excitemusic

乳がんの最新情報を紹介しています
by aiharatomohiko
ICELANDia
S M T W T F S
1 2 3 4
5 6 7 8 9 10 11
12 13 14 15 16 17 18
19 20 21 22 23 24 25
26 27 28 29 30 31
カテゴリ
以前の記事
検索
タグ
その他のジャンル
ファン
記事ランキング
ブログジャンル
画像一覧


<   2012年 08月 ( 4 )   > この月の画像一覧

ASCO2012 EMILIA試験その3

それでは、副作用はどうでしょうか。

Grade3以上の副作用は、57% vs 40.8%とT-DM1で少なかった。

嘔吐は29.3% vs 19.0%でT-DM1で少なかったのですが、

制吐剤の使用状況は詳細が分かりません。

他の毒性は、肝機能異常が約20%、血小板減少が28%(>G3 約13%)

とあります。血小板減少は気になりますね。

脱毛はあまりないという話ですが、この発表からは良く分かりません。

トラスツズマブから外れたDM1の毒性でもこれですから、全身投与

なんかはとても出来ないのがわかります。

全体としては、嘔気のコントロールをうまく行うことができれば、

比較的使用しやすい薬剤のように思えます。


さて、T-DM1は20年以上前から言われていたいわゆるミサイル療法です。

何だか懐かしいですね。ミサイル療法は、適切な細胞表面上のマーカー

が今までなかったため理論だけのものだったのですが、HER2タンパク

というがん特異的標的が得られたため、現実のものとなったわけです。

がん免疫療法でもよい標的になるはずですが、HER2タンパクの免疫原性

にも左右される訳ですから、そう簡単なものではないのかもしれません。

現状がどうなのか調べてみようと思います。


先に述べたように、T-DM1の治療効果に抗HER2効果がどの程度寄与して

いるか分かりませんので、ペルツズマブを追加する意義があるのかどうか

現時点ではわかりませんが、MARIANNE試験がこれを検証する為に

行われています。

ハ―セプテスト2+/FISH陰性のものに効果があるかどうかも気になる

ところです。


それにしても、アバスチンと違って治療効果の差が大きいので、

きれいな結果ですね。早々の認可が望まれます。
by aiharatomohiko | 2012-08-28 16:58 | 学会

ASCO2012 EMILIA試験その2

試験の結果は明快で、抗腫瘍効果並びに毒性でT-DM1が優れるという

ものでした。

トラスツズマブとタキサンで既治療例での標準治療はT-DM1に

なるのでしょう。


フォローアップの中央値は約12ヶ月。

Median dose intensityは、カペシタビン77.2%、ラパチニブ93.4%、

T-DM1は99.9%でした。

PFS(569イベント)は、6.4ヶ月 vs 9.6ヶ月 

層別化HR=0.650 (95% CI, 0.55, 0.77) P<0.0001で、T-DM1の勝ち。

f0123083_22565916.jpg



OS(223イベント)は、23.3ヶ月 vs 到達せず 

層別化HR=0.621 (95% CI, 0.48, 0.81) P=0.0005で、T-DM1の勝ち。

OSのEfficacy stopping boundaryが、P=0.0003 もしくは

HR=0.617に事前に設定されていたために、わずか数イベントの違い

とは思いますが、試験中止になりませんでした。

ただ、最終解析でもOSでT-DM1が優ることはまず間違いないでしょう。

f0123083_22571512.jpg



きれいな結果です。
by aiharatomohiko | 2012-08-27 18:52 | 学会

ASCO2012 EMILIA試験その1


トラスツズマブとタキサンで既治療のHER2陽性局所進行乳がんもしくは

転移乳がん980例を対象として、トラスツズマブにemtansineという

抗がん剤をリンカーでくっつけたT-DM1という抗体とラパチニブ・

カペシタビンの併用療法を比較したランダム化比較試験の結果が

ASCO2012で発表されました。


T-DM1は細胞表面のHER2タンパクと結合した後に細胞内に取り込まれ、

ライソゾームで分解された時にemtansineが放出されることによって、

