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by aiharatomohiko
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カテゴリ:論文( 49 )

Olaparibよ、お前もか。



BRCA
遺伝子に体細胞変異のある、転移に対して化学療法を受けていないもしくは一次化学療法を受けた302名のHER2陰性の転移乳癌を対象に、標準治療として単剤の化学療法(capecitabine;eribulin mesylatevinorelbineのいずれか) or olaparibを比較した研究の結果がNEJMDOI: 10.1056/NEJMoa1706450)に発表されました。


登録された患者さんは、一次化学療法が30%、二次化学療法が70%でしたが、対象はかなりややこしかったので、以下に貼り付けます。Patientshad received no more than two previous chemotherapy regimens for metastaticdisease, and they had received neoadjuvant or adjuvant treatment or treatmentfor metastatic disease with an anthracycline (unless it was contraindicated) anda taxane. Patients with hormone-receptor– positive breast cancer had receivedat least one endocrine therapy (adjuvant therapy or therapy for metastaticdisease) and had had disease progression during therapy, unless they haddisease for which endocrine therapy was considered to be inappropriate.Previous neoadjuvant or adjuvant treatment with platinum was allowed if at least12 months had elapsed since the last dose. Previous treatment with platinum formetastatic disease was allowed if there was no evidence that diseaseprogression had occurred during treatment.


デザインとしては、“
If statistical significance was shownfor progression-free survival, time to a second progression event or deathafter a first progression event was then compared between groups with the useof a stratified log-rank test and a hierarchical multiple-testing strategy. If statisticalsignificance was shown for time to a second progression event or death after afirst progression event, overall survival was then compared between groups withthe use of a stratified log-rank test.”とあるように、まずはPFSを検定して、有意であればtime to a second progression event or deathを検定する、さらにこれが有意であればOSを検定するというドミノ倒しのようにαエラーを保ったままでいくつもの仮説を検証できる、上手くいけば一粒で三度美味しいデザインです。患者さんの振り分けは21olaparibは絶対に勝つで、という意欲が伺えます。なお、olaparibへのクロスオーバーは許容されていませんでしたが、標準治療群の約8%にPARPiが使用されていました。


さて、結果は以下の通りです。

Medianprogression free survival was significantly longer in the olaparib group thanin the standard therapy group (7.0 months vs. 4.2 months; hazard ratio fordisease progression or death, 0.58; 95% confidence interval, 0.43 to 0.80; P<0.001).The response rate was 59.9% in the olaparib group and 28.8% in thestandard-therapy group.ということで、PFSのハザード比が40%も改善して第一のドミノが倒れ、奏効率も2倍というolaparibの顕著な抗腫瘍効果が観察されました。ただ、改善されたPFSの絶対値は、そもそも組み入れられた患者さんが治療に対する抵抗性が高かったためか、わずかに2.8か月でした。

2番目のドミノも、以下の如く有意な改善を示して、倒れました。The median time from randomization to a second progression event ordeath after a first progression event was 13.2 months in the olaparib group and9.3 months in the standard-therapy group (hazard ratio, 0.57; 95% CI, 0.40 to0.83; P = 0.003).

ここまでは上々でしたが、残念なことにもっとも重要な3番目のドミノであるOSは、倒れませんでした。OS did not differ significantlybetween groups (hazard ratio for death, 0.90; 95% CI, 0.63 to 1.29;P = 0.57). The median time to deathwas 19.3 months in the olaparib group and 19.6 months in the standard-therapygroup。カエサルならば、olaparibよ、お前もか、大阪人ならば、何やそれっ、て突っ込んだことでしょう。エベロリムスやアバスチンと変わらない。。。Discussionには、OSの違いを検出する十分なパワーがなかったって書いてありましたけど、それならば何のためのhierarchical multiple-testing strategyなのか。そもそもパワー不足と事前にわかっていたならば、検定する意味があるのでしょうか。カプランマイヤーはolaparibの方がなんとなく上の方なので、本気で勝つ気でいたのなら、十分なパワーを確保して研究すればよかったのに、と思いました。


