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乳がんの最新情報を紹介しています
by aiharatomohiko
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SABCS2014 TILとハーセプチンの効果

今年のサンアントニオは暖かかったです。
行きのロスからサンアントニオの飛行機で眠らない様にしたら、時差ボケも軽かったのはラッキーでした。
今年は臨床検体を使った研究の発表が増えていましたが、手法の理解は難しいうえに結果が確定的なものでないので、消化不良な感じが否めませんでした。
基礎のセッションになると人がぞろぞろ居なくなるのもわかります。

さて、TILとハーセプチンの効果をみた研究が発表されました。
背景や方法など
・FinHER試験(n=209)の検討では、間質の腫瘍浸潤リンパ球(TIL)の程度が高ければ、ハーセプチンの効果が高いと報告されている。
・そのため、N9831の945人を対象として、予後因子ならびに予測因子になっているかを検討した。
・AC-TvsAC-T同時併用ハーセプチンの比較試験の症例が対象。中央値6.9年フォロー。RFSがエンドポイントで、カプランマイヤーは元のポピュレーションのものを良く反映している。TILはガイドラインに則って測定し分類。
結果
・TILが高いのは94例で全体の10%くらい。ER陰性の傾向だった。
・TIL陽性(n=94)ではハーセプチンの効果が明らかでなかったが、TIL陰性(n=851)では認められた(HR 0.49(0.35-0.60))。
・また、多変量解析では、化学療法単独群ではHR0.19(0.06-0.61)とTIL陽性症例で良かったが、ハーセプチン群ではHR1.01(NS)であった。
・治療群とTILの交互作用を認めたp=0.042。
考察
・TIL陽性群でハーセプチンの効果が明らかでなかったのは、症例数が少なかったこととベースライン(化学療法群)の予後が良かった(5yRFS 90%)ことで検出できなかった可能性があります。ただ、少なくともTIL陽性の方がハーセプチンの効果が高くなるという事はなさそうな印象でした。
・FINHERはさらに症例数が少なかったわけで結果もfragileなため、そちらは一旦忘れてもよいのかもと思いました。
# by aiharatomohiko | 2014-12-14 12:39 | 学会

TANIA trial


HER2陰性進行・転移乳がんの一次治療としてベバシズマブ+化学療法を行ったケースを対象として、二次治療以降で化学療法単独と化学療法+ベバシズマブ併用を比較したランダム化比較試験(n=494)。
一次評価項目はPFS。384イベントで層別化HR0.75を両側α0.05、β0.2の条件で検出できるデザイン。

結果は、HR 0.75, p=0.0068; (95% CI;0.61–0.93) median PFSが4.2 → 6.3 monthsに延長した。化学療法はカペシタビンが約60%。

二次治療以降でもベバシズマブ併用によりPFSが伸びるという、セカンドラインでの臨床試験をなぞった結果。特に目新しい知見ではない。
OSにαは割り当てられていないようだが、もし勝つ様ならば営業的には棺桶から復活するのか、ベバシズマブ。
# by aiharatomohiko | 2014-12-04 23:04 | 学会

IMELDA どうしてこんな試験デザインなのか。



あまり興味はなかったのですが、勉強する機会があったので、業務報告的に。

HER2陰性の転移乳がんに対して、一次療法でベバシズマブ+ドセタキセルを使用して、SD,PR,CRとなったケースを対象として、ベバシズマブ単独群vsベバシズマブ+カペシタビン群を比較したランダム化PIII試験。
主要評価項目はPFS。
当初は290名がランダム化される予定であったが、BEVがFDAから認可取り下げになったため、185名登録時点で試験中止となった。そのため、そもそもの統計学的仮説に対しては、パワー不足である。

結果:PFSで有意にカペシタビン群が優れていた。層別化ハザード比0.38 (0.27–0.55)。OSにはαは割り当てられていないものの、同様の傾向が観察された。OSの層別化ハザード比 0.43 (95%CI 0.26–0.69)。

疑問点:第III相とのことですが、標準アームはBEV単独群のようです。BEV単独群の有用性が確立されていないにもかかわらず、なぜこれが標準アームとして許容されたのか理解が困難。

考察:
アバスチンにOS改善効果がない=患者さんにとってのメリットがほとんどないことを考えると、ドセタキセルがSD以上の時にカペシタビンに乗り換えるのか、PDになるまで経過をみるのかを比較した試験なのか。副次評価項目のOSでもカペシタビン群がかなり良い傾向にあるが、なぜこんなにOSで差がつくのかも良くわからない。

