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Leuprorelin (リュープリン) versus Goserelin(ゾラデックス)


閉経前ホルモン感受性乳癌に使用できる卵巣機能抑制療法の薬剤は、

Leuprorelin (リュープリン)とGoserelin(ゾラデックス)があります。

この2剤はどちらが優れているか、どちらを使えばよいのか、

といったことを、患者さんに良く聞かれます。

リュープリン3ヵ月製剤とCMFを比較した臨床試験が論文化されたので、

ここで考察をしたいと思います。

まず、ゾラデックスは臨床試験におけるデータが豊富で、世界的にも標準

として使用されている薬剤です。

医療者にとっては、事前の調整を必要とせずにすぐに使用できるという製剤上

の利点があります。また、注射した後に針が自然と引っ込むよう設計されて

いるので、医療安全において優れています。

しかしながら、針が太いために注射は相当痛く、この点患者さんから

かなり不評です。また、現時点では1ヵ月製剤しかありません。

リュープリンは、臨床試験におけるデータがゾラデックスほど多くは

ありません。ただ、術後療法において、リュープリンの3ヶ月製剤の

無再発生存期間がCMFとほぼ同等(症例数が少ないので、同等と言い切って

良いかは疑問ですが)で、全生存期間ではCMFに勝っていた、

という臨床試験(TABLE study)の結果が最近論文化されました。

無再発生存期間が同等で全生存期間では勝っている理由をどう考察するのか

興味がありましたが、discussionでは、“理由ははっきりせず、探索的な結果

である”旨だけ記載されていました。まあ、これはしかたないですね。

さて、リュープリンは、使用前に混ぜなければならないのが

ゾラデックスと比較して面倒ですが、針が細いために注射時の痛みは軽く、

患者さんには好評です。また、1ヵ月製剤と3ヶ月製剤の両方が使用できます。

3ヶ月製剤は、薬価が2倍で効果が3倍なので1月あたりの

医療費は安くなりますが、局所反応による硬結を認めることがあります。

さて、どちらの製剤を使用すべきでしょうか。

結論から言えば、私はどちらでも良いと考えています。

その理由は、このタイプの薬剤は下垂体からのLHRHの放出をブロックし

月経を停止させ、その結果卵巣からのエストロゲンを抑制することで

抗腫瘍効果を発揮するため、薬剤の違いは効果に大きく影響しないと

考えられるからです。

世界的にはどう考えられているのでしょうか。

ヨーロッパを中心に現在行われている閉経前乳癌の臨床試験では、

リュープリンでもゾラデックスでもなく、トリプトレリンという日本未発売

の薬剤が使用されています。

これは、世界的にも“月経を止めるのが治療の目的だから、薬剤の種類は

何でもよいだろう”と考えられていることの証です。

また、1ヵ月製剤と3ヵ月製剤の違いはどうでしょうか。

臨床試験で1ヵ月製剤と3ヵ月製剤を直接比較するデータはありませんが、

リュープリンは3ヵ月製剤でも1ヶ月製剤と同様にエストロゲンのレベルが

抑えられていること、今回発表された臨床試験のデータから、どちらでも効果

は同じではないかと思います。

日常臨床では、以上のことを患者さんに説明して、薬剤を選択しています。

余談ですが、アストラゼネカ社は、“ゾラデックスは臨床試験のデータが豊富

で、リュープリンはデータが余り無い”というキャンペーンをしているようです。

これは確かにその通りで、誰も異論がないでしょう。

しかしながら、ゾラデックスの3ヵ月製剤が乳癌に適応拡大されたとしたら、

どのようなキャンペーンをするのでしょうか。

臨床試験のデータを重要視するアストラゼネカ社のことですから、

ゾラデックスの3ヵ月製剤を使用した大規模臨床試験がなされている

のでしょうね。

結果を期待して待ちたいと思います。





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by aiharatomohiko | 2007-07-14 20:33 | 論文
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