結果を改めて解釈するならば、化学療法と比較して抗腫瘍効果はolaparibで高かったものの、真のエンドポイントであるOSは改善されず、QOLは若干良かったものの、副作用として消化器症状と貧血が強い。何だか微妙だな、、、患者さんにとってのベネフィットといえば、高い抗腫瘍効果という事になるので、アバスチンと同じように有症状や進行の速そうな方には基本的に使う方向で、それ以外ではちょっとよく考えて使いましょう、という印象です、個人的には。


今後の展開として、メーカー(といわゆるKOL)はいい薬だbiologyを反映した素晴らしい薬だと喧伝し、使え使えとなるんでしょうか。ただ、遺伝子診断が一般化するまでは、そもそも対象となる患者数がかなり少ないので、一般にはあまり注目を集めることはなさそうにも思えますが。


by aiharatomohiko | 2017-09-18 21:19 | 論文

ハーセプチンのバイオシミラーの研究がイケてない件

CT-P6というハーセプチンのバイオシミラーとハーセプチンを比較した第三相試験の結果がLancetVolume 18, No. 7, p917–928, July 2017)に掲載されていましたが、抄録を読んだだけで全文を読む気を失ってしまいましたので、そのつもりで読んでください。

この研究は、549名の早期乳がん患者さんに対して、術前化学療法としてDTX75 -FE75Cハーセプチン or CT-P6を比較しています。二重盲検であったというのはデータの信頼性を高めていますが、一次評価項目がpCRであったというので、全文を読む気が失せました。その理由はこのブログに過去つらつらと書いているように、pCRが予後を代替する指標ではないからです。この研究は同等性を比較するという事になっています。結果は以下抜粋の如くで、A similar proportion of patients achieved pathological completeresponse with CT-P6 (116 [46·8%; 95% CI 40·4–53·2] of 248 patients) andreference trastuzumab (129 [50·4%; 44·1–56·7] of 256 patients). The 95% CI ofthe estimated treatment outcome difference (−0·04 [95% CI −0·12 to 0·05]) waswithin the equivalence marginということだそうです。なお、副作用は大差ないようです。


本文を読んでないので何とも言えないのですが、おそらくはゲートキーピングの手法で、αエラーを保った状態でDFSの検定が将来的になされるのだと予想しますが、この症例数で同等性が検証されるかどうか疑問です。それでもその結果を待ちたいとは思いますが。


by aiharatomohiko | 2017-09-17 23:57 | 論文

FALCON試験 名前は強そうだけど、

術前後も含めてホルモン治療が以前になされていない、閉経後局所進行または転移乳がんの一次ホルモン治療(化学療法は一レジメンまで許容)において、アナストロゾール1mgとフルべストラント500mgを比較した、ダブルブラインド・ダブルダミーのランダム化比較試験であるFALCON試験の結果です。

462例の患者さんが登録され、PFSが主要評価項目でした。PFS中央値はフルベストラント群において16.6カ月、アナストロゾール群では13.8カ月と、でフルベストラントの方が2.8カ月長かったことが示されました(ハザード比:0.797;95% 信頼区間:0.637-0.999; p=0.0486)。

副作用には、大きな差はありませんでした。


OS
については、おそらくゲートキーピング法でαが残った状態で検定が今後なされると思いますが、薬剤のクロスオーバーは許容されているはずですので、ほぼ同等ではないかと予想します。


以上を所与の条件とし、その結果と臨床での使用を考察してみました。


フルベストラント
500mgは、ホルモン治療がなされていない閉経後局所進行または転移乳がんの一次ホルモン治療における標準治療の一つとなったわけですが、全例に一次治療として使用するかどうかが問題です。三か月のPFSの延長がメリットですが、筋肉注射の侵襲と煩雑さというデメリットを考えると、どうでしょうか。

