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by aiharatomohiko
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<   2011年 03月 ( 3 )   > この月の画像一覧

SABCS2010 ゾレドロン酸の再発抑制効果 その2


AZURE試験ですが、3,360例のstage II/IIIの乳がん患者さんが登録

された試験で、標準薬物療法±ゾレドロン酸(5年)の比較になって

います。

この試験では、ゾレドロン酸が6 doses (q 3-4 wk)、8 doses (q 3 mo)、

5 doses (q 6 mo)とかなりインテンシブになっていることが特徴です。

主要評価項目はDFSです。


患者背景は、98%が腋窩リンパ節転移陽性で、95%に化学療法が行われ

ており、98%にアンスラサイクリンが、24%にタキサンが使用されて

いました。ER陽性が78%、閉経前が45%でした。観察期間の中央値が

5年でのデータが今回発表されました。


DFSは752イベントと解析には十分なパワーを持っています。

結果はHR = 0.98(95% CI [0.85-1.13])とほぼ同等という結果で、

カプランマイヤーもほぼ重なっていました。今までの二つの試験の結果

と異なり、この試験ではゾレドロン酸を追加することによるDFSの改善

が見られないという、かなり予想外の結果に終わってしまいました。

2008年に演題取り下げがあったときには治療効果が他の試験と比べて

低いのではないかと懸念していましたが、まさかここまでとは思って

いませんでした。なお、この傾向は今後イベント数が増えても変わること

は考えにくいとのコメントがありました。まあ、それはそうでしょう。。。


主要評価項目がネガティブな場合には、もれなく面妖なサブセット解析

の結果が出てくることになります。この試験の場合でも出てきました。

閉経前と閉経後 < 5 年および 閉経状況が不明な <60才をまとめた群

ではむしろゾレドロン酸群で予後が悪く、閉経後5年経過および60才

以上の群ではゾレドロン酸群で予後が良くなっており、治療効果に

heterogeneityがあると言う解析がそれです。

閉経状況によりE2レベルなどが変わることが、骨芽細胞や破骨細胞の

機能に影響するというデータがあり、これが閉経状況によってゾレドロン

酸の効果が違うという結果をサポートするというのですが、

ホントでしょうか。

そもそも95%の患者さんに化学療法が行われているので、例え閉経前

でもこれにより閉経する人が相当の割合で出てくるはずです。

それなのにこんなに差が出るのはおかしいと思いますね。

偶然の偏りだと考えますが、大胆すぎるでしょうか。

発表では化学閉経に関しては触れられていないようでしたが、一流の

ジャーナルに投稿することになるとかならず突っ込まれることでしょう

から、その時にはもう少し詳しいことがわかるかもしれません。


一方注目したいデータとして、OSがあります。イベント数が519あり、

ハザード比が0.85(95% CI [0.72-1.01])とゾレドロン酸による

改善傾向が見られています。再発が改善しないのに、OSが伸びると

いうのは、乳がんに関係ないゾレドロン酸の効果?なんて、

よくわからないですね。閉経状況との関係はOSもDFSと似た傾向でした。


副作用に関しては、ONJの疑いも含めてゾレドロン酸群で1.5%

(コントロール群 0%)と、ゾレドロン酸に不利な状況です。

ONJはQOLを著しく下げる合併症である事を考えると、結構厳しい

データです。


今後に結果が出ると思われるゾレドロン酸の追加効果が検討されている

試験は、654例のNa Tan試験だけのようです。症例数から考えると、

この試験の結果で決着がつくようには思えません。

SUCCESS試験はゾレドロン酸3年と5年の比較。

NSABP B-34はクロドロン酸ありなしの比較。


ゾレドロン酸が再発を抑制するという期待は、このままでは残念ながら

つぼみのまま開花することはなさそうな状況になってしまいました。
by aiharatomohiko | 2011-03-09 22:34 | 学会

SABCS2010 ゾレドロン酸の再発抑制効果 その1



乳がんは骨への転移がしばしばみられるため、ビスフォスフォネートが

再発を予防するのではないかという観点で研究が行われています。


経口のビスフォスフォネートの第III相試験では、再発を減らすという

結果と、反対に再発を増やすという結果が報告されています。

ゾレドロン酸では、再発を減らすという結果と再発を減らすことを示唆

する結果があります。( “ゾレドロン酸(ゾメタ)は再発を予防する”

