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乳がんの最新情報を紹介しています
by aiharatomohiko
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Olaparibよ、お前もか。



BRCA
遺伝子に体細胞変異のある、転移に対して化学療法を受けていないもしくは一次化学療法を受けた302名のHER2陰性の転移乳癌を対象に、標準治療として単剤の化学療法(capecitabine;eribulin mesylatevinorelbineのいずれか) or olaparibを比較した研究の結果がNEJMDOI: 10.1056/NEJMoa1706450)に発表されました。


登録された患者さんは、一次化学療法が30%、二次化学療法が70%でしたが、対象はかなりややこしかったので、以下に貼り付けます。Patientshad received no more than two previous chemotherapy regimens for metastaticdisease, and they had received neoadjuvant or adjuvant treatment or treatmentfor metastatic disease with an anthracycline (unless it was contraindicated) anda taxane. Patients with hormone-receptor– positive breast cancer had receivedat least one endocrine therapy (adjuvant therapy or therapy for metastaticdisease) and had had disease progression during therapy, unless they haddisease for which endocrine therapy was considered to be inappropriate.Previous neoadjuvant or adjuvant treatment with platinum was allowed if at least12 months had elapsed since the last dose. Previous treatment with platinum formetastatic disease was allowed if there was no evidence that diseaseprogression had occurred during treatment.


デザインとしては、“
If statistical significance was shownfor progression-free survival, time to a second progression event or deathafter a first progression event was then compared between groups with the useof a stratified log-rank test and a hierarchical multiple-testing strategy. If statisticalsignificance was shown for time to a second progression event or death after afirst progression event, overall survival was then compared between groups withthe use of a stratified log-rank test.”とあるように、まずはPFSを検定して、有意であればtime to a second progression event or deathを検定する、さらにこれが有意であればOSを検定するというドミノ倒しのようにαエラーを保ったままでいくつもの仮説を検証できる、上手くいけば一粒で三度美味しいデザインです。患者さんの振り分けは21olaparibは絶対に勝つで、という意欲が伺えます。なお、olaparibへのクロスオーバーは許容されていませんでしたが、標準治療群の約8%にPARPiが使用されていました。


さて、結果は以下の通りです。

Medianprogression free survival was significantly longer in the olaparib group thanin the standard therapy group (7.0 months vs. 4.2 months; hazard ratio fordisease progression or death, 0.58; 95% confidence interval, 0.43 to 0.80; P<0.001).The response rate was 59.9% in the olaparib group and 28.8% in thestandard-therapy group.ということで、PFSのハザード比が40%も改善して第一のドミノが倒れ、奏効率も2倍というolaparibの顕著な抗腫瘍効果が観察されました。ただ、改善されたPFSの絶対値は、そもそも組み入れられた患者さんが治療に対する抵抗性が高かったためか、わずかに2.8か月でした。

2番目のドミノも、以下の如く有意な改善を示して、倒れました。The median time from randomization to a second progression event ordeath after a first progression event was 13.2 months in the olaparib group and9.3 months in the standard-therapy group (hazard ratio, 0.57; 95% CI, 0.40 to0.83; P = 0.003).

ここまでは上々でしたが、残念なことにもっとも重要な3番目のドミノであるOSは、倒れませんでした。OS did not differ significantlybetween groups (hazard ratio for death, 0.90; 95% CI, 0.63 to 1.29;P = 0.57). The median time to deathwas 19.3 months in the olaparib group and 19.6 months in the standard-therapygroup。カエサルならば、olaparibよ、お前もか、大阪人ならば、何やそれっ、て突っ込んだことでしょう。エベロリムスやアバスチンと変わらない。。。Discussionには、OSの違いを検出する十分なパワーがなかったって書いてありましたけど、それならば何のためのhierarchical multiple-testing strategyなのか。そもそもパワー不足と事前にわかっていたならば、検定する意味があるのでしょうか。カプランマイヤーはolaparibの方がなんとなく上の方なので、本気で勝つ気でいたのなら、十分なパワーを確保して研究すればよかったのに、と思いました。


結果を改めて解釈するならば、化学療法と比較して抗腫瘍効果はolaparibで高かったものの、真のエンドポイントであるOSは改善されず、QOLは若干良かったものの、副作用として消化器症状と貧血が強い。何だか微妙だな、、、患者さんにとってのベネフィットといえば、高い抗腫瘍効果という事になるので、アバスチンと同じように有症状や進行の速そうな方には基本的に使う方向で、それ以外ではちょっとよく考えて使いましょう、という印象です、個人的には。


今後の展開として、メーカー(といわゆるKOL)はいい薬だbiologyを反映した素晴らしい薬だと喧伝し、使え使えとなるんでしょうか。ただ、遺伝子診断が一般化するまでは、そもそも対象となる患者数がかなり少ないので、一般にはあまり注目を集めることはなさそうにも思えますが。


# by aiharatomohiko | 2017-09-18 21:19 | 論文

ハーセプチンのバイオシミラーの研究がイケてない件

CT-P6というハーセプチンのバイオシミラーとハーセプチンを比較した第三相試験の結果がLancetVolume 18, No. 7, p917–928, July 2017)に掲載されていましたが、抄録を読んだだけで全文を読む気を失ってしまいましたので、そのつもりで読んでください。

