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by aiharatomohiko
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EBCTCG2012 1日目


EBCTCGの本会議はPetoのintroductionから始まった。

彼の話では、フォローアップは5年では短すぎる。

10年のフォローは当たり前で、EBCTCGでは15年や20年の

フォローを念頭に入れているように思えた。


Materials and methodsのセッション

EBCTCG 2012/15サイクルでは、2005年以前に開始された、生存を

一次評価項目とする治療法の比較を目的とした試験を解析対象とした。

試験の拾い上げは、電子的なデータベースサーチ。ジャーナルの

ハンドサーチ。引用文献のチェック。プロトコルデータベースや試験

レジストリのサーチ。個人的なコンタクト、によった。


EBCTCGの今回のサイクルでは、局所治療、内分泌治療(タモキシフェンの治療

期間、AI)、化学療法(タキサン、アンスラ)、ビスフォスフォネート、

卵巣機能抑制、抗HER2療法について検討する。


バイオマーカーや遺伝子発現プロファイルを要求するというように、

ベースラインデータが膨大になっている。

フォローアップデータも項目が増えた。

今後の臨床試験ではこんなに膨大なデータを入力しておく必要がある

のか、とちょっと気が遠くなった。

204グループの455試験のデータリクエストを行った。

現状EBCTCG には、36グループからの73試験の90,000名のデータが

集まっているとのこと。
# by aiharatomohiko | 2012-09-24 00:41 | 学会

EBCTCG2012 How to do long term follow-up


EBCTCGのミーティングがOxfordで行われています。

今回初めて参加したので、その様子を速報します。

ただ、英語がかなり聞き取りにくいので、内容はご確認の上で

お願いします。


9/19 にinformal meeting on Long-term follow-upという

セッションから始まりました。


EBCTCGのデータのサマリーからスタート。

PMRTの乳癌死亡減少効果は、5年で3.6%、15年で6.2%、

20年で更に大きい。

一方、非乳癌死亡は5年で0%、15年で2.1%、20年で更にPMRT群で多い。

TAMの乳癌死亡抑制効果も5年よりも15年の方が大きい。

以上のことから、5年のフォローアップでは不十分で、より長期のフォローが

重要であることは今までのEBCTCGの解析から既にわかった。

今後どうするべきか、どのようにすれば長期フォローが可能であるか、

という議論。


ヨーロッパの例 EPIC

Caner epidemiology unit

1993-99までヨーロッパ中で健常人50万人をフォロー。60000人ががんを発症。

国によって、cancer registryがある国とない国があり、一国でも地域によって

あるところとないところがあるのでフォローの方法が異なる。

registryがあればそこからデータをとれるが、ないところでは本人に

郵便や電話、場合によっては自治体、医師や病院にクエリーを送る場合も

ある。



USAの場合

WHI DM HRT CaDの三つの試験がある。

参加者によって複数入っている人もいる。

CT=68132人

WHI=161809人

93-98年にリクルート。2005年までの計画でフォローアップ。

Extention study I 77%、Study II 87%が再同意を得た。

郵送で毎年送り、反応がなかった場合には電話を行った。

反応率は、一年目で92%、5年目で85%であった。

イベントが確認(confirm)された割合は、PE CABG BCなどで80%超え、

BCはセルフリポートでほぼ100%確認された。

ほかの方法として、メディケアからのデータ購入、費用1年で15000ドル。

HMOからのデータ入手も可能であるが、未だ方法は確立されていない。


どのように長期間のフォローをしたらよいのかという議論。

各国によってデータを取れるシステムに違いがある。

コストに関しても意見はでるが、結論が出ない。

何年フォローしたらよいのかという点に関してのコンセンサスはないが、

今までの研究からすると、20年というところか。


データをヘルスケアシステムから取れることにするのがベターであるが、

これに関してもプライバシーなどいろいろな問題がある。

長期間のフォローを政治などに働きかけるために、EBCTCGとして

position paperを書く必要があるのではないかという意見がでていた。
# by aiharatomohiko | 2012-09-21 07:59 | 学会

無症状の乳がんにCT・PET・骨シンチはすべきでない


患者さんやご家族から、”術後定期的にPETは受けた方がよいのでしょうか?”

