excitemusic

乳がんの最新情報を紹介しています
by aiharatomohiko
ICELANDia
S M T W T F S
1 2 3 4 5
6 7 8 9 10 11 12
13 14 15 16 17 18 19
20 21 22 23 24 25 26
27 28 29 30
カテゴリ
以前の記事
検索
タグ
人気ジャンル
ファン
記事ランキング
ブログジャンル
画像一覧


<   2011年 11月 ( 3 )   > この月の画像一覧

アバスチンの乳がんへの適応にみる日米の差


アメリカでは2010年夏に独立委員会の評決により12-1でアバスチンの

転移乳がんへの適応取り下げが勧告され、これを受けて本年6月末にFDAが

2日間に渡る公聴会を開きました。その際に独立委員会の再評決も行われ、

6-0で取り下げを支持するという結果でした。

最終的に11/18に適応承認の取り消しが行われ、その結果が同日にHP

にアップされています。取り消しの理由は、消化管穿孔などの重篤な

副作用がみられる一方で、全生存期間の改善が見られなかったため、

リスクベネフィットを考えて承認すべきでないということのようです。

新しいデータが出たおりには再承認もあり得ると読めました。

首尾一貫した態度であると感じます。

Q&Aには薬価が高いことは考慮しなかった旨も書かれていました。

http://www.fda.gov/NewsEvents/Newsroom/ucm279485.htm


さて、これに先立つ本年8月1日に日本ではアメリカと逆方向である

アバスチンの乳がんへの適応拡大に向けた審議が行われたようです。

その際の議事録が11/14(アメリカに比べると遅いですね。)

に公開されています。

http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/2r9852000001uiuh.html

内容を読むと、機構が適応拡大に賛成、しかしながらその理由が”本剤

の有効性を再現するような試験をデザインするのは、現状では難しい

のではないか(使用したい人が多いため)”であるのには驚きました。

有効性を再確認するような試験ができないから承認ですか。

この理由であれば、たまたま良い結果が出たような薬剤はその効果が

疑問視されたとしても、追試が難しいという理由で全部承認するしかない

ということになりますね。正気でしょうか。

部会長もこの意見にややなびいているようです。

委員の先生方はとても全うな意見を出されていて、まともな議論が

行われていたことは伺い知れます。

委員の先生方はどちらかというと即時の適応拡大に難色を示されて

いたように読めるのですが、結局は8月25日に継続審議となり、

そこで承認されたようです。

ただ、8月25日の審議結果が未だに公開されていません。これでは、

われわれにはどういった理由で承認されたのか、承認に条件が付いた

のか否かといったことは今もってわかりません。

適応拡大の是非はともかくとして、FDAの即日公開とは比べようもなく

遅く、怠慢といわれても仕方がないのではないでしょうか。

残念ですね。


私の個人的な考えを述べると、アバスチンが有効な対象があるよう

には思えるものの、それがどういった患者さんであるかをわかる術

が現状ないために、FDAの決定の方を支持します。
by aiharatomohiko | 2011-11-26 23:42 | 医療

琉球乳腺倶楽部での遺伝子発現プロファイルの話 その2


もう一つの話題は、マンマプリントやオンコタイプDXに代表される

予後予測因子としての遺伝子発現プロファイルです。

これに関して私は当初懐疑的な見方をしていました。その理由の

一つは、検査の再現性に疑問があったからです。特にオンコタイプは

パラフィン切片からRT-PCRを行うので、基礎の先生の評判が悪いこと

もあって、この結果って大丈夫かいなという気持ちがぬぐい難かったの

です。しかしながら、いろいろと論文も出てきた中で、相当昔の症例

でもアッセイが高い確率で成功していることが報告されてきたので、

この考え方は改めました。

オンコタイプについていえば、開発の過程でHER2陽性の症例が含まれ

ているのがやや残念なところです。ER陽性HER2陰性だけを対象として

系を開発すれば、うまくいけばオンコタイプよりも正確に予後予測や

化学療法の予測ができるかもしれません。


さて講演では、病理学的因子により遺伝子発現プロファイルの有用性

が左右されること、すなわち、NG3では低リスクと判定されても

再発リスクは高い。むしろNG1・2の高リスクの拾い上げに有用

であること。

オンコタイプでも、核異型度や腫瘍径といった病理学的因子が異なると

リカレンス・スコアが同じでも再発率が異なることをお話してきました。


オンコタイプなどでは細胞増殖因子関連遺伝子の発現が重要ではないか

と考えられていますが、Ki67との比較はどうでしょうか。

2010年のサンアントニオでは、Ki67が低い症例でオンコタイプが

高リスクになるケースはほとんどありませんでしたが、Ki67が高い症例

の約40%がオンコタイプで低リスクになることが発表されていました。

すなわち、Ki67だけではリスクを高く見積もる事になりそうです。

その理由は、Ki67はG1-M期で広く発現を認めるが、細胞周期に入った

細胞全てが分裂するわけではないからなのでしょう。

繰り返しになりますが、Ki67が低い症例はオンコタイプでは約6割が

低リスク、約4割が中リスクになることは、化学療法の適応を考える

上で有用な情報ではないかと思います。


f0123083_2322180.jpg

by aiharatomohiko | 2011-11-24 23:02 | 日常

琉球乳腺倶楽部での遺伝子発現プロファイルの話

f0123083_222131.jpg



第41回琉球乳腺倶楽部で遺伝子発現プロファイルによるサブタイプ分類と

予後予測について話をしてきました。


概要を紹介します。

サブタイプ分類に用いることのできる遺伝子発現プロファイルは複数

あります。以前ブログに書いたようにある特定の個人が分類される

サブタイプは用いる方法によってかなり異なる(ある方法では

ルミナルAに分類される人が別の方法ではルミナルBやHER2などに

分類される)こと、そしてこれは近々ブログにアップしますが、

特定の方法を用いたとしても検査を行う人によってある特定の個人が

ルミナルAに分類されたりルミナルBやHER2タイプに分類されたり

するということが頻繁に起こります。一番の関心事である、ある特定

の個人をルミナルAかBかにきちんと分類することは、残念ながら

出来ません。


もしサブタイプ分類が”intrinsic”(本来備わっている,固有の,

本質的な,本源的な )なら、複数あるどの遺伝子発現プロファイル

を使っても、ある特定個人のサブタイプは一致するはずですが、実際

はそうではありません。つまり、遺伝子発現プロファイルによるサブ

タイプ分類は主観的な方法であるため、分類されたサブタイプはとても

intrinsicとはいえないのです。



乳がんをサブタイプに分類するのであれば、遺伝子発現プロファイルを

使った分類よりも、現状ならばERやHER2といった治療標的を免疫染色

することによる分類の方が実用的ではないでしょうか。

ただ免疫染色による分類でも、いわゆるルミナルAとBをきれいに分ける

ことは困難です。なぜならば、例えばKi67をマーカーとしてカットオフ値

を設けることにより分類するとしても、そもそも連続したものを恣意的に

分けることになるため、検査方法が標準化すらされていない現状で誰もが

納得するカットオフポイントを設けることはできません。

ルミナルAとBで治療方針を変えるという考えは、概念的には理解できても

個別化医療に応用することは出来なさそうです。

“この患者はルミナルBっぽいですね”というような内容のうすい議論が

これからも続くことになるのはいかがなものでしょうか。

建設的に考えるのであれば、Ki67が相当程度に低い症例と高い症例に

絞って予後や抗がん剤の感受性などを検討することは有用なのかもしれ

ませんが。
by aiharatomohiko | 2011-11-19 22:00 | 日常