この研究は、549名の早期乳がん患者さんに対して、術前化学療法としてDTX75 -FE75Cハーセプチン or CT-P6を比較しています。二重盲検であったというのはデータの信頼性を高めていますが、一次評価項目がpCRであったというので、全文を読む気が失せました。その理由はこのブログに過去つらつらと書いているように、pCRが予後を代替する指標ではないからです。この研究は同等性を比較するという事になっています。結果は以下抜粋の如くで、A similar proportion of patients achieved pathological completeresponse with CT-P6 (116 [46·8%; 95% CI 40·4–53·2] of 248 patients) andreference trastuzumab (129 [50·4%; 44·1–56·7] of 256 patients). The 95% CI ofthe estimated treatment outcome difference (−0·04 [95% CI −0·12 to 0·05]) waswithin the equivalence marginということだそうです。なお、副作用は大差ないようです。


本文を読んでないので何とも言えないのですが、おそらくはゲートキーピングの手法で、αエラーを保った状態でDFSの検定が将来的になされるのだと予想しますが、この症例数で同等性が検証されるかどうか疑問です。それでもその結果を待ちたいとは思いますが。


# by aiharatomohiko | 2017-09-17 23:57 | 論文

FALCON試験 名前は強そうだけど、

術前後も含めてホルモン治療が以前になされていない、閉経後局所進行または転移乳がんの一次ホルモン治療(化学療法は一レジメンまで許容)において、アナストロゾール1mgとフルべストラント500mgを比較した、ダブルブラインド・ダブルダミーのランダム化比較試験であるFALCON試験の結果です。

462例の患者さんが登録され、PFSが主要評価項目でした。PFS中央値はフルベストラント群において16.6カ月、アナストロゾール群では13.8カ月と、でフルベストラントの方が2.8カ月長かったことが示されました(ハザード比:0.797;95% 信頼区間:0.637-0.999; p=0.0486)。

副作用には、大きな差はありませんでした。


OS
については、おそらくゲートキーピング法でαが残った状態で検定が今後なされると思いますが、薬剤のクロスオーバーは許容されているはずですので、ほぼ同等ではないかと予想します。


以上を所与の条件とし、その結果と臨床での使用を考察してみました。


フルベストラント
500mgは、ホルモン治療がなされていない閉経後局所進行または転移乳がんの一次ホルモン治療における標準治療の一つとなったわけですが、全例に一次治療として使用するかどうかが問題です。三か月のPFSの延長がメリットですが、筋肉注射の侵襲と煩雑さというデメリットを考えると、どうでしょうか。

PDになればいずれにせよフルベストラントは使用するわけですし、OSが変わらない(仮定)のであれば、非侵襲的な治療から始める方が患者さんにとっても医療者にとっても良いという考え方もあるでしょう。フルベストラントを二次治療以降に使用すると一次治療に使用する場合と比べると治療期間が短くなるため、侵襲的な治療が行われる期間が短くなります。費用の問題も馬鹿にはなりません。


さて、この試験の対象が
de novoに限られたため、術後にAITAMの治療をして再発した人には本試験の結果が適用できません。当たりまえですが。単純のために術後AIを使用中に再発した場合で考えると、使用する薬剤の候補は、フルベストラント、TAM、術後使用していた薬剤がANA/LETであればEXEになるかと思われますが、こういった対象での比較試験は行われていない様ですから、何れが優れているかは不明です。なので、この場合も何れを使用しても問題ないでしょう。以下のデータもありますし。


補足:フルベストラント
250mgとタモキシフェンの比較はありますが、やはりホルモン治療がなされていない閉経後局所進行または転移乳がんの一次ホルモン治療というセッティングです。しかも、その結果は、TTP; median TTP, 6.8 monthsand 8.3 months, respectively; hazard ratio, 1.18; 95% CI, 0.98 to 1.44; P =.088と、フルベストラントは250mgとはいえあわやタモキシフェンに負けそうなデータでした。J Clin Oncol. 2004 May 1;22(9):1605-13.


# by aiharatomohiko | 2017-08-06 22:14 | 論文

なかなかご機嫌な結果-TACT2試験

デザイン:4391名のリンパ節転移陽性もしくはリンパ節転移陰性高リスク乳がんを対象として、epirubicin 100mg/m2 2週毎(dose dense)が3週毎(標準)より優れるか、 classical CMFより capecitabine(four 3-week cycles of 2500 mg/m² capecitabine per day)が劣っていないか(非劣性)をみた、2x2 factorial design。

結果:閉経前が40%、n0がほぼ半数。追跡期間中央値85.6か月での解析。

①Epirucibin q2wk vs q3wk は、[HR] 0・94, 95% CI 0・81–1・09;stratified p=0・42)であり、DD epirubicinは優越性を示せずかつ毒性が高いため、脱落。

