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乳がんの最新情報を紹介しています
by aiharatomohiko
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<   2011年 07月 ( 5 )   > この月の画像一覧

免疫療法は効果がありますか?


免疫療法についても、健康食品と同じようなことがいえます。

それは、患者さんを免疫療法をした人たちとしていない人たちとに

ランダムに分けて、免疫療法をした人たちの再発が少なかったり

死亡がすくなかったりした、というデータが有ればその免疫療法は

有効でしょうし、データが無ければ有効だと言う根拠が無いと言う

ことです。

効いた効いたという宣伝は多いですが、そもそも効いたというのは

どういうことかと考えなければなりません。

副作用が少ないとか、体に優しいとかの訳のわからない宣伝文句に

引っかからないようにしましょう。
by aiharatomohiko | 2011-07-30 13:20 | 日常

健康食品は摂っても良いですか?


乳がん患者さんは、健康食品を周りの人から勧められることが多いようです。

健康食品を勧める人は大きく分けて次の二通りです。患者さん本人のことを

気にかけて勧める人と商売をしようと思って勧める人です。

どちらなのかを患者さんが見分けることは難しいようです。

また、健康食品を使用したくない患者さんにとっては、どちらも迷惑

なことに変わりはないようです。


健康食品を、私はお勧めはしません。なぜならば、健康食品の中でもキノコ

の一種には劇症肝炎を起こして死亡した例が報告されているからです。

もう一つの理由として、乳がんの再発抑制や生存期間延長に効果が証明

された健康食品はないという事実もあります。

この場合の証明というのは、患者さんを二群に分けて、片方には健康食品を

使用してもらい、もう片方には健康食品を使用しないでもらう。そうした上

で健康食品を使用した方で再発が少なかったり生存期間が延長したりという

データがあるという事を指します。

そういえば、サメ軟骨や別の健康食品でデータが捏造されていたり、

事例をでっち上げて本にしていたこともありました。

もしある健康食品にがんを治す効果があるのならば、製薬会社が売り出

せば全世界で何千億円の売り上げが上がるのに、なぜそうなっていない

のでしょうか。

なぜちまちまと厚生労働省の認可をとらずに販売しているのでしょうか。


さらには、抗がん剤治療や内分泌治療をしている時に健康食品を摂った

場合、健康食品が原因で例えば肝障害を来たしても、乳がんの治療薬が

原因なのか健康食品が原因なのかが判別できないので、どちらも止め

なければなりません。

効果があるかないかがわからない健康食品のために、治療薬までやめ

なければならないかの可能性も考える必要がありそうです。

そういった不利益がある可能性を考えて、それでもなお使いたいので

あれば無理に止めることは難しいとも思いますが。

どうしても断りにくい筋から勧められている場合には、医者から止められ

ている、と言われたらどうでしょうか、とお話しています。
by aiharatomohiko | 2011-07-25 22:39 | 日常

これは標準治療でしょうか

標準治療という言葉、一般の方はあまりご存じないかもしれません。

確立された治療法で、現時点で最高の治療法のことです。

私が自分で乳腺科を始める時に、”きちんとした治療法を行います!”

と宣言するつもりで”「標準治療」をお約束します”とHPに書きました。

一般の方ならば、専門医であれば誰でも標準治療ができるんじゃないの?

と考えるかもしれません。

が、世の中本当にそうなっているのでしょうか?

