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by aiharatomohiko
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<   2007年 07月 ( 8 )   > この月の画像一覧

同意書なしの臨床試験:どんな臨床試験だったのか?


<患者同意書>48人から得ずに抗がん剤の臨床試験 神戸

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20070727-00000045-mai-soci


神戸市立医療センター中央市民病院(同市中央区)の外科医長ら医師2人

が、乳がん患者48人に対し、同意書を得ずに、通常とは異なる方法で

抗がん剤を使う臨床試験を行っていたことが分かった。重い副作用などの

事故はないというが、厚生労働省の倫理規定に反しており、

市は医師を処分する方針。

 市によると、外科医長と元医長(既に退職)の2人は04年2月、

乳がん患者の手術前に4種類の抗がん剤を投与する「術前化学療法」で、

標準的方法とは順番を変えて投与し効果を見る臨床試験を開始。

05年10月までの間に医長は30人、元医長は19人に実施した。

 厚労省の指針で、臨床試験に際しては患者に危険性などを説明し、

文書で同意を得る必要がある。2人は病院の管理部長会に提出した

実施計画書でも、患者から文書で同意を得ると説明していたが、

元医長が患者1人から同意書を得ていただけだった。

 今年6月に市が関係書類の情報公開請求を受け、同意書がないこと

が発覚。

内部調査に対し、医長は「患者に口頭で説明したが、文書での説明は時間が

かかるので省略した。同意書を取るべきだった」と不備を認めているという。

同病院は今後、他の医師の臨床試験でも同様の事例がないか調べる。

 菊池晴彦院長は「指導監督の不行き届きで手続きが不適切であったこと

について心からおわびします。再発防止を徹底して信頼回復に努力したい」

とのコメントを出した。(毎日新聞)


これだけでは、どんな臨床試験が行われたのか、よくわかりません。

同意書以外に問題点が無かったのか、少し掘り下げてみましょう。
by aiharatomohiko | 2007-07-27 21:50 | 医療

Leuprorelin (リュープリン) versus Goserelin(ゾラデックス)