感想:
試験治療群が有意に優れていた場合でも、それが標準アームになると言えない試験デザインは倫理的と言えるのか。参加された患者さんが気の毒になる試験。
# by aiharatomohiko | 2014-12-04 23:03 | 学会

統計の話 BOLERO2について

 最近医療統計の勉強を少ししていることもあり、論文を読むと統計学的事項が結構いい加減に記載されているように見えることに気付く。たとえば、BOLERO-2試験。これは、エキセメスタンにmTOR阻害薬を併用する効果を調べるRCTで、一次評価項目はPFS、二次評価項目はOS。論文化されているのはPFSだけであるためか、NEJMの文中に統計学的事項はPFSに関してしか記載されていない。この試験は予定された中間解析でPFSでの有益性が証明されために早期終了となっているのだけれど、中間解析で止める条件が論文には記載されておらず、appendixを取り寄せないとわからない。

 Appendixを読むと、PFSは片側の累積有意水準がp<0.025(これはさすがに本文中にも記載あり)、Lan–DeMetsのα消費関数によるO’Brien–Flemingタイプの有益性による中止限界がp<0.0038(これが記載なし)に設定されていること、全イベントの約60%時に中間解析が予定されていたことがわかる。論文中に記載されているのは、p<0.0001と何とも大雑把。そもそも中間解析で止めるべきp値0.0038が記載されていないとはいえ、こんなんで良いのだろうか。

 OSについては、appendix にgate-keeping designでPFSが有意になった時にだけ片側の累積有意水準をp<0.025で検定することが書かれている。これで、全体のαが片側2.5%に保たれることはわかる。しかし、OSは中間解析を含めてどこにどのようにαが分配されているのかがわからない。そればかりか、肝心の最終解析時にαがどれだけ残っているのかもわからない。論文化を待つしかないのかも。プロトコールには中間解析含めて最大3回まで検定することと、中間解析でストップするとしたらこんな場合なんてことが書かれているが、OSは実際には4回検定されているようだ。何でか?

 アップしたテーブルには、最終解析のp=0.1426と書いてあるので、何となく惜しいみたいにも感じるが、そもそもの有意水準が大きくても0.025なので、どうなんだろう。OSについてはわからないことだらけなので、論文が出てからまたよく考えてみるとしよう。

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# by aiharatomohiko | 2014-07-20 23:58 | 日常

ASCO2014 閉経前でもアロマターゼ阻害薬は有用

参加せずともFBなどで新鮮な情報をどんどん得ることが出来ているのはすごいことだなと思っています。さて、今年のプレナリーでは、閉経前ホルモン受容体乳がんの術後療法での有用性を示すデータが発表され、直ちにNEJMにオンラインで掲載されました。DOI: 10.1056/NEJMoa1404037

まず対象を見てみましょう。TEXTSOFT試験の統合解析です。

TEXT was designed to evaluate 5 years oftherapy consisting of exemestane plus the gonadotropinreleasing-hormone (GnRH)agonist triptorelin versus tamoxifen plus triptorelin in women who receivedovarian-suppression therapy from the start of adjuvant therapy.

SOFT was designed to evaluate 5 years ofexemestane plus ovarian suppression versus tamoxifen plus ovarian suppression versus tamoxifen alone in women who remained premenopausal after the completion ofadjuvant or neoadjuvant chemotherapy or inwomen for whom adjuvant tamoxifen alone wassuitable treatment.

と、二つの試験で対象が異なっていることに留意は必要かもしれません。この二つの試験を統合して、LHRH+EXELHRH+TAMが今回比較されました。TAM単独群は今回の検討から外れています。

統計学的解析に関してです。

プライマリーエンドポイントはDFS

436 DFSイベントがあれば、両側アルファ0.05ならびに84%の検出力で、ハザード比0.75の差を検出可能ということでした。 OSにはアルファが割り当てられていないことがわかります。また、これが本解析であり、中間解析は予定されておらず、従って行われなかったとのことです。

結果です。

追跡期間中央値 68月でEXEの5年DFS 91.1%TAMの5年DFS 87.3% (hazard ratio 0.72; 95% CI, 0.60 to 0.85; P<0.001)と、閉経後乳がんのアロマターゼ阻害薬と比較すると高めの治療効果が報告されています。論文を読んだところでは、対側が9vs27、局所が9vs30HRの推定値はこれらに引っ張られているために少し良く見えているのかもしれません。閉経後乳癌のデータから考えると、個人的な感覚では、治療効果の推定値はHR0.8くらいではないかと思います。副作用は閉経後乳がんから類推できる範囲だったと記載されています。

