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by aiharatomohiko
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<   2010年 04月 ( 3 )   > この月の画像一覧

無増悪期間を一次評価項目とする問題点


前回の続きです。


この試験をしてよかったことは、転移乳がんに対して無増悪期間を

一次評価項目とする問題点が改めて浮き彫りになったことでしょう。

無増悪期間はあくまで治療の主たる目的である全生存期間の代替指標

に過ぎません。無増悪期間が改善される→全生存期間が改善されるという

図式が成り立つという前提の上、有用な治療を早く評価して世に出すために

無増悪期間が一次評価項目として使用することが許容されるのです。

試験治療が一次評価項目で統計学的な有意差をもって勝ちさえすれば、

それが無条件に新しい標準治療になると考えるのはあまりに楽観的です。


無増悪期間が改善されても全生存期間が改善されないのなら、新薬により

QOLが改善される場合や新薬の副作用が少ないもしくはコストが安いなど

という場合を除いて、新規薬剤を全症例に使うのは推奨出来ません。

コストが高かったり副作用が強いのであればなおさらです。

全生存期間に改善が見られないが無増悪期間が長いだけの治療法は、

ただ単に薬が効いている(使っている)期間が長いということであり、治療者の

自己満足に過ぎない恐れがあります。

製薬会社は喜ぶでしょうけど、患者さんが本当に喜ぶでしょうか?

単に奏効率が高いという治療法(例:化学療法の同時併用療法)も、

似たようなところがあります。


しかしながら、製薬会社は新薬の有効性を速く証明して早く市販したい、

それによって投資を早く回収したいという思惑があるため(パテント期間の

問題にも起因する)、企業スポンサードの臨床試験では、より早期に決着が

つく代替エンドポイントで勝負したがります。

その結果として、イベント数が不足して真の治療効果を検討することが

出来なくなってしまい、使った方がいいのかどうかわからなくなってしまう

のは、皮肉としか言いようがありません。


もう一つの問題点として、中間解析結果で一次評価項目において新規治療薬

の有効性が証明された場合には、プラセボ群にも新薬の使用を許可する

(クロスオーバー)ことが倫理的とされる傾向にあります。

そのため、クロスオーバーが効いているために全生存期間に差が出ていない

のか、もともと全生存期間に差が無いのかが分かりにくくなってしまいます。

アバスチンの試験でもそうした事が語られているようです。


ともあれ、保守的過ぎると言われるかもしれませんが、今後は基本に

立ち返り、それが有望な治療法であればあるほど、全生存期間を

主要なエンドポイントとして臨床試験をすることが望まれます。
by aiharatomohiko | 2010-04-29 23:51 | 学会

サンアントニオ2009 転移乳がんでのアバスチン


転移再発の一次療法としてドセタキセル vs ベバシツマブ+ドセタキセル

を比較したAVADO試験の結果が発表されました

(ダブルブラインド・プラセボコントロール)。

結果は、併用群で無増悪期間が改善され、7.5mg群(打ち切り解析

ハザード比 0.80)より15mg群(打ち切り解析ハザード比 0.67)

がさらに良好でした。

といっても、それぞれ中央値でたかだか1ヵ月と2ヶ月の改善でしか

ありません。一年生存率はベバシツマブ15mg群で良好だったものの、

18ヶ月くらいでプラセボと同じになり、全生存期間に有意差はありません

でした。


転移再発の二次療法として化学療法 vs ベバシツマブ+化学療法

を比較したRIBBON2試験の中間解析結果も発表されました

(プラセボコントロール)。

併用群で無増悪期間が改善されましたが(ハザード比0.78

中央値7.2月 vs 5.1月)、全生存期間は改善されませんでした。


転移乳がんでは、一次治療でも二次治療以降でも、やっぱりしょぼかった

アバスチン(ベバシツマブ)。


この結果を見て、他の臨床医はアバスチンを使いたいと思うのでしょうか。

以前のエントリーにも書きましたように、私は個人的にはアバスチンを

積極的に使用する気にはなりません。言うまでもなく、転移性乳がんの主たる

治療目的である全生存期間の延長が認められていないからです。

無増悪期間は代替指標であるため、これだけが改善されてもあまり意味が

ありません。治療費は1年間で360万円もかかるらしいですし。

アメリカでの薬価の7掛けと言われてもお得感はなさそうですが、

いかがでしょう。
by aiharatomohiko | 2010-04-28 23:19 | 学会

サンアントニオ2009 後で使うしかないファスロデックス


ファスロデックスはエストロゲン受容体に対するアゴニスト様作用を持たず、

ERに結合してかつこれを分解させるという作用機序から前評判がかなり

高かったものの、臨床での効果が振るわなかったため、開発に難儀して

いました。


今回転移性乳がんの一次内分泌療法として、ファスロデックス+アリミデックス

 vs アリミデックス単独の試験の結果が発表されました(n=514)。

有効性に関しては、無増悪期間、全生存期間ともにファスロデックスの併用

で全く改善されず、そればかりかほてりは悪くなるという結果で、発表者さえ

併用すべきでないというさえない結論でした。今までの試験結果から、

併用に活路を見出せれば、というところだったのですが、残念でした。


ファスロデックス500mgと250mgの比較試験の結果も発表され、500mg

の方の無増悪期間が20%ほど良く、全生存期間も良い傾向にありましたが、

太い針をブスブスお尻に刺す必要があり、正直一次・二次療法では使いづらい

です。

出番はかなり後の方になるのではないでしょうか。
by aiharatomohiko | 2010-04-02 15:06 | 学会