微小管の多分子結合を阻害し、細胞死を引き起こします。

同様な対象でのPII試験の結果が二つあり、奏効率: 25.9% (N=112)と

34.5% (N=110)でした。

前治療なしの方を対象としたランダム化PII試験では、T-DM1 (n=67)群

のPFSの中央値がtrastuzumab + docetaxel (n=70)群よりも有意に

改善した14.2 vs. 9.2 months (HR=0.59; P=0.035)という有望な結果

が報告されています。


さて、本試験は、T-DM1(3.6 mg/kg q3w IV)とCapecitabine

1000 mg/m2 orally bid, days 1–14, q3w+Lapatinib 1250 mg/day

orally qdの1:1での比較試験です。

T-DM1の3.6 mg/kg q3w IVという量は、トラスツズマブの6mg/kgよりも

少ない量になります。トラスツズマブがこの量で抗腫瘍効果があるかどうかは

定かではありませんので、T-DM1の抗腫瘍効果に抗HER2効果がどの程度

寄与するのかは分かりません。
by aiharatomohiko | 2012-08-26 22:50 | 学会

pCRと予後:定義とサブタイプ


von Minckwitzらのアンスラサイクリン-タキサンベースのPSTを行った

臨床試験6,377名のデータを集めて抗腫瘍効果と予後の関連を検討した

貴重な論文を読んでみました。

Definition and Impact of Pathologic Complete Response on Prognosis

After Neoadjuvant Chemotherapy in Various Intrinsic Breast Cancer

Subtypes  J Clin Oncol. 2012;30(15):1796-804


pCRの定義において、腫瘍残量が最も少ない定義の予後予測力が最も強い。

これは当たり前とはいえます。Table2

f0123083_21431750.jpg



OSのイベント数が少ないために決定的なことは言えないものの、

OSのハザード比がDFSと同じかそれよりも高い傾向があるようにも

見えます。Table2。

pCRになったケースは、化学療法感受性が高く、再発後の化学療法にも

反応する可能性が高いためでしょうか?


サブタイプ別でみると、luminal A(この論文の定義では、ER/PR陽性

でNG1か2)の場合には、pCRとnonPCRでDFS,OSは差がありません

でした。ER/PR陽性でHER2陽性の場合にも、同様な結果でした。

注意すべき点は、ハーセプチンを使用した場合には、DFSは変わらない

もののOSでpCR になったケースの方が良い傾向にあったことでしょう。

ただ、イベント数が11のため、未成熟なデータではあります。Table3

f0123083_21441234.jpg



ER/PR陽性/NG3の場合、ER陰性/PR陰性/HER2陽性もしくは

HER2陰性の場合には、DFSでハザード比が4から8程度、OSで5から14

程度と著明な改善を得ています。


この論文からわかったことは、pCRがよい予後因子となるのは主にER陰性

のケースであることです。ただ、このことはER陽性で化学療法の効果が

ないということを意味しない
(EBCTCG 2012, Lancet)

ことに留意する必要があります。念のため。

f0123083_21484769.jpg



余談ですが、この論文のcommentaryで、ミシガンのD.Hayesらは

化学療法が必要になるケースのほとんどで術後化学療法が標準である

と述べていました。NACは標準治療ではないということですが、

個人的には全く同感です。


さて、本論文に関して、ルミナルAの予後が悪すぎるのではないか

(5年DFSが80%強)、というご指摘を頂きました。

その時には即答できませんでしたが、論文を振り返ってみると、対象

となっているのがcN0とcN1以上が半々で、neo-adjuvantが必要な

ケースであることを考慮すると、悪すぎるとまでは言えないのではないか

とも思えました。いかがでしょうか。
by aiharatomohiko | 2012-08-01 00:00 | 論文