と聞かれることが良くあります。


一般の方の常識では検査する方が安心ということだと思います。

これは、無理ないことでしょう。


ただ、乳癌学会のガイドラインでも、どの国のガイドラインでも、

検査をすることで生存率が改善されるというデータが無いので、

検査は推奨されていないとお話しすると、納得される方がほとんどです。

ASCOの会員向けの雑誌の7月号で、”無症状の乳がんにCT・PET・骨シンチ

はすべきでない”という件がTOP5リストとして表紙になっているくらい

ですので、検査料が日本の数倍にも上るアメリカでも定期検査を行う

医療機関が少なくないことがわかります。



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# by aiharatomohiko | 2012-09-02 11:16 | 医療

ASCO2012 EMILIA試験その3

それでは、副作用はどうでしょうか。

Grade3以上の副作用は、57% vs 40.8%とT-DM1で少なかった。

嘔吐は29.3% vs 19.0%でT-DM1で少なかったのですが、

制吐剤の使用状況は詳細が分かりません。

他の毒性は、肝機能異常が約20%、血小板減少が28%(>G3 約13%)

とあります。血小板減少は気になりますね。

脱毛はあまりないという話ですが、この発表からは良く分かりません。

トラスツズマブから外れたDM1の毒性でもこれですから、全身投与

なんかはとても出来ないのがわかります。

全体としては、嘔気のコントロールをうまく行うことができれば、

比較的使用しやすい薬剤のように思えます。


さて、T-DM1は20年以上前から言われていたいわゆるミサイル療法です。

何だか懐かしいですね。ミサイル療法は、適切な細胞表面上のマーカー

が今までなかったため理論だけのものだったのですが、HER2タンパク

というがん特異的標的が得られたため、現実のものとなったわけです。

がん免疫療法でもよい標的になるはずですが、HER2タンパクの免疫原性

にも左右される訳ですから、そう簡単なものではないのかもしれません。

現状がどうなのか調べてみようと思います。


先に述べたように、T-DM1の治療効果に抗HER2効果がどの程度寄与して

いるか分かりませんので、ペルツズマブを追加する意義があるのかどうか

現時点ではわかりませんが、MARIANNE試験がこれを検証する為に

行われています。

ハ―セプテスト2+/FISH陰性のものに効果があるかどうかも気になる

ところです。


それにしても、アバスチンと違って治療効果の差が大きいので、

きれいな結果ですね。早々の認可が望まれます。
# by aiharatomohiko | 2012-08-28 16:58 | 学会

ASCO2012 EMILIA試験その2

試験の結果は明快で、抗腫瘍効果並びに毒性でT-DM1が優れるという

ものでした。

トラスツズマブとタキサンで既治療例での標準治療はT-DM1に

なるのでしょう。


フォローアップの中央値は約12ヶ月。

Median dose intensityは、カペシタビン77.2%、ラパチニブ93.4%、

T-DM1は99.9%でした。

PFS(569イベント)は、6.4ヶ月 vs 9.6ヶ月 

層別化HR=0.650 (95% CI, 0.55, 0.77) P<0.0001で、T-DM1の勝ち。

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OS(223イベント)は、23.3ヶ月 vs 到達せず 

層別化HR=0.621 (95% CI, 0.48, 0.81) P=0.0005で、T-DM1の勝ち。

OSのEfficacy stopping boundaryが、P=0.0003 もしくは

HR=0.617に事前に設定されていたために、わずか数イベントの違い

とは思いますが、試験中止になりませんでした。

ただ、最終解析でもOSでT-DM1が優ることはまず間違いないでしょう。

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きれいな結果です。
# by aiharatomohiko | 2012-08-27 18:52 | 学会