PDになればいずれにせよフルベストラントは使用するわけですし、OSが変わらない(仮定)のであれば、非侵襲的な治療から始める方が患者さんにとっても医療者にとっても良いという考え方もあるでしょう。フルベストラントを二次治療以降に使用すると一次治療に使用する場合と比べると治療期間が短くなるため、侵襲的な治療が行われる期間が短くなります。費用の問題も馬鹿にはなりません。


さて、この試験の対象が
de novoに限られたため、術後にAITAMの治療をして再発した人には本試験の結果が適用できません。当たりまえですが。単純のために術後AIを使用中に再発した場合で考えると、使用する薬剤の候補は、フルベストラント、TAM、術後使用していた薬剤がANA/LETであればEXEになるかと思われますが、こういった対象での比較試験は行われていない様ですから、何れが優れているかは不明です。なので、この場合も何れを使用しても問題ないでしょう。以下のデータもありますし。


補足:フルベストラント
250mgとタモキシフェンの比較はありますが、やはりホルモン治療がなされていない閉経後局所進行または転移乳がんの一次ホルモン治療というセッティングです。しかも、その結果は、TTP; median TTP, 6.8 monthsand 8.3 months, respectively; hazard ratio, 1.18; 95% CI, 0.98 to 1.44; P =.088と、フルベストラントは250mgとはいえあわやタモキシフェンに負けそうなデータでした。J Clin Oncol. 2004 May 1;22(9):1605-13.


by aiharatomohiko | 2017-08-06 22:14 | 論文

なかなかご機嫌な結果-TACT2試験

デザイン:4391名のリンパ節転移陽性もしくはリンパ節転移陰性高リスク乳がんを対象として、epirubicin 100mg/m2 2週毎(dose dense)が3週毎(標準)より優れるか、 classical CMFより capecitabine(four 3-week cycles of 2500 mg/m² capecitabine per day)が劣っていないか(非劣性)をみた、2x2 factorial design。

結果:閉経前が40%、n0がほぼ半数。追跡期間中央値85.6か月での解析。

①Epirucibin q2wk vs q3wk は、[HR] 0・94, 95% CI 0・81–1・09;stratified p=0・42)であり、DD epirubicinは優越性を示せずかつ毒性が高いため、脱落。

②CMFに対する capecitabineの非劣性に関しては、書きぶりから仮説を理解するのが困難でした。

結果に、“There was also no significant difference”と書いているので混乱しますが、 “in TTR between the CMF and capecitabine groups (362 [17%] of 2178 patients in the CMF group had TTR events compared with 354 [16%] of 2180 patients in the capecitabine alone group, overall HR 0·98, upper 95·78% CI limit 1·12; 95% CI 0·85–1·14, p=0·00092 for non-inferiority and stratified log-rank test p=0·81 for superiority of capecitabine compared with CMF;figure 2).”と続きますので、非劣性は証明されたが優越性は証明されなかったといっているのが分かります。

95%信頼区間は上下とも15%ほどなので、同等と言ってよいでしょう。QOLは、24か月まではcapecitabineが優れていましたので、CMFに代わり得ることが示されました。なお、いずれの治療法間でもサブグループ間でのheterogeneityはありませんでした。

考察:E100単独にDDが無意味なことが分かった意義は大きい。しかしながら、E単独でCが入っていないために、AC60/600の場合にDDが無効とは言えない。当院ではACを使用しているために、個人的にはあまりinformativeでない試験結果となったのは致し方ありません。

Lancet Oncol. 2017 Jul;18(7):929-945.
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by aiharatomohiko | 2017-07-23 21:53 | 論文

ペルツズマブの術後療法での有用性


ペルツズマブの術後療法での有用性を検討したAPHYNITY試験の結果がASCO2017で発表されると同時にNEJMDOI: 10.1056/NEJMoa1703643)に掲載されました。

