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by aiharatomohiko
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三重乳がん治療学術講演会での講演

2/25に、三重乳がん治療学術講演会で、”乳がん薬物療法のUp to Date

~サンアントニオ2010の知見から~”という題で、講演をして来ました。

三重県には、三重大学の水野先生率いる腫瘍内科医が多数おられました。

大阪にも腫瘍内科医の先生、来て欲しいですね。

症例検討では興味深いケースの提示がされ、レベルが高い討議が活発に

なされていました。レベルが高くとても勉強になりました。

私の話の内容は、おいおいアップしていきます。

来週は香川乳腺で講演があり、その次はザンクトガレンに参加するので、

忙しい月になっています。


ところで、小川先生の東京マラソンの結果はどうだったのでしょうか。

大阪マラソンも頑張って下さいね。


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by aiharatomohiko | 2011-02-28 22:37 | お知らせ

SABCS2010 CYP2D6の多型とタモキシフェン


タモキシフェンは、CYP2D6という酵素でエンドキシフェンに代謝されて、

効果を発揮するという考えがあります。考えといったのは、このことが明確に

証明されていないからです。


もし、この考えが正しいのであれば、CYP2D6の働きが弱い遺伝子多型を

もった人は、エンドキシフェンの血中濃度が低くなり、ひいては術後内分泌

療法としてタモキシフェンを使用した場合に、再発が多くなるはずです。

実際にそういった論文も発表されていますが、その一方で遺伝子多型と

再発は関係しないという論文も見られます。

また、タモキシフェンを服用している方が、CYP2D6を阻害する薬剤である

パロキセチン(SSRI)を服用すると再発が多くなるという論文がある一方、

パロキセチンの服用と予後は関係ないという論文も発表されています。


そういったわけで、この問題はまだ混沌としていますが、サンアントニオ

でATACとBIG1-98という二つのprospective studyにおいてCYP2D6の

多型とタモキシフェンの効果を検討した研究が発表され、どちらも関連無し

という結果だったので、インパクトは大きく感じました。

これらの発表を受けて、関連有り派のDr Goetzがdiscussionを行って

いました。その中のスライドを一枚挙げます。

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Dr Goetzが行った二つの研究は関連有りという結果で、今回の結果は

関連無しだったので、心なしか顔色が悪いように見えましたが、

うがち過ぎでしょうね。


現在前向きの研究が行われていると紹介がありましたが、これは転移再発

のようです。術後内分泌療法での検討も必要になるでしょう。

とはいえ、関連性が明確になるまでは、タモキシフェンとパロキセチンの

同時服用は避けておいた方が無難とはいえます。
by aiharatomohiko | 2011-02-26 22:31 | 学会

SABCS2010 (DD)6サイクルは4サイクルに劣る


Adjuvantケモの6サイクルvs4サイクルとACvsPTXを比較した

CALGB 40101試験から、6サイクルvs4サイクルの比較に関する

最初の解析が、発表されました。解析対象は3173例のn0-3症例です。

その結果は、再発も全生存も6サイクルの方が劣るという結果で、

イベント数が増えても4サイクルを上回ることは無い様です。この傾向はER

やHER2、AC かPTXかに関わらないとの事です。


イベント数は少ないものの、死亡が4サイクルで65例(乳がんによるもの

41例)、6サイクルで85例(乳がんによるもの50例)だったことからも、

6サイクルには期待が持てません。


とりわけ、AML/MDSが11-27ヶ月投与終了後の間6例に発症し、

内訳はAC x 6で5例、AC x 4 で1例だったという結果は、ACx6は

むしろ危険なレジメと考えても良いでしょう。6名のうち5名の方が

この副作用で亡くなっています。PTXではこの副作用は見られなかった

ようです。


この試験は、使用レジメが途中で変わっているために、解釈が難しい

です。多くはDose denseの症例ですので、我々が一般的に使用する

三週毎のレジメにこの結果を当てはめることが出来るのでしょうか。

2002-2003 n=570
AC q 3 wks x 4 or 6 cycles
T wkly for 12 or 18 wks

2003-2008 (DD)  n=2603
AC q 2 wks x 4 or 6 cycles
T q 2 wks x 4 or 6 cycles


結論が三週毎か二週毎かによって異なる可能性や、薬剤の用量で

変わる可能性もあり、一般化するのは難しいと感じます。

TACは6サイクルの方が良さそうですし。さらなるデータの成熟が

待たれますが、この時点でデータが公表されたのは、発表でそこまでは

コメントしていないものの、とにかくDD ACx6は使用すべきでないと

いうことを伝えるためのように感じました。
by aiharatomohiko | 2011-02-19 22:18 | 学会

アバスチン:似たような結果と異なった解釈 余談


余談ですが、Referenceを見ていると、数あるアバスチンの試験のうちで、

たまたま良い結果が出た論文がNEJMに掲載され、真の値に近そうなものは

JCOかそれ以下という、何ともなえるような気持ちになる事柄にも気づきま

した。まあ、そんなものだよといわれれば、それまでの話ですが。


以下の論文はまだ読んでいないのですが、関連したものとしてお勧めでき

そうです。
When are "positive" clinical trials in oncology truly positive?
Ocana A, Tannock IF. J Natl Cancer Inst. 2011 Jan 5;103(1):16-20.