ASCO2012 EMILIA試験その1


トラスツズマブとタキサンで既治療のHER2陽性局所進行乳がんもしくは

転移乳がん980例を対象として、トラスツズマブにemtansineという

抗がん剤をリンカーでくっつけたT-DM1という抗体とラパチニブ・

カペシタビンの併用療法を比較したランダム化比較試験の結果が

ASCO2012で発表されました。


T-DM1は細胞表面のHER2タンパクと結合した後に細胞内に取り込まれ、

ライソゾームで分解された時にemtansineが放出されることによって、

微小管の多分子結合を阻害し、細胞死を引き起こします。

同様な対象でのPII試験の結果が二つあり、奏効率: 25.9% (N=112)と

34.5% (N=110)でした。

前治療なしの方を対象としたランダム化PII試験では、T-DM1 (n=67)群

のPFSの中央値がtrastuzumab + docetaxel (n=70)群よりも有意に

改善した14.2 vs. 9.2 months (HR=0.59; P=0.035)という有望な結果

が報告されています。


さて、本試験は、T-DM1(3.6 mg/kg q3w IV)とCapecitabine

1000 mg/m2 orally bid, days 1–14, q3w+Lapatinib 1250 mg/day

orally qdの1:1での比較試験です。

T-DM1の3.6 mg/kg q3w IVという量は、トラスツズマブの6mg/kgよりも

少ない量になります。トラスツズマブがこの量で抗腫瘍効果があるかどうかは

定かではありませんので、T-DM1の抗腫瘍効果に抗HER2効果がどの程度

寄与するのかは分かりません。
# by aiharatomohiko | 2012-08-26 22:50 | 学会

pCRと予後:定義とサブタイプ


von Minckwitzらのアンスラサイクリン-タキサンベースのPSTを行った

臨床試験6,377名のデータを集めて抗腫瘍効果と予後の関連を検討した

貴重な論文を読んでみました。

Definition and Impact of Pathologic Complete Response on Prognosis

After Neoadjuvant Chemotherapy in Various Intrinsic Breast Cancer

Subtypes  J Clin Oncol. 2012;30(15):1796-804


pCRの定義において、腫瘍残量が最も少ない定義の予後予測力が最も強い。

これは当たり前とはいえます。Table2

f0123083_21431750.jpg



OSのイベント数が少ないために決定的なことは言えないものの、

OSのハザード比がDFSと同じかそれよりも高い傾向があるようにも

見えます。Table2。

pCRになったケースは、化学療法感受性が高く、再発後の化学療法にも

反応する可能性が高いためでしょうか?


サブタイプ別でみると、luminal A(この論文の定義では、ER/PR陽性

でNG1か2)の場合には、pCRとnonPCRでDFS,OSは差がありません

でした。ER/PR陽性でHER2陽性の場合にも、同様な結果でした。

注意すべき点は、ハーセプチンを使用した場合には、DFSは変わらない

もののOSでpCR になったケースの方が良い傾向にあったことでしょう。

ただ、イベント数が11のため、未成熟なデータではあります。Table3

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ER/PR陽性/NG3の場合、ER陰性/PR陰性/HER2陽性もしくは

HER2陰性の場合には、DFSでハザード比が4から8程度、OSで5から14

程度と著明な改善を得ています。


この論文からわかったことは、pCRがよい予後因子となるのは主にER陰性

のケースであることです。ただ、このことはER陽性で化学療法の効果が

ないということを意味しない
(EBCTCG 2012, Lancet)

ことに留意する必要があります。念のため。

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余談ですが、この論文のcommentaryで、ミシガンのD.Hayesらは