閉経前ホルモン感受性乳癌に使用できる卵巣機能抑制療法の薬剤は、

Leuprorelin (リュープリン)とGoserelin(ゾラデックス)があります。

この2剤はどちらが優れているか、どちらを使えばよいのか、

といったことを、患者さんに良く聞かれます。

リュープリン3ヵ月製剤とCMFを比較した臨床試験が論文化されたので、

ここで考察をしたいと思います。

まず、ゾラデックスは臨床試験におけるデータが豊富で、世界的にも標準

として使用されている薬剤です。

医療者にとっては、事前の調整を必要とせずにすぐに使用できるという製剤上

の利点があります。また、注射した後に針が自然と引っ込むよう設計されて

いるので、医療安全において優れています。

しかしながら、針が太いために注射は相当痛く、この点患者さんから

かなり不評です。また、現時点では1ヵ月製剤しかありません。

リュープリンは、臨床試験におけるデータがゾラデックスほど多くは

ありません。ただ、術後療法において、リュープリンの3ヶ月製剤の

無再発生存期間がCMFとほぼ同等(症例数が少ないので、同等と言い切って

良いかは疑問ですが)で、全生存期間ではCMFに勝っていた、

という臨床試験(TABLE study)の結果が最近論文化されました。

無再発生存期間が同等で全生存期間では勝っている理由をどう考察するのか

興味がありましたが、discussionでは、“理由ははっきりせず、探索的な結果

である”旨だけ記載されていました。まあ、これはしかたないですね。

さて、リュープリンは、使用前に混ぜなければならないのが

ゾラデックスと比較して面倒ですが、針が細いために注射時の痛みは軽く、

患者さんには好評です。また、1ヵ月製剤と3ヶ月製剤の両方が使用できます。

3ヶ月製剤は、薬価が2倍で効果が3倍なので1月あたりの

医療費は安くなりますが、局所反応による硬結を認めることがあります。

さて、どちらの製剤を使用すべきでしょうか。

結論から言えば、私はどちらでも良いと考えています。

その理由は、このタイプの薬剤は下垂体からのLHRHの放出をブロックし

月経を停止させ、その結果卵巣からのエストロゲンを抑制することで

抗腫瘍効果を発揮するため、薬剤の違いは効果に大きく影響しないと

考えられるからです。

世界的にはどう考えられているのでしょうか。

ヨーロッパを中心に現在行われている閉経前乳癌の臨床試験では、

リュープリンでもゾラデックスでもなく、トリプトレリンという日本未発売

の薬剤が使用されています。

これは、世界的にも“月経を止めるのが治療の目的だから、薬剤の種類は

何でもよいだろう”と考えられていることの証です。

また、1ヵ月製剤と3ヵ月製剤の違いはどうでしょうか。

臨床試験で1ヵ月製剤と3ヵ月製剤を直接比較するデータはありませんが、

リュープリンは3ヵ月製剤でも1ヶ月製剤と同様にエストロゲンのレベルが

抑えられていること、今回発表された臨床試験のデータから、どちらでも効果

は同じではないかと思います。

日常臨床では、以上のことを患者さんに説明して、薬剤を選択しています。

余談ですが、アストラゼネカ社は、“ゾラデックスは臨床試験のデータが豊富

で、リュープリンはデータが余り無い”というキャンペーンをしているようです。

これは確かにその通りで、誰も異論がないでしょう。

しかしながら、ゾラデックスの3ヵ月製剤が乳癌に適応拡大されたとしたら、

どのようなキャンペーンをするのでしょうか。

臨床試験のデータを重要視するアストラゼネカ社のことですから、

ゾラデックスの3ヵ月製剤を使用した大規模臨床試験がなされている

のでしょうね。

結果を期待して待ちたいと思います。
by aiharatomohiko | 2007-07-14 20:33 | 論文

E1199試験からの考察


AC-PTXにDFSで勝ったレジメを挙げましょう。

AC-wPTX, AC-DTX, Dose dense AC-PTX, Canadian CEF (or FEC120)

これらのなかで、どのレジメを選択するかというのは、人により異なる

とは思いますが、私が日常診療で使用したいと考えるレジメは、

AC-wPTXです。

その理由を以下に挙げます。

・Canadian CEF:最も強力かもしれないが、最も使いづらいレジメでもある。

その理由は、観察期間2.5年で、急性白血病/MDSを0.7%に認めたこと、

抗生剤予防投与でも発熱性好中球の頻度が約1/4、遅発性心毒性の恐れ

などです。観察期間が短いため、最終的にどの程度DFSが改善されるのか

を知ることができるのはまだ先ということもあります。

・Dose dense AC-PTX:G-CSFとエリスロポイエチンを投与しておけば、

早く終わるし副作用も少なく良いのかもしれないが、治療費がバカ高くなるし

日本では現実的でない。効果もAC-wPTXを大きく上回るとは考えがたい。

・AC-DTX:DTXのdoseが100mg/m2であることが使いづらい最大の

理由です。まず、100mg/m2を使用したことがないし、承認用量よりかなり多い。

発熱性好中球の頻度が約1/6、浮腫のコントロールがやっかい、

といったところでしょうか。

ただ、TACレジメではDTXのdoseが75mg/m2であることから、

75mg/m2でも効果があることが推測されます。

wPTXが使用できないときには、75mg/m2でこのレジメを使用します。

次点ですね。

AC-wPTX:末梢神経障害のリスクはやや高くなるものの、他の副作用

は軽いため、正直使い易い上に効果も高い。コストが高くなり来院回数が

多くなるのはデメリットではありますが、バランスの良いレジメと考えます。

アップデートされたE1199の結果をみて、Canadian CEFを使用する

必要がなくなったので、正直ホッとしています。

さて、皆様のチョイスはどうでしょうか?
by aiharatomohiko | 2007-07-04 22:21 | 論文

Negative or Positive? E1199 trial その3


“それはね、インタラクション(相互作用)があったというのです。”

“薬剤と投与方法の間にインタラクションがあったために、

試験全体のパワーが足らなくなったということです。”

と大橋先生はおっしゃった(ように記憶しています)。

それでは、PTX3週投与を標準アームとした4アームの試験と

考えてよいのでしょうかと尋ねると、“いいんじゃないですか。

ただし、パワーが足りないかもしれませんが。”とおっしゃいました

(ように記憶しています)。

ということで、このE1199試験の結果の正しい解釈法は、

“薬剤と投与方法の間に相互作用があったのがわかった”

ということだそうです。

そして、“PTX3週投与を標準アームとした4アームの試験と考えてよい”

ということです。

そうであれば、AC-PTXに比較して、AC-DTXがDFSで、

AC-wPTXがDFSとOSで勝った“positive study”であったという

ことがわかります。

統計学的に有意差が出ており、p値も十分に低いので、試験としての

パワーも足りていると考えてよいはずです。(医療統計家未確認)

