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by aiharatomohiko
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<   2011年 10月 ( 3 )   > この月の画像一覧

先進医療というファンタジー


世の中には先進医療というカテゴリーがあります。

名前は、”先進“ですから、とんでもなく効果の高い先進的な治療法

が出てきたかのように思えます。患者さんも新しい治療法はないか、

ということは常に気にかけておられるので、診察時にどのようなものか

と聞かれることがあります。


しかしこれは名前倒れなんですね。


このカテゴリーに入る治療法や検査法は、新しく開発されたひよっこ

の段階で、リストを見てみても標準的な治療法や検査法と比べて良いか

悪いか見当が付かないものがほとんどです

(http://www.mhlw.go.jp/topics/bukyoku/isei/sensiniryo/kikan02.html)。

つまり将来的に標準治療となるような優れた治療法が含まれている

可能性があるものの、しばらくすると消えているような治療法も多く

含まれていると考えるのが理性的です。


しかしながら、“先進医療”という名前からそういった事を専門家

でない人間が伺い知るのは難しいでしょう。内容を正確に表すと、

”新規実験医療“という名前になりますが、それではカッコが悪い

ということなのでしょうか。


個人的には、こういった名前をつけてよく恥ずかしくないものだと

思います。四文字熟語では、羊頭狗肉。こういった素人を騙すような

ネーミングは止めて頂きたいのですが、効果が確立されていなくても

新しければ”先進“という“ノイエス病”に取り付かれているかのようです。


患者さんには医療の詳しい内容は分かりにくいので、大きな病院で

先進医療が行われていると聞けば、それを頼りにしてしまうのは

仕方がないことです。


ただ、これに振り回されて貴重な時間を浪費させられては、

堪ったものではありません。良いものではなく良く見えるものが売れる

という法則がありますが、標準治療が現時点での最善の治療法である

ということをよく理解して、あやしい先進医療に惑わされない様にしたい

ものです。
by aiharatomohiko | 2011-10-26 22:29 | 日常

フェソロデックスのポジショニング


もうすぐフェソロデックス(旧姓ファスロデックス)という内分泌治療剤が

発売されるので、論文を読んでみました。(JCO 28:4594-4600;2010)

エストロゲン受容体に結合して分解するという作用機所から、高い

臨床効果を期待されていました。

そもそも開発されていた250mgでは、転移乳がんでぱっとした結果

が得られなかったのですが(アナストロゾールには引き分けで、タモキシ

フェンには負けに近い引き分け)、用量依存性に効果が高くなることが

示唆されたので、500mgと250mgの比較試験が行われました。

対象は閉経後ER陽性の転移もしくは局所進行乳癌で、術後内分泌療法中

もしくは終了後一年以内に再発したケースです。

それ以外の一次療法としてタモキシフェンかアロマターゼ阻害薬の投与

がなされたケースも対象となります。

736名の患者さんが1:1のランダム化で250mgx2本もしくは

250mg1本+プラセボに割り付けられました。

結果は、無増悪期間でハザード比が0.80(95%CI 0.68-0.94)と

500mgが勝ちましたが、その中央値は6.5ヶ月と5.5ヶ月とわずか1ヶ月

の違いしかありませんでした。

この結果だけでは、なにも500mgを使わなくて250mgでもいいんじゃ

ないの?(針が太くてお尻に二本筋肉注射しなければならないため)と

考えてしまいます。

一方、全生存期間では、25.1ヶ月と22.8ヶ月で、ハザード比は0.84

(95%CI 0.69-1.03)でした。統計学的に有意ではないものの、

有望な数字にみえます。ぱっと読んだだけではイベント数がどれくらい

起こっているのか分かりませんでしたが、75%にイベントが起こった

ときにOSの2回目の解析が予定されており、それは2011年だろうと

論文に書いてありました。その結果に期待です。

サンアントニオか来年のASCOにはデータが出るのでしょう。

なお、QOLでは両者に違いはなかったとのことでした。

さて、500mgでSERMやAIにリチャレンジするのか、フェソロデックス。

当院での出番は、リチャレンジの結果が出るまでは、使いにくい剤型を

考えるとMPAの後になりそうです。
by aiharatomohiko | 2011-10-16 21:12 | 論文

CYP2D6とTAMの話


タモキシフェンの効果とCYP2D6という遺伝子の多型が関連があるかどうか

が話題になって久しいです。日常診療でも患者さんから検査を依頼される

ことがありますが、現時点では関連性がはっきりしないので、当院では検査を

していません。

欧米人と日本人(アジア人)では遺伝子の型がずいぶん違うのですが、

どちらの人種でも関連があるという研究結果と関連が無いという研究結果が

混在しています。昨年のサンアントニオでATACとBIG1-98のサンプルを使った

研究結果が発表されて、いずれも関連なしという結果だったために、やはり

関連が無いもしくは弱いのかなと考えていたのですが、しっかりとした

デザインで前向きに検討する必要があるというのは衆目の一致する

ところです。


東大医科研と四国の乳がんを専門とする医療機関が中心となって行った研究

では関連ありという結果が出ているために、ここを中心として前向き試験を

行おうという機運が高まっています。しばらくの間現実的なデザインを模索

していましたが、大体固まってきたのと先日奥道後でミーティングが開かれた

ので部外者ながら参加させて頂きました。


そこでは大変熱い議論が繰り広げられ、詳細は明らかに出来ませんが、

前向き試験を行う方向での結論が出ました。結果がどうであれ最終的な

結論を導き出せるような臨床試験が組めそうですので、楽しみです。

皆様お世話になりました。



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当日の参加者は、前佛先生、笹先生、杉本先生、安芸先生、

山川先生、大住先生でした。皆様車で何百キロも飛ばして来られた

熱意は素晴らしいものでした。
by aiharatomohiko | 2011-10-10 09:46 | 日常