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なぜ、ABCSG12試験ではDFSの差がなかったのに、この試験では差が検出されたのか、という事ですが、個人的にはABCSG12ではDFSの差がたまたま検出されなかった=βエラーではないかと思っています。その理由として、閉経後乳がんではすべからくアロマターゼ阻害薬の治療効果がDFSで上回っていたこと、STAGE試験でANA群の奏効率が高かったことを挙げたいと思います。

ところで、ASCO時点ではなぜかこんな良いデータにもかかわらず、LHRH+EXEはかなり控えめにオプション扱いに止められているようです。HR0.72ならば、オプションでなくて標準治療にすべきくらいの文句ない治療効果ではないでしょうか。Hudisもビデオで言っていましたが、TAMTAM+LHRHを上回る可能性がまずないので、アメリカの標準がTAM単独だからTAMと比較していないのでオプション扱いだというのはあまり意味がない議論に思えます。PFSとは異なって、DFSは真のエンドポイントになりますので(もちろんOSの方が重要でしょうけど)、OSで差がなかったことがこの時点で重要とは思えません。そんな事を言ってしまったら、閉経後乳がんでアロマターゼ阻害薬は標準治療といえないという結論になってしまいます。

私の考えるオプション扱いの理由は、ABCSG12試験でDFSでは差がなかったこと、何故かOSではLHRH+ANALHRH+TAMよりも悪い傾向にあった(46 vs 27 deaths; HR 1.75, 95% CI 1.08-2.83; p=0.02)こと、本試験でもOSLHRH+EXEでやや悪い傾向にある(102 vs 92 deaths; HR 1.14, 95% CI, 0.861.51; P=0.37)といったところが響いている、といったところでしょうか。OSはいずれの試験でも検出力不足ではありますが。本試験とABCSG12試験との大きな違いを挙げると、治療期間があちらは3年でこちらは5年というところでしょうか。使用しているアロマターゼ阻害薬の違いは、斟酌するような問題とは思えません。

疑問点:Prospectively planned subgroupanalyses did not reveal any striking heterogeneity of treatment effects (Fig.S1 in the Supplementary Appendix)と本文にはありますが、Fig S1をみると、HER2ではheterogeneityが明らかにあるのですね。HER2-ではHR0.63(0.52-0.76)HER2+ではHR 1.25(0.80-1.94) P<0.01。なぜ無視されたのかわかりません。

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それにしてもパテントが切れたこの薬、閉経前乳がんの保険適応の申請をしてくれるでしょうか。開発した会社のHPでの能書きは以下の通りなので、大丈夫だと思いますが。会社から文句が来そうだな。

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# by aiharatomohiko | 2014-06-03 23:16 | 学会

S4-07 ビスフォスフォネート術後療法のメタ解析 解釈は微妙



EBCTCGによる、36試験 22,982名の個人レベルのメタ解析@10年。

65%はゾレドロン酸のデータ。次いでイバンドロン酸の24

主なエンドポイントは、Time to recurrence(distant, local, 2nd primary ipsi or contra)Time to first distant recurrenceBreast cancer mortality

 

全症例

26.5% vs 25.4% 再発 2P=0.08

22.3% vs 20.9% 遠隔 2P=0.03

8.4% vs 6.9% 骨 

閉経後(55才以上もしくは強制的に閉経)

21.9% vs 18.4% 遠隔

8.8% vs 5.9%

 

骨 閉経前HR 0.93 vs閉経後HR 0.66  ヘテロジェナイティーあり 

骨以外は閉経前と後ともにHR1.0前後でヘテロジェナイティーなし

 

乳がん死亡:閉経後HR0.83 18.3% vs 15.2%  Bisなしvs あり

非乳がん死亡:変わりはない

全死亡:閉経後23.8% vs 21.5%  Bisなしvsあり

効果はERの状況、化学療法の有無にかかわらない

 