②CMFに対する capecitabineの非劣性に関しては、書きぶりから仮説を理解するのが困難でした。

結果に、“There was also no significant difference”と書いているので混乱しますが、 “in TTR between the CMF and capecitabine groups (362 [17%] of 2178 patients in the CMF group had TTR events compared with 354 [16%] of 2180 patients in the capecitabine alone group, overall HR 0·98, upper 95·78% CI limit 1·12; 95% CI 0·85–1·14, p=0·00092 for non-inferiority and stratified log-rank test p=0·81 for superiority of capecitabine compared with CMF;figure 2).”と続きますので、非劣性は証明されたが優越性は証明されなかったといっているのが分かります。

95%信頼区間は上下とも15%ほどなので、同等と言ってよいでしょう。QOLは、24か月まではcapecitabineが優れていましたので、CMFに代わり得ることが示されました。なお、いずれの治療法間でもサブグループ間でのheterogeneityはありませんでした。

考察:E100単独にDDが無意味なことが分かった意義は大きい。しかしながら、E単独でCが入っていないために、AC60/600の場合にDDが無効とは言えない。当院ではACを使用しているために、個人的にはあまりinformativeでない試験結果となったのは致し方ありません。

Lancet Oncol. 2017 Jul;18(7):929-945.
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# by aiharatomohiko | 2017-07-23 21:53 | 論文

ペルツズマブの術後療法での有用性


ペルツズマブの術後療法での有用性を検討したAPHYNITY試験の結果がASCO2017で発表されると同時にNEJMDOI: 10.1056/NEJMoa1703643)に掲載されました。

【デザイン】

4805名の術後乳がん患者を対象。40%弱がn0。実薬とプラセボにランダム化。

・主要評価項目:invasive-diseasefree survivalrecurrence of ipsilateral invasivebreast tumor, recurrence of ipsilateral locoregional invasive disease, adistant disease recurrence, contralateral invasive breast cancer, or death fromany cause)。

・統計学的事項:IDFS:ハザード比0.75、検出力80%、αエラー両側5%OSはセカンダリーとされているものの、全体でαエラーが5%に保たれるように三回の中間解析が計画されている。ただ、co-primaryという記載でないことや、有意でなかったにもかかわらず中間解析結果が報告されていることから、IDFSOSというゲートキーピングの手法で解析が計画されていないのではないか、と思われた。

【結果】

IDFS(hazard ratio, 0.81; 95% confidence interval [CI], 0.66 to 1.00; P =0.045)と、ギリギリながらペルツズマブ群で有意に改善をみた。n+では23%の改善。イベント数が少なかったこともありn0では差を認めなかった。

・サブグループで交互作用はなかった。

OSは、hazard ratio, 0.89; 95% CI,0.66 to 1.21; P = 0.47) と有意ではなかった(この解析での有意水準は、p=0.00001)。

・心毒性は1%以下であるが、ペルツズマブ群で倍に増えている。

【考察】

20%のリスク低減は、ACに対するAC-PTX(三週毎)と同程度。つまり、modestくらい。

・観察期間が長くなれば差が出てくる可能性はあるものの、n0には直ちに使うほどの効果ではない。

・反対に観察期間が長くなれば、全体での推定値のハザード比が小さくなってくる恐れもある。

【感想】

進行再発での治療効果を考えると、事前にはもっと高い効果を期待しているものと思っていたので、事前の効果の見積もりがかなり低かったのと、それが正確であったのには驚いた。加えて中間解析がプランされていなかったことから、やはりあまり期待されていなかったことがわかるが、それならば試験の対象をハイリスクに絞った方が良かったのではないかと思えた。

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ご覧の様にこの試験の対象では、絶対値の差がほとんどありません。便益が1.7%の差でNYHA class III or IV heart failure and substantial decrease in LVEFが0.4%増える。うーん。




# by aiharatomohiko | 2017-06-14 00:56 | 論文

SABCS2016 AI長期投与の総括

AIが入った後の治療でAIを追加投与する試験は、TAMからAIに切り替える試験に比較すると、治療効果が高くないと思われるため、また差が出るのが遅れて出てくるため、精度よく差を検出するにはイベント数と観察期間が足りないと思われる。

再発リスクが高いケースに限っては、AI10年投与を考慮してよいと思われる。


# by aiharatomohiko | 2016-12-12 14:20 | 学会

SABCS2016 NSABP B42

TAM/AIもしくはAI5yで無病だった閉経後ホルモン感受性乳がんをLET5yかプラセボにランダム化した試験。DFSがエンドポイントで、中間解析でアルファを消費したため、p=0.0418が有意水準での解析。 n=3923名。4割がn陽性。

60月フォローで631イベント時点で解析が行われ、HR0.85(0.73-0.999)p=0・048 NSであった。

累積遠隔転移は7年で5.8%と3.9%でHR0.72。7年で2%の差。

At risk の数を見ると、これから差が開いていく可能性が高いと思われ、精度高く治療効果を見るためには、やはり長期観察が必要。気になるのはOSのHRが1.15とLETの方に死亡数がやや多いこと。骨折はHR1.2とLETで多い。


# by aiharatomohiko | 2016-12-12 14:18 | 学会

SABCS2016 IDEAL試験

閉経後ER陽性、5TAMAIによるホルモン治療後にレトロゾール(LET2.5y vs LET5yのランダム化比較試験。DFSがエンドポイントでn=1821の規模。スライドが手に入らなかったので、結果の解釈はややあやしい。

