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by aiharatomohiko
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<   2007年 03月 ( 7 )   > この月の画像一覧

ザンクトガレン・コンセンサス会議:卵巣機能抑制療法


Scientific programのなかで、印象に残るプレゼンテーションを紹介します。

まずは、Johns HopkinsのDr. Davidsonが行った発表のうち、

卵巣機能抑制療法についてのアップデートを挙げます。

中でも、化学療法を行った後に卵巣機能抑制療法を追加することの

意義について論じた部分は、非常に興味深いものでした。

いままでは、化学療法の後に閉経になった人は、ならなかった人よりも

予後がいいというような断片的なデータがありました。

そして、化学療法後に卵巣機能抑制療法を追加することの意義を検討した

複数の臨床試験が行われています。

しかしながら、単一の試験ではその有効性を示せたものはなく、複数の

臨床試験を統合したメタ解析でも同様でした。

閉経前乳癌12,000例を対象としてEBCTCGにより2006年に行われた

メタ解析では、卵巣機能抑制療法により、20年で4.2%の絶対値での

無再発生存率の改善が報告されましたが、化学療法を併用した場合には

無再発生存率の改善が見られませんでした。

このメタ解析の大きな欠点は、今日ではホルモン治療の対象とされない

ホルモン受容体陰性症例が相当の割合で含まれることです。

2006年のSan Antonio Breast Cancer Symposiumで

Dr.Cuzickが発表した、ER陽性症例に限ったLH-RHアゴニストの

メタ解析のデータ(n=9,000)には、この欠点はありません。

この報告では、無再発生存率が化学療法併用時にハザード比が0.88と

統計学的に有意に改善されていたことが特筆されます。

EBCTCGのメタ解析で証明されなかった、化学療法の後に

卵巣機能抑制を追加することの意義が証明されたわけです。

いままでは、単一試験ではその有効性が証明されなかったものの、

40才未満のサブグループ解析では、どの試験も同様に

卵巣機能抑制を追加することの有用性が示唆されていました。

サブグループ解析の限界はよく言われることですが、複数の試験で同じ

結果が報告されているときには、裏に何かが隠れていることが期待されます。

そのような理解の下で、ヨーロッパ中心に化学療法後の卵巣機能抑制

療法の有用性を検討する臨床試験が組まれています。

しかし、その結果を待たなくても、化学療法後に卵巣機能抑制を

行う根拠になるような発表でした。

個人的には、40歳未満の人には勧めたいように思います。

40代後半の人には、おそらくお勧めはしないでしょう。

40代前半の人は、悩ましいところ。月経の戻りをみて、ご本人と

相談することになるでしょう。

論文発表の時には、このあたりが少しでもわかるデータが含まれていれば

良いのですが。

それにしても、サンアントニオに出席してこの発表を聞いていたにも

かかわらず、四国がんのO先生に教えられるまでその重要性を認識できて

いなかったことは、とても大きな反省点です。
by aiharatomohiko | 2007-03-27 00:30 | 論文

ザンクトガレン・コンセンサス会議その1


ザンクトガレンから帰ってきて一週間近くになりますが、

研究会や出張で忙しくて内容がアップできませんので、さわりだけ。

これは、主にヨーロッパの乳癌専門医が集まって、薬物療法を中心に

どのような治療法が適切かを討議しあう会議です。

近年は、米国の専門医も多数招かれるようになり、2年に一度開かれます。

最初3日間は、いろいろなエビデンスのレビューを行うscientific

programが組まれます。

そして、最後の日の半日+アルファをかけて、エキスパートが

治療のコンセンサスを話し合うコンセンサス会議が開かれます。

この結果が日本ではとても重視されているのですが、

実際にはエキスパートの間でも意見が割れることも多く、

リスクカテゴリー別のコンセンサスとされる治療方針にも

複数の治療法が含まれます。

とても、金科玉条のようなものではない様に思います。

場所はスイスの東の端で、とてもいいところという話ですが、

チューリッヒと会議場の往復だけなので、周りの山や湖には

行った事がないのが、残念です。

ヨーロッパも今年は暖冬らしく、スキー場に雪が少ないようです。

コートも必要ありませんでした。
by aiharatomohiko | 2007-03-25 21:36 | 医療

セカンドオピニオンについて


セカンドオピニオンとは、今かかっている医師の治療方針を

別の医師が評価するという印象があるかもしれません。

本来はそうではなくて、今の患者さんの状態を別の医師が客観的に

判断して、妥当と考える診断や治療方針を示すことです。

きちんとした専門医にかかっている場合、

きちんとした別の専門医にセカンドオピニオンを聞きに行っても、

治療方針はだいたい同じになることが多いのですが、

要はご本人が納得されることが一番です。

当院に来られた方でも治療方針を迷っておられる場合には、

セカンドオピニオンをこちらからお勧めすることがあります。

たまに専門医以外にセカンドオピニオンを希望される方もおられます。

こういう場合、時間の無駄になるか、変な意見を言われて

返ってややこしくなることが懸念されたりします。

しかし、ご本人の希望なので、あまりそういうことには触れずに紹介状を

お渡しすることにしています。

また、当院にセカンドオピニオンに来られる方もいます。

一番困るのは、「今見てもらっている先生に悪いから」ということで、

紹介状も資料もなしに来院される場合です。

この場合には、ご本人がおっしゃっている事だけが頼りになります。

しかしながら、それが本当に正しいのかどうかが判断できません。

なので、基本的にこういう場合セカンドオピニオンはお断りしています。

また、「セカンドオピニオンに行きたいので、資料を下さい」といわれて

機嫌が悪くなるような医師はいくら良く見積もっても2流以下です。

そんなことで機嫌が悪くなるようなら、その時点で担当医を

変えたほうが良いですね。
by aiharatomohiko | 2007-03-13 06:01 | 医療

休診のお知らせ


ザンクトガレンのコンセンサス会議への出張で、

相原は3/12-19まで休診としています。

清水院長は通常通り診療しています。

以上、休診のお知らせでした。
by aiharatomohiko | 2007-03-13 05:50 | お知らせ

ジェネリックに伴う医療事情


医療の現場で今後同等性に確信が持てないままでも、

ジェネリックが広がっていく素地は、なにでしょうか?