【デザイン】

4805名の術後乳がん患者を対象。40%弱がn0。実薬とプラセボにランダム化。

・主要評価項目:invasive-diseasefree survivalrecurrence of ipsilateral invasivebreast tumor, recurrence of ipsilateral locoregional invasive disease, adistant disease recurrence, contralateral invasive breast cancer, or death fromany cause)。

・統計学的事項:IDFS:ハザード比0.75、検出力80%、αエラー両側5%OSはセカンダリーとされているものの、全体でαエラーが5%に保たれるように三回の中間解析が計画されている。ただ、co-primaryという記載でないことや、有意でなかったにもかかわらず中間解析結果が報告されていることから、IDFSOSというゲートキーピングの手法で解析が計画されていないのではないか、と思われた。

【結果】

IDFS(hazard ratio, 0.81; 95% confidence interval [CI], 0.66 to 1.00; P =0.045)と、ギリギリながらペルツズマブ群で有意に改善をみた。n+では23%の改善。イベント数が少なかったこともありn0では差を認めなかった。

・サブグループで交互作用はなかった。

OSは、hazard ratio, 0.89; 95% CI,0.66 to 1.21; P = 0.47) と有意ではなかった(この解析での有意水準は、p=0.00001)。

・心毒性は1%以下であるが、ペルツズマブ群で倍に増えている。

【考察】

20%のリスク低減は、ACに対するAC-PTX(三週毎)と同程度。つまり、modestくらい。

・観察期間が長くなれば差が出てくる可能性はあるものの、n0には直ちに使うほどの効果ではない。

・反対に観察期間が長くなれば、全体での推定値のハザード比が小さくなってくる恐れもある。

【感想】

進行再発での治療効果を考えると、事前にはもっと高い効果を期待しているものと思っていたので、事前の効果の見積もりがかなり低かったのと、それが正確であったのには驚いた。加えて中間解析がプランされていなかったことから、やはりあまり期待されていなかったことがわかるが、それならば試験の対象をハイリスクに絞った方が良かったのではないかと思えた。

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ご覧の様にこの試験の対象では、絶対値の差がほとんどありません。便益が1.7%の差でNYHA class III or IV heart failure and substantial decrease in LVEFが0.4%増える。うーん。




by aiharatomohiko | 2017-06-14 00:56 | 論文

OncotypeDXの有用性

TAILORx試験でスクリーニングされた10,253名の原発乳がんの患者さんのうち、オンコタイプDxのリカレンススコア(RS)が10以下の1,626 名 (全体の15.9%)の患者さんの前向きコホート研究の追跡期間中央値69か月時点での結果が、NEJMに報告されています(データは、N Engl J Med. 2015 Sep 27. [Epub ahead of print]PMID: 26412349より引用)。

結果は、the rate of invasive disease–free survival was 93.8% (95% confidence interval [CI], 92.4 to 94.9), the rate of freedom from recurrence of breast cancer at a distant site was 99.3% (95% CI, 98.7 to 99.6), the rate of freedom from recurrence of breast cancer at a distant or local–regional site was 98.7% (95% CI, 97.9 to 99.2), and the rate of overall survival was 98.0% (95% CI, 97.1 to 98.6).でした。遠隔転移がほぼゼロ(0.7%)なので、RS10以下はホルモン治療だけで十分であろうことが前向きの研究でも確認されました。(通常のオンコタイプではRS17以下が低リスクなのに注意。)
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それなのに、一次評価項目のIDFSが93.8%とはどういうことかと本文をみてみました。具体的なイベントは以下の通りです。In the cohort of patients with a recurrence score of 0 to 10, there were 88 events of either invasive cancer or death and 30 deaths reported within 5 years after study entry. The first event in the analysis of survival free from invasive disease was local or regional recurrence (or both) in 8 patients, distant recurrence in 10, invasive cancer of the opposite breast in 15, other invasive new primary cancer in 43, and death without another event in 12.
イベント数は88でしたが、そのうち二次がんが43で乳がん以外の死因が12(計55)と乳がんと関係のないイベントが半数以上でしたので、結果から考えるとこの研究のエンドポイントとしてIDFSがあまり適当ではなかったことがわかります。比較試験ではないので、二次評価項目であるfreedom from recurrence of breast cancer at a distant siteで研究結果を評価するのが妥当であるように感じました。