きちんとした教育が出来ない教師がいたり、まともな政治ができない

政治家がいるような状況を考えると、専門医でも標準治療が出来ない人

がいるんじゃないの?と考える方が健全なような気がします。

まあ、そういった医師と違いますよ、という意味で”「標準治療」

をお約束します”と書いた訳ですが、たまたまあるクリニックのHPを

みて愕然としました。そこは手術件数は多いものの標準とはかけ離れた

治療をするのではないかと目されている所でしたが、

”ガイドラインに則った治療をしています”と明記してあったのです。

言ったもん勝ちかいな。。。

これにめげずに頑張ります。


さて、ここから本題。以下は標準治療でしょうか。

①手術待ちが長く、その間何もしないのは気兼ねするので、とりあえず

タモキシフェンなどを処方する

②副作用が出ると気の毒なので、抗がん剤は少量(微量)使う

③手術が終わって退院までに時間があるので、抗がん剤を少量点滴して

から帰ってもらう

④腫瘍径1cm少しの患者さんに、命が危ないから術前化学療法をしないと

大変な事になると恫喝する


恫喝は治療じゃないですね。また、珍しい治療を目にしたら、アップするかも

しれません。
by aiharatomohiko | 2011-07-15 23:04 | 日常

エキセメスタンの乳がん予防効果


ゲイルモデルにより五年間の乳癌発症リスクが1.66%以上の女性4560名

を対象として、エキセメスタン5年内服の乳癌発症予防効果をプラセボと

比較したランダム化比較試験の結果が発表されました。

結果は、エキセメスタンの5年内服はプラセボと比較して、浸潤がんを

65%減少させるという、一見SERMよりもよさそうなデータで、ASCO

での発表と同時にNEJMに掲載されました。


しかしながら、その研究の内容はいまひとつ感心できないものでした。

イベント数が少ないために95%信頼区間が広いこと、SERMとの直接

比較ではないために、効果・副作用ともに優劣がわからないことが

その理由です。

具体的には、追跡期間が35ヶ月と短いこともあり、イベント数がエキ

セメスタンとプラセボ群あわせてわずか43、エキセメスタンの浸潤がんの

ハザード比が0.35といっても、95%信頼区間は 0.18 - 0.70とかなり

広くなっています。

浸潤がんと非浸潤がんをあわせたハザード比は 0.47、95%信頼区間は

0.27 - 0.79とこちらも広いものでした。


これらのデータをNSABPのP1試験と比べてみましょう。

P1試験では、13000名以上の被験者を登録。浸潤がんのイベント数が

両群合わせて264で、タモキシフェンのプラセボとのハザード比が

0.51(95%信頼区間が 0.39-0.66)。非浸潤がんもハザード比が0.5

ですから、浸潤がんと非浸潤がんをあわせたハザード比はエキセメスタン

と変わらなくなります。


次に行われたSTAR試験では19000名以上の被験者を登録。浸潤がんの

イベント数がタモキシフェンとラロキシフェン両群合わせて330と、

十分なパワーを持っているといえるでしょう。


本試験は通常であればラロキシフェンとの比較試験となるべきだと考えます。

優越性を検証するとなると膨大な症例数が必要だとか、SERMの試験結果

から少ない症例数でプラセボに勝ちそうというのは研究者側や製薬会社の

論理で、現状これで良いとは個人的には思えません。


デザインもいま一つだし、パワーも十分といえないような研究結果が

NEJMに載るというのは、某先生の意見では製薬企業の力ではないかと

いうことですが、私には筆頭著者がハーバードの教授だからだとしか

思えませんでした。なんだかね。
by aiharatomohiko | 2011-07-11 00:39 | 論文

ザンクトガレン2011

長らくご無沙汰してしまいましたが、先日論文化されたSt Gallenの会議に

参加してきました。会の構成は例年と同じで、三日間今まで得られた知見が

発表された後にコンセンサス会議が行われるというもの。


一日目は、既に発表された臨床試験結果の紹介のオンパレードで、目新しい

ものは特にありませんでした。MA27のデータはサンアントニオと全く同じ

でした。会の趣旨上は仕方ないのでしょうが、やや食い足りない感じです。


二日目は、午前中に疫学的な発表がありました。糖尿病でメトフォルミンを

服用している人ががんにかかりにくいというデータから、メトフォルミン

850mgx5yを服用することで再発が抑制されるかという試験が検討されている

ようです。

しかしながら、糖尿病にかかるとがんになるリスクが高くなるというデータ

があるので、糖尿病治療により元に戻るだけではないのでしょうか。

また、850mgというと実際の治療で使うくらいの結構な量ですが、

健常人に使用して低血糖などの問題はでないのでしょうか。

その後は、ついていくのが困難な突っ込み過ぎ気味な基礎データの発表が

続きました。中では、腫瘍に浸潤している制御性T細胞がRANKLを放出し、

パラクライン的に乳がん細胞に作用して転移を引き起こす(特に肺)という

話題は興味深かったので、論文を読んでみることにします。

デノスマブで肺転移が減るといいのですが。

当日最後のDr Paikの発表はさすがでした。遺伝子発現プロファイルを

用いてER陽性の再発低リスク群を見分ける場合に増殖に関わる遺伝子群が

重みを持っていること、臨床病理学的因子やKi67に比べると低リスク群

つまり化学療法を省略できる人に分類できる人の割合が高いこと

(ただしKi67の低い人でRSが高い人はほとんどいない)、

そして検査として再現性が高いことが説明されていました。


三日目は、手術・RT・薬物療法の話題が盛りだくさんで、これは結構興味

深く聞けました。



最終日のパネルコンセンサスは、議論が停滞する場面はありましたが、

以前のようにグダグダになることもなく、今回は意外にすんなりとまとまり

ました。特に目新しい内容はありませんでしたが、サブタイプ別に治療方針

を立てていくという方向性がよりはっきりしたのではないかと感じました。


ところで、今回は参加予定者が前回の4800人から4200人程度に減少して

いるというアナウンスがありました。スイスフランが高いからじゃないか

とかいう話もありましたが、本会では臨床的には目新しいデータがプレゼン

されるわけではない一方で唐突な基礎研究発表風のプレゼンがされたり、

最後のコンセンサス会議がまとまらない(今回はまとまったけど)しかつ

論文の内容と必ずしも一致しないという様な点が、参加者の期待するところと

ずれてきているからではないかと思います。

というか個人的にはズレを感じた今回のザンクトガレンでした。
by aiharatomohiko | 2011-07-03 23:38 | 学会