化学療法が必要になるケースのほとんどで術後化学療法が標準である

と述べていました。NACは標準治療ではないということですが、

個人的には全く同感です。


さて、本論文に関して、ルミナルAの予後が悪すぎるのではないか

(5年DFSが80%強)、というご指摘を頂きました。

その時には即答できませんでしたが、論文を振り返ってみると、対象

となっているのがcN0とcN1以上が半々で、neo-adjuvantが必要な

ケースであることを考慮すると、悪すぎるとまでは言えないのではないか

とも思えました。いかがでしょうか。
# by aiharatomohiko | 2012-08-01 00:00 | 論文

CSPOR-BC乳癌学会サテライトシンポ企画


ゆるきゃら全国一位になったくまもんが住んでいる熊本で、

6月に第20回乳癌学会総会が開かれました。

相原病院からは今年も2題の演題発表を行いました。

今は豪雨で災害が生じているようで、お見舞いを申し上げます。


昨年の乳癌学会からCSPOR-BCでサテライトシンポを持つことに

なり、今年の企画を私が担当しました。

テーマは、臨床試験の結果を吟味する-このデータはどう読むべきか-

としました。

臨床試験で使用される代用エンドポイントの妥当性に関して、実際の

臨床試験を取りあげて、ディスカッションを行うというものでした。


話題の提供を私が行い、統計学的な解説を国立がん研究センターの

山本精一郎先生にお願いしました。

司会はがんセンター東病院の向井先生と東京大学の大橋先生に、

ディスカッサントは、東邦大学の朴先生、名古屋市立大学の遠山先生、

虎ノ門病院の高野先生にお願いしました。


内容は、進行再発乳癌におけるPFSの妥当性をベバシズマブの

第III相試験結果を例にとり、また術前化学療法におけるpCRの妥当性を

NSABP-B27を例にとり、検討を行いました。


代用エンドポイントとは、新規治療の治療効果をいち早く評価するため、

RCTでプライマリーエンドポイントとして使用されることが多い指標です。

代用エンドポイントが改善されるならば、真のエンドポイントも改善される



ことが前提になりますが、臨床試験の結果が統計学的に有意かどうか

という議論は盛んになされるものの、そもそもその代用エンドポイントは、

真のエンドポイントを反映しているのか?ということが話題として取り上げ

られることはあまりなかったように思いましたので、このような

構成にしました。


内容をかいつまんで説明します。

最初のパートでは、ベバジズマブの転移乳がんに対する一次療法の

臨床試験では、プライマリーエンドポイントであるPFSは改善されるものの、

真のエンドポイントである全生存期間の改善は見られないことを提示し、

次いで山本先生の解説によりPFSは進行再発乳癌の真のエンドポイント

である全生存期間を反映するものではないことが示されました。

こうなってくると、PFSをエンドポイントとした臨床試験を行うことの

意義が問われることになりますし、ベバシズマブの臨床での使い方に

ついても疑問が生じます。

実臨床でのベバシズマブのポジショニングについては、各ディスカッサント

によって立ち居地が異なることが鮮明になりました。

ディスカッションに熱が入りすぎたために、時間がかなり超過してしまい、

次のお題の時間があまり無くなってしまうほどでした。


次のテーマでは、ACにDTXを追加することで、pCR率は2倍になるにも

かかわらず、DFSやOSの改善効果はそれよりもかなり低いものであること

を示し、山本先生の解説でもpCRはあまり良い代用エンドポイントではなく、

これを指標として臨床試験を行うことに疑問が呈されました。

一方で、最近の論文では、サブタイプによってはpCRが良い代用エンドポイ

ントになる可能性が示唆されています。


FDAから出された声明では、トリプルネガティブなどに関しては、pCRを

エンドポイントとした術前化学療法の結果によって新薬が迅速承認の対象に

なるようですが、後に真のエンドポイントが改善されることの証明が必要

とされるようです。

アバスチンのケースと同じで、当たり前といえば当たり前の話ですが、

今後迅速審査の話だけを取り上げて話をする人も出てくると思いますので、

要注意です。

この問題に関しては、今後どのように発展していくのか、興味深いところです。


さて、当日は350名ほどの参加で立ち見が出る程の盛況でした。

来年の浜松でも行われる予定です。

誰が担当するかはまだ決まっていませんが、興味深いセッションになると

思います。ぜひご参加下さい。
# by aiharatomohiko | 2012-07-22 21:50 | 学会

第1回長州Breast Cancer Conferenceでの講演


同じく2月には、山口での栄えある第1回の長州Breast Cancer

Conferenceで“最新のエビデンスを臨床へ生かすために考える”

という演題で講演させて頂きました。

この講演の内容は、前半は東京での講演と同様に代用エンドポイント

の問題点と解釈の仕方についてお話をさせて頂きました。

後半は、最新の臨床試験の結果の解釈を、ということでiniparib の

PII/PIII試験の結果とその解釈、BOLERO-2とCLEOPATRAの結果

とその解釈について活発なディスカッションを行いました。

会の後も久しぶりにお会いした先生も一緒にといろいろな話題に

花が咲いて、大変楽しい一日でした。

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# by aiharatomohiko | 2012-07-17 22:54 | 講演