重要なのはこの結果が患者背景によって大きな影響を受けていないかという点です。RS11-25の人と比べると多少予後が良い背景を持っているようですが、顕著な差はないように思えました。
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さて、この結果を臨床に応用する際の悩ましい点は、RSが10以下の患者さんは16%しかいないということです。通常のオンコタイプではRS17以下が低リスクと判定されるのですが、TAILORx試験ではRSが11-17の人は化学療法有りと無しにランダム化されています。うーむ。TAILORx試験の結果が出ればモデルにより化学療法が無い時のRSと再発率の関係がRS25までは分かるはずですし、中間リスクでの化学療法の効果が今あるデータよりも良い精度で推測できるようになるでしょうが、もうしばらく待つ必要がありそうです。
by aiharatomohiko | 2015-10-04 23:09 | 論文

ビスフォスフォネートとGTB


術後にビスフォスフォネートを使用したグループで予後が改善しているかどうかというのは乳がん治療における大きなトピックの一つですが、これもGTBがその結果に大きな影響を与えている事例として挙げられています。

BIG1-98試験が例に挙げられています。この試験では、約12%の被験者が試験開始時点かそれ以降にビスフォスフォネートを使用しており、なおかつその半数以上がランダム化の3年以降にビスフォスフォネートを開始していました。つまり、半数以上が3年以上のDFSの下駄を履いているという事になるようです。さて、GTBを考慮しないナイーブな解析結果では、ビスフォスフォネートの使用によりDFSのハザード比が0.50(95%CI 0.43-0.60)と著しく再発を抑制するという結果が出ています。ところが、GTBの影響を打ち消すような解析方法が3種類あるようなのですが、何と3種類全ての解析方法でビスフォスフォネートの効果が確認できなくなっていたということです。

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ランダム化比較試験の結果でも、ビスフォスフォネートの再発抑制効果は厳しい結果なのですが、近々行われるEBCTCGのミーティングではどのような扱いになるのでしょうか。

ところで、GTBの影響はメトホルミンとかの再発抑制効果の知見にも関わっているかもしれませんので、ランダム化比較試験の結果が楽しみです。
by aiharatomohiko | 2013-10-07 09:58 | 論文

Guarantee-Time Biasおそるべし!


Guarantee-Time Bias(GTB)っていうのがどういったバイアスであるのか、この論文を読むまで有ることすら知りませんでした。あまりに難しそうな内容に思えたので手に取ってみたものの、読む気にならずゴミ箱行きになっていたのですが、原先生のFBをみてゴミ箱から拾い上げることが出来ました。感謝です。読んでみると結構乳がんの臨床研究でも問題になっているバイアスである事が理解できたので、興味のある方は一読をお勧めします。(JCO 2013年 8/10号)

このバイアスは、ランダム化していない2グループ間の生存時間の比較をするときにおこり得ます。この論文では、臓器移植をしたグループと臓器移植をしなかったグループを比較すると、臓器移植をしたグループではそもそもドナーが見つかって移植をするまで生存する必要があるので、その時間の分臓器移植を受けなかったグループよりも生存時間に下駄をはくことになり、仮に臓器移植による生存期間延長効果がなかったとしても、臓器移植によって生存時間が長くなったように見えるということが例として挙げられていました。説明が下手なので、引用した図を見て下さい。

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この論文では、乳がんの臨床試験もいくつか引用しています。
一つは、抗がん剤治療によって化学閉経したグループの方がしなかったグループよりも生存期間が長いという知見についての考察です。当初NASBP B30試験では、ER陽性・陰性に関わらず化学閉経したケースの生存率が良かったと報告されていたものの、研究者はその後このバイアスがあることに気づいたため再度解析を行い、予後改善効果はER陽性だけに限定されていたと報告しなおしたとのことです。IBCSG13-93で同様にGTBを考慮した解析を行ったところ、同様の結果になったとのことです。この場合には、閉経になったケースはランダム化から閉経が確認されるまでの期間は無再発でいることが保証されるために、その分生存時間に下駄をはいていたからGTBを考慮しない解析を行ったために、当初はER陰性でも閉経したケースの予後が良かったようにみえたという事らしいです。たぶん。