ランダム化時点からの5年DFSは、HR0.96(0.76-1.20)p=0.70と変わらず。2.5年後を起点にしたDFSは、HR0.88と、2.5年で十分という結論ではあるが、カプランマイヤーをみるとこれも5年以降から開き始めている印象あり。MA17では、LETを長く投与すればするほど治療効果が高いという研究結果もあったように記憶しているので、これもやはりこの時点で結論付けるのは時期尚早で、治療効果の推定にはもう暫くのフォローアップを待ちたい。


# by aiharatomohiko | 2016-12-12 14:16 | 学会

SABCS2016 DATA試験

DATA試験はTAM-ANAへスイッチして5年治療ののちにランダム化して、3年のアナストロゾール(ANA)と6年のANAを比較する試験。ただ、解析はランダム化して3年時点を起点とした3DFSadapted DFSと記載)を検定するというデザインで、これではITTによる検定とはならず、せっかくRCTをしたにもかかわらず、研究の質が観察研究レベルになってしまうとのこと。

α5%、β20%HR0.60の研究仮説で、n=1860がランダム化されたものの、両群ともに同じ治療が行われている3年のうちに、3年群で91のイベント発生と5件のフォローアップロスト、6年群で103のイベント発生と1件のフォローアップロストが生じたため、解析からは除外された。解析は1660例で、2/3n陽性とリスクの高いポピュレーションが対象となっている。

Adaptedフォローアップ4.1年、261イベント発生時でaDFSの解析がなされた。HR0.79(0.62-1.02)p=0.07 OSHR1くらいであり、ネガティブな結果ということになった。しかしながら、カプランマイヤーは3年から開いてきており、イベント数も6年群で少ない。長期の観察をすることでより精度の高い知見が得られるように思えた。いつものことながら、筋骨格系の副作用が問題となる。


# by aiharatomohiko | 2016-12-11 12:18 | 学会

ASCO2016の個人的な目玉:EBCTCG

ホルモン受容体陽性乳がんは、ホルモン受容体陰性乳がんと比較して晩期再発を起こす危険性が高いとされ、5年を超えるホルモン治療の有用性が報告されているため、どのようなケースで晩期再発が起きやすいのかを知ることが重要である。この目的で遺伝子発現プロファイルの有用性が報告されているものの、コストや実用性の点から実臨床で応用されるには至っていない。

EBCTCGでは、4.6万人を超えるホルモン治療を5年行った後に無病かつ生存しているER陽性乳がんについて、予後因子を調べた。

評価項目は、遠隔、局所、対側乳がんを含めた全乳がんイベント(非乳がん死亡は除く)と遠隔再発(局所と対側乳がんは除く)

重要な知見として、5年のホルモン治療後でも再発リスクは術後20年まで着実に上昇しており、T1N0でも5-20年の絶対再発リスクは顕著であることが分かったこととしている。

ステージが高くなるにつれて、再発のリスクが上がる。
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Grade3はgrade1より再発の危険性が倍くらい高い。
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gradeやKi67が低ければ、高い場合と比較して再発リスクが30%ほど減る。意外にも、PRが遠隔期に予後因子とならなかった。
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40才未満で予後が悪い。
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例えば、再発リスクが20%あるとして、LET5年で再発が半分になるとしたら、絶対値で10%のゲインとなる。これを基準に10年のホルモン治療を行うとすると、閉経後乳癌ならば対象はT1N0ならばgrade3、T2N0とT1N1-3ならばgrade2かgrade3となる。もしくは、T1N0のgrade1と2、T2N0とT1N1-3のgrade1を除く全症例が対象と考えてよい。
閉経前はTAMの治療効果がこれより落ちるので、T2N1-3以上が対象となるか。いずれにせよ、患者さんに十分この辺りを理解して頂く事が前提になります。
# by aiharatomohiko | 2016-09-11 23:33 | 学会

ASCO2016 TCの実力は、、、

TC4サイクルがAC4サイクルと比較して、5年で33%、7年で26%再発リスクを減少させるという、個人的にはにわかには信じがたいほどにTCの治療効果が高かったのですが、それではTCを世界最強レジメのTACと比較してやろうじゃないかという統合解析の結果が報告されました。

注意点としては、TCは6サイクル。TAC群も6サイクル。一つの試験でAC f/bタキサンを許容していますが少数の模様です。症例数は4000例ですが、うちn0が1600例以上含まれています。主要評価項目はinvasive DFSです。中間解析でfutility解析が行われ、ハザード比上限の1.18を超えたため報告に至ったようです。TCのTACに対する4年IDFSのハザード比は1.23(95%信頼区間 1.01-1.50 p=0.04)と、TACに有意に劣っているという結果でした。ただ、ハザード比だけを見ると、TC6はAC4よりも良さそうな結果ではありますな。うーん。

サブセット解析では、ER-ではn0,n1-3,n>3のいずれでもほぼ同様なハザード比を示す(ただし、絶対値ではこの順に治療効果が大きくなる)ものの、ER+ではn0,n1-3ではTCもTACもほぼ変わらず、n>3で効果の差が大きくなるという結果で、実臨床での使い分けに際してヒントになりそうな結果でした。