また、この著者らは、アロマターゼ阻害薬はタモキシフェンにOSで勝って

いない上に、QOLでも勝っていない。なおかつ副作用でも優れているとは

言えないので、標準治療薬とは言えない。というコメントも出しています。

ATACの論文などでアロマターゼ阻害薬の有用性を刷り込まれている

先生方が読むと、目からうろこが落ちるか、内容が理解できないかの

どちらかでしょう。

Up-front use of aromatase inhibitors as adjuvant therapy for breast
cancer: the emperor has no clothes. Seruga B, Tannock IF. 
J Clin Oncol. 2009 Feb 20;27(6):840-2. 

私はTannockの意見には相当程度同意できます。某先生から良く

“コンサバ“といわれるのですが、アロマターゼ阻害薬の試験結果、

CYP2D6の多型とタモキシフェン効果の関係に関する研究、アバスチンの

試験結果などをじっと見ると、あせって新しい治療に飛び乗るよりも、

それらを横にらみしながらも確立された治療法を行うことが、結局は

患者さんの利益になるという想いを強くした次第です。

まあ、もっと言いたいことはありますが、この辺でやめときます。
by aiharatomohiko | 2011-02-09 00:18 | 論文

アバスチン:似たような結果と異なった解釈


アバスチンを題材にとっていますが、薬物療法の有用性に関する議論の本質

を突いた感のある総説(Comment)が、JCOに載りました。

Ocaña A, Amir E, Vera F, Eisenhauer EA, Tannock IF. 
J Clin Oncol. 2011 Jan 20;29(3):254-6.

原文を読んで頂くと、ナルホドな、と感心されると思うので、ぜひ原文で

読んで頂きたいのですが、以下要約を。

・化学療法±アバスチンの臨床試験の結果は、全てのがん種(乳がん・

卵巣がん・肺がん・胃がん・前立腺がん・大腸がん)で、アバスチン

使用群で無増悪生存期間(PFS)に改善傾向を認める一方で、全生存期間

(OS)に明らかな改善が見られないという傾向が、ほぼ一定して観察

されている。

・にもかかわらず、ある試験ではPFSを一次評価項目としているために

結果が“Positive”と発表され、別の試験ではOSを一次評価項目としている

ために結果が“Negative”と発表されている。

どちらが適切なのであろうか。

・結論を言うと、全生存期間やQOLといった適切な評価項目において、

臨床的に意味のある違いが認められたときに、“Positive Study”とすべき

である。 

・OSの改善が認められたときでさえも、潜在的に伴うQOLの低下とのバランス

を考える必要がある。(注)つまり、OSで有意差を持って勝った時でさえ、

それだけを持って“Positive study”とはするべきではないというスタンス。

統計学的有意差原理主義にとらわれている先生方に読んで欲しい。

目からうろこが落ちるか、内容が理解できないかのどちらかでしょう。

・特記すべきことに、試験が開始されてから、卵巣がんと肺がんの二試験で、

主要評価項目がOSからPFSに変更されていた。(注)OSでは十分なイベント

が得られないため、手っ取り早く結果の出る評価項目に変えたということ。

・Oncology communityは、PFSの改善に関して過剰な解釈をしている。

PFSの改善は、特に無症状の場合に画像での変化だけを追っている場合

には、患者にとっての意味のある成果とは言えない。

・がん種によって、評価項目や結果の解釈の基準が異なるのはおかしい。

すべてのがん種で、OSを主要評価項目として、臨床試験をすべきである。

といったところです。まさに正論ですが、どの程度の臨床試験がこの基準を

満たしているのでしょうか。


アバスチンのランダム化比較試験の結果一覧を見てみると、PFSの改善は

1~3ヶ月程度、OSの改善は-1~2ヶ月程度です。いくつかの試験では

重篤な合併症が増加することが報告されていることを考えると、アバスチン

はとても臨床使用に耐えないという結論になります。やはり。

以下J Clin Oncol. 2011 Jan 20;29(3):254-6 より引用。


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by aiharatomohiko | 2011-02-09 00:10 | 論文