第12回西東京乳癌フォーラムでの講演


忙しさにかまけてブログをアップしていないと、学会で最近ブログ

どうしたのと聞かれることが多くなります。

いかんいかん、で梅雨も明けそうというのに2月の話題に戻ります。

すみません。

2月に、第12回西東京乳癌フォーラムで“なぜエビデンスは我々を

騙そうとするのか”という、ちょっとキャッチーな演題名で講演を

させて頂きました。

内容をかいつまんで紹介すると、エビデンスは一つしかなくても、

解釈はその立場(研究者・製薬企業・プレス・臨床医など)によって

異なること、われわれは臨床医としてエビデンスをどのように解釈する

のが患者さんにとって最善であるのかといった観点でお話をさせて

頂きました。


特に代用エンドポイントの問題点をATAC、ベバシズマブ、NSABP 

B28試験(術前化学療法のpCRの解釈)を例にとってお話させて頂きました。

この講演の内容が乳癌学会でのサテライトシンポへと続いていく訳ですが、

そのお話は後ほど。

加えて、中間解析結果をどのように解釈すればいいのか、というお話し

もさせて頂きました。

会場にはI理事長もお運び頂いたたうえにコメントまで頂戴しまして

光栄でした。

懇親会でもディスカッションが弾み、大変勉強になりました。
# by aiharatomohiko | 2012-07-14 22:54 | 講演

SABCS2011 Gepartrioその2


なぜこの試験のデザインがいい加減というか目茶苦茶と思うかという

ことですが、その理由の一つとして規模の相当大きい試験にもかかわらず、

Primary endopointが、Pathologic response (responder)と

Sonographic response (non-responder)であり、Secondary が

5-year DFS and OSであるということがまず挙げられます。


次に、というかこれこそが野心的というか

DFSとOSの試験アームが、responderでTACx8とnon-responder

でNXを行う群をresponse guide armとして合わせて解析していることです。

つまり、研究仮説として、responseしてTACを追加する効果とresponse

しなくてNXに変更する効果が同様であるとしているということです。

ちょっとこれって仮説として有り得ないのではないか、というのが

率直な印象です。
# by aiharatomohiko | 2012-02-12 23:00 | 学会

SABCS2011 pCRは忘れて良い clinical responseこそが重要

デザインはいい加減だけど結果はとんでもなく素晴しいGepartrio

に移りましょう。


この試験は、術前化学療法としてまずTAC 2サイクルを行い、

PR/CRの場合には、TACx6とTACx8を比較する。

NCの場合には、TACx6とNX(ナベルビン+カペシタビン)を比較する

という試験です。2072名の登録がありました。


結果をかいつまんで言うと、病理学的奏効についてはresponder(n=1344)

でTACx6 21.0% vs TACx8 23.5% p=0.27、non-responder(n=604)

で、TACx6 5.3% vs TAC-NX 6.0% p=0.73と差を認めなかった(既報)