さて、個人的に注目していたのはTCの急性白血病の発生率です。TACでは5/2000例に対して、TCでは0/2000例でした。TCがACと治療効果が同等以上で、致命的な副作用が低いのであれば、4サイクルレジメで行う人には、ACをやめてTCにするのが是でしょうか。それにしても、いまだにFEC100 6サイクルを使っている人がいるようですが何故か、NSABP B-36の結果がパブリッシュされていないようなのは何故か、など術後化学療法では蛇足な疑問もつきません。
# by aiharatomohiko | 2016-07-02 00:22 | 学会

ASCO2016 対象症例の設定を誤ったMA17.R試験

 4.5〜6年間のレトロゾールによる術後治療を受けたホルモン受容体陽性閉経後早期乳がん患者1,918例を、LET群もしくはプラセボ群に割り付けたランダム化比較試験の結果が報告された。うち約60%が化学療法を受けていた。T1が55%、N0が45%程度と必ずしもごくごく早期のケースが入っていたという訳ではないようだ。また、70%程度が4.5年以上タモキシフェンの治療をLETの前に受けており、都合15年という長い治療を受けていた。

 結果は、主要評価項目の5年DFSはLET群95%、プラセボ群91%(HR=0.66、p=0.01)であり、LET群で34%の再発リスク低下が認められた。二次評価項目のOSは差が無かった。

さて、再発における34%のリスク低下は治療効果として大きいのだが、全イベント数はLET群67例、プラセボ群98例であったものの、対側乳癌はLET群13例、プラセボ群31例とこれに引っ張られているところが大きく、遠隔転移ではLET群42例、プラセボ群53例と大雑把にいって約20%のリスク低下に留まっている。一群1000例で10例の遠隔転移抑制なので、100例治療して1例(1%)の遠隔転移減少効果というのは、骨折が14%vs9%と5%のロスと比べると、そう大きなものとは言えないだろう。

 もっと治療効果の絶対値が大きくなるような対象、例えばn+症例に限って試験を行っていれば、リスク/ベネフィット比が大きなものになったと思われるが、この試験の結果を持って積極的にAIを10年投与しようという人は多くはないのではないか。個人の再発リスク判定が重要なのは言うまでもないが、病理学的因子が5年のホルモン治療後に予後因子となることがEBCTCGにより発表されているので、遺伝子プロファイルではなく、それを参考にすれば良いと思う。個人的には、Tが大きく腋窩リンパ節転移個数が多い方は10年AIもしくは15年ホルモン治療の対象になると考えるが、ホルモン陽性乳がんの方全員にデノスマブを投与してまでもAIを長期間継続したいとは思わない。
# by aiharatomohiko | 2016-06-28 23:03 | 学会

SABCS2015 Denosumabの再発抑制効果

閉経後ホルモン受容体陽性乳がんでアロマターゼ阻害薬による術後療法を受けている3000名余りの患者さんにデノスマブもしくはプラセボを投与したABCSG-18試験で、二次評価項目である無再発生存期間に関する発表が行われた。

なお、主要評価項目の骨折率は、デノスマブ投与群で半分に減っていたことが報告されたため、IDMCより盲検解除とクロスオーバーの許容を勧告されたため、クロスオーバーが発生する前に解析がなされた模様。

明記されていなかったが、DFSにはαが割り当てられて無さそうなので、この結果は仮説提示に留まる。

結果は、ハザード比0.82(0.66-1.00)であり、発表者自身も触れたように、EBCTCGによるメタ解析で示されたビスフォスフォネートの閉経後乳がんにおける再発抑制効果とほぼ同等でした。

ONJなど重篤な副作用もなかったので、日常臨床での使用も検討にあがるが、試験の対象症例では絶対値の改善が5年で2%(NNT50)なので、再発予防目的でルーティンに使うにはちょっとという印象。骨折予防効果も含めて考えたいので、もう一度元のLancetの論文を読みなおさないと。

無骨転移生存(BMFS)を主要評価項目としたD-CARE試験は、中間解析が二回予定されているものの結果が発表されていないので、おそらく転移抑制効果は似たようなものだろうと予想。

おまけ。ABCSG12の結果は、たまたま再発抑制効果が大きく出た(30%のハザード比改善)のではないかと推測。
# by aiharatomohiko | 2016-03-09 22:32 | 学会

SABCS2015 CREATE-X


今年のサンアントニオの一番の発表はJBCRGからのCREATE-Xでしょう。

本研究は、術前化学療法でpCRにならなかったHER2陰性乳がんを対象に、ゼローダ2500mg/m2を8サイクル追加投与する意義を検討した研究です。
日韓の共同研究で、日本から600名、韓国から300名ほどの登録がありました。

もともとの仮説はDFSのHR0.74を352イベントで検出するというものでした。(両側α 5%、検出率80%)が、最終登録二年後に予定されていた中間解析でOBrien Flemming boundaryを超えたために、早期終了となり発表されたものです。

ゼローダのコンプライアンスは、8サイクル完遂は40%ほどでしたが、RDIは80%と良好でした。
この点について欧米人ではもっと悪いようで、フロアから質問が飛んでいました。