短評: メタ解析で行われるいくつもの検定をどうとらえるべきなのか(有意水準を何%と考えるべきかなど)、気になっていたのであちこちで聞いて回ったところ、検定は便宜的に行われるものであって、2P<0.05にこだわる必要はないとのこと。やっぱりなー。
この研究結果の場合には、基本的には結果を仮説提示的ととらえて、閉経後乳がんで検証試験の結果を待つのが妥当に思える。しかし、検証試験はなされているのだろうか。ところで、この治療効果が確かだとして、すべての閉経後乳がんの術後に
Bisを勧められるかというと、全死亡約2%の改善に対して払うコストの顎骨壊死約0.5-1%を許容できるかは微妙。
再発リスクの高いケースは現時点でも検討の対象になるかもしれない。




# by aiharatomohiko | 2014-02-02 23:01 | 学会

SABCS2013 LET±Dasatinib


S3-07  LET±Dasatinib(oral multi- BCR/Abl and Src family tyrosine kinase inhibitor) (open label)
ランダム化PII試験

対象:MBC n=120
adj AIは<1%とほとんどない。
Primary endpoint CBR
95% binominal CI > CBR 39%

結果:CBRは71% vs 66%と有意差はなかった。exploratory にPFSを比較したところ、HR 0.69(20.1月vs 9.9月)とdasatinib併用で延長が示唆された。

短評:この研究は症例数が少ないこと、これまでの研究でフルベストラントやエキセメスタンとdasatinibの併用でPFSの延長は観察されていなかったことを考えると、exploratory にPFSが延長したのは偶然と考えるのが無難。
# by aiharatomohiko | 2013-12-26 22:01 | 学会

SABCS2013 ER(ESR1)の遺伝子変異


S3-06 ERの遺伝子変異について

乳がん原発巣におけるER遺伝子の変異は0.4%と2012年のTCGAで報告されている。この研究では、249腫瘍におけるERの遺伝子変異を検討したが、その内ER陽性の37症例の原発巣と転移巣での遺伝子変異の比較を行った。ESR1遺伝子の変異は原発巣ではわずか2%だったが、早期の転移巣では12%に、晩期の転移巣では20%にも上った。TP53、PIK3CA、PTENなど18の遺伝子変異も同時に調べられたが、これらはERの遺伝子変異と異なり原発巣と転移巣の間で遺伝子変異の割合に著明な違いを認めなかった。ERの変異はLBDのhelix12に集積していた。これらのER変異は以下の検討からfunctional mutationと結論付けられた。まず、内因性のER依存性に発現する遺伝子の転写がE2の非存在下でもE2存在下と同程度になされていた。変異ERは、E2の除去、タモキシフェンやフルベストラントに対し比較的耐性であった。また、変異ERはフルベストラントによるERの分解に抵抗性であり、E2非存在下でもE2存在下と同様にco-activatorとの結合が見られ、タモキシフェンを加えても変化がなかった。

短評:ERの遺伝子変異はかなり以前に報告されていたが、その意義は不明であった。2012年のTCGAの報告では原発巣の変異はほぼゼロであったが、2013年にこの発表を含む一連の研究により転移巣の約15~20%で変異が見られることが報告された。以上の事から、ERの遺伝子変異は転移を来たした後内分泌治療を行っている間に獲得される事、これが内分泌治療抵抗性の一因となっていることが示された。ER遺伝子変異が内分泌治療中に発生するのか、そもそも原発巣にごくわずかにあったクローンが選択されるのかは明らかでない。また、変異ER依存性に細胞が増殖しているとも考えられるため、下流のシグナルを抑えることにより抗腫瘍効果が得られることが期待される。
# by aiharatomohiko | 2013-12-23 10:11 | 学会

SABCS2013 アロマターゼ阻害薬の副作用


S3-02
アロマターゼ阻害薬使用前の患者報告による症状がAIの受容に影響を与えるのではないか
n=503
EXE or LETを開始後に24か月フォローし、CESD HADSA PSQI BCPTを調べた。
結果:31%が一年以内に毒性で治療を中止していた。ベースラインの症状として、不眠、疲労感、忘れやすさがAIの中止と相関していた(HR1.66-1.91)が、関節痛は相関していなかった。ベースラインで訴えがある症状の数が多いほど途中で中止する危険が高くなっていた。

S3-03
少なくとも6か月AIを服用してAIにより引き起こされた121名のホルモン受容体陽性閉経後乳がん患者の関節痛に対して、通常のケアとエクササイズ(週に2.5時間のモデレートエクササイズ)をランダム化して比較した。
年齢中央値65才
エクササイズ群は、フィジカルアクティビティーが改善し、3%体重が減った。
12か月でBrief pain scoreの改善が得られ、 worst pain scoreの改善も得られた。
# by aiharatomohiko | 2013-12-22 23:04 | 学会

