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by aiharatomohiko
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<   2007年 12月 ( 6 )   > この月の画像一覧

30thサンアントニオ乳癌シンポジウム-症状緩和-


Plenary lectureで、MayoのDr.Loprinziが症状緩和について

の話をしていました。


タモキシフェンなどのホルモン剤によるほてりはしばしば問題になります

が、なかなか良い解決策がありません。

パキシル(パロキセチン)という選択的セロトニン取り込み阻害薬が有用

であるとの報告がありますが、この薬剤はタモキシフェンと同時に服用する

と活性化物質であるエンドキシフェンの血中濃度を下げるために、タモキシ

フェンの効果を低下させる危険性が指摘されています。

それに対して、セロトニン・ノルアドレナリン再取り込み阻害薬である、

Vanlafaxineはそういった副作用が無く、ほてりの発現率を下げることが

示されていましたが、現在日本で発売されていません。

ガバペンチンという抗てんかん薬を服用することで、ほてりを半分に改善

できるという話がありました。これも適応外使用になりますが、2005年の

Lancetにも服用4週間時点でプラセボで21%、ガバペンチン1日900 mgで

49%のほてりのスコア改善が見られたという報告があります。


他に問題となるがん関連の疲労感については、運動が最も良く、

薬物ではアメリカジンセン1~2g服用で25%、プラセボで10%に疲労感の

改善が見られたとの報告があります。


タキソールなどでおこる末梢神経障害に対しては、ガバペンチンは効果が

無く、ビタミンE 内服により改善が得られることの報告がありました。

論文を調べてみると、アセチルLカルニチンも効果があるようで、日本では

サプリメントとして売っているようです。
by aiharatomohiko | 2007-12-24 21:25 | 論文

-ATAC 100months-その2


気を取り直して、ATAC 100monthsの報告から良かったところを

拾い上げてみましょう。


まずは、骨折率が5年以降ではTAM群とANA群で変わらなかった

、です。


ビスフォスフォネートの使用の有無は、影響していないのでしょうか?

発表者は学会発表の時につっ込まれて、即答できなかったのですが、

論文には、ビスフォスフォネートの使用率がアナストロゾール群で10%

タモキシフェン群で7%と記載があります。

ほとんどの人は使用していないようなので、アロマターゼ阻害薬にとって

いいデータです。


また、time to recurrenceのデータではありますが、5年を越えた後でも

タモキシフェンよりも再発率の改善が続いており、carryover効果

が認められそうだ
ということも良いデータです。


そして、今回の論文では死亡のデータを正直に詳しく出しているのが

評価できます。このデータから、全死亡は、タモキシフェンもアナストロゾール

も同じであること、再発後死亡はアナストロゾールのほうが1%少ないが

乳癌に関連しない死亡は反対にアナストロゾールのほうが1%多い

ということです。論文では、乳癌に関連しない死亡がアナストロゾールで

多い理由を"probably due to chance"と楽観的に言っていますが、

レトロゾールでも同じ傾向があるので、まだデータを追いかける必要が

あるでしょう。


主な懸念は、タモキシフェンと比較してアナストロゾールによる再発率の

改善がほとんど見込めない様な再発リスクの低い患者さんにアナストロ

ゾールを使用した場合には、タモキシフェンを使用する場合と比べて

乳癌に関連しない死亡率が1%増える分、アナストロゾールのほうが

生存率が悪くなる可能性があるということです。


ということは、DCISにアナストロゾールを使用するのは、どうなんで

しょうか。また、NSABPで行っていたアロマターゼ阻害薬を使用した

乳癌の化学予防の試験が中止されたのも、このような毒性が懸念された

ためかもしれません。


最後に、2次癌の発生率は両者とも同じなのに、発生する癌の種類が

異なり、さらにアナストロゾールで2次癌による死亡率が高くなっている

ことも気になります。
by aiharatomohiko | 2007-12-19 22:30 | 論文

30thサンアントニオ乳癌シンポジウム-ATAC 100months-


ATACの100ヶ月のデータが発表されました。

何千人にもなるデータを10年近くにわたって継続して収集し続

けるのは非常に大変なことで、頭が下がります。


学会ではITT解析は発表されず、ホルモン受容体陽性症例だけ

でしたが、再発リスクの低減がハザード比で0.76と以前と比べて

良くなっていました。


ところが、同時にLANCET ONCOLOGYに発表された論文を見て

驚きました。

というのは、無再発生存率のハザード比がITTで0.90(0.82-0.99)、

ホルモン受容体陽性では0.85(0.76-0.94)と、学会発表よりも低かっ

たからです。


よくよくデータを見てみると、学会で発表されていたのは、私の記憶が

正しければ、プライマリーエンドポイントである無再発生存率ではなく

セカンダリーエンドポイントのtime to recurrenceだったようなのですね。

イベントの取り方が違うので、そのハザード比が0.76と無再発生存率と

比較してかなり良いのです。

そのため、違和感があったと思われます。


もしそうであれば、学会発表には数字を良く見せるための情報操作

が入っており、論文ではそんなことが出来ないので正直なデータ

になっているということになります。


AZ社のプレスリリースを見てみると、”Overall, women in the ATAC

trial taking anastrozole were 24% less likely to have their

cancer come back, compared with those taking tamoxifen”

とあります。


あー、やっぱりね、といった感じです。。。

もちろんうそではありませんが、プライマリーエンドポイントよりも、

数字の良かったセカンダリーエンドポイントを強調するのは

ちょっとやりすぎでは?と思います。

この後のプロモーションもこの数字を使ってするのでしょうかねえ?