一時評価項目のDFSは3年で82.8%vs74.0%、HR0.70(95%CI 0.53-0.93)、OSはHR0.60(95%CI 0.40-0.92)と有意にゼローダ群で良好でした。

今までのPIII試験ではゼローダは芳しくない成績だったため、いささか驚きをもって受け止められたようで、会場からは多くの質問が飛んでいましたが、戸井先生の受け答えは横綱相撲でした。

今までのPIIIでは、標準治療に上乗せの形が多かったのに対し、本試験は無治療vsゼローダの比較なので、DFSがある程度改善されることは納得いくと思います。特筆すべきはOSの改善でしょう。

保険承認の問題はありますが、再発リスクが高いケースでは選択肢の一つとなるのではないでしょうか。
# by aiharatomohiko | 2016-01-20 23:38 | 学会

OncotypeDXの有用性

TAILORx試験でスクリーニングされた10,253名の原発乳がんの患者さんのうち、オンコタイプDxのリカレンススコア(RS)が10以下の1,626 名 (全体の15.9%)の患者さんの前向きコホート研究の追跡期間中央値69か月時点での結果が、NEJMに報告されています(データは、N Engl J Med. 2015 Sep 27. [Epub ahead of print]PMID: 26412349より引用)。

結果は、the rate of invasive disease–free survival was 93.8% (95% confidence interval [CI], 92.4 to 94.9), the rate of freedom from recurrence of breast cancer at a distant site was 99.3% (95% CI, 98.7 to 99.6), the rate of freedom from recurrence of breast cancer at a distant or local–regional site was 98.7% (95% CI, 97.9 to 99.2), and the rate of overall survival was 98.0% (95% CI, 97.1 to 98.6).でした。遠隔転移がほぼゼロ(0.7%)なので、RS10以下はホルモン治療だけで十分であろうことが前向きの研究でも確認されました。(通常のオンコタイプではRS17以下が低リスクなのに注意。)
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それなのに、一次評価項目のIDFSが93.8%とはどういうことかと本文をみてみました。具体的なイベントは以下の通りです。In the cohort of patients with a recurrence score of 0 to 10, there were 88 events of either invasive cancer or death and 30 deaths reported within 5 years after study entry. The first event in the analysis of survival free from invasive disease was local or regional recurrence (or both) in 8 patients, distant recurrence in 10, invasive cancer of the opposite breast in 15, other invasive new primary cancer in 43, and death without another event in 12.
イベント数は88でしたが、そのうち二次がんが43で乳がん以外の死因が12(計55)と乳がんと関係のないイベントが半数以上でしたので、結果から考えるとこの研究のエンドポイントとしてIDFSがあまり適当ではなかったことがわかります。比較試験ではないので、二次評価項目であるfreedom from recurrence of breast cancer at a distant siteで研究結果を評価するのが妥当であるように感じました。

重要なのはこの結果が患者背景によって大きな影響を受けていないかという点です。RS11-25の人と比べると多少予後が良い背景を持っているようですが、顕著な差はないように思えました。
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さて、この結果を臨床に応用する際の悩ましい点は、RSが10以下の患者さんは16%しかいないということです。通常のオンコタイプではRS17以下が低リスクと判定されるのですが、TAILORx試験ではRSが11-17の人は化学療法有りと無しにランダム化されています。うーむ。TAILORx試験の結果が出ればモデルにより化学療法が無い時のRSと再発率の関係がRS25までは分かるはずですし、中間リスクでの化学療法の効果が今あるデータよりも良い精度で推測できるようになるでしょうが、もうしばらく待つ必要がありそうです。
# by aiharatomohiko | 2015-10-04 23:09 | 論文

ASCO2015:DCISでANAはTAMより良いものの。 

乳房温存術後の薬物療法としてTAM5yとANA5yをダブルブラインド・ダブルダミーで比較したNSABP B-35(n=3000、観察期間中央値9年)の結果が報告された。

DCISは遠隔転移がほとんどないので、局所再発と対側乳がんの発症を抑えることが薬物療法の主な目的になると思われる。この試験では、エンドポイントが局所再発・領域再発・遠隔再発・対側乳がん発症を合算した複合エンドポイント(breast cancer free intervalと称す)が採用されている。

カプランマイヤーをみると、96か月くらいまでは両者変わらないのだが、120か月でガクッと開き、絶対値で93.5%vs89.2%ハザードは0.73(p=0.03)であった。ちなみに120か月でのアトリスクは18%と少ない中での結果である。観察期間中央値が108か月ということだから、もう1-2年くらい辛抱すればもっと精度が高く治療効果が推定できるのではないかと思うけれども、時間も大事ということでしょう。

イベント数はTAM 114 vs ANA 84であった。エンドポイントごとのイベント数は全ては明記されていないが、同側乳房再発は TAM 53 vs ANA 43(HR0.80)、対側乳房再発は TAM 55 vs ANA 37(HR0.67)であった。これらを合算するとTAM 108 vs ANA 80なので、遠隔再発と領域再発はTAM 6 vs ANA 4ということになります。