SABCS2013 乳がん発症の化学予防

S3-01 IBIS-II

n=3864 高リスク閉経後女性の発症予防 ANA vs Placebo

HR 0.47(95%CI  0.32-0.68)
ER+ HR0.42
ER- HR0.78 NS
5年compliance約70%と実薬もプラセボもほぼ同等。(2%ほどプラセボの方が良く、統計学的有意差はあったが、臨床的に有意な差ではない。)
副作用:骨折はHR1.11 NS。 筋肉痛や関節痛などもANAで有意には増えていなかった。ATACとは違いがあり。

短評:EXEの試験と同様にプラセボコントロール。タモキシフェンが比較対象ではない。その理由としては、欧米人女性では血栓症が問題になるからと思われた。Historical controlとの比較ではANAの発症抑制効果がTAMに劣っていることはなさそうであるので、忍容性の点からANA(もしくはEXE)に軍配か。保険適応云々の前に日本人の場合にはよい発症リスク予測方法がないので予防的投与は困難であるが。
# by aiharatomohiko | 2013-12-21 14:09 | 学会

SABCS2013 B32の続報


S2-05 B32の長期フォローの結果

AD(腋窩廓清)とSNBでOSは変わらない。
腋窩再発は、ADで0.2% SNBで 0.5%と変わらない。
オカルトメタでは予後が悪い傾向にあった。OSの差は3.1%。
オカルトメタの症例でも、ADとSNBでOSとDFSは変わらなかったため、ADは勧められないしIHCでオカルトを見つけることも勧められない。
# by aiharatomohiko | 2013-12-20 14:05 | 学会

SABCS2013 転移乳がんに対する手術の意義は?


S2-02 StIVに対して原発巣を切除するかどうか
一次評価項目OS
研究仮説:手術なし群で18か月 手術群で6か月の延長
治療のシークエンス:術前化学療法(A±T)→ランダム化±手術(乳房およびAx)
N=350
特記:手術なし群で10%がpalliative mastectomyを受けた。
OS:HR 1.04 (95%CI 0.8-1.34)
遠隔転移の増悪率は手術をした群で高かった。

S2-03 StIVに対して原発巣を切除するかどうか
一次評価項目OS
研究仮説:3年OS 17%(手術なし) vs 35%(手術あり)
デザイン:StIV 一次治療として、手術(→薬物療法)もしくは薬物療法
(ちょっとややこしいデザインの様だったが、スライドが手元にない)
N=278

結果:25%で温存療法が行われていた。
3/4が一か所のメタ 半数が骨転移だけ
OSは手術群で4か月ほど良い結果であったが、有意差はなかった。
単独の骨転移で手術群が良く、多発の肺・肝転移で手術群が悪い傾向にあった。

短評:現時点ではStIV乳がんへの局所コントロール目的以外の手術は否定的。日本でのJCOGstudyを含めていくつか他に試験が走っていることが紹介された。将来的には、メタ解析によりエフェクトサイズの精密な見積もりと治療効果が大きいと思われるサブセットが明らかになることが期待される。
# by aiharatomohiko | 2013-12-18 14:02 | 学会

SABCS 2013 HER2陽性の術後療法


S1-04 n-に対する術後療法としてのH+PwのPII試験。

HER2+ n0 <3cm n=406が対象。
pT1の5yDFSは、MDACCで77.1% 、NCCNで83.3%
再発リスクが低いと思われるpopulationで毒性の低いレジメの有用性を検討した試験。特にアンスラサイクリンによる心毒性を避けるためか。RCTは難しいので、single arm PII試験としている。
Pw80+H x12→Hq3wk x13
DFSは
Null hypothesis 9.2%
Alternate hypothesis 5%
1600人年のフォローで最終解析の予定だった。

結果:追跡期間中央値3.6年、1435人年時点の三次中間解析の結果で、IDMCが発表を勧告した。
10 DFSイベント
3yDFS 98.7% (95%CI 97.6-99.8%) p<0.0001
心毒性は、CHF 0.5%(symptomatic) 3.2%(asymptomatic)と受容できる範囲。
背景として67%がHR+。

短評:RCTが行いにくいpopulationでのPIIで臨床的な意義がある。しかしながら、追跡期間が短くイベント数が極端に少ない時点での発表となったため、経過を追っていくとイベントがいくつか増えるだけで一気にDFSが下がってしまう可能性があるので、要注意ではある。
# by aiharatomohiko | 2013-12-17 13:56 | 学会

SABCS2013 血管新生阻害薬


S1-03 BETH試験 何アウト目?

