SABCS2016 NSABP B42 |
TAM/AIもしくはAI5yで無病だった閉経後ホルモン感受性乳がんをLET5yかプラセボにランダム化した試験。DFSがエンドポイントで、中間解析でアルファを消費したため、p=0.0418が有意水準での解析。 n=3923名。4割がn陽性。 60月フォローで631イベント時点で解析が行われ、HR0.85(0.73-0.999)p=0・048 NSであった。 累積遠隔転移は7年で5.8%と3.9%でHR0.72。7年で2%の差。 At risk の数を見ると、これから差が開いていく可能性が高いと思われ、精度高く治療効果を見るためには、やはり長期観察が必要。気になるのはOSのHRが1.15とLETの方に死亡数がやや多いこと。骨折はHR1.2とLETで多い。 |
#
by aiharatomohiko
| 2016-12-12 14:18
| 学会
|
SABCS2016 IDEAL試験 |
閉経後ER陽性、5年TAMかAIによるホルモン治療後にレトロゾール(LET)2.5y vs LET5yのランダム化比較試験。DFSがエンドポイントでn=1821の規模。スライドが手に入らなかったので、結果の解釈はややあやしい。 ランダム化時点からの5年DFSは、HR0.96(0.76-1.20)p=0.70と変わらず。2.5年後を起点にしたDFSは、HR0.88と、2.5年で十分という結論ではあるが、カプランマイヤーをみるとこれも5年以降から開き始めている印象あり。MA17では、LETを長く投与すればするほど治療効果が高いという研究結果もあったように記憶しているので、これもやはりこの時点で結論付けるのは時期尚早で、治療効果の推定にはもう暫くのフォローアップを待ちたい。 |
#
by aiharatomohiko
| 2016-12-12 14:16
| 学会
|
SABCS2016 DATA試験 |
DATA試験はTAM-ANAへスイッチして5年治療ののちにランダム化して、3年のアナストロゾール(ANA)と6年のANAを比較する試験。ただ、解析はランダム化して3年時点を起点とした3年DFS(adapted DFSと記載)を検定するというデザインで、これではITTによる検定とはならず、せっかくRCTをしたにもかかわらず、研究の質が観察研究レベルになってしまうとのこと。 α5%、β20%、HR0.60の研究仮説で、n=1860がランダム化されたものの、両群ともに同じ治療が行われている3年のうちに、3年群で91のイベント発生と5件のフォローアップロスト、6年群で103のイベント発生と1件のフォローアップロストが生じたため、解析からは除外された。解析は1660例で、2/3がn陽性とリスクの高いポピュレーションが対象となっている。 Adaptedフォローアップ4.1年、261イベント発生時でaDFSの解析がなされた。HR0.79(0.62-1.02)でp=0.07 OSはHR1くらいであり、ネガティブな結果ということになった。しかしながら、カプランマイヤーは3年から開いてきており、イベント数も6年群で少ない。長期の観察をすることでより精度の高い知見が得られるように思えた。いつものことながら、筋骨格系の副作用が問題となる。 |
#
by aiharatomohiko
| 2016-12-11 12:18
| 学会
|
ASCO2016の個人的な目玉:EBCTCG |
ホルモン受容体陽性乳がんは、ホルモン受容体陰性乳がんと比較して晩期再発を起こす危険性が高いとされ、5年を超えるホルモン治療の有用性が報告されているため、どのようなケースで晩期再発が起きやすいのかを知ることが重要である。この目的で遺伝子発現プロファイルの有用性が報告されているものの、コストや実用性の点から実臨床で応用されるには至っていない。 EBCTCGでは、4.6万人を超えるホルモン治療を5年行った後に無病かつ生存しているER陽性乳がんについて、予後因子を調べた。 評価項目は、遠隔、局所、対側乳がんを含めた全乳がんイベント(非乳がん死亡は除く)と遠隔再発(局所と対側乳がんは除く) 重要な知見として、5年のホルモン治療後でも再発リスクは術後20年まで着実に上昇しており、T1N0でも5-20年の絶対再発リスクは顕著であることが分かったこととしている。 ステージが高くなるにつれて、再発のリスクが上がる。 Grade3はgrade1より再発の危険性が倍くらい高い。 gradeやKi67が低ければ、高い場合と比較して再発リスクが30%ほど減る。意外にも、PRが遠隔期に予後因子とならなかった。 40才未満で予後が悪い。 例えば、再発リスクが20%あるとして、LET5年で再発が半分になるとしたら、絶対値で10%のゲインとなる。これを基準に10年のホルモン治療を行うとすると、閉経後乳癌ならば対象はT1N0ならばgrade3、T2N0とT1N1-3ならばgrade2かgrade3となる。もしくは、T1N0のgrade1と2、T2N0とT1N1-3のgrade1を除く全症例が対象と考えてよい。 閉経前はTAMの治療効果がこれより落ちるので、T2N1-3以上が対象となるか。いずれにせよ、患者さんに十分この辺りを理解して頂く事が前提になります。 |
#
by aiharatomohiko
| 2016-09-11 23:33
| 学会
|
ASCO2016 TCの実力は、、、 |
TC4サイクルがAC4サイクルと比較して、5年で33%、7年で26%再発リスクを減少させるという、個人的にはにわかには信じがたいほどにTCの治療効果が高かったのですが、それではTCを世界最強レジメのTACと比較してやろうじゃないかという統合解析の結果が報告されました。 注意点としては、TCは6サイクル。TAC群も6サイクル。一つの試験でAC f/bタキサンを許容していますが少数の模様です。症例数は4000例ですが、うちn0が1600例以上含まれています。主要評価項目はinvasive DFSです。中間解析でfutility解析が行われ、ハザード比上限の1.18を超えたため報告に至ったようです。TCのTACに対する4年IDFSのハザード比は1.23(95%信頼区間 1.01-1.50 p=0.04)と、TACに有意に劣っているという結果でした。ただ、ハザード比だけを見ると、TC6はAC4よりも良さそうな結果ではありますな。うーん。 サブセット解析では、ER-ではn0,n1-3,n>3のいずれでもほぼ同様なハザード比を示す(ただし、絶対値ではこの順に治療効果が大きくなる)ものの、ER+ではn0,n1-3ではTCもTACもほぼ変わらず、n>3で効果の差が大きくなるという結果で、実臨床での使い分けに際してヒントになりそうな結果でした。 さて、個人的に注目していたのはTCの急性白血病の発生率です。TACでは5/2000例に対して、TCでは0/2000例でした。TCがACと治療効果が同等以上で、致命的な副作用が低いのであれば、4サイクルレジメで行う人には、ACをやめてTCにするのが是でしょうか。それにしても、いまだにFEC100 6サイクルを使っている人がいるようですが何故か、NSABP B-36の結果がパブリッシュされていないようなのは何故か、など術後化学療法では蛇足な疑問もつきません。 |
#
by aiharatomohiko
| 2016-07-02 00:22
| 学会
|