重篤な副作用は、子宮内膜がんのイベント数がTAM 17 vs ANA 8、骨折がTAM 50 vs ANA 69、血栓症がTAM 41 vs ANA 13であった。

ちなみにOSはTAM 92.1% vs ANA 92.5%とNSであったので、害の部分を含めても真のエンドポイントにおいて両者あまり差が無いとは言える。

60才で分けた時に、年齢と治療効果に質的交互作用があったことが示唆されている(p=0.04)。60才で乳がんやホストに生物学的な変化が起こるのでないだろうから、これを説明する仮説とそれを裏付けるデータが取れているのかが気になる。そうでなければ偶然か。

さて、無治療と比較するとどうなるだろうか。
同側乳房再発の危険性と対側乳房再発の危険性をいずれも年率0.5%と仮定した場合には10年で、
無治療 5% 5%
TAM 3.5% 2.5%(無治療と4%の差 NNT25)
ANA 2.8% 1.7% (無治療と5.5%の差 NNT18)
実際に観察された差よりもかなり小さくなるが、そもそもアトリスクが少なくなる120か月付近で差が大きく開いている事を考えると、この推定もあながち的外れでもないように思える。

実臨床ではどうすべきか。血栓症が気になる欧米人にはANA、骨粗鬆症が気になる日本人にはTAMということになるかもしれないが、治療効果と害のバランスを考えるとDCIS温存術後には無治療という選択肢が、個人的には変わらず一番のお勧めではあります。
# by aiharatomohiko | 2015-06-28 10:32 | 学会

ASCO2015 palbociclibはeverolimusよりいい薬っぽい


最近は学会に行かずしてすぐに情報を頂くことが出来るので、わざわざ海外まで足を運ぶだけのモチベーションを保つのが難しいくらいですね。ただ、留守番組には僥倖です。

さて、内分泌感受性転移乳がんの一次療法において、オープンラベルのランダム化PIIでレトロゾールにパルボシクリブ(CDK4/6阻害薬)を併用することで、PFSが2倍に延長したことがPALOMA-1試験で報告されています。同様のセッティングにおいてブラインド下で行われているランダム化PIII試験PALOMA-2試験の結果はまだ出ていないようですが、二次治療以降でフェソロデックスにパルボシクリブを追加することの有用性をブラインド下で検討したPALOMA-3試験(n=521 ランダム化は2:1)の結果が、ASCOの発表と同時にNEJMに掲載されています。

 この試験は、中間解析の結果でHR0.42とPFSが2倍以上に延長したので早期中止になっています。中間解析ではイベント数が少ないためにランダム・ハイ効果により治療効果が過大に見積もられる恐れがあることが知られています。以前はそんなことなんて知ったことかとばかりにこの時点でキーオープンしてクロスオーバーを許容するという暴挙が繰り広げられていたのですが、さすがにFDAが厳しくなったからかこの試験ではOSの改善をみるためにブラインド化が継続されているようです。ただ、早期中止になったけどダブルブラインドが維持されているというのは、どういう状態かすぐにはピンときません。また誰かに聞いてみます。

QLQ-C30 ではGlobalQOLとemotional functioningでパルボシクリブ群が有意に良好だったようです。 

サブグループ解析では有意な交互作用は認めなかったのですが、個人的にはDFI<24か月という予後の悪いケースで効果が低そう(n=65と少数ですが、交互作用のp=0.15)に見えたので、他の試験で再現性があるのか注目したいところです。

なお、死亡のイベントは 5.5% in the palbociclib–fulvestrant group and 5.2% in the placebo– fulvestrant groupと何やらあやしい雰囲気が漂っています。実際に、PALOMA-1試験では、OSのカプランマイヤー曲線はあんまり離れておらず(図)、HRが0.8程度だとするとこの症例数ではeverolimusの二の舞になる恐れも否定できないですね。しかしながら、その場合でもPALOMA-1から3までをメタ解析すれば何とかなるでしょうから、強引にOSでの有意差あり(と言っていいのかどうかわかりませんが)に持ち込めるような気もします。

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さて、パルボシクリブがeverolimusに比べていいところは副作用が軽い(発熱を伴わない好中球減少症)ところで、医療費を度外視すれば使いやすい薬なのかもしれませんが、30%程で減量されているところをみると、それなりの注意は必要ということでしょう。また、パルボシクリブを併用してホルモン治療を引っ張ることでQOLが維持できることが患者さんにとってのメリットであるという観点からすれば、単独でもホルモン療法の効果が期待できる一次治療でいきなり使うというよりは、二次治療以降での出番になるのでしょうか。

最後に、患者さんのためにもOSの差が出なかったのは早期中止が原因だ!本当は差があるのだ!みたいな話にならないことを祈ります。。。
# by aiharatomohiko | 2015-06-20 22:41 | 学会

SABCS2014 さよならFEC100(by山下年成先生)

長年待ち続けていたNSABPB36の結果が発表されました。
対象はn0の術後乳がん n=2688
治療法は、FEC100x6 vs AC60/600x4
primaryは DFS
対立仮説はFEC100でHR0.75の改善。 385eventsで検出力 80%、2sided αが0.05の設定。