HER2陽性n+とn-高リスク n=3509を対象としたPIII試験。
ケモ+Tras±BEV(1y)
cohort1 TCH-H n=3241
cohort2 TH-FEC-H n =278
primary: IDFS
統計学的事項:296 events @85%power HR 0.70
86%がTCH でdose intensity >90%

結果:IDFS 92% vs 92% @38 months HR 0.99 有意差なし
サブグループでheterogeneityはなかった。
副作用としては高血圧がBEV群で多かった。
発症率(~2%)は少なかったが、心不全や出血などの重篤な副作用も多かった。

短評:バイオマーカーの研究もしてるそうだけど、しんどいでしょうね。
進行再発でもOSの改善がないので、“アバスチンはレスポンスを急ぐ時以外には使用を勧めない”。というのがアメリカでもやっとコンセンサスになって来ているようだ。


S5-04 HER2- MBCに対する抗VEGFR2 抗体のPIII試験。 

デザイン
DTX75±ramucirumab (placebo control) 
n=1,144 で2:1にランダム化していることから、勝ちを相当に意識した試験。

結果
primary:PFS HR0.88(0.75-1.01) 1.3か月の延長
secondary: OS 85% power to detect HR0.8 or 6months improvement
HR1.01

短評:進行再発乳がんで1000例を超える規模の相当気合の入った試験でしたが、結果はペケ。アバスチンといい、抗血管新生阻害薬は乳がん治療ではほとんどお呼びでなさそうです。
# by aiharatomohiko | 2013-12-16 13:40 | 学会

SABCS2013 術前化学療法


S1-01NeoALTTO

原発性HER2陽性乳がんに対する術前化学療法の研究(N=448)。
以下の三群の比較。HER2 dual blockadeによりpCR率が上がることは既報で、pCR率は、
Lap/Pw(PTX weekly) ≒25%
Tras(H)/Pw ≒30%
L+H/Pw ≒50%

3.77年フォロー時点での生存期間の発表。
心毒性 約1.5%(いずれの単剤群も) vs 約5% (L+H群)と副作用はdual blockadeで上昇した。今回は生存期間の解析であるが、症例数が少ないためにHR0.78を検出するパワーが20%しかない。
EFS・OSともにHR陰性でL+H群の生存率が良い傾向に見えるが、有意差はなかった。
pCR とnon PCRの比較では、ホルモン受容体陰性でEFS・OSともに差が開いていたが、これは目新しい所見ではない。
いずれにせよ、コンビネーション群により生存期間が改善するかどうかを見るには、ALTTO試験の結果を待たなければならないというのが結論らしい。そりゃそうだ。

短評:であれば、検出力が著しく不足していることを研究者自らが強く認識していたにもかかわらず、何故群間ごとのEFS・OSの解析・発表を行ったのかがよく理解できなかった。
こんなデータでも、日本のプレスは“HER2陽性乳癌にトラスツズマブとラパチニブの併用は3年EFSが単剤に比べて良い傾向を示す【SABCS2013】”て書いてますね。どれどれ、やはりグラクソ・スミスクライン株式会社が協賛してるサイトだな。アーメン。


S1-02 TRIO US B07(N=128)

DTX+Carboに以下の抗HER2治療を追加してpCRの違いを見た試験。
pCR 率は以下の通り。()内は治療完遂率。
Tras(H) ≒47% (100%)
Lap ≒25%(72%)
H/Lap ≒52%(73%)
一次評価項目pCR
心毒性は変わらない。下痢はLapが入ると増えるというのは当然。全例でFISH/CISHでHER2増幅を見ているが、HER2mRNAの発現が低いケースはpCR率が低い。これは目新しい知見かもしれない

短評:いまだに代用エンドポイントとしては怪しいpCRを一次評価項目とした研究結果の発表が相次ぐ。まあ、始めた時期が古いためだろうけども、FDAのaccelerated approvalをお墨付きのように振り回すのはこちらの研究者も同じだな。どの程度pCRを改善すればDFSの改善に結びつくのかも分からないのに、こんな研究ばかりしていても患者さんのベネフィットに結びつかないのではないか。そもそもGeparTrioではpCRが改善しなくても治療戦略により予後改善が示唆されているので、今後はこの方向での研究をするべきか。
# by aiharatomohiko | 2013-12-15 13:27 | 学会