化学閉経になったケースの予後が良いからといって、化学閉経しなかったケースにLH-RHを使うことが予後を改善するかどうかわからないのですが、さてどうしましょうか?

おそらく、続く。。。
by aiharatomohiko | 2013-10-06 22:04 | 論文

B38の論文化 Gemcitabineの追加効果は無さそう

術後化学療法として、TAC6サイクルおよびDose dense (DD)AC-PaclitaxelとDD AC-Pにgemcitabineを追加したレジメ(DD AC-PG)を比較したNSABP B38試験の結果がJCOの9/10号に発表されました。
初めの2レジメに対してDD AC-PGがDFSを25%改善するというのが研究仮説で、片側α0.025で90%の検出力が担保される、4894名のn+の乳がん患者さんが参加して行われました。
結果は、DFSもOSもDD AC-PGによるTACならびにDD AC-Pに対する改善はみられませんでした。
DD AC-PとTACの比較もなされており、DD AC-Pが何となく良さそうなデータ(DFS HR0.87 95%CI 0.74 to 1.01)ではありましたが、有意差はありませんでした。そもそもこのペアを比較検定してよいのかどうかわかりませんが。
年齢、ホルモン受容体、転移リンパ節数などでheterogeneityは認めなかったため、DD AC-PGが優れていると思われるサブセットを見つけることもできませんでした。
遺伝子発現解析などの研究が裏でなされているのかもしれませんが、今までのところアンスラサイクリンとタキサンを含むレジメにカペシタビンもしくはジェムシタビンを追加することで、明らかな生存期間の改善を認めていません。今後の術後化学療法の研究は、効果予測因子を見つけるか、わずかなハザードの改善が臨床的に意義の有る生存率の改善に結びつくような予後の極端に悪いサブセットでの研究を進めるか、予後は変わらないがより副作用が少ない治療法を開発するか、という方向になるのでしょうか。
ところで、TACとDD AC-Pで副作用の差があるので、それによってどちらかを選んでくださいねみたいなことが本文中に記載されていますが(図)、ぱっと見ただけではどちらがよさそうなのかわかりません。神経毒性が少ない分、TACが良いのでしょうか。長期間の毒性はどうなのでしょうか。PEG-GCSFの値段は安くはないでしょうから、治療期間は長くなるものの、同等の効果があるAC-Pwを加えて検討する必要がありそうです。それはそうと、アンスラサイクリン3サイクル→タキサン3サイクルなら18週なので、案外これが一番良いのかも。

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by aiharatomohiko | 2013-10-05 15:17 | 論文

β-Blockerと乳がんの再発


乳がんの再発リスクが乳がん治療以外の薬を使用すること

によって下がるという知見がいくつかあります。

代表的なものは骨粗鬆症に使用するビスフォスフォネート

ですが、他にも糖尿病のくすり(メトホルミン)や高血圧のくすり

(β-Blocker)があります。

メトホルミンは、現在ランダム化比較試験が行われている

はずです。

今回はJCOにβ-Blockerは再発リスクを下げないという研究結果が

発表されました。

確定的なことはまだ言えませんが、やや残念な結果ですね。

Use of β-Blockers, Angiotensin-Converting Enzyme

Inhibitors, Angiotensin II Receptor Blockers, and

Risk of Breast Cancer Recurrence: A Danish Nationwide

Prospective Cohort Study

Gitte Vrelits Sørensen, et al.

J Clin Oncol 31:2265-2272, 2013
by aiharatomohiko | 2013-06-16 22:57 | 論文