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by aiharatomohiko
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術前化学療法は患者さんの役に立っているのか?その2


重要な知見とは、病理学的完全寛解(pCR:本試験では乳房の浸潤がん

部分が消えることで、非浸潤がんの残存を含む。また、この試験では

腋窩リンパ節の転移状況は勘案されない。)が13%にみられ、浸潤がんが

残存した症例よりも予後が良いこと(5年無再発生存率:85.7%, vs 76.9%)、

術前化学療法により腋窩リンパ節転移が相対値で28%減少すること

(術前化学療法41%vs 術後化学療法57%)、乳房温存率が改善される

(術前67% vs 術後60%、5cm以上の乳がんに限れば22% vs 8%)

ことです。


つまり、化学療法は術前に行っても術後に行っても生存率はかわらないが、

術前化学療法で浸潤がんが消えた場合には、消えなかった場合よりも

予後が良い事がわかりました。

これをもって患者さんに対する術前化学療法のメリットという医師もいる

けれども、“浸潤がんが消えたので、5年無再発生存率が85.7%です。

良かったですね。”といわれても、15%再発の危険性があるわけで、

完全に治ったといえるほどの数値ではないため、ビミョーですね。

本試験では5年以降にも再発が見られますし。

病理学的完全寛解になった場合に予後が良くなることを強調しすぎると、

むしろ再発した場合にショックが大きくなるだけ、メンタルヘルスにとって

マイナスなのではないかと考えます。なので、個人的にはこの点をあまり

強調して患者さんにお伝えしないようにしています。

一方、MD アンダーソンのデータでは、腋窩リンパ節転移陽性の患者さん

を対象とした術前化学療法の臨床試験で、術前化学療法でリンパ節転移

が消えれば、5年以降の再発はほとんど無いと言う事が示されていますので、

腋窩リンパ節転移の病理学的完全寛解を目安にすれば、5年無事経過した

患者さんに今後の予後が良好であると説明することができそうな気がします。

他の試験で同様なデータがあれば、教えて下さい。


腋窩リンパ節転移の28%が消えることは、もし術前化学療法後に正確に

センチネルリンパ節生検ができるのであれば、腋窩郭清を省略できるので

患者さんのメリットになります。しかしながら、腋窩リンパ節転移があって

術前化学療法を行った場合に、どの程度センチネルリンパ節生検が正確

なのかはまだまだ分かっていないと思います。

どのみち腋窩郭清を行うのであれば、これはメリットとはいえないです。


それじゃあ、術前化学療法の患者さんに対するメリットって、なんなの

でしょうか。
by aiharatomohiko | 2008-10-04 22:10 | 医療
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