SABCS2013 対策型マンモグラフィ検診の有用性に疑問


冒頭のPlenary sessionで、過去のRCTの結果から、マンモグラフィ検診により乳がん死亡が25%ほど下がるという前提で対策型検診が進められているものの、データの見直しにより有用性に疑問が投げかけられた。

乳がん検診のRCTのうちで乳がん死亡を低下するという結論になった試験のなかにランダム化に問題があるものなど質の低いものが含まれており、質の高いものに限れば乳がん死亡の低下は明らかでなく、90年代から乳がん死亡が30%下がっている理由は治療による効果ではないのかと考察された。その理由として、北欧では国によってマンモグラフィ検診が導入された年が違うため、もしマンモグラフィ検診が有効であれば国ごとに乳がん死亡が低下し始める年が異なるはずであるものの、乳癌死亡率の減少はいずれの国でも同じように年を追って下がっていること、また一つの国の中でも地方によりマンモグラフィ検診が導入された年が異なる場合でも、同じような傾向が認められていることが挙げられた。死亡率の低下の程度についても、EBCTCGのデータに基づけば、治療の効果だけで十分説明できるとされた。

マンモグラフィ検診の害についても考察された。1000人の無症状の健常者を10年間スクリーニングすることにより乳がん死亡から救えるのは3人にしかならない一方で、300-700名が偽陽性となり本来必要のない精密検査や生検を受けることになる(アメリカの場合)。精神的な影響も無視できない。デンマークにおける偽陽性がQOLに与える影響の研究結果が紹介された。マンモグラフィ検診で乳がんと診断されたグループ、異常がなかったグループ、偽陽性であったグループの3グループを3年間フォローした研究で、偽陽性になったグループは3年たっても不安のスコアが異常のなかったグループよりも高く、乳がんと診断されたグループと異常がなかったグループの間くらいのスコアであった。セクシュアリティー、睡眠などに影響が出ていた。身体的にも精神的にも偽陽性と診断されることの害は無視できない。

次いでマンモグラフィ検診によって無症状で発見される乳がんの中に治療の必要のない乳がんが含まれていることについての考察があった。Malmoスタディーのデータから、無症状でマンモグラフィでのみ検出された乳がんのうち四人に一人は不顕性であることが推定されている。つまり25%は過剰診断となる。また、マンモグラフィ検診の導入によって早期がんの発見は2倍になったため、進行がんが相当程度減少するはずと考えられるが、実際の減少は極めてわずかであることが示されている。これはマンモグラフィ検診により検出する必要のない乳がんが発見されることを示唆している。マンモグラフィ検診が行われていない40歳未満では、早期がんと進行がんの発症数は横ばいであることからも、乳がん発症が増加しているのではなく、早期がんが過剰に診断されることにより乳がん罹患数が見かけ上増えていることが示唆される。

演者の結論は、乳がん死亡の減少は治療の進歩によるもので、検診による効果はほとんどない。マンモグラフィ検診を受けるかどうかは個人の選択で公衆衛生の問題とすべきではないというもの。名郷先生も同じようなことを言われているが、これらのデータをみると同感である。日本人の場合には欧米人よりも発症率が低いために、害が同じとしてもメリットは低くなることが示唆される。こうして考えると、対策型乳がん検診の有用性は、こういった方法がありますよと広報することで、有症状の方が乳腺外来に行くことを促す効果に限られるのかもしれない。乳がん検診に来られる方に、これらの情報を提示する必要があるので、方法を良く考えてみます。

# by aiharatomohiko | 2013-12-14 00:33 | 学会

妊娠と乳がん

英語でディスカッションをしようという目的で毎年行われているBCFMという研究会でDr.Swainが妊娠と乳がんというテーマで講演をされました。
内容で印象に残ったのは以下の通りです。

①妊娠時にMMGを行ってもX線量はわずかなので奇形などの心配はない
②妊娠期に乳がんと診断されると妊娠を中断するように勧める医師が少なくないが、時期によっては妊娠時に化学療法を行うことで出産まで持っていくことが出来るので、安易に堕胎を勧めるべきではない
③妊娠時にはPKが変化し、Cmaxが下がりクリアランスが上がるので、抗がん剤の量を計算するときには妊娠前の体重でなく、妊娠時の体重を使って対表面積を計算する
④出産3週間前からは出生時に好中球減少をきたすために化学療法は避ける
⑤妊娠期のハーセプチンは胎児にとって悪影響があるので行ってはならない
⑥半減期から考えてタモキシフェンを服用終了後妊娠までは2か月はあける
⑦乳がんの手術後に妊娠しても予後に悪影響はない
# by aiharatomohiko | 2013-11-04 20:48 | 医療

