ、今まで行われた臨床試験の結果からは、ゾメタが有効なサブセットが

存在する可能性が否定できないため、もう一つか二つサブセットを絞った

追試験が行われることを期待したいです。

しかしながら、現実には転移乳癌でゾメタはデノスマブに負けたため、

会社が資金を出す可能性はほとんど無いのではないかとは思いますが。
# by aiharatomohiko | 2011-09-27 12:59 | 論文