“サンアントニオ2008 ZO-FAST”参照して下さい。)

今回のサンアントニオでは、ABCSG12試験とZO-FAST試験のアップデート、

さらには2008年で出る出るといっていたのに、演題取り下げですっぽん

かまされたAZURE試験の結果が発表されました。


ABCSG12は閉経前ホルモン感受性乳がんを対象とした1800例規模の試験

です。Z+TAM vs Z+ANAとゾレドロン酸(6ヵ月毎3年)ありなしの

2x2デザインで、NEJMに48ヶ月フォローの結果が発表され、今回は

62ヶ月フォローの結果が発表されました。

ゾレドロン酸ありなしについては、48ヶ月時点ではイベント数が137で

ハザード比が0.64(95%CI 0.46-0.91)が、62ヶ月時点ではイベント

数が186でハザード比が0.68(95%CI 0.51-0.91)とほぼ同様な傾向

が保たれていました。

OSでも同様な傾向がみられましたが、イベント数が少なく有意では

ありませんでした。


前回興味を引いたANA群で死亡が多かった件については、今回は

ゾレドロン酸ありなしがテーマの発表だったため検定はありませんでした

が、テーブルから数字をひいてみると、死亡数はTAM群 89/1800例、

ANA群97/1803例でした。ANA群で一割くらい多そうです。


ZO-FASTは閉経後ホルモン感受性乳がんを対象とした1000例規模の

試験です。レトロゾール開始時にゾレドロン酸(6ヵ月毎5年)を

開始する群と骨関連事象が発症してからゾレドロン酸を追加する群の、

12ケ月目の骨塩量を主要評価項目とした試験で、再発は二次評価

項目に入っています。


DFSは104イベントが発生した5年時点での解析で、当初からゾレドロン

酸を開始する群で再発のハザード比が0.66(95%CI 0.44-0.97)と、

ゾレドロン酸の再発抑制効果を示唆するものでした。
by aiharatomohiko | 2011-03-07 22:13 | 学会

香川県乳腺研究会で気付いたこと


3/2に先週に続いて香川県乳腺研究会で講演をしてきました。

その会で症例検討がありました。脳転移のあった患者さんで

ラパチニブ+カペシタビンが奏効したが増悪し、RTを行ったが再び

増悪したため、ラパチニブ+ドセタキセルを投与したところ奏効した

というケースが報告されていました。

保険的には微妙なものの、こういった投与法で効果が得られる

場合があるのかと、とても勉強になりました。

その時にフロアから質問があったのですが、”血液脳関門(BBB)が

転移によって破綻しているのであれば、ハーセプチンも効くのでは

ないか”といったような質問があがりました。


ラパチニブは分子量が小さいため、BBBを通過するといわれる

ことがあります。でも、分子量がどれくらいか知らなかったため、

その時に気になって調べてみました。

その分子量は 943.48。

抗体(ハーセプチン)はこの100倍超になりますので、BBBが破綻

したとしても通過は少し難しいのかもしれません。


抗癌剤の分子量も気になったので調べてみると、ドセタキセルの

分子量は807.879。

パクリタキセルの分子量は853.92。

エピルビシン塩酸塩の分子量は、579.98。

ビノレルビンの分子量は778。

分子量だけが問題ならば、これらの抗がん剤も通過するはず。

つまり単剤でも効果を発揮しても良さそうなものです。

ただ、BBBの通過は分子量だけの問題でもないということですし、

転移によりBBBが破壊されるという考えもありますし。。。


不勉強なので良く知らなかったのですが、この問題について

勉強してみたいと思います。

良くご存知の方はsuggestion頂けると幸いです。


当日研究会の時に、色々な先生方とディスカッション出来て

大変勉強になりました。

また、そのあとでご縁のあった先生にお世話になりました。

とても楽しい時間を有難うございました。
by aiharatomohiko | 2011-03-06 22:39 | お知らせ