400eventsでデータロック。
8yDFSはいずれの群も82%。HR1.03 (0.85-1.26) NSでした。
OSも192イベントでNS。
サブセットではER陰性ではFEC100のHR0.82(0.62-1.09)と予後の悪いようなポピュレーションではFEC100の出番があるのではないかという向きには、抗がん剤の効果に差が出にくいER陽性でHR1.29(0.98-1.71)とACにぼろ負け(HR1.29はほぼ無治療と変わりません)している理由も同時に説明して頂く必要があります。交互作用に関しては検定していませんでしたが、仮に交互作用が見られたとしても偶然でしょう。

つまりFEC100x6=ACx4。

化学療法の効果は本当に限られています。残念ですが。
もしこれがACのFEC100への非劣性を証明するようなスキームならば、HR上限を1.2とかに設定したならば非劣性が証明されないという結果になった訳で、臨床試験のデザインは奥が深いというかなんというか。。。
個人的には、こうなることを信じてというかFEC100の有用性に確信が持てなかったのでACを使っていたのですが、間違っていなかった事がわかって安心です。
もちろん、予後の良いポピュレーションなので優越性が証明されなかっただけで、n+ではFEC100の効果の方が高いのではないかと言い募ることも不可能ではありませんが、それだって証明されている訳ではないのです。

FEC100の使用を正当化するためには、n+でACに対する優越性試験を行う必要が出てきたのではないかと思えます。
# by aiharatomohiko | 2014-12-18 14:55 | 学会

SABCS2014カルボプラチンへの期待と現実

トリプルネガティブでの有効性がささやき続けられてきたプラチナですが、他の抗がん剤との第III相を待たずに標準アームとしてバンバン使われてきました。この試験では、ドセタキセルとの比較が行われ、BRCA変異のあるケースでは優れているものの、ないものでは効果は同等であることが報告されています。

・対象はトリプルネガティブの転移乳がん
・比較はDTX100x6 vs Carbo6AUCx6
・n=376
・一次評価項目は奏効率で、対立仮説はカルボによる奏効率の15%改善。両側α5%、β10%。
結果は、
・クロスオーバー可でいずれのアームも1/4ほどで行われた。
・RDIはほぼ同じ。
・11か月の中央値フォローアップ
・全体では、奏効率は カルボ 31.4% vs ドセタキセル35.6% NS
・PFSとOSもNS。
・ただし、BRCA変異が認められていたケースに限れば、奏効率68% vs 33.3%とカルボが有意に高かった。BRCA変異なしまたは不明の場合は、奏効率28.1% vs 36.6%でNSであるがドセタキセル優位。BRCA変異と薬剤の交互作用は有意。
・Myriad HRD (homologous recombination deficiency)スコア(以下参照)により高低2分しても、両者の奏効率はいずれでもほぼ同等であった。Myriad HRDスコアと薬剤の交互作用なし。Neo adjuvantではスコアとpCRが相関していたようですが。。。。
*Myriad's proprietary HRD test detects when a tumor has lost the ability to repair double-stranded DNA breaks resulting in increased susceptibility to DNA-damaging drugs.
・PAM50によるBasal(n=174)は、奏効率に変化ないが、non basal(n=36)では16.7%vs73.7%とDTXに負けていた。Basalかどうかと薬剤の交互作用は有意。
・免疫染色によるcore Basalでも類似の結果。

結局、
・カルボのドセに対する抗腫瘍効果における優越性は、BRCA変異を認めたものに限られる。
・BRCA変異のないものでは、ドセの方が効果が高い傾向。
・Basalサブタイプで奏効率は同等も、non basalでは効果が低い。
・全体でみればクロスオーバーが入ることもあるのか、OSは変わらない。
・タキサンとの比較という観点では、DTXq3w=weekly PTXとすればwPTXの方がカルボよりも明らかに毒性が低いので、カルボをフロントラインで使うというよりは、タキサンの後でという位置づけか。
# by aiharatomohiko | 2014-12-17 14:29 | 学会

SABCS2014 乳がんでも抗PD1抗体は有望KEYNOTE012試験

メラノーマ、非小細胞性肺がん、腎臓がんなどで目覚ましい効果が報告されている抗PD-1抗体と抗PD-L1抗体ですが、サンアントニオではトリプルネガティブのPDL1陽性の転移乳がんを対象としたP1b試験で抗PD1抗体の臨床効果が報告されています。
・スクリーニングされた58%がPDL1陽性。
・pembrolizumab10mg/kg q2w
・n=27が評価可能。
・全体で18.5%の奏効率。SD25.9%でCBRは44.4%。
・SD以上は一次治療1/4例、二次治療で2/4例、六次治療以降でも4/6例と前治療に依存しないのが特筆される。
・毒性は、関節痛、筋肉痛、嘔気、疲労感などで重篤なものはなさそう。
・目覚ましいという程ではないかもしれないが、明らかな臨床効果を認めている。
・腫瘍でのPDL1発現で選択しているが、この研究からは効果予測因子となるのかどうかは不明。
・ER陽性やHER2陽性でのPDL1の発現や抗腫瘍効果の検討が期待される。
# by aiharatomohiko | 2014-12-15 00:37 | 学会