にもかかわらず、DFSでTACx8とTAC-NXの試験治療がどちらもTACx6

に勝ちました。


これだけ見ても、pCRという指標には臨床的有用性が乏しく、臨床的奏効

が重要であることがわかります。臨床的有用性が乏しいという意味は、

pCRになったら予後が良いというのは分かる、でもこれがその後の

治療方針の決定に何かの役に立つの?という意味です。

現状は”pCRになったから(ならなかったよりも)治る可能性が高いです。

よかったですね。”と患者さんに説明する以外に有用性が見出せない

わけですから。

今もあまた行われている、再発抑制効果が明確でない薬剤が使用

されているpCRをエンドポイントとしたPII試験は倫理的に大きな

問題をはらんでいる様な気がしてなりません。


さて、この結果を翻訳すると、”臨床的奏効が得られたときには突っ込

んで治療せよ。効果が無かったときには薬を変更せよ”というものです。

この研究から生じる新たな疑問は、”効果があったときに突っ込んで

治療するのと、薬を変更するのはどちらが良いのか”という事ですが、

彼らのことですから、既にこのデザインの試験は行われているのでは

ないかと思います。


個人的にはこの発表が今回のサンアントニオで最高の発表であり、

術前化学療法の臨床試験のなかでも最高傑作といえるのではないかと

考えています。もちろん、結果がconfirmされたら、という前提は

付きますが。


もうちょっとこの試験の考察は続きます。
# by aiharatomohiko | 2012-01-28 22:36 | 学会

NEJMの論文があまりにつまらなかったので、つられました


術前化学療法でpCR率を比較したって、真のエンドポイントである

全生存率にどれくらい反映するか全くわからないので無意味だという

ことが既にNSABPの試験などからわかっているにもかかわらず、

アバスチンを追加するとpCRが上がるっていうだけのつまらない

以下の二つの論文がNEJMに載っていました。


Neoadjuvant Chemotherapy and Bevacizumab for HER2-Negative Breast Cancer
G. von Minckwitz and Others | N Engl J Med 2012;366:299-309

Bevacizumab Added to Neoadjuvant Chemotherapy for Breast Cancer
H.D. Bear and Others | N Engl J Med 2012;366:310-320


データは、pCR rate 14.9% with epirubicin and cyclophosphamide

followed by docetaxel and 18.4% with epirubicin and

cyclophosphamide followed by docetaxel plus bevacizumab

(odds ratio with addition of bevacizumab, 1.29; 95% CI, 1.02 to 1.65; P=0.04)

と、

pCR rate 28.2% without bevacizumab vs. 34.5% with bevacizumab, P=0.02

です。


あまりにつまらなさそうだったのでabstractしか読んでいないのですが、

内容がとんでもなく素晴しいものだったり、私が勘違いしているよう

でしたらご教授下さい。フルで読んでみます。

個人的には何じゃこれでNEJMか、という感じですが、

そもそも雑誌のレベルが落ちている可能性も否めません。
# by aiharatomohiko | 2012-01-26 22:38 | 論文

SABCS2011 4アウトでも、アバスチン祭りは開催中らしい


AVEREL試験

HER2陽性転移乳癌を対象として、ドセタキセル+ハーセプチン±

アバスチン15㎎ q3wの試験。

n=424  中央値26か月フォローのデータが発表されました。

PFS 13.7月vs16.5月 HR0.82 (95%信頼区間 0.65-1.02)

とPFSは改善傾向だったが、

全生存期間は HR1.01(95%信頼区間0.74-1.38)とまるっきり

改善傾向が見られず、HER2陰性での試験を再現しただけでした。

血中VEGFが予測因子となる可能性が指摘されたのが、唯一の収穫か。


HER2陰性の3試験で全生存期間の改善がみられず、HER2陽性でも

ネガティブ、4アウトを献上というのが普通の読み方なんだろうけど、

提灯記事ならば、”アバスチンがHER2陽性乳癌でも無増悪期間を

改善の傾向”という見出しですね、きっと。


そうそう、アバスチン祭りが各地で開催中らしく、処方は

西高東低らしい(未確認)。


これに限らず、”企業スポンサードの研究会”もしくは

”企業スポンサードの学会でのランチョン”で、”名前が知られ

ている先生の講演”が組まれていたら、それは企業による”洗脳”