ゆずるピンクリボンバッジで表彰を受けました


今月はピンクリボン月間ですが、これに合わせて当院で箕面市のキャラクターである瀧の道ゆずるのピンクリボンバッジを作成して、市役所と保健センターに寄贈したところ、市長から表彰を受けました。
箕面市の市長は若くて有能な方で、がん検診にも関心を持っておられます。
今月あと少しですが、乳がん検診にも頑張ります。

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# by aiharatomohiko | 2013-10-26 23:07 | 日常

ビスフォスフォネートとGTB


術後にビスフォスフォネートを使用したグループで予後が改善しているかどうかというのは乳がん治療における大きなトピックの一つですが、これもGTBがその結果に大きな影響を与えている事例として挙げられています。

BIG1-98試験が例に挙げられています。この試験では、約12%の被験者が試験開始時点かそれ以降にビスフォスフォネートを使用しており、なおかつその半数以上がランダム化の3年以降にビスフォスフォネートを開始していました。つまり、半数以上が3年以上のDFSの下駄を履いているという事になるようです。さて、GTBを考慮しないナイーブな解析結果では、ビスフォスフォネートの使用によりDFSのハザード比が0.50(95%CI 0.43-0.60)と著しく再発を抑制するという結果が出ています。ところが、GTBの影響を打ち消すような解析方法が3種類あるようなのですが、何と3種類全ての解析方法でビスフォスフォネートの効果が確認できなくなっていたということです。

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ランダム化比較試験の結果でも、ビスフォスフォネートの再発抑制効果は厳しい結果なのですが、近々行われるEBCTCGのミーティングではどのような扱いになるのでしょうか。

ところで、GTBの影響はメトホルミンとかの再発抑制効果の知見にも関わっているかもしれませんので、ランダム化比較試験の結果が楽しみです。
# by aiharatomohiko | 2013-10-07 09:58 | 論文

Guarantee-Time Biasおそるべし!


Guarantee-Time Bias(GTB)っていうのがどういったバイアスであるのか、この論文を読むまで有ることすら知りませんでした。あまりに難しそうな内容に思えたので手に取ってみたものの、読む気にならずゴミ箱行きになっていたのですが、原先生のFBをみてゴミ箱から拾い上げることが出来ました。感謝です。読んでみると結構乳がんの臨床研究でも問題になっているバイアスである事が理解できたので、興味のある方は一読をお勧めします。(JCO 2013年 8/10号)

このバイアスは、ランダム化していない2グループ間の生存時間の比較をするときにおこり得ます。この論文では、臓器移植をしたグループと臓器移植をしなかったグループを比較すると、臓器移植をしたグループではそもそもドナーが見つかって移植をするまで生存する必要があるので、その時間の分臓器移植を受けなかったグループよりも生存時間に下駄をはくことになり、仮に臓器移植による生存期間延長効果がなかったとしても、臓器移植によって生存時間が長くなったように見えるということが例として挙げられていました。説明が下手なので、引用した図を見て下さい。

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この論文では、乳がんの臨床試験もいくつか引用しています。
一つは、抗がん剤治療によって化学閉経したグループの方がしなかったグループよりも生存期間が長いという知見についての考察です。当初NASBP B30試験では、ER陽性・陰性に関わらず化学閉経したケースの生存率が良かったと報告されていたものの、研究者はその後このバイアスがあることに気づいたため再度解析を行い、予後改善効果はER陽性だけに限定されていたと報告しなおしたとのことです。IBCSG13-93で同様にGTBを考慮した解析を行ったところ、同様の結果になったとのことです。この場合には、閉経になったケースはランダム化から閉経が確認されるまでの期間は無再発でいることが保証されるために、その分生存時間に下駄をはいていたからGTBを考慮しない解析を行ったために、当初はER陰性でも閉経したケースの予後が良かったようにみえたという事らしいです。たぶん。

化学閉経になったケースの予後が良いからといって、化学閉経しなかったケースにLH-RHを使うことが予後を改善するかどうかわからないのですが、さてどうしましょうか?

おそらく、続く。。。
# by aiharatomohiko | 2013-10-06 22:04 | 論文