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by aiharatomohiko
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<   2009年 01月 ( 6 )   > この月の画像一覧

サンアントニオ2008 ZO-FAST


アロマターゼ阻害薬を投与することで骨塩量の低下や骨折率が増加

することが知られていますが、これを軽減する目的でゾレドロン酸

(ゾメタ)が使用されたのがZO-FAST試験です。


この試験では、レトロゾール投与開始と同時にゾメタを開始する群

(IMMEDIATE群)と骨塩量が減少してからゾメタを投与する群

(DELAYED群)の比較が行われました。

投与開始一年後の腰椎の骨塩量を一次評価項目としています。

ゾメタの投与は半年毎に5年間です。


投与開始一年後の腰椎の骨塩量はIMMEDIATE群が良好で、

この効果は3年まで持ち越されましたが、3年の骨折率では両群間に

有意な差を認めませんでした(5.0% vs 6.0%)。

驚いたことには、DELAYED群と比較してIMMEDIATE群で再発が

40%も減少したことです。イベント数がまだ少ないので断定的な事は

いえませんが、局所再発が約1/5に、骨転移が半数に、しかし実質臓器

である肺や肝転移では減少なし、という結果でした。


ABCSG12試験と同様に、本試験でもゾメタの投与が再発を抑制する

という結果がでました。しかも40%も。やはりハーセプチンより偉いのか、

ゾメタは。。。


ちまたの噂に上っていたAZURE試験の結果は発表されませんでしたが、

これで有意な結果がでれば、術後の再発予防にゾメタを使用する方向に

一気に傾きそうです。
by aiharatomohiko | 2009-01-31 21:50 | 学会

サンアントニオ2008 TEAM試験 追加


TEAM試験で治療を開始しなかった人を抜いた解析のハザード比が

0.83と書きましたが、この解析では途中で治療を中止もしくは変更

した人を“打ち切り”にしていると、TEAMの日本での研究代表者である

自治医大の穂積先生と話をしている際に教えて頂きました。

このことは、発表のスライドには、書かれてはいませんでしたが。


ということはこの数字はお化粧がされていると考えて良いので、

実際のハザード比は0.83-0.89の間くらいにあるのでしょうね。

ただ、他のアロマターゼ阻害薬とは大きくは変わらないということに

変わりはありません。
by aiharatomohiko | 2009-01-30 22:12 | 学会

サンアントニオ2008 N-SAS BC03


ひとりひとりに合わせたテーラーメード医療の時代といいますが、

現実には日本人と欧米人といった民族間差があるのかないのか

といった検証すらなされず、欧米で行われたランダム化比較試験の

データをそのまま日本人に適応している場合がいまだに良く見られます。

アロマターゼ阻害薬はまさにその典型といえましょう。


例えば、タモキシフェンを活性化する体内の酵素CYP2D6の遺伝子型

の違いが治療効果に影響を与える可能性が指摘されており、

欧米人と日本人で遺伝子型の分布が異なることが知られています。

タモキシフェンの効果がもし欧米人と日本人で異なるのであれば、

ひいてはタモキシフェンとアロマターゼ阻害薬との効果の差が異なります。

また、エストロゲン受容体やアロマターゼ自体にも遺伝子型に民族間差

があり、現在ではわかっていない治療効果や副作用の民族間差が

存在する可能性がないとは誰も言えないのです。

実際タモキシフェン5年終了後のレトロゾールの追加効果を見た

MA17試験では、白人以外のminorityではレトロゾールの追加効果が

確認されなかった旨の報告がなされています。

こういった議論は、ほとんどの人が知らないのか知らないふりをしている

のかは置いておいて、日常臨床の場でも学会の場でもほとんど聞く事は

ありません。


もちろん、日本人のデータがない場合は欧米人でのデータを適応する

以外ないのですが、今回のサンアントニオでN-SAS BC03の代表として、

やっと日本人でのアロマターゼ阻害薬の有用性のデータを報告すること

が出来ました。

N-SAS BC03は、2002年から 2005年までの間に登録された706名の

1-4年タモキシフェンを服用されている閉経後乳がんの方をそのまま

タモキシフェンを服用するかアナストロゾールに切り換えるかという試験です。

アナストロゾールのハザード比は無病再発率で0.69 (95 %信頼区間、

0.42 - 1.14; P=0.14)、無再発生存率で0.54 (95 %信頼区間、0.29 - 1.02;