であると考えてまず間違いないです。

節操の無い講演をする人もいるようなので、話半分に聞くのが

無難です。


企業は売るのが仕事(ノルマの無い会社は無い)。

われわれは患者さんのリスク・(コスト)ベネフィットを考えて

使うか使わないか判断するのが仕事。
# by aiharatomohiko | 2012-01-13 22:35 | 学会

SABCS2011 BOLERO2


レトロゾールかアナストロゾールで病勢が進行した閉経後ホルモン

感受性転移乳がんを対象として、エキセメスタン±エベロリムスの

比較試験が行われました。学会中発行のNEJMに掲載されました。

n=724で試験治療2:標準治療1のランダム化がなされました。

背景として、タモキシフェンが約半数、化学療法が約1/4、

フェスロデックスが約15%に使用されていた。


予定された中間解析の結果でO’Brien-Fleming boundary

を超えて優越性が証明されたので、結果が発表されました。


PFS ハザード比0.44(0.36-0.53)7.4 vs 3.2か月と有意な

改善が見られました。

イベント数も457と十分です。

しかしながら、中央判定ではHR = 0.36 (95% CI: 0.28-0.45)、

イベント数282とまあまあな違いが見られます。サブグループ解析では

背景因子の違いを超えて効果の一貫性が証明されています。

なお、学会発表はアップデートされたデータなので、論文とはごくわずか

数字が違います。


OSはイベント数が少ないため、最終解析は来年末以降になる予定ですが、

2011/7/8時点で137イベントが観察され、エベロリムス群では17.2%、

プラセボ群では22.7%と、最終解析で改善される可能性が高いのでないか

と思います。


副作用は併用群で頻度が高く、特に口内炎・発疹・食欲不振・肺炎などが

気になります。QOLに差はなく、骨代謝は併用群で悪い傾向にあった

とのことです。


OSでの差が確認されれば、認可されたら使用することになるのではないか

と思いますが、恐ろしく高額らしいのと副作用が気になります。
# by aiharatomohiko | 2012-01-09 16:33 | 学会

SABCS2011 センチネルのマイクロメタに腋窩郭清は必要?


IBCSG23-01試験は、センチネルリンパ節のマイクロメタに対して

腋窩郭清なしvsありのRCT。 


対象はSn転移径2㎜以下(腫瘍径5㎝以下多発可)。

SNは50-200nmの厚さで切片作成。


一次評価項目はDFSで、当初n=1960のターゲット。

558イベントで、NoAD(郭清なし) vs ADのハザード比が

1.25で非劣性という研究仮説。


実際の集積はn=934 (10年間)

中央値57か月で98イベント 予定の五分の一

温存が90%、RTが90%、ホルモン治療が60%。 


結果:NoAD vs ADのイベント数が46 vs 52とNoAD群で少なく、

HR 0.87で95%CIの上限が1.12だったため、非劣性が証明されたと

結論された。こんな感じで比劣性というような結果が多いですね。


イベント数が少なく、絶対的な結論が得られるわけではないが、

非郭清でもあまり問題はないとは言えそう。
# by aiharatomohiko | 2011-12-30 15:31 | 学会

ビスフォスフォネートの星取表


術後再発予防の星取表一覧

ABCSG12 (n 1800) ゾレドロン酸 閉経前内分泌感受性 ○
ZOFAST  (n 1000) ゾレドロン酸 閉経後内分泌感受性 ○
AZURE   (n 3300) ゾレドロン酸 閉経前・後 ×
NASBP B34 (n 3300) クロドロン酸 閉経後が2/3 ×
GAIN試験 (n 3000)  イバンドロン酸 閉経前後 ×

こうしてみると、効果がある対象を絞ったうえでランダム化

比較試験を行って、そこでポジティブな結果を出さないと、

やっぱり厳しいかも。
# by aiharatomohiko | 2011-12-23 16:52 | 医療

SABCS2011 イバンドロネートもダメ


イバンドロネートの効果を検討したGAIN試験の結果も発表されました。

ddETC vs EC-PTX/X±イバンドロネートを比較した2x2の試験です。

n=3023 中央値39ヶ月の一回目の中間解析の結果です。

ibandronate vs none は 2:1に不均等にランダム化されています。

ibandronate群の90%が実際に服薬を開始、そのうちの18%ほどが

途中で中止したとのことです。ただし、6%はイベントが起こった

のがその理由とのこと。

対象の77%がホルモン感受性で、年齢中央値は49才です。


想定イベント数の50%が起こったときに、Bayesianのfutility

解析を施行することが設定されており、今回の結果はそれにあたる

とのことです。

その結果、これ以上検討しても仮説が証明される見込みはない

=futilityは化学療法間の比較では証明されなかったものの、

イバンドロネートでは証明されてしまいました。


3 year DFS

ibandronate 87.6%

observation: 87.2%

Cox regression:HR: 0.945, 95% CI (0.768, 1.16); p=0.59

という結果でした。


OSも違いがなかったです。

サブグループ解析で60才以上で良い傾向とは、苦し紛れですかね。
# by aiharatomohiko | 2011-12-20 22:23 | 学会

SABCS2011 NSABP B34 クロドロン酸はネガティブ


術後薬物療法としての、プラセボvsクロドロン酸のランダム化比較試験

1600㎎を3年 (3年で60%のコンプライアンス)