それは、DPCの対象になっているような大きな公的病院では、

価格が安いというだけでジェネリック医薬品が採用される可能性がある、と

いうことです。つまり、保険から払い込まれる医療費は一定なので、

安い薬を使えば利益が上がる、という構図です。

飲み薬であれば、何が使われているかはわかります。

ところが、注射薬になるとジェネリックが使われているかどうかは、

おそらく患者さんにはわからないし、もちろん選択権はないでしょう。

現場の医師に裁量権があれば、無条件にすべてジェネリックに移行することは

ないと思いますが、現実のところはどうなっているんでしょうか。

以上の懸念が杞憂であれば良いと思います。

また、同等性に確信が持てた場合には、今後ジェネリックの使用を

進めていくことになるでしょう。

注1)私はジェネリックの効果が落ちると主張しているのではなく、あくまで”PKが調べられていないのであれば、同等性が証明されているとはいえない”→”なので、個人的には使えない”ということです。
注2)今まで述べたことに、勘違いや間違いがあれば、ご指摘頂ければ経緯を開示した上で訂正します。
by aiharatomohiko | 2007-03-01 22:28 | 医療

ジェネリックを積極的に使用しない理由 その2


私が”個人的に”ジェネリックが信用できない落とし穴と思っているのは、

ジェネリックの薬物動態(PK)、平たく言えば経時的に測定したお薬の

血液中の濃度が、先発品と同等かどうかが調べられていないらしい、

ということなのです。

つまり、同じくすりと思って使用していても、例えば飲み薬であれば

吸収が悪くて体内で利用されない→効果が悪い、といったことがおこる

可能性が危惧されるのです。

巷では、特定の微生物に効果がある抗生剤のジェネリックを使用しても

血中濃度があがらないとか、ジェネリックの抗がん剤が効かなかった

のが、先発品に変えたら効いたとかいう、お話も掃いて捨てるほどあります。

先日もパクリタキセルの後発品を作っているメーカーの方が当院においでに

なられました。”ところで、PKは測っているのですか?”と伺うと、

やはり”PKは測っていません。厚生労働省の認可の要件に

入っていませんから。”というようなやり取りがあったように記憶しています。

ひょっとしてこの会社儲かっていないからPKを測るお金が無いんじゃないか

と考えましたが、会社のIRによると年間160億円も経常利益を上げています。

それなのに、薬剤の生命線ともいえるPKを測るなんていうことにかかる、

わずかなお金を惜しむなんて、どういうことなんでしょうね。

私は、”PKを測っていないのであれば、同等性に確信が持てないので、

当院では使用できません。”といって、お引取り願いました。

医療の現場では今後同等性に確信が持てないままでも、

ジェネリックが広がっていく素地があるのです。

しかも患者さんがわからないままに。。。(続く)
by aiharatomohiko | 2007-03-01 22:05 | 医療

ジェネリックを積極的に使用しない理由


最近製薬メーカーの大金をかけた宣伝が効を奏したようで、

受診された方から”ジェネリックはありませんか?”と聞かれる回数

が増えてきました。

ジェネリックとは、特許が切れたお薬を後発品メーカーが作ったもの

です。ちなみに薬価は先発品よりも安く(大体7割程度)、複数の

ジェネリック医薬品がある場合には、それぞれ値段が異なる場合があります。

ノルバデックスは、アメリカではジェネリックのためにシェアが落ち、

販売を取りやめたようです。日本でもタモキシフェンの

ジェネリックはたくさんあります。乳がんに使用する抗がん剤では、

ファルモルビシンやパクリタキセルにジェネリック品があります。

厚生労働省は医療費を削るためジェネリックの使用を推進させようと

やっきになっていますが、現場では私を含め処方するのに今ひとつ

気乗りがしない医師も多いようです。

その理由をあげると、①なにか混ぜ物が入っているのではないか

②効果が本当に同じなのか、といったところでしょうか。

①については、先発品メーカーの勉強会で、”不純物が入っている

可能性”について説明されていたところがあるので、その可能性は

あるのかもしれません。もちろん、不純物が入っていても、副作用として

現れないのであれば、気にすることは無いのかもしれませんが。

より気になるのは、②の方です。

いろいろな成分のものをまぜこぜにして処方する漢方薬とは異なり、

西洋医学で使用する薬は、有効成分が一つで、その成分がどうやって

効くのかがわかっているものがほとんどです。

「それじゃあ、その成分が入っていれば、同じように効くはずジャン。」

と思ったあなたは、メーカーの宣伝と厚生労働省の思惑にマンマと

のせられていますね。あるある大辞典にのせられて納豆を食べ過ぎて

痛風になる口です。気をつけましょう。

もちろん、きちんと作った薬ならば”理論上は”そうなるはずです。

作っているメーカーもそう信じ込んでいると思います。

しかしながら、私は疑い深いので、”本当にそうなのか?”と自問します。

そうしていろいろと情報を集めてみると、やっぱり落とし穴があったのです!

(次回へ続く)
by aiharatomohiko | 2007-03-01 21:48 | 医療