センシティブな問題なので、後で裏をとってから文章を変更する

ことになるかもしれませんが、うーん。

フォローアップに関して、せっかく感心した後なんですが、、、
by aiharatomohiko | 2007-12-16 20:44 | 医療

30thサンアントニオ乳癌シンポジウム-ATLAS-


サンアントニオ乳癌シンポジウムに参加してきました。

個人的に今年のハイライトと思っているのは、タモキシフェンの5年と

10年を比較するATLAS試験の中間解析の発表です。

この試験には、1996-2005年にわたって日本を含む世界38カ国

で11500人の患者さんが参加されました。

試験が始まったのが昔であったのと参加国の関係があり、

ER陽性が59%で後は不明ということでした。


観察期間の中央値4.2年で、コンプライアンスは、タモキシフェン5年

中止群の1%未満が別の薬剤に変更していること、タモキシフェン

10年群のうち83%が服用継続していることが示されました。

さて、効果の方ですが、再発のハザード比が5-9年で0.88、

10-14年で0.77と服用によりさらに再発が減少することが

示されました。


副作用についての報告は残念ながらありませんでした。


この結果をうけてタモキシフェンの服用期間を全ての人で直ちに

10年に延長することはないでしょうが、再発リスクの高い人

には最終結果が出るまで十分な注意をしながら投与継続する

ことを選択肢に入れても良いのではないでしょうか。
by aiharatomohiko | 2007-12-16 20:01 | 医療

乳癌学会近畿地方会


昨日乳癌学会の近畿地方会が、大阪大学の野口先生が会長をされ

行われました。当日化学療法のセッションでの座長とスポンサードシンポ

ジウムでのスピーカーとしての役回りがありました。


座長をしたセッションでは、目にした事がないような症例報告などがあり、

かなり勉強になりました。


スポンサードシンポジウムでは、アロマターゼ阻害薬の術後療法での

位置づけについて発表しました。


私が言いたかったことは、”アロマターゼ阻害薬はタモキシフェンよりも

有効性が高いことは確かで、第一選択薬である。ただし、再発リスクの低い

人に対しては両者の差はきわめて小さくなるため、患者の併存症

(特に骨粗鬆症の有無)によって使い分けることが重要である。”

また、”非乳がん死亡がアロマターゼ阻害薬で高くなる恐れがあるため、

今後データを注視しなければならない”ということでした。


他の先生のやり取りを聞くと、あまり骨塩量を測ることもなく、アロマターゼ

阻害薬を処方することが多いようだったので、やや残念でした。


”アロマターゼ阻害薬で骨折が多いという実感が無い”という意見もあった

ようでしたが、そりゃそうでしょう。わずか3%ほどの差を実感できるはずが

ありません。


それなのに、アロマターゼ阻害薬とタモキシフェンの3%に満たないDFS

の差が実感できるのであれば、それは製薬会社の刷り込みでしょう。

(ため息)
by aiharatomohiko | 2007-12-02 21:22 | 日常

HER2とタキソールの有用性との関係-考察-

f0123083_215619.jpg

N Engl J Med 2007;357:1496-506.より引用。


このデータを詳しく見るために、Figure2における6年無再発生存率に

焦点を当ててみました。


これでわかることは、ER陰性ならHER2の状況に関わらず、

またER陽性でもHER2陽性なら、6年無再発生存率がACのみで約50%、

タキソール追加で約70%とほとんど変わらないということです。

ER陽性HER2陰性の場合だけは例外で、タキソールありでもなしでも

約70%と、タキソールの追加効果がみられなかったわけです。


言い換えると、ER/HER2の状況に関わらず、術後にAC-タキソールを投与

することで6年無再発生存率が約70%になる。ER陽性HER2陰性の症例

だけはACだけでも約70%と良いが、それ以外はACだけでは約50%である、

ということになります。


AC-PTX治療後の全サブセットの6年生存率がほぼ同じくらいだったのは、

たまたまかもしれません。


しかし、これが真実だとすると、HER2陽性乳癌の場合には、ハーセプチンを

追加することで、ハザード比で40から50%のさらなる再発抑制効果を得る

ことが出来ます。


ER/PR陰性HER2陰性のいわゆるトリプルネガティブは、さらに予後を改善

する手法が今の所見当たりませんが、タキソールの追加効果がはっきりあり

ますので、化学療法は有用なのでしょう。分子標的薬を含めた何らかの化学

療法剤の追加が、さらなる予後の改善に有用である可能性があります。


その一方で、ER陽性HER2陰性でタキソールの追加効果がみられないという

のは、ひょっとしたらタキソールだけでなく化学療法自体が効きにくいということ

かもしれません。今後化学療法が進歩していく過程で、意外に予後が改善され

にくいサブセットとして残るということになるかもしれません、うーん。。。


少し混乱してきました。


各サブセットで患者背景が揃っていない恐れもある中で結果をあまり細かく

見ても意味が無いのかもしれませんが、ERとHER2でサブセットを分けた

解析が今後いくつもの臨床試験でなされてくると思います。


そうすると、この問題も少しずつ真実が見えてくるのだと思います。

それまではしばらく、うーん、とうなっているしかなさそうです。
by aiharatomohiko | 2007-12-02 21:01 | 論文