P=0.06)と有意差こそつかなかったものの、他の試験とほぼ同等の再発

抑制効果を認めました。全生存率はイベントがわずかであったこともあり、

差を認めませんでした。

副作用に関しては、ほてりなどはタモキシフェンで多く、関節痛がアナスト

ロゾールで多かったものの、骨折は欧米のデータとは反対にタモキシフェン

に多く見られました。この原因は分かりませんが、欧米人ほど骨折が見られ

ないということは、アナストロゾールにとって悪いことではありません。

また、血栓症の発症がほとんど見られないといった、欧米人と日本人の

副作用に差があることが確認されました。

結果が出たのは遅かったとはいえ、また結果だけを見れば欧米での試験と

ほぼ同一ではありますが、単一の試験で物が言えるアジア人で唯一の

アロマターゼ阻害薬のデータです。

試験に参加された方々に、厚く御礼申し上げますとともに、

ご報告申し上げます。
by aiharatomohiko | 2009-01-29 22:07 | 学会

サンアントニオ2008 BIG1-98試験up date


タモキシフェンとレトロゾールの比較を行ったBIG1-98試験の

76ヶ月のup dateのデータも発表されました。この試験でも

タモキシフェン群の25%が途中でレトロゾールに切り換えられた

ため、ITTと切り換え時に打ち切りという二つの解析が行われました。


ITT でのハザード比は0.88、打ち切りにすると0.84、真実の

値はこの間くらいに存在すると考えてよいので、ATACとほぼ

同じくらいか。

全生存率では、ITT でのハザード比は0.87、打ち切りにすると

0.81で、統計学的にも有意差が出そうなくらいです。

ここがいつまで待ってもタモキシフェンとアナストロゾールで

全生存率に差が出そうにないATACと大きく違うところです。

ただ、アナストロゾールとレトロゾールのどちらが真に優れている

のかを結論付けるためには、直接比較のデータを待つ必要があります。


これに続いて、レトロゾール対タモキシフェン→レトロゾールと、

レトロゾール対レトロゾール→タモキシフェンという2種類の

切り換え方法との比較という興味深い結果が発表されました。

71ヶ月時点のデータで、プロトコールによる最終解析との事でした。

とても期待した発表でしたが、カプランマイヤーがベタベタにくっつい

ていることや、多重比較検定による第一種過誤率の増大を避ける

ために信頼区間を99%に取っているためか、イベント数が足りず

群間差が出ないという残念な結果に終わりました。

5年無病生存率は、レトロゾール単独の87.9%に対してレトロゾール

→タモキシフェンで87.6%、タモキシフェン→レトロゾールで86.2%でした。

フォレストプロットをみるとタモキシフェン→レトロゾール<

レトロゾール単独=レトロゾール→タモキシフェンと言いたくなりそうです。

厳密に言うとレトロゾールが2年入っていればどれも大差ないといわざる

を得ないのですが、やはり累積イベント発生率曲線を見ると、

タモキシフェン→レトロゾール<レトロゾール単独=レトロゾール→

タモキシフェンという印象が強くなります。


TEAM試験の最終結果が出てメタ解析をすることで、

タモキシフェン→アロマターゼ阻害薬対アロマターゼ阻害薬の優劣に

ついては、決着がつくかもしれません。

しかしながら、アロマターゼ阻害薬→タモキシフェン対アロマターゼ阻害薬

の優劣は、迷宮入りになりそうです。
by aiharatomohiko | 2009-01-19 23:18 | 学会

サンアントニオ2008 アロマターゼ阻害薬:いまだ残る疑問


タモキシフェン vs アロマターゼ阻害薬のメタ解析の発表がありました。

この発表にはTEAMとN-SAS BC03の結果は含まれていません。

タモキシフェン5年対アロマターゼ阻害薬5年の解析では、無病生存率

はアロマターゼ阻害薬で改善される。

改善効果は0-1年が最も大きいが、5年を超えても持続する。

全生存率の改善は見られず、乳がん死亡も非乳がん死亡もほぼ同等、

という結果でした。


タモキシフェン5年対タモキシフェンからアロマターゼ阻害薬切り換え5年

の解析では、無病生存率はアロマターゼ阻害薬切り換えで改善される。

改善効果は0-2年が最も大きく、5年を超えると効果はあまり見られない。

全生存率は20%ほど改善される。乳がん死亡は20%ほど、非乳がん

死亡も改善される、という結果でした。


どちらかというと、切り換えの方が良さそうに見えますが、本当でしょうか?