これで、すっきりしましたね。

BMSもこの結果をふまえてadjuvantにwPTXをもっと勧めても

良いと思うのですが、毎週投与はまだ当局に申請中とのことです。

それにしても、もう何年も前に申請を出したような気がするのですが。

さて、タキサンを使用したレジメは数あるのですが、それではどのレジメを

使用するのがよいのでしょうか?
by aiharatomohiko | 2007-07-04 07:28 | 論文

Negative or Positive? E1199 trial その2


各群別のDFSの比較をみてみましょう。

PTXの3週毎投与を標準アームとすると、PTX毎週投与のハザード比は、

1.27(95% CI 1.07-1.51 p<0.006 低減の方向でみれば、

HR 0.79)と有意に良好でした。

DTX3週毎投与のハザード比は、1.23(95% CI 1.04-1.46 p=0.02

低減の方向でみれば、HR 0.81) とこちらも有意に良好でした。

DTX毎週投与は、PTXの3週毎投与と有意差はありませんでした。

全生存率は、PTX毎週投与のみがPTXの3週毎投与よりも有意に

優れており、そのハザード比は、1.32(95% CI 1.06-1.63 p=0.01 

低減の方向でみれば、HR 0.76)でした。

この結果を見ればわかるように、“PTXは毎週投与が優れており、DTXは

3週毎投与が優れていた”のです。

2x2ファクトリアルデザインの前提が崩れてしまっているのですね。

この傾向は、2005年のサンアントニオでの発表から見られていたので、

その頃から“ファクトリアルデザインの前提が成り立っていないので、

この試験の結果をどう解釈したら良いのだろう”と漠然と考えてはいました。

しかしながら、その時にはイベント数が少なく、各群間の優劣が今回ほど

はっきりしていなかったため、経過観察としていました。

今回のASCOでの上記の結果をみて、“それでは、4アームの試験と考えて

良いのではないか”という気持ちが強くなってきたので、乳癌学会の

ランチョンでプレゼンをしたスローンのメディカルオンコロジストに

“この試験は4アームと考えてよいか?”と質問をしてみたところ、

彼女からは“良いです。”という返事をもらいました。

しかしながら、医療統計家である大橋先生の御著書に“アメリカの臨床医

の方が日本の臨床医よりも統計を学習していない。”という一文が

あったような気がしたので、疑い深い私は

大橋先生ご本人に伺ってみることにしました。
by aiharatomohiko | 2007-07-01 23:19 | 論文

Negative or Positive? E1199 trial その1


術後薬物療法におけるAC後のタキソール vs タキソテールと

3週投与 vs 1週投与を比較するE1199試験のデータが、

ASCOでアップデートされました。

この試験結果は、“どのタキサンをどのスケジュールで投与すれば

よいのか”という誰もが知りたいリサーチクエスチョンを問うていた

ため、その結果を皆が待ち焦がれていた試験ですが、2005年の

サンアントニオで発表された結果がいま一つパッとしなかったため、

皆に忘れ去られかけていた試験です。

この試験のデザインは、薬剤の比較と投与スケジュールの比較検定を

同時に行う”2x2ファクトリアル・デザイン”です。

このデザインは、2つの仮説を1つの試験で検討できるので、

採用されることも多いのですが、それぞれの治療効果がパラレル

であることが前提です。

例えば、この試験に関していえば、研究仮説が成り立つためには

“どちらの薬剤も同じ投与スケジュールのほうが良いはず”

という前提がなされているのです。

もっと具体的にいうと、”タキソールの1週投与が3週投与より

良ければ、タキソテールでも同様に1週投与が3週投与より良いはず”

という前提がなされているということです。

この試験の主要評価項目は無病生存期間(DFS)で、

タキソール (PTX) vs タキソテール (DTX)、

3 週毎投与vs 毎週投与の比較において、DFS ハザード比の17.5% 減少

を86% の検出力で捉える症例数が設定されています。

結果は、(PTX) vs タキソテール (DTX)、3 週毎投与vs 毎週投与

ともにDFSに有意差がありませんでした。

もともとの研究仮説が証明されない場合には、通常”negative study”という

評価になります。

ASCOの速報にコメントを書いている、国立がんセンター東病院

化学療法科 向井先生も、“本試験はネガティブスタディーであった。”

と結論付けています。

さて、この解釈は正しいのでしょうか?
by aiharatomohiko | 2007-07-01 23:04 | 論文

第15回日本乳癌学会総会


昨日まで乳癌学会総会に行っていました。

自分の発表はまあ何とか終わりましたが、

今回初めての企画であるRapporteur sessionの発表者に指名頂いたり、

関西労災のときに私が主治医になった方が、体験記コンクールに

応募されて第15回日本乳癌学会 学術総会賞を受賞されたりと

(Mさん、本当におめでとうございます。それにしても、イケメンって。。。)、

今年は個人的にハプニングが多い学会でした。


f0123083_2226756.jpgあけぼの会のワット隆子さん(8/4の市民フォーラム

に司会でお出でいただく予定になっています)

にお会いして、“乳がん患者に贈る愛と勇気の玉手箱”

という最新の御著書を頂きました。

早速読ませていただいたのですが、乳がんが診断された

ときに読むと、非常にこころが落ち着く本なのではないかと感銘を受けました。

当院に来院された患者さんには、早速お勧めすることにします。

もちろん、このBLOGをお読みになっているあなたにも、お勧めです。


それ以外には、九州大学のT先生から“子供が寝てから読んでます”

とか(汗)、某メディカルオンコロジストの先生から“最近ブログ

更新してないねえ。”とか言われたので(滝汗)、意外と読んでる人が

多いんだなあと気合を入れ直されたのでした。

ちょっと準備していたものがあるので、がんばって再開します。
by aiharatomohiko | 2007-07-01 23:01 | 日常

市民フォーラム開催のお知らせ-第一報-


第1回市民フォーラムが、あけぼの会主催で8/4に開催されることに

なりました。

場所は、阪急箕面駅前の箕面文化交流センターです。

会長のワットさんがわざわざお出でくださる予定になっています。

参加応募の連絡先はまだ決定していませんが、決まり次第アップします。

奮ってご参加下さい。


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by aiharatomohiko | 2007-07-01 21:26 | お知らせ