n=3323 2/3が閉経後 ホルモン陽性が多い

副作用 ONJは1/1600例。

DFS ハザード比0.91 NS イベント312 vs 286

サブセットでは50才以上で有意に遠隔転移が少なかった。

対側乳がん、IBTR、二次がんが両群でかわらないため効果が

薄まったのではないかという考察あり。

OS ハザード比0.842 (0.672-1.054)と良い傾向にあった。


全体的にはネガティブな結果だったが、閉経後でよい傾向

という結果。またしてもはっきりしない結果になった。

ビスフォスフォネートは、何らかの予測因子があれば、有効な

サブセットが見つかりそうではある。
# by aiharatomohiko | 2011-12-14 22:16 | 学会

サンアントニオ2011 ABCSG12試験アップデート


閉経前ホルモン受容体陽性乳がん術後療法におけるゾレドロン酸

の有効性を検討したABCSG12試験のアップデートの結果です。

フォローアップの中央値は84か月。

DFS(無病生存期間) HR0.72(0.56-0.94)230イベント

OS(全生存期間) HR0.63(0.40-0.99)82イベント

DFSのイベント数は200を超えて、一定の信頼性はありそうです。


サブセット解析はTAM/AIや腋窩リンパ節転移の有無でゾレドロン

酸の有効性は変わらないのですが、40歳未満では有効性が確認でき

なかったとのことです。

理由はよく考えても不明。

40歳未満では卵巣機能の抑制が不十分ではないかといった議論が

あるようですが、そうであれば40歳未満でのアナストロゾール群

の予後がかなり悪くなっているはず。

そのあたりはどうなっているのでしょうか。


さて、この試験とZO-FASTの結果だけ見れば、閉経後における

ゾレドロン酸の再発抑制効果はポジティブですが、AZURE試験

との相違が気になります。AZUREをおさらいすると、全体では

ゾレドロン酸の効果はみられなかったものの、閉経後のサブセット

解析では再発を抑制している傾向がうかがえたというものです。

もう一度AZUREのサブセット解析の結果を見てみましょう。


Invasive disease free survivalのゾレドロン酸群とコント

ロールでのイベント数は404と403ほぼ同数でした。

閉経前では、288と256とゾレドロン酸群の方が30イベント

ほど多く、一方閉経後では116と147イベントと30イベント

ほどゾレドロン酸の方が多かったという結果でした。閉経前

と閉経後のイベント数は差し引きゼロで、ただ単にばらついて

いるだけのようにも見えます。


もし低エストロゲン状態がゾレドロン酸の有効性の前提条件と

すると、AZUREの閉経前でも化学療法が95%に行われており、

化学閉経になっているケースもそれなりにあるので、ゾレド

ロン酸群で再発が多いというのは結果に再現性がないという

ように思えます(80%がホルモン受容体陽性)。

つまり、懐疑的に見ればAZUREの閉経前でゾレドロン酸投与

群の再発がむしろ多かったこととABCSG12の結果との違い

を明確に説明できるようなものはなく、結果が一定していない

という印象があります。ポジティブなサブセットだけをつまみ

食いして、“AZUREでは閉経後はエストロゲンの低い

サブセット、ABCSG12はLHRHIによりエストロゲン

が低いからゾレドロン酸が効く”というのは、私にはすっきり

しないですね。

ABCSG12ではほとんどのケースで化学療法が行われていない

ので、これが違いになっているのでしょうか。

しかし、その理由付けも難しいような。

色々と考えてみても、ゾレドロン酸に再発抑制効果があるか

どうかについては、個人的には迷宮入りです。
# by aiharatomohiko | 2011-12-13 22:49 | お知らせ