切り換え試験で無病生存率の改善効果が大きく見えるのは、試験の対象

が無治療の人とタモキシフェンを2~3年服用した人というように異なるから、

ということで説明できます。

ただ、なぜ切り換えで全生存率の改善がみられるのに、当初からアロマターゼ

阻害薬を投与することでは改善されないのか、ということの合理的な説明が

私にはできません。

ATACでは9年になってもアロマターゼ阻害薬の生存曲線が改善される

兆しが見えません。非乳がん死亡が多いのでアロマターゼ阻害薬の乳がん

死亡改善効果がマスクされているという議論があります。

しかし、この理屈ではアロマターゼ阻害薬の投与方法による全生存率の

違いを説明できません。なぜならば、試験に参加された方の年齢はどの試験

も60-64才くらいで揃っているからです。ATACやBIG1-98で高齢者が多い

のであれば納得できますが、対象が異なるというわけではなさそうです。


しかも、後述しますがBIG1-98の切り換えと当初からのアロマターゼ阻害薬

の投与の比較のデータが今回発表され、直接比較ではどちらかというと当初

からアロマターゼ阻害薬を投与する方が良さそうです。


早期の再発を抑制するという観点から考えると、当初からアロマターゼ阻害薬

を投与する方が優れているとする方が合理的に思えます。しかしながら、

この方法ではタモキシフェンと比較して全生存率の改善が見られず、

切り換えでは全生存率の改善が見られる。うーん。。。


何か見落としがあるのでしょうか?
by aiharatomohiko | 2009-01-18 17:04 | 学会

サンアントニオ2008 TEAM試験


サンアントニオで、閉経後ホルモン感受性早期乳がんの術後療法としての

タモキシフェンとエキセメスタンの2.75年の治療を比較したTEAM試験

の結果が発表されました。

日本からの184人を含む全世界から9000人以上の登録があり、全例が

ホルモン受容体陽性です。当初はタモキシフェンとエキセメスタンの5年

投与の比較でしたが、他の試験の結果が出てきたため、標準アームの

タモキシフェン5年がタモキシフェンからエキセメスタンの順次投与に

変更された経緯があります。

その過程では喧々諤々の議論があり、結局どこかの国が国ごと試験から

抜け落ちたりしました。今回の解析は、単剤同士での比較が出来る2.75年

で全例のデータを打ち切っての解析となります。


有効性の解析は、局所再発・新規乳がん発症・非乳がん関連死亡は

両群で同様でした。遠隔転移は、エキセメスタン群で20%ほど減少して

いました。無病生存期間は、ハザード比で0.89(95%CI 0.77-1.03 p=0.12)

と11%ほどの改善が見られました。他のアロマターゼ阻害薬よりも治療効果

がやや弱く見えます。

ただし、本解析は各群50例ほど割り付けられた治療を開始していない人を

含んだ、完全なITT解析です。これらのデータを抜いた解析では、

ハザード比で0.83(95%CI 0.71-0.97 p=0.02)となり、他のアロマターゼ

阻害薬に見劣りしないデータになります。

私はこの解析の方が実際の治療効果に近いのではないかと思います。

50人といえば全体のわずか1%ですが、試験全体の結果に結構大きな

インパクトを与えるものだという印象を受けました。

タモキシフェン群がエキセメスタンに切り替えられたため、これ以上の

期間解析しても単剤同士でのデータは出てこないので、

これが最終のデータです。本解析で有意差が出なかったのですが、

エキセメスタンがタモキシフェンより勝らないというわけではありません。

IES試験の結果を鑑みると、p値<0.05にこだわる有意差原理主義に

おちいる必要はないでしょう。

現在エキセメスタンとアナストロゾールの直接比較試験が行われている

最中ですので、この結果がでれば優劣はより明らかになるでしょうが、

それまではどのアロマターゼ阻害薬もほぼ同等として扱って良いと思います。


他には、エキセメスタン群で20%、タモキシフェン群で30%の試験治療中止

が見られたことで、これが本試験の結果に影響している可能性が

言及されていました。


副作用は他のアロマターゼ阻害薬と同様で、ほてりなどの症状はエキセメ

スタンの方が少なく、関節痛や骨粗鬆症はエキセメスタンに多かったものの、

骨折のエキセメスタン群での増加は見られませんでした。個人的には懸念

していたアロマターゼ阻害薬で非乳がん死亡が増えるという現象が見られ

なかったので、安心しました。


それはそうと、近々タモキシフェン-エキセメスタンの順次投与とエキセメ

スタン単剤の比較のデータが出てくるはずなので、こちらの方にも注目です。
by aiharatomohiko | 2009-01-18 11:36 | 学会